クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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多分どのクラスでもこのタイミングだけは変わらないと思います。


1年D組クソボケ谷君13

今日は絶対ステーキを食うと決めていたので、夜は無理そうなので昼に店に来た。1人で行くつもりだったが、綾小路くんが仲間になりたそうな目で見てきたので一緒に行くかと誘った。

 

 

「無人島でのお前の発言はテロ行為だったろ。お前のせいでステーキが食いたくてたまらなくなったぞ。」

 

 

「悪かったな、あの時は食いたい欲が抑えきれなかったんだ。魚を堪能しすぎて別の物を食いたくなってな、その時に浮かんだのが肉だったんだわ。」

 

 

正直Cクラスへの偵察が2日目でよかった。5日目でバーベキュー食ってる所見させられたら気が狂っていたかもしれない。

 

 

「結構な種類が釣ってきたからバリエーションに富んでたと思うんだが。焼き魚どころか刺身までたらふく食えて贅沢だった。」

 

 

「まあそれはそうなんだが、捌きすぎて魚見るのがちょっと嫌になってたのもあるんだわ。しかも捌くの上手くなったけど、使い道がほとんどない技能だし。」

 

 

「安心しろ、使い道はあるさ。冬に鰤を食いたいからな。」

 

 

味を占めてやがる。しかし冬になったら俺も食いたくなりそうだな、腐らせない程度にちょいちょい練習するか。だが今はとにかくステーキだ、普段以上に食ってやる。

 

 

 

 

 

メニューを見て一番大きいサイズのステーキを注文した。綾小路も、俺と同じものを頼んでいた。しばらくしてステーキが届き、俺も綾小路も無言でステーキにがっついた。物珍しさから熟成肉のステーキを選んだが大当たりだった、赤身マジうめえ。綾小路の方をちらっと見ると気に入ったようでガンガン食べ進めている。2人してこれを食わなきゃ生きられないという勢いで食ったせいか、ものの数分で食べ終えてしまった。

 

 

「めっちゃ旨かったけど、大きな問題が一つあるな。」

 

 

「そうか?量も焼き方も特に問題は無かったと思うぞ。」

 

 

「いやこんな良いステーキ食ったら、学校に戻ってからのステーキに不満を持ちそうでよ。」

 

 

「……それは確かに大問題だな。上級生に聞いてみるのはどうだ?」

 

 

上級生にか、唯一連絡先を持ってる堀北先輩に聞くのは手段の一つではあったが…。

 

 

「唯一の連絡先の堀北先輩に聞くのは気まずすぎる。綾小路は誰か他に居ないか?」

 

 

「俺も居ないな。…自力で開拓していくしかないな。」

 

 

とりあえずAクラスの奴らに聞いてみてから、放課後に開拓を進めるかという話になった。ついでにラーメンの美味しい店も見つけたい。

 

 

「こうやって飯食って後はのんびり帰るだけ…とは行かないだろうな。騙して悪いがをするためだけの豪華客船はコスパ悪すぎるし。」

 

 

「ああ、もう1回やるだろうな。おそらく船の中で行える試験だろう。」

 

 

「ついでに言うと、有栖に勝てる気がしねえ。体力が重要な試験の後に、また体力を問われるような試験は持ってこないだろう。知力が問われるならほぼ確実に負けるだろうな。」

 

 

「…お前なら坂柳相手でも、早々後れを取るとは思えないが。」

 

 

俺が思っている以上に綾小路からの評価が高い。「俺なら有栖が相手でも行けるぜ」と言い返せればいいのだが、そこまでの万能性は自分には備わっていない。

 

 

「次の試験も全員参加になりそうだからな、有栖がブレーンとして戦うって事を考えると無理ゲーだわ。…うちのクラスに絶対的なリーダーが居ない事を考えると、意思疎通の速さで負ける未来しか見えねえ。仮に勘でどうにかできるかもしれない状態でも、信用がねえしな。」

 

 

「…確かに困難だな。本気でやるならお前に坂柳を誑かしてもらって、そのまま一緒に体調不良になってもらう必要がありそうだ。」

 

 

さらっと盤外戦術が思いつくあたりこいつも結構な外道である。しかし上手く行く気がしねえ策に聞こえるんだが。まあ、実際に行うわけでもないから良いが。この後はプールで泳ぐつもりだと伝えたら、綾小路は本を読む予定らしいので別れた。ぶっちゃけステーキを調子に乗って食い過ぎたので、消化するためである。幸い人もそれほど居ないので、とにかく泳ぎまくった。満腹感が薄れた後はプールから上がり、夜の約束の時間まで部屋に戻って本を読んで過ごした。覚悟しろって言われたので、ある程度覚悟…らしいものをしておきながら。

 

 

 

 

 

どうやら俺の誕生日を祝うために奔走してくれていたようだった。心が温かくなるのを感じつつ、祝ってくれる5人に感謝を伝えた。そして穏やかな時間を過ごしたが、タイミングを見計らっていたであろう有栖から言われた。

 

 

「八幡くん。実は、私たちからプレゼントがあるんですよ。」

 

 

「えっ、マジで?よく用意出来たな。」

 

 

「いえいえ、用意自体はそれほど苦労はなかったです。皆で話し合って、これだと言えるプレゼントを用意出来た、と思います。」

 

 

有栖にしては煮え切らない言い方だなと思った。っていうか有栖だけでなく全員がどこか少し不安そうな顔をしている。

 

 

「何か不安でもあるのか?」

 

 

「…うん、どうしても不安になってる。八幡に受け取ってもらえなかったらって…。」

 

 

「…出来れば受け取って貰えると嬉しいかなーって…。」

 

 

流石に扱いに困ったりネタ的なプレゼントは送ってこないと信じているが、どうしてそこまで不安になるのかが不思議である。

 

 

「わざわざ誕生日を祝ってくれた相手が用意してくれたプレゼントを拒否するほど、ひねくれていないつもりだが。」

 

 

「…受け取り拒否は無しですよ?受け取って頂いた後の返品は受け付けませんよ?」

 

 

「何そのクーリングオフ禁止プレゼント。いやまあ、分かった。どんなものでもちゃんと受け取って大切にするって約束するわ。」

 

 

「…うん、信じるよ。八幡くんも覚悟を決めてねっ。」

 

 

「覚悟が必要なプレゼントってのがよくわからんが……分かった、覚悟を決める。」

 

 

妙に念押しするなーと思いつつ、一応覚悟を決める。しばらく沈黙が続いたが、意を決した有栖が口を開いた。

 

 

「では八幡くん、プレゼントを渡しましょう。………プレゼントは私たちです、是非貰ってください。返事は『はい』か『YES』でお願いします。」

 

 

「……………えっ。」

 

 

「『はい』か『YES』しか受け付けませんよ。それ以外の返事は無視させて貰います。」

 

 

覚悟が全然足りなかったようだ。全然想定していない有栖の言葉に心が揺れまくっている。そりゃあ念押しするわ、常軌を逸してると言わざるを得ない。動揺しまくりつつも、5人の顔を見る。全員ニッコニコの笑顔になってるけど、頭に鬼気迫るってつくくらいの迫力を感じる。

 

 

「八幡くんの事ですから、別の女の子を引っかけてくる事があるかもしれません。その前に私たちを差し出そうと決めたんです。中学生だった時に、帆波さんの心を掴んだ事を考えても有り得ない話ではないですから。」

 

 

「流石に無いと思うが…。」

 

 

「桔梗がそうなったじゃない。…全部上げるって言われたらしいし。私だって、全部上げたいし…。」

 

 

ちょっと拗ねの混じった顔でひよりと真澄に言われる。この子らにこういう顔をされながら、そういう事を言われるとどうしても絆されてしまう。それに、ここまで強引に進めると決めるほどの覚悟を無碍にするのは俺としても無い。このお願いに対して自分がどう思ってるのか、自分にとって嫌かどうかを考えても否は無い。とんだクソ野郎だが、5人とも欲しいというのが本音になる。落ち着いて考えたら、言い寄られてスッゲェ嬉しいとしか感じていないから。

 

 

どうやって言葉にするか悩んでいると、5人ともどんどん不安が増した表情になってきた。悩んでる場合じゃないらしい、今の俺なりの言葉で返事をした。

 

 

「正直言って、覚悟も足りてないし間違ってると思う。………だけど、俺は俺を優先する。俺の全部をやるから、皆の人生を歪める権利をくれ。」

 

 

我ながら本当に気の利いた事が言えない。だか、何とか彼女たちに響いてくれたようだ。最初はぽかんとした表情だったが、嬉しそうな顔になったので。

 

 

「ふふっ、八幡くんらしい言い方ですねえ。どこか捻くれてるようで、不器用な言葉選びがとても貴方らしいですね。」

 

 

「気の利いた言い回しは出来そうにないわ。俺にはこれが精一杯だ、そこは勘弁してくれ。」

 

 

「気の利いた言い回しじゃないほうが八幡くんらしくて良いかなっ。……私、今が一番生きてきた中で嬉しいし。」

 

 

「…おう。」

 

 

出会った当初の桔梗からは出てこないであろう言葉だ。そう言われて以前よりも愛おしく感じるあたり、俺も割とチョロいのだろう。改めて皆の顔を見る。俺にどこまでの器量があるのかは分からんが、彼女たちの顔が曇らないようにしていきたい。

 

 

 

 

 

なおこの後「歪める権利を早速使わせてもらう」と調子に乗って言ってから全員にキスをしたら、もう1回お願いと何度もせがまれ続けた。嬉しいけど流石に回数が多かったので少しヘロヘロになった。色々と鍛えなおそうと思う。色々と。




以前ヒロインが増えないと言った気がしますが、あれは嘘です。まあ、私に捌き切る技量が無いのですが。
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