クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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Cクラス谷君とDクラス谷君だと、間違いなくCクラス谷君のほうがのびのびやれてると思います。


1年D組クソボケ谷君14

誕生日から3日後に、予想していた通り試験が始まった。前日の朝にメールが届き、指定された時間と部屋で説明を聞いた。一緒に説明された人とグループを組んで、『優待者』を当てるか外させるか、隠し通すかの試験になる。堀北と平田、そして桔梗と同じグループで、桔梗と一緒に試験を行う部屋に向かった。

 

 

「…八幡くん、この試験って味方に優待者が居たら凄く不利じゃないかなっ?」

 

 

「…それに気づいてしまったか…。」

 

 

そして俺たちのグループの優待者は桔梗である。法則がバレたら一発アウトなわけで、割と時間に余裕はないのかもしれない。昨日の時点でなんとなくそれっぽい法則が浮かんだ以上、俺以外の奴が思いついててもおかしくはないし。

 

 

「『シンキング』が重要って言われたから寝るまで散々考えたが………上手く行くかどうかはさておき、一つ思いついた事はある。」

 

 

「本当っ?どんな方法なの?」

 

 

「全員で幸せになろう作戦だ。出来れば説明の途中でみんなが話に乗るように誘導してくれると助かる。」

 

 

 

 

 

「ようやく来ましたか。待っていましたよ、八幡くん。…ふふっ、お手柔らかにお願いしますね?」

 

 

「クックック、テメェの名前を見つけてからこの時が楽しみだったぜ。捻り潰してやるよ比企谷ァ!」

 

 

「………桔梗、こいつら怖いからサレンダーしてもいいか?」

 

 

「駄目だよ?ちゃんと戦おうね。」

 

 

クラスの中枢を担う奴らばっかりが招集してそうなグループだというのに、なんで俺までこんなヤバいグループに放り込まれたのか。だからこそ思いついたのではあるが、学年最高峰の連中と一緒にやりたくはない。恋人相手に言う事でもないかもしれんが。

 

 

開始まで少しだけ時間があるようなので、龍園に文句を言っておく。

 

 

「そういや龍園、伊吹に下着ドロさせたのお前の指示か?死ぬほど効果的だったぞ、平田が居なければ為す術もなかったくらいにな。」

 

 

「クハハハハ!比企谷を追い込むとは、澪の奴やるじゃねえか!」

 

 

「そうするように命令したわけでもないのか。」

 

 

「重要な事以外は特に細かい指示は出しちゃいねえ、重要なのは結果だからな。」

 

 

「そうか、お前の指示だったらお前の部屋宛てに女性用下着を大量発注しようかと思ってたが…残念だ。」

 

 

龍園は笑っていたが、俺の顔を見て少し顔が引き攣った。俺の目を見てマジだと思ったからだろう、まあこいつの指示だったらマジでやるつもりだったし。親愛なる龍園翔様に愛をこめてとでもメッセージ付きで送り付けていた。

 

 

言いたい事を言ったら開始時間直前だったので着席した。ルール上絶対にやらなければいけないので、Aクラスから順番に自己紹介をしていった。最後に俺が自己紹介をした所で、次は何をするのかって空気になり、静かになった。いや、龍園はギラギラした目でこっちを見てくるし有栖は何故か静かに微笑んでいるだけだ。他の奴らは誰が優待者かを探るような目で見ている。

 

 

緊張しているのか、それともインテリヤクザが怖いのか誰も喋ろうとしない。ならちょうどいいかと思い、思いついた事を実行する。

 

 

「…皆、一つ馬鹿げた提案をしてもいいか?」

 

 

「馬鹿げた事、ですか。最近の八幡くんは馬鹿げた事ばかりしているようですが?」

 

 

「ククク、テメェから動くとはな。詰まらねえ事言うんじゃねえぞ?」

 

 

有栖がチクチクと刺さりそうな事を言ってくる。カジノの件はまだ許してないって事かもしれない。でもボスドラゴンが聞く姿勢になったし、堀北や平田も特に何も言ってこないのでそのまま進める。

 

 

「他のグループが指名したらご破算という事を前もって言っておく。………学年全体で結託して、全グループを結果1で終わらせないか?」

 

 

全員が目を見開いて俺を凝視してきた。元ぼっちにはキツい視線だからお手柔らかにお願いしたいのだが。

 

 

「…比企谷くん、どういう理由でその考えになったのか説明を頼めるかい?」

 

 

「ああ、理由は三つだ。一つ目は貰えるポイントが明らかに多いからだな。しかも一人だけではなく全員が貰える。例えば結果3で50クラスポイントを取れたとしても、プライベートポイントは50万。結果1ならクラスポイントは無いが、参加者全員がプライベートポイントを50万貰える。で、全グループが結果1で終えられた場合、優待者12人分の+50万ポイントも合わせると8600万ポイントになる。」

 

 

額が額なだけに、全員の顔が強張る。でも俺の携帯にはその3倍近く入ってるんだ、感覚がちょっと麻痺してるから動揺せずに済むのは有難いが。

 

 

「んで、優待者は厳正に決められてるだろうから各クラスから3人ずつのはずだ。なので全グループ結果1になれば、1クラスにつき2150万ポイントが入る事になる。…どう使うかは各々の自由だが、退学回避の条件である2000万ポイントを確保しやすくはなるだろうな。」

 

 

全員がざわつき始めた。平田は目を見開いていたが、無しではなさそうだ。Bクラスはどうするか相談し始めているな。有栖は微笑んでこっちを見ているだけだが、龍園は獰猛な笑みを浮かべつつ話しかけてきた。

 

 

「ククク、中々面白い提案だったがまだ乗るわけにはいかねえな。残り二つの理由を聞かせろ。」

 

 

「二つ目は龍園、無人島のお前の作戦で思った事なんだ。どちらかと言えば表面的な事だが、真面目にやるなんて馬鹿らしいと言ってただろ。実際は誰よりも、お前が一番クソ真面目に試験に取り組んでたんだが。」

 

 

「うるせェ、余計な事は言うんじゃねえ。」

 

 

「…今の俺はお前の作戦の上辺と同じなんだ。こんな試験に真面目に取り組むより、1日2時間だけ拘束されるだけで後は自由に遊び呆けて、最後にポイントまで貰って終われる。全員の4日間を、ほぼバカンスに出来るわけだ。」

 

 

「…クハハハハ!『シンキング』が重要っつってんのにそれを放棄しようとする奴が居るとはなァ!」

 

 

確かに試験を投げ捨ててるんじゃないかと言われたらそうかもしれない。だが一番美味しい思いが出来るのが、この案だったのだ。

 

 

「一応真面目に試験に取り組むことも考えたんだがな。『優待者』の法則らしき物も浮かんだんだが、どう見積もってもこれが一番いい結果を得られるかなって。」

 

 

「………待ってくれ比企谷、『優待者』が誰だか分かるのか?」

 

 

「確認を取ればおおよそはな。だが、皆も知っての通りDクラスの今までのポイント支給額は悲惨だ。そう考えると一人で美味しい思いをするよりはみんなが50万ポイント受け取ったほうがいいかなって。」

 

 

まあ俺はあんまり要らないんだが。つい先日出来た彼女たちにばら撒こうかなって思ったくらいには。それはそれとして、俺の優待者を見破れるという言葉に皆が結構動揺している。だが有栖はこっちを見ながら微笑んでるだけで、動く気がなさそうなのは不思議だ。Aクラスで何か事情でもあったのだろうか。

 

 

「そんで三つめの理由なんだが………俺は今回の学校側の対応に納得してなくてな。騙して悪いがと無人島で試験を行う羽目になって、少ないポイントでやりくりさせられるし、貴重な学生の夏休み一週間分が削られた。そしてこの試験でまともに4日も使ってたら、この船旅と無人島試験で、貴重な夏休みを半分も浪費させられるんだぜ?クソだろ。」

 

 

「まあ、確かに…。」

 

 

「5月の頭からずっと情報を後出しされて、詐欺紛いの扱いをされてきたんだ。賠償金くらい求めたくもなるだろ。だから先生方が今回の試験で説明されていた通りに、クラスの関係を無視して全体で協力する事を考えた。誰も傷つく事無く、学校の財布の中身を毟れるだけ毟って皆の懐を厚くして試験を終えられる。」

 

 

「…クハハハハ!なるほどな、つまりテメェは散々学校にコケにされてきた仕返しがしてェって事か!」

 

 

「………まあ、そういう気持ちが無いって言ったら嘘になるな。別にAクラスでの卒業特典はどうでもいいが、後出しで上げ足を取るようにそう言われたら気持ちの良い物ではないし。とにかく不利になる情報を後から出し続けてくるからな、この学校は。」

 

 

ここら辺はマジで見直した方が良いと思う。「揚げ足取り至上主義の学校かな?」と何度か思ったし。

 

 

「とりあえず、提案と説明はこれで終わりだ。あくまで一意見としてだから、乗らないって言うならそれはそれでしょうがない、尊重するわ。…ちなみに早めに動かない場合、裏切り者が出るだろうからご破算になるぞ。だからこの回の話し合いで決めてもらう必要がある。うちのクラスの自由人あたりは今日で決める可能性が高いな。」

 

 

言いたい事は言い切ったのでちょっとすっきりした。ちなみに本当の理由は、全員が50万ポイントを持つ事で、夏休み中に俺や綾小路がいくら使っても違和感を無くすためである。他の奴らよりもじゃぶじゃぶ使えるし。

 

 

「…私は、八幡くんの提案に賛成かな。これから先、クラス同士争わなきゃいけなくなる事も多くなると思うけど……他のクラスの人たちとも協力して試験を乗り越えられるなら……出来るだけ長くみんなと一緒に仲良く過ごせる事が、一番嬉しいからっ。」

 

 

ぼそっとした声から入った桔梗の言葉に、結構な人数が揺れている。別のクラスの奴らをここまで揺らすあたり、こいつの草の根活動的な皆友達計画の効力を感じる。こういう人気者ムーブを取れる桔梗や帆波はすげーなっていつも思う。それぞれのクラスの話し合いが終わったらしく、結論を言ってきた。

 

 

「……Aクラスは提案に乗ろう。坂柳、良いな?」

 

 

「…ふふふっ。お好きなように為さってください。」

 

 

葛城が決定したあたり、どうやら有栖は徹底的に動かないようだな。この子が答えに辿り着いていない訳が無い。蹂躙されたら終わりと考えていたが、出会った頃とは何かが違うらしい。BクラスもOKとの事らしいので、残るはCクラスとDクラスなわけだが…。

 

 

「…チッ、テメェらとの勝負はお預けか。やってくれたもんだぜ。」

 

 

「悪いな龍園、こうすればボーナスイベントみてえな試験でもあったからな。お前らと同じグループじゃなけりゃあこうする気もなかったんだけどな。厭戦感がある状態でお前らとやり合いたくないし。…堀北、平田。勝手に動いて悪かったな。」

 

 

「大丈夫だよ、僕も比企谷くんの提案に賛成だから。退学を避けられる手段が手に入るなら、それを優先するべきだからね。」

 

 

「……確かにそうかもしれないわね。クラス差が埋まらない事は気になるけれども…。」

 

 

ポイントの効力を知ってるだけに、堀北からの反発もほとんどなさそうだった。

 

 

 

 

 

提案が通った後の各クラスの行動は早かった。1回目の話し合いが終わってからの、自由に過ごしてる生徒の顔が緩いし。退室しようと動いたら有栖もついてくるようで、葛城に断りを入れてから3人で一緒に退室した。

 

 

「お見事です、八幡くん。動かずに静観してたかいがありましたよ。」

 

 

「お前さんには悪いが、考えれば考えるほど学校側にやり返せるチャンスだと思っちまってな。」

 

 

「…有栖ちゃんも法則が分かってるの?」

 

 

「ええ、今朝に確信を得ていました。昨晩のうちに、グループ毎の参加者のお名前をメールで送っていただき、ある程度決め打ちしまして。優待者が決まってから改めて確認を取り、法則の確信に至りました。…私たちのグループの優待者は桔梗さんでしょう?」

 

 

やっぱりバレてた。桔梗は目を見開いて驚いている。しかしなぜ動かなかったのかはいまいち分からんので聞いてみる。

 

 

「ところで、なんで動かなかったんだ?少なくともAクラスの勝利は余裕で拾えるだろうに。」

 

 

「ええ、確かに今回は大勝出来たでしょうね。ですが、それではAクラスの方々の成長は見込めないですからね。負けてもペナルティがそれ程大きい試験ではありませんし、八幡くんがどう動くのかどうしても気になりましたからね。その甲斐もありました。」

 

 

「……桔梗。俺、こやつが次から味方な事に安堵してるわ。」

 

 

「……奇遇だね、私もだよ。」

 

 

たとえ大敗でも、この程度いくらでも取り返せるという裏返しでもある。相手をしなけりゃならない他のクラスに同情しつつ、高円寺に「指名ちょっとやめといて」とメールを送ってからカフェに駄弁りに行った。




八幡君のストレス値を考えた結果こうなりました。後、Dクラスのリーダーがあやふやなので、自分で動こうと思ったのもありますね。
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