クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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大分とっちらかってます。


1年D組クソボケ谷君28

肉や野菜をしゃぶしゃぶしながら各々の近況を聞いてみたが、ちゃんと受け入れられてるようだった。陰でチクチクと嫌がらせとかも無いようで何よりである。

 

 

「桔梗は全く心配してなかったし、ひよりも本読み友達が出来た。綾小路も教室で受け入れられてる様子は結構見かけてるし山村とも友達になったのを加味すると、多分俺が一番馴染めてないな。体育祭の練習でチクりと言ったのが響いたか。」

 

 

「八幡くんって結構突き刺すような事を言う時があるからね、Dクラスで何度か空気を凍らせた事は忘れてないよ。」

 

 

「……ああ、だからしばらく男子がピリッとしてたんですね…。」

 

 

桔梗の言葉に山村が納得している。空気を悪くしたのは良くなかったが、この異常な学校だからこそ粘る必要があるので言った事自体は間違ってないと思っている。

 

 

「正直に申し上げますと私も運動は苦手ですし、やる気も高いとは言えなかったので同じように言われるのかなと思っていました。そのように言われる事は一切無かったのですが。」

 

 

「あー…。八幡くんってひよりちゃんには特別甘いからね。怒るとか叱るとか、そういう発想が無いんじゃないかな?前より成長を感じたら褒めてたし、調子が悪そうだったら励ましてたからね。」

 

 

言われてみればそうかもしれない。今まで頑張ってる姿を見てきているのと苦手な事だからしょうがないって気持ちもあった。だが、多分一番の理由は天使に嫌われたくねえっていう理由だったりする。厳しく言って泣かれたら凄く辛いし。

 

 

「椎名にするような対応を他の奴にしているのを見た事が無いな。」

 

 

「…ほ、頬にキスをして励まされてもいましたね。凄く大胆だなって…。」

 

 

「……いやまあ、やれなくはなかった事だし。それでやる気が出るならいいかなって。」

 

 

「…別に問題はないが、椎名に甘いって言い続けてるのはそうやってリクエストにあっさり応える所だぞ。」

 

 

彼女たちに甘いが正確にはなるのだろうが、ひよりからスタートという事は確かに多かったかもしれない。図書館で出会った頃が控えめで遠慮がちな所もあったので、積極的になったひよりを見て昔よりも仲良くなれてる気がして内心舞い上がっていたのが原因かもしれない。

 

 

「…まあ俺の治しようのない部分は置いといて、ここ一か月の間で一番ホッとした事は同性愛疑惑が晴れた事だな。山村も綾小路に協力してくれて本当に助かった、ありがとな。」

 

 

「い、いえ!私こそ、今までで一番楽しかったですし……。」

 

 

「へぇー…綾小路くんもやるねえ、どこかの誰かさんくらい手が早いのかな?」

 

 

「買い物に付き合って貰ったり、1人じゃ入りにくい評判のスイーツ店に同行して貰ったくらいだよ。懐も温かくなったから奢ると言ったんだが、遠慮された。」

 

 

「お気持ちは嬉しかったんですが、綾小路くんに悪いですし…。船上試験で大きな額のポイントが入ってきましたが…その、Dクラスの方はポイントが…。」

 

 

確かにひよりを除いてポイントを貰ってこれなかったし言えないが、そいつ君よりずっとポイント持ってるよ。渡したのは俺だし、たまに悪魔に翼を与えた気分になるけど。そして桔梗は桔梗でこっちを見ながら手が早いと言ってきたな。

 

 

「…まあ今後は俺らもポイントが入ってくるわけだから、綾小路にかっこつけさせてやってくれ。それと…俺は別に手早くないと思うんだけど。」

 

 

「…でもこの間、森下さんをおんぶして部屋に送ったって噂されてたよね?」

 

 

「…あれは俺も巻き込まれた側なんだが。森下のリサーチ不足が原因だぞ。」

 

 

 

 

 

少し前に1人でケヤキモールを歩いていたら森下に呼び止められ、最近オープンした店のビッグサイズのパフェを見てみたいから付き合えと言われた。とてつもないサイズという話で俺もちょっと気になったが、2人で挑むのはまずい気がした。

 

 

「森下、俺らの想定を遥かに上回る巨大パフェだったらヤバいだろう。少し嫌な予感がするから、あと2人くらい確保するぞ。」

 

 

「仕方ないですね、怖気づいた比企谷八幡の意見を採用してあげます。それで、どなたをお誘いするんですか?」

 

 

「練習で皆疲れてるだろうから、呼んでも来てくれるかは怪しい。そこら辺を歩いている1年生を確保するぞ。」

 

 

周りをぐるっと見て一杯食えそうな奴を探す。見た目で判断しているが、戦力になりそうな奴を見つけた。いつも黒いサングラスをかけて龍園のそばに居る山田である。

 

 

「よし、山田を確保するぞ。日常会話くらいの英語は喋れるから任せろ。」

 

 

「…山田アルベルトだと、私の食べられる量が大きく減りそうでは?」

 

 

「…安心しろ、俺の勘が『山田を誘ってもまだ余る』って言ってるから。根拠は説明出来んけど。」

 

 

「理屈で納得させて貰いたいものですが、まあいいでしょう。足りなかったら何か奢ってください。」

 

 

という事で2人で山田を通せんぼした。「What's?」と驚いている山田に事情を説明した。

 

 

「『パフェの代金は気にしなくてもいいし、パフェだけじゃ足りなかったら、食べたい物を注文してもらってもいい。食えればだが。』」

 

 

「『良いですよ。甘い物は鉱物ですし、時間も余っていますから。そういえば椎名さんは元気に過ごされていますか?』」

 

 

「『ああ、元気にやってるよ。…悪かったな、お前らからひよりを奪っていって。』」

 

 

「『いえ、彼女は貴方の事が大好きですから仕方がないですね。それにボスから聞きましたが、きっちり落とし前は付けたと。ボスが納得した以上、私からは特に言う事は無いですね。』」

 

 

山田、思った以上に出来た奴だった。とりあえず仲間が1人増えたが、もう1人居ないと厳しい気がまだしている。そう思って山田が居るなら龍園もいそうだなと探していたら、肩を掴まれた。振り向くと金髪で自信ありげな顔の知らない人が立っていた。

 

 

「比企谷だよな?ちょっといいか?」

 

 

「…すみません、どなたでしょうか?今あまり時間が無いのですが。」

 

 

「生徒会副会長をやってる2年の南雲だ。ちょっと顔貸せ。」

 

 

どうやら以前調べた事のある人だった。あの時は名前とやってる事しか調べなかったから容姿については全く知らなかったが、イケててモテるって感じだ。だが山田も誘った以上、顔を貸せと言われても優先順位は森下の方が高い。

 

 

「南雲先輩、すみません。今からデカいパフェを食いに行かなきゃならないんです。」

 

 

「…そういう理由で断られるのは想定していなかったな。」

 

 

「比企谷八幡、時間が勿体ないので南雲雅も連れて行きますよ。パフェが私を待っていますから。」

 

 

「えっ」と固まる先輩を見て、山田と目を合わせてガッチリ確保する。困惑する先輩をそのまま連行して、前を歩く森下について行きカフェに入った。メニューを開くまでもなく、机の上にパフェについて詳しく書かれて…いないが値段が書かれている紙が置いてある。「食べきれたら5000ポイント、食べきれなかったら10万ポイント」としか書いておらず、サイズについては一切書かれていないし写真も無い。

 

 

「………森下、今なら普通に飯食って通常サイズのパフェ食って満足する事も出来るぞ。本当に頼むのか?」

 

 

「くどいですよ、怖気づき谷八幡。巨大パフェ以外を頼む気は無いですよ。せいぜい飲み物くらいです。」

 

 

「…ホットコーヒー4人分頼むか。先輩もそれでいいですか?」

 

 

「…ああ。」

 

 

多分俺に何かを話す予定だったのだろうが気勢を削がれている。後、話し合いはおそらく中止になるだろう。席に座ってから嫌な予感が止まらないし。後、山田に内容を説明したら顔が強張っていた。分かるよ、そこまで書かれてたら何が出てくるか怖いよな。

 

 

それなりの時間を待ってようやく出てきた。バケツですら生ぬるいと言わんばかりの寿司桶みたいな形状の器で、テーブルを覆うようなサイズのパフェが出てきた。「Oh,my god...」という声が聞こえたが同感である。南雲先輩も顔が引き攣っているし、横を見ると森下の顔が強張っている。それぞれ受け皿が配られたが、2人前くらい入りそうな器だった。全員無言になりながらも、とにかく器に取り分けて食べ始めた。

 

 

「…味は抜群に美味いな。果物も一杯入ってるしアイスも濃厚だ。」

 

 

「そうだな、量に目を瞑ればな。」

 

 

しかし食わねば終わらない代物である。少し後悔しつつ「delicious」と言いながらパフェをハイペースで食い進める山田と、果物を多く取ってモリモリ食べ始めてる森下と共に俺も南雲先輩もパフェを食い進めた。ちなみにそれぞれガッツリ2人前ずつ取ってるはずだが、全然減ってない。

 

 

当たり前と言えば当たり前だが、最初にダウンしたのは森下である。それなりに頑張って食べてるのは見たし、無理やり食わせるのも違うので休んでて良いと伝えた。ホッとした表情でぐでーっとし始めた森下を横目にパフェを食い進める。コーヒーの苦みが癒しになりつつ食い進めて、8割方食い終わった時点で金髪の先輩はダウンした。「もう食えねえ…パフェ見たくねえ…」と言いながら力なくうなだれている。

 

 

山田の方を見ると黙々と食い進めているが、スプーンの動きは徐々に遅くなっている。ラストスパートのお供にホットコーヒーを2人分追加注文して、コーヒーの苦さで2人で一気に食い切った。止まったら確実に無理だと互いに分かってたので。空になった器を見て店員さんが「おーっ」と言いながら拍手している。おーっじゃねえよこっちは瀕死だぞと思いつつも、なんとか乗り切った事に安堵した。

 

 

「『………しばらくパフェは見たくないですね。』」

 

 

「『………同感だ。』」

 

 

 

 

 

「…んで、その後は森下が全く動けなくなっていたから、背中を貸して4人とも這う這うの体で帰った。んで、寮に着いたら解散して森下を部屋のベッドまで届けてから俺も帰って歯を磨いてそのまま寝た。血糖値爆上がりだったからマジで眠かった。聞かれても答えられなかったのは、ちょっと食い過ぎて気持ち悪かったの思い出しそうだったから言えなかった。」

 

 

「八幡くんが聞いても教えてくれなかったのはそういう事でしたか…。」

 

 

後日森下には「きっちりリサーチしろ」と伝えておいた。「知らないから良いんじゃないですか」と返ってきたが。山田と南雲先輩には詫びのメールを送っておいた。先輩からは「もう少し考えて行動しろ」という有難いお言葉と、山田からは「『中々出来ない体験が出来たので、お気になさらず』」と返ってきた。2人とも人間が出来てるわ。

 

 

「…八幡くんはなんていうか、個性的な人と親しくなるよねっ。」

 

 

「…そうかもな。」

 

 

綾小路も変わってないとは言い難いし、その筆頭とも言える桔梗は今や彼女である。そもそも個性の無い奴が来れない学校だとも思うが。

 

 

「……皆さんは個性が有って少し羨ましいです。私は影が薄いので埋もれるばかりで…。」

 

 

「…影の薄さはともかく、山村は個性はばっちりあると思うぞ。」

 

 

「ああ、そうだな。坂柳すら驚かせる程にな。」

 

 

なんなら一番ヤベー奴なんじゃないかと言うのが俺たち3人の意見である。有栖の思惑を超えた動きが出来た以上、それはもう立派な個性と言って良いだろう。本人はイマイチ理解していないようだが。

 

 

袖をくいっくいっと引っ張られる感触があったので、引っ張ってるであろうひよりを見た。ちょっと言いにくそうにぽつりと言ってきた。

 

 

「…八幡くん、私が一番個性が無い気がするのですが。」

 

 

「…いや君、この学校で争い事を嫌ってる時点で個性の塊だよ?…俺にとっては天使みたいなもんだしな。」

 

 

「……天使は言い過ぎですよ。」

 

 

頬を染めながらも、俺の手を握りながら控えめな笑顔でそう言ってきた。そういう所だぞと思いつつ握り返したが、前を見ると綾小路と山村が興味津々の目で見ていた。

 

 

「…なるほど。こういう感じで声を掛けるのか…。」

 

 

「…出来ればラーニングするの止めてほしいんだが。恥ずかしいし。」

 

 

こんな感じでダラダラしてたらそれなりに時間が経っていた。食事も終わってるし良い時間だと思ったので、綾小路と山村に断りを入れて寮に戻った。部屋に入った直後に「外じゃないから」と2人から抱き着かれて、「これラーニングされんでよかった」と思いつつ部屋でだらだら過ごした。




ちなみに、森下さんからの好感度はそこそこのようです。
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