クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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案の定進みませんでした。


1年D組クソボケ谷君31

祝うために飯を食いに行くのは良いが、誕生日なのに2人で行くというのも味気ないのは事実なので他に誰を誘うかを話し合った。

 

 

「無理に人数を増やす事はしないでもいいが、後2人か3人くらい居てもいいだろうよ。」

 

 

「メールで誘ってみたが、山村は来てくれるらしい。…お前は5人を誘っていないのか?」

 

 

「別の機会にして貰った。こじんまりした店らしいし、お前がどれくらいの人数を誘うか分からなかったしな。」

 

 

…というか誕生日を祝う事自体ほとんどやった事なさそうな奴を相手に、彼女同伴とかいう仕打ちは俺には出来ない。主役の綾小路に妙な気を遣わせるの違うなという事で、今回は5人とも辞退して貰った。不満そうではあったが、「イチャつかずにいられる?」って聞いたら5人とも黙ってしまった。

 

 

「じー。」

 

 

「まあ、3人でも祝う事は出来るし美味い飯にもありつける。無理に人数を増やさなくても大丈夫だろう。俺が誘うとしたら………鬼頭かな。」

 

 

「じーー。」

 

 

「一応鬼頭と葛城にも聞いてみたんだが、残念ながらどちらも外せない用事があるそうでダメだった。」  

 

 

「じーーー。」

 

 

「他クラスでは山田なら連絡は付くんだが、魚はそんなに好きじゃないらしいんだよなあ。」

 

 

「じーーーー。」

 

 

「……………比企谷、目の前の女子を誘うのはどうだ?」

 

 

先に綾小路が根負けした。スルーしてたのはこっちだと言うのに、スルーをスルーしてきやがった。観念して虫眼鏡片手にこっちを覗いていた強メンタル女子に声を掛ける。

 

 

「…聞くが、参加したいと思った理由は?」

 

 

「人のお金で食べる焼肉は美味しいと言いますが、お寿司ならさらに美味しく感じるのではないか…実際に体験して結果を確かめようかと。あとお寿司食べたいです。」

 

 

「想定より変な理由が返ってきたなあ…。」

 

 

「その理由だとすでに俺が該当するんじゃないか?」

 

 

「ちっちっちっ、甘いですよ綾小路清隆。貴方はすでに誕生日だからという理由がありますが、私は何の関係もしがらみも無しにお寿司を比企谷八幡の財布で食べさせてもらう訳です。この条件の違いは味に対して大いに作用するかもしれませんよ。」

 

 

こいつ凄えな、堂々とタカりますって言ってきたぞ。絶妙に綾小路の興味を引いてるのも上手い。というか俺もちょっと興味を引かれてる。自分でこういう行動を取ろうとも取りたいとも思えないから、試すのは不可能だし。

 

 

「…所謂大将のおすすめが間違いなさそうだから全員それを注文するが、好き嫌いは大丈夫か?」

 

 

「藍ちゃんストマックは美味しい物なら何でも受け入れます。そんなに量は入りませんが。」

 

 

造語を言いながら自信満々に親指を立ててきた。まあ今回は大食いではないし、食えそうにないなら食ってやればいいか。綾小路に最終確認として目を向けたら頷いたので、森下の参加が決まった。

 

 

 

 

 

森下を誘った事に対してジト目で見られた夜を過ごし、若干そわそわしている綾小路を横目に一日の授業が終わった。予約した時間までまだまだ時間が有るので、先にプレゼントの購入をするべく綾小路と2人で家電屋に向かった。綾小路があまりにもヨーグルトメーカーについて熱弁するものだから、気になった結果2つ購入していた。

 

 

「…ついつられて買っちまったけど、ちゃんと使い続けないと怒られるんだろうなぁ…。」

 

 

「そのまま食べるのも良し、料理に使うも良しでいくらでも使い道は有るはずだ。バリエーションも多いから色々と楽しめるだろうから問題ないだろ。」

 

 

「…そうだな、とにかく色々楽しみ方を探ってみるか。」

 

 

それはそれとして肥満防止のためにトレーニング再開したと言っていたが、ほんのりだが前より全体的に綾小路の体が大きくなっている気がする。その上ヨーグルトで健康まで整え始めたら、こいつを止める方法はもう無いのでは?と考えてしまう。今後マジで敵に回らないでね?

 

 

プレゼントを買ってもまだ時間に余裕があるので一度寮に戻った。部屋に戻るとひよりが本に没頭している。何を読んでいるのかと背表紙を見たが、この間買った変な間取りの小説の作者さんの別の作品だった。「こういう切り口もあるのですね」と作品について興味深く言っていたので、気になって買ったのだろう。俺も読みたいので、後で読ませてもらおう。

 

 

完全に熱中して読んでいるようで、こちらにはまだ気づいていない。ここら辺は中学時代と変わらんなと懐かしみつつ、携帯にタイマーをかけてからラノベを読み始めた。受験勉強前に読むのを中断していた作品で、久々に見つけたらそこそこ巻数が出ていたので続きをなんとなく購入した。

 

 

ひょんなことからヒロインと同棲が始まり、互いに素直になれずに喧嘩ばかりしながらも絆を深めていく…という感じの作品だが、新しい巻ではなんかヒロインが増えた。詰まらない訳ではないが、何故この作品を読んでいたのかを思い返したが、妹と2人暮らししている所にヒロインが同棲したという設定に目を引かれたのだろう。そして、自分と重ね合わせたら全然違う展開だったから読み進めたのも思い出した。ラノベのヒロインはツンデレだったけど、真澄は所謂クーデレってヤツだったし。境遇まで一緒だとしたら、寂しさが爆発していたというのは想像に難くない。

 

 

なんとなく苦笑いしつつ、キリの良い所でラノベを閉じる。顔を上げると、ひよりはまだ本の虫だった。携帯はまだ鳴っていないが、そろそろ出かける時間が近づいてきていた。流石に声をかけずに行くのもアレなので、ひよりの肩を軽く叩いた。

 

 

「…相変わらずの本の虫っぷりだな、安心を覚えるまであるぞ。」

 

 

「…おかえりなさい、八幡くん。………もしかして、八幡くんが帰ってきてから時間が経っていますか?すみません、また夢中になっちゃったみたいで…。」

 

 

「気にしなくていい、本に夢中になってるひよりを見るとなんとなくホッとするから。…そろそろ約束の時間だから行ってくる。」

 

 

「はい、いってらっしゃい。…あ、八幡くんちょっと屈んで貰ってもいいですか?」

 

 

言われるがまま目線を合わせるように屈んだら、包むように顔を両手で掴まれてキスをされた。30秒程でひよりの顔は離れ、頬を染めながら微笑んでいる。

 

 

「…いってらっしゃいのキス、です。せっかくの二人っきりの時間をあまり堪能出来なかったので、これくらいはしたいな…と。」

 

 

「……悪かった、次からはちゃんと呼びかける。それじゃあ、行ってくる。」

 

 

ひよりの対応に後ろ髪を引かれつつ、頭を軽く撫でてから部屋を出た。嫌な事の為に出かける訳ではないので耐えられたが、ちょっと「誕生日祝い延期しようかな?」と思ったのは秘密である。…帰ってから構い倒そう。一応彼氏だし、それくらいは許されるはずだ。

 

 

 

 

 

集合時間の5分前に到着したんだが、3人ともすでに待っていた。特に咎められる事もなかったが詫びを入れつつ、早速寿司屋に向かった。普段行かない場所にひっそりと店を構えられているようで、自力で見つけられるか怪しそうだった。後で先輩に改めて感謝のメールを送らねばなるまい。

 

 

入店して名前を告げて、適当に座ってくれと大将に言われた。他の客は居ないようで、左から山村、綾小路、俺、森下の順にカウンターへ座った。女子同士で座るかと思ったがそういうものでもないらしい。

 

 

大将におまかせで4人前をお願いしてお茶を一口飲んでると、森下から質問が飛んできた。

 

 

「比企谷にとって綾小路清隆は、どういう存在なんですか?貴方たちがAクラスに来てから観察し続けましたが、親身になっている様子から友達なのは分かります。ですが、比企谷からはどうもそれだけではないと推測しました。」

 

 

「推測にしては妙に自信が有るように見えるが…」

 

 

「私には名探偵の祖父が居ますから。推測と言うよりは答えの確認だと思って聞いています。…ポイントを払って、今までの綾小路清隆の成績も閲覧しました。」

 

 

あまり表情は変わってないが、胸を張って得意気に言っている。あの全部50点のヘタクソな誤魔化しの答案すら見ているんだろうな。成績や能力に関しては誤魔化しようがもう無いので、素直に答えるしか無さそうだ。こやつ、納得するまで俺に張り付くように聞き続けてきそうだし。

 

 

「数少ない友達だと思っているのは事実だし、友達だから戦いたくないので一緒にクラス移籍したのは事実だ。後はまあ、言葉を濁さずに言うなら………天敵だと思ってる。ヨーイドンでやり合ったら、ほぼ勝ち目が無い相手だろう。神に祈るしか無いと思うくらいには。」

 

 

「…綾小路清隆は、比企谷に対してどう思っているんですか?」

 

 

「比企谷が言ったように、出来る限り敵対したくはない友達だよ。…少なくとも、賭け事で比企谷に挑むのは何があっても絶対にしないと決めている。それ以上にやりたくない理由としては、場合によっては道連れにされる可能性もある事だ。………比企谷の口から聞いたわけじゃないが、必要があれば自分ごと退学まで追い込んでくるだろ。」

 

 

………思った以上に見透かされているようで。そのうち人間の操作すら覚えそうだな、コイツ。森下と山村は綾小路の言葉に驚いているようだが、そのまま綾小路は言葉を続ける。

 

 

「比企谷はなんていうか、どこか透明なんだ。いざとなったら退学も厭わない死兵みたいな動きも平気でやるだろう。ハイリスクノーリターンでも構わないとすら考えてるんじゃないか?」

 

 

「…本当にそうなのですか?」

 

 

「………今は少しだけ違う。怒られたり泣かれたりするのは俺もしんどいし。」

 

 

最後の最後で俺が退学することで、彼女たちのAクラス卒業が確定するなら喜んで退学と言う名の敗北を選ぶが。しかし俺の言葉に納得していないのか、森下はちょっと不機嫌そうに俺の目を覗き込んできている。どうしたもんかと思ってたら大将が寿司を提供してくれた、グッドタイミングです。

 

 

全員の意識が寿司に行き、大将が言う順番の通りに食べ始めた。今まで回ってない寿司を食べた事が無かったので、食レポで口の中で溶けるように無くなったとかシャリのバランスとかいうのは眉唾だと思っていたがマジだった。綾小路が「これを無人島で食べたかった…」と呟いているけど、このクオリティは無理がある。出来る訳ねえだろ。

 

 

貪るように食うのを堪えながら一貫一貫味わって食べ進めた。美味しい物を食べたと言わんばかりに女性陣は緩い表情になっている。

 

 

「………比企谷、頼みがあるんだが。」

 

 

「…?何だ?」

 

 

「…もっと食べたいから追加で注文してもいいか?」

 

 

まあ食べ盛りだし、想定よりも遥かに美味しいから気持ちは分かる。今の綾小路はポイントはあるけど、備えなければならないからポイントを節約しておきたいのだろう。まあ俺に否という気は無いので、親指を立ててOKを伝えた。女性陣2人にも聞いたが、山村は控えめに手を上げながらおかわりを求めて来た。森下は「太っ腹ですね比企谷」と言いながら腹を撫でてきやがったが。腹は出てねえよ。

 

 

大将に追加でおすすめを注文して、待ち時間に森下に聞いた。

 

 

「そういえば森下、俺のポイントで食う寿司の味はどうなんだ?」

 

 

「大将のお寿司が美味しすぎて効果の程がよく分かりませんでした。美味しすぎるのも考え物ですね。」

 

 

「…そうか、じゃあ仕方ねえな。」

 

 

自信満々に宣う森下に、大将もニヤケを隠しきれてねえし。寿司が美味過ぎたのも事実なので、俺なりに納得もした。この後はお寿司のおかわりから茶碗蒸しまで堪能して、全員満腹になってから店を後にした。支払った額はバッチリ予算オーバーだったが、お値段以上だと感じられたので良しとした。




正直に申し上げますと、今回は最後の森下さんの一言だけ決めてから書きました。
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