クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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疲労と眠気に勝てませんでした。


1年D組クソボケ谷君37

自分の部屋に戻り、リビングに皆が居たのでまず土下座した。

 

 

「今回の件におきましては、私の不徳により不義理を働いてしまった事をお詫び申し上げます…。」

 

 

「いえ、いいですよ。予想していましたから。」

 

 

許してもらう事に越した事は無いんだが、何か思った以上に有栖から軽い返事が返ってきた。頭を上げて他の子たちの表情を見ると、ぽかんとした表情をしていた。「えっ、なんで謝ってきたの?」って表情をである。内心困惑してると、有栖が口を開いた。

 

 

「どちらかと言えば、森下さんがどのような手段を選んだのかが気になりますね。気になり過ぎて昨日は8時間しか眠れませんでしたよ。」

 

 

「…快眠で何より。」

 

 

昨日の夜は一緒に寝ていたのでよく分かっている。めっきり冷えるようになったが、誰かと一緒に寝るなら一番いい気温だと最近実感している。秋に入ったばかりの頃はまだ暑さを感じたので、エアコンを効かせていたし。電気代や水道代を考慮しなくてもいいのは、この学校の数少ない特典だと思う。

 

 

「…彼女にしてもらえないなら退学するって言われたわ。そこまで突き抜けた手段を取ってくるとは流石に読めなかった。」

 

 

「…森下さん、凄く大胆な手段を取ったんだね。だから八幡くんは遅めに帰ってきたのかな?」

 

 

「いや、告白するのが恥ずかしくてなかなか言い出せなかったらしい。」

 

 

「えぇー、そこまでの事が言えるのにー…?」

 

 

俺の言葉に帆波は呆れている。分かるよ、豪胆なのか繊細なのかよく分からねえもんな。

 

 

「思い付きはしていましたが、実際にやるには代償が大きすぎますので流石に勧められませんでしたよ。それしか有効な手段が無いとはいえ、行動に移せず終わる事が普通なのもありましたが。」

 

 

「予想を大きく超えて普通じゃなかったな。…正直言うと、そこまでの告白をされて嬉しかったのが7割、完全に詰ませに来る一手に見事だと思ったのが2割、してやられたと悔しさを覚えたのが1割だな。」

 

 

「…もしもの話になるけど、森下以外に同じように告白されてたら?」

 

 

「『急にそんな事を言われても困る』と突っぱねてたな。…告白されて、俺の中で藍の存在はデカいと実感したわ。」

 

 

まあ、好き好んで俺を選ぶ奴などもう居ないだろうが。なんだかんだ昔と違って、一緒に遊んでくれる奴も居る。そして一緒に居てくれる子たちも居るから、今に満足していて新しい交友関係を大して求めていないのもある。

 

 

「ただ、名前で呼んだだけでスッゲェ照れてたんだけど。引っ越す準備まで済ませてたくらいの用意周到さを見せつけて来たのに。」

 

 

「私相手に八幡くんの事が好きって言ってた時も顔が真っ赤だったからね。…正直、同棲するには初心過ぎないかなって思ってるよ。」

 

 

有栖を膝に乗せて「大丈夫かなぁ」と呟いている桔梗の言葉に、改めて藍が今まで出会った事の無いタイプだと実感する。箱入り娘ってくらい純情じゃねえか。箱入り娘みたく悪い男に引っかかってるし。

 

 

「まあ、多分藍なりのペースで慣れていくだろう。んで、明日は必要な物を買い揃えに行くつもりなんだが…。」

 

 

部屋に戻っている途中でメールが送られてきて、必要な物といつ買いに行くかが書かれていたが…。

 

 

 

 

 

「…おはようございます、椎名ひより。…八幡。」

 

 

「おはようございます、森下さん。」

 

 

「…おう、おはよう。」

 

 

朗らかに挨拶を返すひよりと頬を赤くしながら名前呼びで挨拶してきた藍、内心ちょっぴり呆れている俺の三者三様である。どうしてひよりに付いて来て貰ったかと言うと、「2人きりだと心が間に合わないかもしれないので救援お願いします」という、なんともいえない一言がメールに添えられていたからである。

 

 

「…今更恥ずかしがるとは思わなかったなあ。今まで何回か2人で遊んでた時は、どうって事なかったろうに。」

 

 

「…状況は常に変化し続けるんですよ、八幡。今までの私とは思わない事ですね。」

 

 

開き直りながらカッコいい台詞を言ってきた。ただ、その状況が恥ずかしがってるという事だけなので、物凄く情けない自己擁護にしか聞こえないが。

 

 

「まあまあ、八幡くんもそれくらいにしてあげてください。森下さんも頑張って歩み寄ろうとしていますから。」

 

 

「…おう。」

 

 

「森下さん、出来ればでいいですから、なるべく早く今まで通り八幡くんに接してあげてください。八幡くんはこう見えて寂しがり屋ですので、告白するまでの3日間は余所余所しく感じて内心しょんぼりしていたでしょうから。」

 

 

「………そうなんですか?」

 

 

「あー…まあ、うん。寂しかったわ。」

 

 

ひよりの口から結構恥ずかしい事を暴露された。ちらっとひよりを見ると、優しく微笑んでいる。悪気ゼロで「今まで通りに接せられると良いですね」という、ひよりなりの気遣いなのだろう。藍の表情を見ると、緊張が解けているように見えるから効果は抜群だ。ついでに俺にも効果は抜群だ、大分恥ずかしい。

 

 

「…そーですかそーですか、寂しかったですか。しょうがないですね、八幡は。特別に私から歩み寄ってあげましょう。」

 

 

「…そいつはどうも。」

 

 

「むふー」という感じの表情をしながら調子こいた事を言ってきた。苦笑いしながら返事を返したが、それでこそ森下藍だとちょっと心のどこかが喜んでいる。恥じらいながら遠慮がちに接してきた藍が悪い訳ではないが、遠慮せずにガンガン自分のやりたいように突き進むこやつの方がらしくて良い。

 

 

「…ありがとうございます、椎名ひより。貴女のおかげで自分を取り戻せた気がします。」

 

 

「それはよかったです!お互いの事が好きなのですから、仲良く過ごせるのが一番ですし。」

 

 

「八幡が貴女の事を天使と言っているのが、少し分かった気がしますよ。…そこはかとない自信も感じますが。」

 

 

「私も愛されてる自覚がありますから!」

 

 

ニッコニコの笑顔である。見慣れているがいつも可愛い。藍はひよりの実直っぷりに「レベルたけー…」と言いながら、ちょっと気圧されている。どちらかと言えば、藍の恋愛レベルが低い気もするが。

 

 

「…ぼちぼち行くか、早いとこ終わらせちまおう。」

 

 

「…そうですね、やりたい事は他にもありますし。ところで、本当に支払いをお任せしても大丈夫なんですか?噂では大量のポイントを所持していると聞きましたし結構な回数奢って貰っていますが、今回は金額が金額ですし。」

 

 

少し周りを見渡して誰もこちらを見ていない事を確認し、ポイントを表示した画面を見せた。藍は目を見開いて驚いている。俺とポイントを交互に見続けてるし。

 

 

「……4人分の移籍ポイントの余りで自由に過ごしていたのは間違っていませんでしたが、余りの方が多いのは想定していませんでしたよ。」

 

 

「これでも頑張って減らしてる最中なんだけどな、ひよりたちはポイント貰ってくれないし…。だからポイントが必要なら言ってくれ、なんなら9割くらい持って行ってもいいぞ。」

 

 

「嫌ですよ、ポイント目当てで付き合ったみたいになるじゃないですか。奢って貰えなくなりますし、奢って貰った時の美味の加算を奪われるのも嫌ですから。」

 

 

藍の言葉にひよりは頷いてから首を捻っている。寿司屋とは別の店で奢った時に「効果はありますね、これからもよろしくお願いします」って宣ってるからね、こやつ。無駄に多いままのポイントが消化されるから「ブクブク太るから嫌だって言っても奢りに連れて行ってやるよ」と言った俺も大概だが。少なくとも、ジムに行く回数が増えたらしい。

 

 

この後家電屋などに行き買い揃えたが、行く前にひよりが俺に腕を組んだのを見て藍は葛藤をしていた。覚悟を決めてもう片方の腕に思いっきり抱き着いてきたが、顔が真っ赤だった。「無理しなくていい」と伝えたら「男は度胸、女も度胸、坊主も度胸です」と勇者の集まりみたいなことわざを言ってたあたり、まだまだレベルアップは遠そうである。




ひよりちゃんがレベル50だとすると、藍ちゃんはレベル8くらいです。
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