携帯を回収されながらバスを降り、体育館らしき場所へ移動した。1年生だけ集まってるのを見るに、まずは学年単位でのグループを決めるようだ。葛城が同クラス14人に別クラス1人で固めたのを皮切りに、他のクラスは同クラス12人と別クラスそれぞれ1人ずつで固めた。ちなみに俺と綾小路は14人に入っていない。
鬼頭も付き合ってくれるようで3人になり、さてどうしたものかと話していたらもう1人入れてくれないかと言われたので4人になった。
「こうしてちゃんと組むのは初めてだな、よろしく頼むぜ。」
「…おう、よろしく。」
藍曰く「物凄く胡散臭い」という評価の橋本である。移籍して間もない頃に親しげに話しかけて来た割に、便利そうな道具の品定めをしているような目をしていたので割と同感だったりする。とはいえ第一印象だけで決めつけもよろしくないので観察してみたが、上手く立ち回る男という事とAクラスで卒業する事に関しては熱量を感じたが、それ以外の事は割とどうでもいいという印象だった。勝手な憶測になるが、多分誰かを裏切る事に抵抗があまり無いのだろう。Aクラスが窮地に陥るまでは放置で良いかと決めているが。
「とりあえず、残りの面子はどうする?」
「俺たちが1位を取るより葛城たちが1位を取る方が旨味はあるだろう。だから基本的には誰でもいいぞ、山内以外なら。」
「…一応聞きたいんだが、なんで山内は駄目なんだ?」
「ほとんど知らない相手を扱き下ろせる奴という俺の中の評価を覆せていないからかな…。」
口と態度の悪さで言えば龍園のほうが酷いだろう。しかし、リーダーとしての責務を果たそうと誰よりも動いているのは評価できる。そういうのが山内には無い…と思っている。俺の知らない所で頑張っているのかもしれないが、そういう噂を全く聞かないから8月までの奴で判断するしかないのだが。
「綾小路に話した考えに一番適任なのが、俺が知っている山内だからな。おだててその気にさせて、最後は見捨てるのに抵抗が無いと考えられそうな奴って考えたらな。」
「………比企谷、その考えの説明を頼む。」
鬼頭に説明を求められたので2人に説明した。鬼頭は考えるような仕草を、橋本は納得したような表情を浮かべた。どうやら評価は大して変わっていないらしい。という事でやられたらめんどくさいから山内以外でという結論の元、誰とグループを組むかという話に戻った所で、最近屋上で見た2人が近づいてきた。
「『おはようございます。よろしければ一緒のグループになりませんか?』」
「『…君らも結構肝が太いね、一応こないだバチバチやり合った間柄なんだけど。』」
2人の表情から恨みとか憎しみとか負の感情が見て取れない。結構ボコられてたのにノーサイドみたいな感じになってるあたり、俺が思っている以上に大物なのかもしれない。
「『多少の悔しさはありますが真正面から挑まれての敗北ですからね、もう気にしてません。』」
「『あー、あの時の綾小路は洒落にならんくらい強かったからな。…ちょっと脱線したな、グループの方は俺は良いが…綾小路、この2人とグループ一緒でも大丈夫か?』」
「『ああ、問題ない。2人ともよろしく。』」
「………何言ってるのかほとんど分からねえけど、OKって事でいいんだよな?」
石崎が難しそうな顔で聞いてきたのでYESと返したらホッとした顔になった。そんな心配にならんでも不満は無いし、周りはぼちぼち決まって来てるから俺に選択肢は無いようなものなのだが。この後Bクラスの奴3人がグループ加入して、最後にごつい奴が来た。
「フッフッフ、準備は整ったようだねぇ。では行こうか。」
「………人並程度にはちゃんとやって貰うぞ。出来なきゃマジで飯抜きにするからな。」
「比企谷ボーイが責任者なら良いだろう、言う通りに動こうじゃないか。」
高円寺の言葉に思わずぐるっと見渡したが、全員「異論は無いからお前が責任者をやれ」という目で見て来た。やっぱ多数決ってクソだなと思いつつ、他の奴らはすでにグループが決まっているっぽいので引き受けてグラウンドへ向かった。
グラウンドには先輩方がすでに待機しており、俺らのグループはまあまあ遅めだったらしく1年生もそれなりに揃っていた。報告を済ませて少し待っていると、本来夜に決める他学年との合同の大グループを今決めるらしい。そして決定権は1年生が順番に選んでいく方式で、早くグループを作って報告した順で行くようだ。ちなみに俺らは4番目だった。
「さて、どの先輩方を指名するよ?」
「…2順目はともかく、1順目はほぼ決まってるようなものじゃねえか?現生徒会長殿が『分かってるだろうな?』って感じで、比企谷をガン見してるぜ?」
橋本の言葉にチラっと先輩方を眺めるように南雲先輩を見ると、笑ってはいるが「選ばなかったらネチネチ嫌がらせする」と言わんばかりの気迫を感じる。俺には実質的な選択肢は無いようだ、3年の先輩から選ぶという暗黙の了解を破らなきゃならなくなった。3年の先輩方が「ああ、南雲のいつもの奴か」って感じの空気は救いだが。ちなみに2年のグループを選んだのは俺らだけだったので、3年のグループは自動的に決まった。
それぞれ軽い自己紹介を済ませてから、南雲先輩に確認を取った。
「…多分前もって言われてないので関係ないと思っていますが、正攻法で挑むならともかく悪巧みなら協力する気は有りませんよ?」
「いや、今回は動かなかった。ただ、堀北先輩に宣戦布告はしたから死ぬ気でやってもらうつもりではある。」
「…負けたら罰執行とかは無しですよ?」
「言わん言わん。堀北先輩とやり合えるのはこれで最後だからな、記念みたいなものさ。というか、お前は俺が何をするって思ってたんだ?」
「具体的には分かりませんが、こういう時に暗躍するイメージが有りますし…。」
噂で聞いた南雲先輩は陰湿スケベ野郎という感じだった。スケベ野郎は兎も角陰湿の部分は本人も自覚が有るのか、ちょっと渋い顔をしたものの何も言ってこなかった。ちなみに実際に暗躍したとしても堀北先輩なら自分で何とかするだろうし、嵌められても何とかするだろうから特に何もする気は無い。
長話する時間も無いので何か言いたそうな南雲先輩に断りを入れて、自分たちの宿泊する部屋へ行った。
どう進めようかなと悩んだり、安くなってたロックマンを購入してやってました。しばらくペースダウンが続きます。