クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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ロックマンシリーズが安くなっているので購入しました、やる事が多いので積みゲーが確定状態ですが。


1年D組クソボケ谷君53

あまり寒い中待たせたくはないので、消灯してすぐに部屋を出た。肌寒さを感じつつ空を眺めると、普段よりも星がよく見える気がする。特別試験の為に星や星座の名前も網羅すべきかと考えたが、流石にピンポイント過ぎて役に立たない可能性のが高いなと、余裕が有れば覚える事にした。…覚える理由にロマンが無えな。しかしながら「こういうのを知っているとモテるのか?」と綾小路に星座の本を出しながら聞かれたが、本に載ってる星座のラインと名前を見て「これって本当にそんな形に見える?」って聞いた時点でロマンは無い。なお、「…見えないな」と返ってきたので綾小路もこの路線は頓挫させた。

 

 

自分の中で、どのみち宇宙にでも行かない限り関わりの無い石ころに過ぎないんだろうなと内心で苦笑いをする。宇宙が舞台のアニメや小説を読んでも人間ドラマやロボットの格好良さに目が行くので、やはり舞台装置にしか過ぎないのだろう。

 

 

コツ、コツ、と普段からよく聞き、普段より少し早いリズムの音が聞こえる。夕食の時に顔を合わせてはいるが、それでも心が弾んでいるのを感じる。暗がりながら姿が見えて来たので、手を上げながら近づく。

 

 

「すみません、待たせてしまいましたか。」

 

 

「いや、大して待っていないから大丈夫だ。…ほれ、手も冷えてないだろう?」

 

 

「…ちゃんと温かいわね、顔も冷えてないみたい。」

 

 

手をにぎにぎしてきた後、両手で包み込むように両頬を撫でてくる。真澄にこういう風に触れられても違和感を感じないし、温かくて良いと思ってるあたり俺はもう手遅れなのかもしれない。ちょっと楽しそうな表情をしてるから断りづらいのもあるが。

 

 

「…寒い中だらだらするのも良くないし、とっとと移動しようか。…有栖、おんぶと抱っこならどっちがいい?」

 

 

「せっかくの機会ですし、お姫様抱っこでお願いしますね?密かに楽しみにしていましたよ、意外とやってこなかった事ですので。」

 

 

「………ずるい、羨ましい。」

 

 

「…順番だ、後でやってやるから。」

 

 

ちょっと拗ね混じりの真澄に苦笑いしながら頭を軽く撫でる。ほんのり和らいだ顔を見てから、有栖に断りを入れてから背中に手を回して膝裏に腕を差し込んで持ち上げた。重さを感じないとまでは言わないが、それでも本当に軽く感じる。問題も無さそうなので、風を通さない所へ移動を始めた。

 

 

「…重かったら遠慮なく言って下さいね?歩けない訳ではないですので。」

 

 

「大丈夫だ、山田くらい重くなけりゃそんなに苦労しないから。」

 

 

「………山田って、龍園の右腕の?」

 

 

「おう、その山田だ。ついさっき話の流れでやってみた。多分100メートルくらいで疲れそうだなって感じだった。」

 

 

石崎が「龍園さんがあそこまで警戒する男が弱い訳がねえ」と言って来たので、人に暴力を振った事は無いから喧嘩は弱いと返した。じゃあ単純な力ならどうなんだという事で、俺らのグループで一番重いであろう山田をお姫様抱っこした。ただ山田もまあまあ恥ずかしかったらしく、逆に俺がお姫様抱っこをされた。必要以上の辱めになると分かったので、女の子か世紀末に力尽きた男にのみ許される抱っこだという認識で全員一致した。端目に見て絵面は面白かったようだが。橋本はゲラゲラ笑ってたし。

 

 

「慣れないグループで大変そうだなって思っていましたが、結構楽しんでいるようですねえ。」

 

 

「反発が無いのは有り難いな、案外ストレスなくやれてるわ。3年の先輩方とのトランプが功を奏したのかもしれんけどな。」

 

 

南雲先輩が賭けをしようと言い出してきてたけど、3年の先輩方は止めつつも流されて…という装いだった。演技臭さを感じたので多分細工がされているんだろうなと思いつつ、「上がったら後ろで皆にアドバイスしてもいいですか?」と聞いたら怪訝な顔をされつつもOKされた。トランプを終えた後、滅茶苦茶後悔してたけど。

 

 

「…八幡に挑んじゃったの?」

 

 

「自信満々に賭けを吹っ掛けてきたな。なんか綾小路がスゲェ期待してたようだったから辞退したが、俺以外は朝食作りが免除されたぞ。」

 

 

少しでも良いもん食いたいようで「この試験での数少ない楽しみだから作ってくれ」と言ってきよった。レシピ決まってるのに妙な拘りである。

 

 

南雲先輩は「やっぱりこうなるかー」みたいな感じの表情だったあたり、真に嵌められたのは3年生だったという事になる。イカサマありきでどうにかなるかを自分の目で確かめたかったのだろう。1回目が終わった後、トランプにケチつけて別の物に変える羽目になっていたあたり多分ジョーカーが分かるような細工をしていたのだろう。自分たちが負けると思ってなかったから、最後の最後でどうしようかみたいな異様な雰囲気だったし。

 

 

「八幡くんって、意外と綾小路くんにも甘いですよね。」

 

 

「かもしれんけど、アイツはアイツで俺の共感できるラインを見極めるのが巧いんだよ。」

 

 

「…共感できるって事は、八幡も私たちのご飯が食べられなくて辛いって事?」

 

 

「………まあ、うん。色々食ってるけど、一番落ち着くのは皆の作ってくれた料理だからな。」

 

 

照れはあるのでこれくらいで返しているが、二度と食えなくなったら滅茶苦茶凹む自信が有る。好きな人が自分の好みを完全に理解した料理を出してくれてきているのだ、これだけでこの学校に来てよかったと呑気に思った事がある。日常の楽しみが奪われる時ほど辛い物はそう無いのだ。

 

 

「ふふっ、八幡は気持ちが良いくらい食べてくれるから作り甲斐があるわよ。合宿から戻ったら何が食べたい?」

 

 

「…すき焼きが食べたいな。戻った当日はおでんを食いに行く事になってるから、疲れを取る意味も込めて次の日にでも。」

 

 

「何があっても腕によりをかけて作るわ、楽しみにしてて。」

 

 

「ああ、滅茶苦茶楽しみにしてる。でも無理そうなら別の機会に頼むだろうから、遠慮なく言ってくれ。」

 

 

結局肉を求めるあたりは、男子高校生の性だろう。しかし無理しなくていいとは言ったものの、無理してでも作ってくれるんだろうなあ…。何かしらのお返しをする必要がありそうだ。

 

 

「…真澄さんも甲斐甲斐しいというか尽くすタイプですよねえ。私も大層お世話になっているので感謝していますが、嫌な顔一つしてませんし。」

 

 

「…それくらい普通じゃないかしら?」

 

 

そうでもないよ、それが要因でAクラスに神室派っていう新しい宗派が出来てたし。何が凄いって、本人にはバレていない隠れキリシタンみたいな所である。体育祭の時も音も無く倒れていた辺り、見守り隊としてのスペックが高い。そんなことに労力をあまり払わなくてもとは思うが。

 

 

ちなみに有栖は妹系マスコットから凄く頼りになるリーダー、百合っぽいなどと思われてるとか。「それだと俺は百合に挟まっている男になるんだが」と教えてくれた藍に言ったら「ええそうですよ、その手の小説を読んでる時に出てきたら本を真っ二つにする男って言われてます」と返された。何とも言えない気分にさせられたのは今でもよく覚えている。

 

 

座るのにちょうどよさそうな場所に到着して、少しそわそわしてる子が居るので有栖を降ろす。名残惜しそうな顔に頭を軽くポンポンとしてから、真澄に体重を預けて貰いながら抱き上げる。それほど重くねえなと若干失礼な事を考えてると、ちょっともぞもぞと動きながら腕を首に回そうとしてるのでもう少し高く持ち上げると、顔と顔を擦り付けるように抱き着いてきた。

 

 

「…これ、いつもよりお兄ちゃんのものになった感じがして良いわね。帰ってからもやって貰おうかしら?」

 

 

「んーまあ、ひよりの時に家の中でやっても問題無いのは分かってるからいいが……俺の上に座るとどう違うのかが分からんな。」

 

 

「より積極的に感じられるのが良いのよ、お兄ちゃんはどっちかと言えば控えめだから。」

 

 

「…そのほうがバランスが取れてて良いと思うけどな。」

 

 

積極性という意味では、俺は最下位になるのは多分間違いないだろう。何か仕掛ける前に先手を取られてる事の方がずっと多いし。

 

 

しばらくして真澄を降ろして、全員座りながら話題は今日有った問題………有栖と山内の衝突に移った。というか、衝突そのものよりも俺が自分でも気付かない内にキレていた事である。

 

 

「あそこまで八幡くんが怒ってくれるとは思っていませんでした、おかげで山内くんへの怒りが全部吹っ飛んじゃいましたよ。自分より怒っている人を見ると冷静になれるというのは本当ですねえ。」

 

 

「それだけ想われてるって事でもあるから、素直に羨ましかったわ。…後、カッコよかった。」

 

 

「…まだ自分が未熟だと改めて実感させられたぞ。煽りの才能が山内にはあるのかもな。」

 

 

「…そんな皮肉を言うとは、珍しく尾を引いてますねえ。」

 

 

「少なくとも2度は冷静さを欠かされたからな。初めて誰かを明確な敵と定めたぞ。」

 

 

出来れば一年生のうちに止めを刺したい。今後妙な成長をして、足元に小石を置いて躓かせるような害悪ムーブを出来るようになる可能性もあるのだ、人間誰でも成長の余地はあるからな。ソースは俺。

 

 

「…俺の予想だが、学年末に退学者を出す類のクラス対抗戦が行われると思ってる。野暮で悪いんだが、その時の司令塔は絶対に有栖がやってくれ。」

 

 

「言われなくてもそのつもりですが……何か懸念でも?」

 

 

「俺の手札を隠しておきたいってのもあるんだが…4月の2年Dクラスを見た時の様子が絶望的だった。その事から察するに、力のある人間が退学を食らった可能性が有る。AからDの四つ巴だとしたらまずAが集中攻撃されるだろうが、4月の時点では苦難を乗り切ったって雰囲気でもなかった。」

 

 

「よく見てますねえ。そうなると何かしらの方法…おそらくですが、くじで決定権を得たクラスが指名して戦うクラスを決める試験になるんでしょうね。」

 

 

「仮にDクラスが相手の場合、今後も戦っていける可能性のあるポテンシャルを考慮すると…」

 

 

「損切するでしょうねえ、クラスで一番嫌われてそうな方を指名して。」

 

 

本当にそうなるかは確定していないが、一番切り捨てやすい奴は確定している。ならば、取るに足らない奴のうちに退場させたい。

 

 

「正直、八幡くんの過大評価だとは思いますがまあいいでしょう。何をやるかもまだ分かっていませんが。」

 

 

「ペーパーシャッフルの時のように、生徒側がある程度決められるかもしれない。可能だったなら麻雀でも入れて貰おうかなって。」

 

 

膝の上の真澄の顔をちょっとむにむにしながら言う。すべすべかつぷにぷにで少し癖になりそうだ、普段の努力の成果が見て取れる。皆に「美容品は欲しかったらガンガン買ってくれ、さらに綺麗になった所を見てみたい」と言ったらポイントの減りはちょっと早くなった。代わりに桔梗や帆波が主体で、俺の顔のスキンケアまでするようになったのは必要な犠牲と捉えている。

 

 

真澄の頬を撫でながら、最後の要点を伝える。

 

 

「ギャンブルを種目に迷い無く組み込めるのは、有栖か綾小路になるだろう。だが人望の差で、綾小路では皆を納得させるのは難しい。それに…俺もやるなら、有栖の部下としてやるなら納得出来る。」

 

 

「ふふふっ、そうですかそうですか。私の下でなら全力を尽くすと。」

 

 

「後は、私怨だが落とし前を付けるという意味でもな。4月の時点で好きじゃなかったが、今ではバッチリ大嫌いな相手に昇格したぞ。」

 

 

「八幡くんに嫌われる当たり、人から嫌われるセンスは確かにありそうですねえ…。まあいいでしょう、約束します。八幡くんをきっちり活かすと。」

 

 

言質を取った所で有栖の腰に腕を回し、自分の方に寄せる。詰まらん事に時間を割いた事を詫びてから、唇を重ねる。「脳破壊の景色…」みたいな言葉が膝から聞こえて来たので、思わず顔を離してしまった。名残惜しそうな有栖を尻目に真澄が体を起こした、選手交代らしい。

 

 

この後はキスを繰り返したり、じゃれたりしてからそれぞれ部屋に戻った。予定通りバッチリ時間オーバーして。




「Princess Yamada.」「Noo!!」くらいの嫌がり具合だったとか。なのでプリンセス比企谷を仕返しとしてやられてました。詫びた結果、山田君は優しいので許してくれたようです。
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