クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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時系列とかは最早意味がほとんどないです。私も気にしてません。


真澄との休日

「八幡、これの続きは…?」

 

 

「…まだ買ってないな。」

 

 

「…出来ればでいいんだけど、早めに買って欲しい。」

 

 

先日俺が買った漫画を読んだら面白かったらしく、真澄が続きを催促してきた。コズミックホラーバトル的な作品だが、結構刺さってる様子だった。

 

 

「ゴリゴリの少年漫画なんだがなぁ。元々綾小路と感想を言い合うために…って、嫌な顔しない。もうずいぶん前の事だしさぁ。」

 

 

「だって…。」

 

 

あれ以来綾小路に対しての険が取れてねえ。名前を出すだけでこれである。この子、身内に対する愛情が深いからなぁ…。有栖に世話を焼く時、嫌々じゃなくて優しい顔でやってるし。この時は男子より女子が悶えてる気がする。大丈夫か俺らのクラス。

 

 

「まあ、あいつはアレで悪魔なだけだから。そこまで邪険にしなくてもいいだろう。」

 

 

「やっぱりダメじゃない。悪魔は優しい顔をして近づいて一気に食らってくるのよ?しかも綾小路はとびっきりの悪魔だし。」

 

 

完全に論破されたわ。自由の身になってやる必要が今は無いだけで、必要とあらば周りの人間を道具にするだろうからなぁ…。

 

 

「ま、まあ出来れば見逃してやってくれ。俺にとって唯一の友達だから。」

 

 

「…そんな顔されちゃ、何も言えないわよ。」

 

 

少し拗ねた表情の真澄を撫でながら宥める。とりあえず話題を変えるために提案をしてみる。

 

 

「俺も読みたいっちゃ読みたいし、買いに行ってくるか。」

 

 

「私も行く。他に読みたい本があるかもしれないし。」

 

 

そういう事で真澄と本屋に行く事になった。件の漫画の続きと気になってた小説を購入して、ついでにコンビニで手が汚れなさそうなお菓子と飲み物を買ってから部屋に戻った。

 

 

 

 

 

部屋に戻って一緒に漫画を読む事になった。ひよりと一緒にくっついて本を読んでる姿を見て羨ましかったそうだ。

 

 

「こうやって読み進めて分かったけど、序盤のトラップが一番酷いわね。人の心があるのかしら?」

 

 

「人の心があるから思いつくんだろうよ。無かったらそのまま取り込んで終わってそうだし。」

 

 

「…確かにそうね。それにしても、登場人物のほとんどにしっかり成長と活躍の場があるわね。そのままなの主人公くらいじゃないかしら?」

 

 

「…言われてみればそうだな。まあその代わりなのかもしれないが、主人公はメンタルが異様に強いな。」

 

 

こういう話を彼女とするのは普通じゃないかもしれないが悪くない。付き合わせるのも悪いから自分から誘う気はないが。そういう時の綾小路くんです。多分違うけど。

 

 

隣の真澄の顔をちらっと見る。思ったよりも真剣に読んでるからか、俺にとっては見る事が珍しいクールな顔である。この子、俺には嬉しさと優しさを浮かべたような笑顔でよく話しかけてきてくれてるし。

 

 

「…八幡、次のページが読みたいんだけど?」

 

 

「…おっと、悪ぃ。」

 

 

催促されてしまったので俺も漫画の方に没頭する事にした。俺も真澄も夢中になって読み進め、もう少しゆっくりと日数をかけて読むつもりだったのだが、結局最終巻まで読み進めてしまった。なのでそれなりの時間が経っていた。

 

 

「…結局最後まで読んじまったな。面白かったけども。」

 

 

「…久しぶりに夢中になって漫画を読んだ気がする。」

 

 

「ちょっと時間の使い方が勿体なかったか?」

 

 

「…そうでもないわ。漫画は面白かったし、八幡の真剣な表情や驚いてる表情は見応えあったもの。口まで開いてて可愛らしかったわよ。」

 

 

思った以上に集中していたらしい、全く気付かなかった。というかマヌケ面を晒していたようだ、恥ずかしい。

 

 

「…あー、うん。思った以上に『作者やりやがった』って気持ちが強くてな…。」

 

 

「ふふっ、確かにそうね。分かってても同じ感想になる展開だった。それにしても八幡はずるいわね、こんな面白い物を教えてくれないなんて。」

 

 

「そう言われてもなぁ…。合う合わないは当然有るだろうし押し付けるのもアレだろう。俺もそんなに漫画を多く読んでるわけでもないから、面白いかの保証しにくいし。」

 

 

そう考えるとひよりが薦めてくれた本に外れが無かったあたり、やっぱあやつは良い趣味をしてるな。

 

 

「保証はしなくてもいいからとにかく教えて。八幡が好きな物をもっと多く知りたいし、一緒に楽しみたいから。」

 

 

「…まあ、共有できる相手が居るのは嬉しいからいいけども。色気はなさそうだけど、彼女との共通の話題がこれでいいんかね?」

 

 

「八幡らしくていいんじゃない?それに、私も無理して付き合うってわけでもないんだし。」

 

 

今後は真澄も同じ漫画を読む、そういう事になった。まあ、流石に頭がおかしくなりそうな漫画は避けるが。

 

 

 

 

 

昼食を食べた後どうするかと聞いたら、行きたい所があるそうなのでそこへ行く事が決まった。どんな店か聞いてみたが、着いてからのお楽しみとの事らしい。

 

 

「最近出来た店なのか?」

 

 

「多分そうね。最近になって話題に挙がってるみたいだし。」

 

 

しばらく歩いてたらその店に到着した。猫カフェだった。少しばかり実家の生意気な奴を思い出した。真澄を見るとワクワクが止まらないみたいな表情で目を輝かせてる。そういえばカマクラが擦り寄ってきた時の真澄はスッゲェ嬉しそうだったな。

 

 

「さ、入りましょ?」

 

 

「…おう。」

 

 

満面の笑みの真澄にちょっと気圧されながら、一緒に猫カフェへ入る。店内に入ると猫たちが自由気ままに過ごしている。席は運良く空いてたようで、すぐに案内された。

 

 

「…嬉しそうだな。」

 

 

「ええ、最高ね。癒されてるわ。」

 

 

そう言いながらテーブルの上に乗っかってきた猫を優しく撫で続けている。猫も慣れたものでずっと撫でられていても意にも介さない。プロだなコイツ。しばらくしてから、撫でられ続けて満足したのか猫が起き上がってテーブルから飛び降りて去って行った。撫で足りなかったのか、真澄は寂しそうな顔をしている。

 

 

「…寂しそうだな。」

 

 

「…うん、もっと撫でていたかった。」

 

 

「まあ、また近寄ってくるかもしれないから。」

 

 

そう言ってると左足が触られてるのを感じた。足元を覗いてみると、全身白い毛の子猫が俺の足をよじ登ってきた。膝の上に乗ったかと思うと、そのまま動かずに丸まった。っていうか全く動こうとする気配がない。

 

 

「えぇ、動けねえ…。ふてぶてしいな、こいつ。」

 

 

「…羨ましい、私にも乗ってこないかしら。」

 

 

「台座にされてるだけだぞ、多分。」

 

 

定位置と言わんばかりに動く気配がねえし。真澄に撫でられ続けても気持ちよさそうにしてるだけだ。撫でてる真澄の顔はニッコニコだが。

 

 

「この身勝手さはカマクラを思い出すな。」

 

 

「…そうかしら?あの子、とても懐いてくれてた気がするんだけど。」

 

 

「真澄や小町に対してはそうだな…。」

 

 

俺に対しては大分ふてぶてしかった。ちょっと構おうとするとどこかへ行くくせに、部屋に戻るとベッドの上で丸まってたくらいには。

 

 

「…飼い主に似たんでしょうね。八幡が居ない間ほど、私の傍に来てくれてたし。」

 

 

「…あいつ、そんな気遣いが出来たのか。俺にもしてくれてよかったと思わなくもないんだが。」

 

 

「ふふっ。八幡には必要ないって思ってたんじゃないかしら?あの時の私に話しかけようってくらいのメンタルがあったんだし。」

 

 

「そういうもんかね…。っていうかコイツ、全然動かねえな。」

 

 

持ち上げてみたけど、全然抵抗しない。なんとなく思い付きで真澄の頭にのっけてみたけど伸びてるだけで全然動じてなかった。真澄はちょっと動じてるが。

 

 

「…悪い気はしないけど、この状態はちょっと恥ずかしい。」

 

 

「なんとなくやってみたくなったもんで、つい。…降ろすか?」

 

 

「…もうちょっとこのままで。」

 

 

ちょっと気に入ったらしい。この状態を見て店員さんが近づいてきた。流石にふざけすぎたか?

 

 

「…お客様すみません、宣材写真として撮らせてもらってもいいですか?少しばかりのサービスもご用意いたしますので。」

 

 

真澄と目を合わせた。断ろうと思い声を掛けた。

 

 

「……えっと、そういうのは…」

 

 

「お連れ様とのツーショットでお願いしたいのですが…。」

 

 

「はい、いいですよ。」

 

 

「真澄さん?」

 

 

「…いいじゃない、減るものじゃないし。」

 

 

照れている真澄の一声で撮る事になった。真澄の頭に乗っている子猫の負担にならない程度に抱き着かれ、座りながらのツーショットである。写真を見せて貰ったが、真澄が嬉しそうな顔をしていたのでまあ良しとする。サービスは次回来店時に半額になるクーポンだった。

 

 

 

 

後日、当然の事ながら猫カフェは癒しスポットとして人気が出たので写真はバッチリ確認された。「もう夫婦じゃん」とクラスメイトがぽつりと小声で言ってたのを真澄が拾って嬉しそうに微笑んでいた。そして有栖たちは羨ましそうに見てきた。猫カフェの常連になる事が決まった瞬間である。




「これ需要あるのかな?」って思いながら書いていましたが、よく考えたら自分用の作品でした。後、漫画に関しては実際にあるものです。
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