遊戯王GX 決闘モンスターリリカルなのは   作:あかない

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投稿が遅れて申し訳ありません。俗に言うスランプです。それと今回文化祭の話なのですが、文化祭が二日ある設定になっております。

スランプとは関係ありませんが、今回はデュエルの密度がいつになく薄いです。この小説始まって初めてデュエルがお飾りになりました。今回はラブコメメインなので、デュエルを楽しみにしていた方には余り面白くないかもしれません。
まあ偶にはこんな回もいいかもしれません。


第二十話

カイバーマンとデュエルをしてから一週間。奴から聞いた事で色々と考えたりしたかったが、それどころでは無かった。明日は年に一度のデュエルアカデミアの文化祭なのだ。俺は出し物をする訳ではないが、店や劇をする友達の手伝いや、明日のデュエルトーナメントのエントリーをしたりと、かなり忙しかった。寮の部屋に戻るのは11時を過ぎており、俺は部屋に入ってすぐベッドに体を預け、そのまま睡魔に身を委ねる。そんな一週間を繰り返していた。

と言う事で翌日、つまり文化祭初日。俺は文化祭二日目のデュエルトーナメントしか予定は無いので、ゆっくりと準備が出来る。

準備を終えると、俺はある決心をして両頬をパチンと軽く叩く。

 

「・・・・フェイト、出てきてくれ」

 

デッキケースからフェイトのカードを取ると、カードからフェイトが出てきた。いつも思うけど、カードの中ってどんな感じなんだろう? 精霊達(みんな)曰く、ちょっとした個室の様なもの、らしいけど想像がつかない。

 

『? どうかしたの?』

「その、よかったら一緒に文化祭回らないかな~って」

 

こうやって面と向かって誘うのはなんか恥ずかしいな・・・・。フェイトも誘いを聞いてか、頬が少しだけ赤く染まった。

 

『そ、その、私でいいの?』

「うん、フェイトと一緒に回りたい」

『じゃあすぐに準備するね!』

 

フェイトは頬を赤く染めながらも満面の笑みを浮かべ、一旦カードの中に戻って行った。

 

 

 

 

「あみだくじでレアカードが当たるかも! あみだカード一回200円だよー!」

「焼き蕎麦、焼き鳥、お好み焼き! どれも美味しいよー!」

「万丈目グループが出すレストラン! レストラン万丈目がなんとこの場で食べられる!」

 

ホント沢山の屋台があるな~。デュエルアカデミアは世界でも注目されているデュエルに特化した学校。しかもスポンサーがあの海馬コーポレーションと言う事もあり、色々な所から観光客が来ている。その為学生達も気合いを入れて屋台を出して盛り上げろうとしている。

貧乏な学生にとって、売り上げが全て自分達の物になり、沢山の客が来るこの祭りは小遣い稼ぎに持って来いだ。

 

「ねえ遊斗、あの万丈目の屋台行ってみていい?」

 

辺りの景色を見ながらもフェイトの可愛らしい恰好に見惚れており、フェイトの言葉に一瞬だが動揺してしまった。今のフェイトは、下にミニスカートを履き、黄色の暖かそうなシャツの上に、腰まである黒の毛皮のコートを着ている。金色になびく髪が黒のコートとマッチしており、いい形で大人っぽく見える。

 

「ああ、実は俺も結構気になってたんだ。というかそのコート、着てくれているんだな」

「へへっ、遊斗が買ってくれたものだから」

 

去年の冬休み(クリスマスではない)にみんなに一着ずつだが服をプレゼントした。その時フェイトに上げた服がこれだ。精霊達(みんな)が実体化出来ると分かった時、ふとある事を思った。それが精霊達(みんな)の服。今までも季節に合わせ服を変えていたが、それはデバイスが作ってくれた服であり、本当の服じゃない。お世話になっているみんなにデバイスの作った服をずっと着せ続けるのは、主として嫌だった。

貯金をほぼ全額使い、バーゲンの安い服をみんなに一着ずつだが買った。フェイトの着ているコートも高い毛皮では無く、コーティングされて高そうに見える物だ。

そんな安物を大事にギュッと握りしめてくれるフェイトは、本当に優しい女の子だ。

 

「いらっしゃい! って遊斗か。それとフェイト君だったな」

「はい、いつも遊斗がお世話になってます」

「お前が屋台やるなんて知らなかったぞ」

 

こいつに世話された事なんてあったか? と思いつつシェフの白い恰好をしている万丈目に問う。屋台には万丈目意外にも数人本物のシェフがおり、プロの手捌きで料理を作っている。こうやってプロの料理姿を見て初めて気付いたが、なのはさんとはやてさんの料理の腕って凄いんだな。目の前のプロの料理姿と、二人の料理姿がビックリするほど重なる。

 

「ああ、兄さん達がデュエルアカデミアの学園祭の事を聞いて、昨日やる事に決まったんだ。でもレストランのチェーン店屋台を出してもこの通りさ」

「閑古鳥が鳴いてるな」

「アハハ・・・・。確かにお祭りの時は濃いものとか、祭りっぽい食べ物を口にしたいですね」

「それで困っていてな。プロがその場で作った出来たてホヤホヤたのだからな。ほら、食ってみろ」

 

頼んでもいないのに万丈目から渡されたのは、トマト味のパスタと紙コップに入ったオニオンスープ。フェイトの言う通り、祭りらしからぬ料理だ。

だがそう思ったのも食べる前。パスタを口に入れた途端、トマト本来の味と風味が口に広がり、上にかけてあった粉状のチーズの味とマッチしていた。

 

「う、美味い!」

「お、美味しい!」

「だろ? 勝手に屋台を出した兄さん達にはともかく、アカデミアに来てくれたシェフのみんなに申し訳が立たなくてな」

 

う~ん、何とかしてあげたいが、俺が手伝える事って言ってもせいぜい宣伝することぐらいしか・・・・。待てよ? ここはデュエルアカデミア、自画自賛になるがデュエルが強い俺、そして隣には可愛い金髪美少女。

 

「フェイト、一時間だけ手伝ってもらってもいいか?」

「うん。こんなに美味しい料理なんだもん。もっと色んな人に食べてもらわないと」

 

やっぱりフェイトは優しい子だな。ニコッと微笑んで頷くその仕草は反則級の可愛さだ。

 

「万丈目、一時間だけ手伝ってもいいか?」

「おお、助かる! 具体的にはどんな風にするんだ?」

「まずは看板娘としてフェイトが接客。万丈目も同じように接客。それであと料理を勝ってくれた人には――――」

「何ィいいいい!? お前とデュエルで勝ったらエメラルド・ドラゴンをプレゼントだと!?」

 

あ~あ、大声で言ってしまったよ。その声は当然行き行く人の耳に入り、皆の動きが一瞬止まった。

 

「エメラルド・ドラゴンって本当か!?」

「嘘じゃないよな!?」

「ええ、今から一時間、レストラン万丈目の料理を買ってくれた方にはパラレルレアのエメラルド・ドラゴンを手に入れるチャンスが与えられます!」

「馬鹿か遊斗!? おま「パスタ一つ下さい!」は、はい!」

「こっちも一つ!」

 

突然の客の嵐に万丈目は慌てて対応し、俺へのツッコミをする暇などなかった。

 

「た、食べたぞ! さあ、デュエルしてもらおうか」

「毎度ありがとうございます! では早速」

「「デュエル!」」

 

 

 

 

万丈目の手伝いをして、もう一時間経つ。この相手がエメラルド・ドラゴンを手に入れられるチャンスを持つ最後の客だ。最もこの状況で俺に勝つ事は不可能だけどな。

 

「ホーリーカタルシス・シャマルの効果発動! 俺の手札×300俺のライフを回復し、相手にダメージを与える。俺の手札は六枚! よって1800のダメージ!」

『戒めの鎖!』

「うわあああああ!」

 

ホーリーシャマ姉の効果で客のライフは0になり、俺のライフが無駄に回復した。手札を温存して手加減したのにも関わらず、ダメージを1もくらわなかった。これならもっと豪華なカードを餌にすればよかったな。

万丈目はパラレルレアのエメラルド・ドラゴンを渡さずに済み、ホッとしてため息を吐いた。

 

「はーい! これにてエメラルド・ドラゴンを手に入れるチャンスは終わりました」

 

【え~!】とエメラルド・ドラゴン目当ての人達の不満の声が上がるが、既にたくさんの人が料理を食べてくれた。レストラン万丈目の屋台は美味しい、と噂になっているだろう。

 

「ありがとな遊斗。お前のおかげで随分客が増えた」

「礼ならフェイトに言いな。態々時間つぶしてまで手伝ってくれたんだから」

「そんな、私は何もしてないから・・・・」

「そんなこと無い。助かったよフェイト君」

 

万丈目に礼を言われ、フェイトは嬉しそうに頬の筋肉をゆるめた。

あの万丈目とこうして会話するようになるとはな・・・・。入学したばかりの俺は思いもしなかっただろうな。

 

「じゃ、俺達はこれで失礼するよ」

「御馳走になりました」

「ああ、明日のトーナメントデュエルで会おう」

 

 

 

 

「ん~、次はどこ行こう・・・・って腹減ってきたな」

「あのレストランも食べ歩きが出来るように量が少なかったからね。屋台で何か買おっか?」

「フェイトは何が食べたい?」

「何でもいいよ」

 

何でもいい、って言うのが一番困るんだよね。まっ、これもデートの醍醐味だと思って、なるべくフェイトが食べたい物を考えよう。ん~、そう言えば屋台の手伝いしている時、客が持っていた綿あめを見ていた気がするな。

 

「じゃあ綿あめでも食べるか?」

「うん!」

 

よかった。どうやら当たりだったようだ・・・・。

と、言う事で早速近くの綿あめ屋に来たんだが。

 

「遊斗君・・・・またフェイトちゃんとデートを! 羨ましいッス!」

「そう言えばお前、綿あめ屋やるって言ってたな・・・・」

 

血の涙を流しながら(そのように見えるだけ)俺を睨んでくる翔に、俺とフェイトは二人揃って苦笑していた。何とも分かりやすい奴だ。

 

「翔、さっさと注文するんだな。遊斗にフェイト、いらっしゃいなんだな」

「お久しぶりです隼人さん。あの、綿あめに絵を描きますってどういう事ですか?」

「その通りなんだな。綿あめに俺が注文された絵を色のついた砂糖で描く」

 

隼人の特技である絵を使った商売か。中々面白いな。隼人の絵の才能は凄く、よく賞を取ったりしており、最近ではブルー贔屓のクロノス先生も感心して隼人に注目している。

 

「へ~、フェイト、何か描いてもらったら?」

「うん。じゃあアルフ、はちょっと大きすぎるかな。バルディッシュって分ります? 斧状態のバルディッシュを描いて欲しいんですが」

「勿論なんだな。遊斗がよく使っているモンスターが持ってる武器、すぐに描くんだな」

 

他のレッド寮の仲間が綿あめを作り、その綿あめに隼人は黒い砂糖と黄色い砂糖をちょっとずつ綿あめに塗っていく。一分後には白の綿あめには、黒い機械の斧、バルディッシュが描かれていた。

 

「わ~、凄い。バルディッシュそっくり」

「すげえな隼人。はいこれ綿あめ代と絵の追加料金」

「いいんだな。遊斗には色々とお世話になってるし」

「じゃあフェイトを喜ばせてくれた礼と思って受け取ってくれ」

 

そう言って料金を台に置き、俺達は屋台から離れた。翔もいるから余り長居したくなかったんだよな・・・・。

どこかで座って食べてもよかったんだが、祭りの醍醐味は食べ歩き。綿あめを食べながらも次は何の屋台で遊ぼうか迷っていた。

 

「美味し~」

「だな。あっ、フェイト」

 

フェイトの口元に小さな砂糖が付いていたので、足を止めてフェイトと同じ背丈になる様に足を曲げ、フェイトの可愛い顔に自分の顔を近付ける。

 

「ふぇ?」

 

うっ、そ、そんな恥ずかしそうな顔をしないでくれ・・・・。俺まで少し恥ずかしくなってしまう。

キスと勘違いしたのかフェイトは目をギュッと瞑った。フェイト・・・・、急にキスを迫る程俺は度胸のある人間じゃないぞ? フェイトの行動に俺まで恥ずかしくなる。口元についた砂糖を取ると、フェイトは少し間抜けな声を出して目をパチッと開ける。

 

「これ、ついてたぞ」

 

そう言ってフェイトの口元にあった砂糖を口に含むと、フェイトの顔がボン、と爆発したかのように一気に赤くなった。いや、だからそんな意識されるとこっちも意識するから・・・・。

 

「ほう、遊斗。噂には聞いていたが本当にそんな趣味があったとはな」

「・・・・亮さん、もしそう思うんだったら邪魔しないで貰えます?」

 

そんなつもりじゃなかったけど結構良い雰囲気だったのに。

 

「何を言う、道のど真ん中でそんな事していた奴に言われたくない。お前がこれ以上ロリコンだと思われない様にしてやったんだ」

 

・・・・。そ~と辺りを見渡すと、周りの人から白い目で見られている。うわ~、やってしまった。

どうやって弁解しようかと、試行錯誤していた時、フェイトが救いの手を差し伸べてくれた。

 

「私、遊斗より三つ上ですよ?」

「・・・・ッツ!? ば、馬鹿な!?」

 

亮さんはその言葉が信じられないのか、二三歩後退りをして冷や汗をタラーと流した。フェ、フェイト・・・・、確かにお前と初めて会ったのは十年前で、その時俺は六歳で、お前は九歳だから、お前の方が年上って言えばそうなんだけど・・・・。

でも公共の場でロリコンと思われている以上、今はフェイトの言葉に続くしかない。

 

「本当ですよ亮さん。フェイト・・・・お姉ちゃんは幼馴染で、昔はよく遊んでもらって。成長期が遅いんです」

 

十代とか翔とかには通じるだろうが、常識人の亮さんに通用するか・・・・? いや、通じてもらわないと困る。

 

「・・・・じゃあこの人は俺より一つ年上?」

「って事になりますね」

 

亮さんが見下ろす先には、ニコッと微笑むどこから見ても小学生にしか見えない金髪美少女フェイト。亮さんは何度も瞬きをするが、フェイトの身長が伸びる事は無い。

 

「そ、そうか。それはすまな・・・・すいませんでした」

 

亮さんはフェイトにペコリと頭を下げると、長時間画面を見て目が疲れた人の様に、鼻の頭を押さえながら去って行った。な、何とか信じてくれたようだな・・・・。

それでも周りの人の視線は俺達から離れる事は無かったので、俺はフェイトの手を握る。突然の事に「ふぇ?」と可愛らしい声を出したフェイトを、俺は少し強引に引っ張りこの場から逃げ出す様に去った。

屋台が多くあるメインの道から少し離れた場所まで来て、そこにあるベンチに座り、フェイトも俺の隣に座った。

 

「あはは、やっぱりちょっと無茶だったかな?」

「当たり前だ。どこからどう見ても小学生・・・・というか本当に小学生なんだから」

 

珍しく悪戯っぽく笑みを浮かべるフェイトに、ハァと深いため息をついてそう言った。亮さんは常識人であるから故に、フェイトが何らかの病気を持っていると気を使ってくれたのかもしれない。どっちにしろフェイトが俺の年上であると言う事には無理がある。

 

「本当に遊斗より年上なんだけど・・・・」

 

フェイトは俺の精霊になってからこの十年、精霊としてしっかり生きているのだ。理解しているとはいえ、やっぱり成長しない体はコンプレックスなのだろう。どことなくフェイトが落ち込んでいる様に見えたので、俺はポリポリと頬を掻きながら口を開いた。

 

「俺は分かってるよ。フェイトお姉ちゃん」

「え? ・・・・フフッ、なんだか懐かしいな、その呼び方。昔はよくそう呼んでくれたよね」

「・・・・ろ、六年以上前の話だ」

 

だからフェイトの事をお姉ちゃん、って呼びたくなかったんだよ。絶対その話を掘り返されるから。

 

「そんな事言わないでよ。あの時の遊斗、可愛かったな~。いっつも、フェイトお姉ちゃ~ん、って付いてきてたよね」

 

ニコニコと純粋無垢な笑みで俺を見上げるフェイト。本人は普通に過去の出来事を口にしているだけかもしれないが、俺にとっては黒歴史のオンパレードだ。

別に五、六歳くらいなら男の子でも姉に甘えているかもしれないが、俺は十歳になり、フェイトの背を追い越すまでずっとフェイトお姉ちゃん、と呼んでいたのだ。これが黒歴史と言わず、何が黒歴史であろうか。

 

「あ、あれは・・・・」

「色々合ったよね。クラスの男の子と喧嘩したり、シグナムとヴィータに厳しくされたり。あっ、あと子供のはやてに嘘付かれて泣きついてきた事もあったよね。お、思いだしたら・・・・フフッ」

 

頬に人差し指を当て、俺の黒歴史を悪気無しに掘り起こしていく。や、やめてくれ! フェイトに悪意が無いだけに余計に恥ずかしい。思い出し笑いしているフェイトに、無駄と分かっていながらも、下らない釈明をする。

 

「はやてのあの嘘は、ブラックジョークだから泣くに決まってるだろ!」

「で、でも、一日にしゃっくりを二十回したら死ぬ、って信じるんだもん。あの時は笑いこらえるの必死だったんだよ」

「だってあの時既に十九回しゃっくり続いたんだから、あと一回で死ぬって言われたら怖いだろ」

 

まあ結果としてそのブラックジョークのおかげでしゃっくりが止まったんだがな。しゃっくりを止める方法に、驚かすとしゃっくりが止まる、というのがあるが、俺はあの時以上にその迷信を信じた事がない。何故あの時しゃっくりの回数を数えてたのかも分からないが、はやての嘘を聞いた途端、ピタッとしゃっくりが止まったのを今でも鮮明に覚えている。

 

「はやても悪気は無かったんだよ。不安になっている遊斗のしゃっくりを止める為だったから」

「余計に不安になったんだがな」

「フフッ、子供って純粋で何でも信じちゃうからね」

 

子供の姿のフェイトが言っても説得力が無いが、実際そうだ。

 

「でも遊斗って私に一番懐いてたよね? あっ、違ったらごめんね」

「・・・・実際そうだったよ。家ではフェイトにベッタリだったし、学校でも不安になるとフェイトを呼んでた」

「どうして私だったの? みんな私より優しいし」

 

そ、それを聞くかフェイト・・・・。ええい! 例え黒歴史であろうともう六年以上前の事だ。こうやって恥ずかしがっているより、堂々と話した方がいっそ気が晴れるだろう。

 

「やっぱり年が近かったからだと思う。俺と年が近い子でも、なのはは優しいけどちょっと厳しいし、はやてはたまにだけど嘘付くし、ツヴァイは小さいし、エリオとキャロは遠慮しすぎて近寄り辛くて」

「ユーノは?」

 

ッグ、や、やっぱりユーノの事を聞いてくるか・・・・。も、もう話すって言ったんだ、せっかくのデートなんだしここは正直に話そう。

 

「その、ユーノには・・・・」

「ユーノには?」

「フェイトを取られると思って、敵視してた・・・・」

 

恥ずかしさの余り顔を隠す様に手を当て、ポツリと呟いた。指と指の隙間からチラッとフェイトの顔を見ると、キョトンとしており、次の瞬間にはプッと笑いだした。

 

「ユ、ユーノが私の事狙ってるって思ってたの? かわい~」

「し、仕方ないだろ! というかもう俺の恥ずかしい話は止めてくれ!」

「フフッ、分かった。じゃあ別の・・・・ヘクシュ!」

 

次の話題を出そうとしたフェイトは、ブルッと一瞬震えると、可愛らしいくしゃみをした。男と女でこうもくしゃみが違うものなのか、なんてどうでもいい事を考えながら、フェイトがこれ以上寒くならない様に上着を脱ごうとした。

 

「大丈夫だよ。私は精霊だから風邪なんて引かないよ」

「でも寒さは感じてるんだろ?」

 

俺が上着を脱ぐのを止めようとしたが、ここまで脱いでしまったらもう後に引けない。黒歴史を暴露された今でも俺にだってプライドがある。

脱いだダッフルコートをフェイトの肩に置いた。肌が露出している手や顔がしもやけしそうな程寒い中、服二枚と言うのは非常に寒く、さっきのフェイトの様に寒さでくしゃみが出そうだ。

でもその代わり、フェイトは暖かそうにダッフルコートをギュッと握り頬の筋肉を崩し、優しく笑っている。

 

「とっても暖かい・・・・」

「よかった」

「ねえ、遊斗も一緒に入ろう?」

 

フェイトは俺側のダッフルコートの肩を上げて誘ってきた。その頬は朱を帯びており、それに釣られ俺の頬も赤くなった。恥ずかしがり屋のフェイトがこんな恥ずかしい台詞を言ってきたんだ。ここで断ったら男じゃない。

フェイトとくっつく様に並ぶと、さっきまで着ていたダッフルコートの温もりと、フェイトの体温が伝わってきた。俺より冷えているのか、その小さな体は冷たい。

 

「遊斗の体、あったかい」

「フェイトは少し冷たい。・・・・手も冷えてるか?」

「うん」

 

それを聞いて、俺はフェイトの片方の手を掴んで両手でギュッと包みこんだ。フェイトの手は凄く冷たく、ポケットに手を突っ込み温めておいた手がどんどん冷たくなっていく。でもその分フェイトの手が暖かくなっていると思うと、俺の体温全て使っても良いと、つい思ってしまった。

フェイトの片方の手が温まってくると、次に目が入ったのは露出したフェイトの綺麗な顔。そこも冷えていると思い、頬にそっと手を添えた。

 

「あっ・・・・」

「顔も冷えてるな・・・・」

 

頬に手を添えたからか、自然と見つめ合う形になった。今のフェイトの体温に似会う雪の様に滑らかで真っ白な肌、しかしその雪を溶かしそうな程情熱的で綺麗なルビーの瞳。理想的な大きさで形の整った鼻。

頬を温めている手とは反対の手で、フェイトのサラサラとした金色に輝く髪を撫でていると、顔の一番下のパーツに目が行った。

小さいけどふっくらとした、桜色の唇。

 

「フェイト・・・・」

 

天使の様に整ったフェイトの顔に引き寄せられ、何も考えずにただフェイトに顔を近づけて行く。

フェイトはびっくりした表情をしたが、何か覚悟を決めたのかギュッと目をつぶってくれた。

お互いの吐息を唇で感じられるほど距離が迫り、さっき食べた綿あめの原料となっている砂糖の甘い香りが鼻孔をくすぐる。俺も瞳を閉じてその魅力的な唇に自らの唇を当てようとした。

そして俺達のファーストキスは――――

 

「おーい遊斗ー! ここにいたのかー!」

 

空気の読めない馬鹿の一言で出来なかった。十代の声が聞こえた瞬間、俺とフェイトは我に返って勢いよく離れる。

 

「? なあ遊斗、俺達の屋台になんか因縁付けて来る奴がいるんだけど。何とかしてくれないか?」

 

こ、こいつ・・・・。そんな理由で俺のファーストキスの邪魔をしたのか・・・・。流石の親友でもこれには怒りが湧き、フルフルと体が震えるが、数回深呼吸をして心を落ち着かせた。

悪いのは俺だ。何かあれば俺が手伝う、と前日に言ったのだ、十代は悪くない。フェイトの方をチラッと見ると、恥ずかしさの余り顔を真っ赤にしてボーとしていた。このままじゃあ使いものにならない。

 

「フェイト、ここに携帯置いとくから、何かあったら俺の携帯に連絡してくれ」

 

と言ってフェイトの手に携帯を握らせておく。

 

「ッツ、その因縁を付けて来る客ってどこのどいつだ・・・・」

「ゆ、遊斗?」

「早く案内しろっ!」

「おっ、おう。こ、こっちだ」

 

少女マンガ並みに良い雰囲気だったのにブチ壊しやがって! どんな奴か知らないが覚悟しとけ!

 

 

 

 

十代達の屋台の前にいたのは髪を赤や青に染めた、アホ丸出しの男女四人組。どうやらオシリスレッドの屋台と言う事を理由に、難癖を付けてくるらしい。レッド寮のみんなは、普段オベリスクやイエローに馬鹿にされているからか、言い返すのが苦手な奴が多い。十代はそんな事は無いが、口論になると弱い。文化祭当日は先生も忙しいので、俺の方を頼ってきたんだろう。

こ、こんな馬鹿共にフェイトとのデートを・・・・。

 

「なんだよこれ。焦げた虫の死骸でも入ってるんじゃないのか!?」

「慰謝料払いなさいよ!」

「あの、どうされましたか? お客様?」

 

この煮えたぎる様な怒りを体内に抑え込み、これ以上ないくらいの作り笑いで馬鹿共に話しかけた。

 

「あ゛あ゛? お前なんだよ?」

「・・・・こ、この屋台店を仕切る者です。何か不手際があったら謝罪しますが、これ以上店の前で騒いでいただくと、こちらも営業妨害として教師に報告する事になりますが」

 

れ、冷静に冷静に。こういう時に普段冷静でカッコイイフェイトさんの姿を見ていたのが役に立った。もしフェイトさんの姿を見てなかったら、さっきの時点で乱闘になっていた。

 

「ハァ? こっちは被害者だっつーの」

「マジ意味分かんない」

「頭大丈夫か?」

 

あっ、もう我慢の限界だ。ただでさえ怒りの沸点をとうに越えていたのに、こんな馬鹿共に馬鹿にされたら怒りが爆発した。

 

「そちらこそ頭は大丈夫ですか? どう勉学したらそうなるんですかね?」

「っな! てめえ客に向かってなんて口を!」

「あいにくお客様は必要としても、馬鹿な客は必要として無いんだよ!」

 

後ろで「ゆ、遊斗・・・・」と十代が恐る恐る俺の名前を呼んだ気がするが、どうでもいい。この馬鹿共を追っ払って土下座させないと気が済まない。

 

「あんた誰にもの言ってるの!? この人はデュエルモンスターズの全国大会に出た事がある(つるぎ)君よ!」

「ッハ! それがどうした! お前如きライフ100対10000でも勝てる!」

 

今の俺なら例えバーンデッキ使いでもこの条件で勝てる気がする。それくらい俺の怒りは爆発している。

100対10000と言う膨大なハンデを聞き、剣と言われた馬鹿の一人がニヤリと笑った。

 

「言ったな! いいぜ、そのデュエル乗った。貴様が負けたら慰謝料を払ってもらう」

「ああ、その代わりお前が負けたらレッドのみんなに土下座して、自分が悪いと謝ってもらう!」

「「デュエル!」」

「先攻は貰った! ドロー! 行くぞ、増援を発動デッキからレベル4以下の戦士を手札に加える。俺は不死武士を守備で召喚」

 

A1200・D600

 

奴の前に現れたのは矢が刺さり血を流している武士。見た目と名前で分かるだろうが、不死の武士だ。ホントまんまだ。

不死武士は自分のスタンバイフェイズに、自分フィールド上にモンスターがいず、墓地に戦士族しかいない時墓地から復活できるカード。つまり相手のデッキは戦士族統一ということ。

 

「ターンエンド」

 

剣 モンスター1 伏せ0 手札5 LP10000

 

「ドロー! 相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない時、カリムは特殊召喚出来る。そしてカリムの効果、モンスター・魔法・罠を宣言し、デッキトップが宣言したカードだったら手札に加える。モンスターを選択する。デッキトップははやて、よって手札に加える」

「っな!? お前イカサマしてるだろ!」

「してない! カリムを生贄にはやてを通常召喚。ミッドチルダと自身の効果でLCを一つずつ置く」

 

A2000・D1700

LCミッドチルダ1 はやて1

 

「フィールドにはやてがいる時、場のLCを一つ取り除きツヴァイを特殊召喚できる」

 

A500・D500

LCはやて1→0

 

「場のはやてとツヴァイを融合! 来い、夜天の主・八神はやて! 融合召喚に成功した事により、LCが二つ乗る。更にはやてはLCの数×300攻撃力が上がる」

 

LCはやて2

はやてA2100・D2000→A2700

 

「攻撃力2700!?」

 

この程度で驚いているなんてレベルが知れるな。

 

「融合素材にされたツヴァイの効果、場のLCを1つ取り除く事で手札に加える。ミッドチルダのLCを取り手札に加える。そして闇の書をはやてに装備」

 

LCミッドチルダ1→0

はやてA2700→A3000

 

「バトル! はやてで不死武士を攻撃!」

『『氷結(アーテム・デス)息吹(アイセス)!』』

 

A3000 VS D600

LC闇の書0→1

 

「カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗 モンスター1 伏せ2 手札2 LP100

剣  モンスター0 伏せ0 手札4 LP10000

 

「ドロー! 不死武士の効果で墓地から特殊召喚。切り込み隊長を召喚、効果で手札からならず者傭兵部隊を特殊召喚」

 

A1200・D400

A1000・D1000

 

切り込み隊長のその名の通りの効果で現れたのは、態度の悪い傭兵達。あいつにはそっくりのカードだ。

 

「ならず者傭兵部隊の効果。このカードを生贄に夜天の主・八神はやてを破壊!」

「その効果にチェーンしてプロテクション発動! このターンはやては破壊されない」

 

ならず者傭兵部隊はダイナマイトを手に取りはやてさんに突進して自爆しようとしたが、プロテクションによりはやてさんが爆発の影響を受けることなく、自分しか爆発しなかった。

 

「ッチ、ターンエンドだ」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗 モンスター1 伏せ1 手札2 LP100

剣  モンスター2 伏せ0 手札4 LP10000

 

この調子でどんどん攻めて行く! ライフを回復して行くくらいなら奴のライフを0に近付けて行くのが先だ! 早くフェイトの所に行って色々と挽回する。

 

「ドロー! 場にはやてが存在する時、場のLCを取り除く事でシグナムを特殊召喚できる」

 

LCはやて2→1

はやてA3000→A2700

 

「攻撃力下げるなんて馬鹿じゃねえか?」

「ッハ、そう思っているならその程度の奴って事だ。そしてアギトを通常召喚。効果でLCを一つ置く」

 

A500・D500

LCミッドチルダ0→1

 

貴様が戦士族を使うなら、こっちは最強の剣士で戦ってやる。この怒り、とくと味わうが良い!

 

「ミッドチルダのLCを取り除きツヴァイを特殊召喚。行くぞ! 場のシグナムとツヴァイとアギトを三体融合! 来い! 氷炎の剣聖神シグナム!」

 

ディスクにカードをセットした瞬間、最終形態共通の衝撃と風が走った。だがその風はただの強風じゃない。寒波と熱風が交互になった天変地異。そして次の瞬間巨大な火柱が天に昇り、その火柱の周りを螺旋状に吹雪が回っている。

そんな異様な火柱の中から現れたのは赤と青の翼を持ち翡翠と紫のオッドアイのシグナムさん。右手に持ったレヴァンティンは炎の渦と吹雪の渦を纏っている。

 

LS氷炎の剣聖神シグナム ☆10/炎/戦士/A3500・D2000

 

「攻撃力3500!?」

「バトル! シグナムで切り込み隊長を攻撃!」

 

A3500 VS A1200

 

『剣閃烈火!』

『衝撃加速!』

『『『氷炎一閃!』』』

 

氷を溶かし、水をも一瞬で蒸発させてしまう程熱い炎と、炎すら凍らせる程の冷たさを持った氷。矛盾するこの二つを纏ったレヴァンティンを、切り込み隊長に向け縦に振った。切り込み隊長は持ち前の剣で受け止めようとするが、錆びた剣は豆腐の様に綺麗に斬れ、切り込み隊長も真っ二つになった。

 

剣LP10000→7700

 

「ック、おのれ・・・・」

「更にシグナムの効果発動! 戦闘でモンスターを破壊した時、その攻撃力のダメージをお前に与える!」

『掛けよ隼! シュツルムファルケン!』

 

レヴァティンは鞘と剣を一体化し、一つの弓の形になった。その名をボーゲンフォルム。魔力の弦を引き、炎と氷の魔力を圧縮した矢を生成。そしてその矢を奴に向けて発射した。

 

剣LP7700→6500

 

「はやてで不死武士を攻撃!」

 

A2700 VS D600

 

『『氷結(アーテム・デス)息吹(アイセス)!』』

 

壊れた鎧しか装備をしていない不死武士の守備では、極寒の吹雪を耐える事しか出来ず、カチコチと凍って行き破壊された。

 

LC闇の書1→2

 

「これでターンエンドだ。エンドフェイズ墓地のアギトの効果。融合素材になったこのカードが墓地に行ったターン、このターン破壊した相手モンスターのレベル合計×100ダメージを与える。不死武士と切り込み隊長のレベル合計は6。よって600のダメージだ」

「ック、うぜぇ・・・・」

 

剣6500→5900

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗 モンスター2 伏せ1 手札0 LP100

剣  モンスター0 伏せ0 手札4 LP5900

 

「ドロー! 不死武士を復活。手札抹殺を発動、俺の手札を交換する。戦士の生還を発動。手札の切り込み隊長を手札に加えそのまま召喚。効果で手札から異次元の女戦士を特殊召喚する。そして一族の結束を発動。戦士族の攻撃力を800上げる」

 

女戦士A1500・D1600→A2300

不死武士A1200→A2000

切り込みA1200→A2000

「バトル! 異次元の女戦士で氷炎の剣聖神シグナムに攻撃!」

「え? 攻撃力が低いモンスターで?」

「どういう事だ?」

 

ハァ・・・・、レッドのみんな。異次元の女戦士は戦闘したモンスターとこのカードを除外する効果を持つカード。その1:1効果は除去カードとして便利であり、有名なカードだ。

ここまで難癖付けられるのはおかしいが、もう少し頑張って勉強しろよ。

 

「甘い、最強の戦士は守る力も持っている! シグナムの効果発動! 相手モンスターの攻撃宣言時このカードをゲームから除外する事で攻撃したモンスターの攻撃力を俺のエンドフェイズまで0にし、守備表示に変更する」

 

女戦士A1500→A0

 

氷炎シグナムさんから放たれた炎の閃光弾により異次元の女戦士は慌てて防御行動を取り、更に氷の足枷が女戦士の攻撃力を0にした。

 

「そんな馬鹿な! ック、カードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズシグナムは俺の場に戻る」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗 モンスター2 伏せ1 手札0 LP100

剣  モンスター3 伏せ1 手札0 LP5900

 

あのニヤニヤとした顔と目。あの伏せはおそらくだが、魔法の筒(マジック・シリンダー)だと思う。まあミラーフォースかもしれない。どちらにしても一発逆転のカード。あのカードをセットした瞬間、勝ちを確信したかのように笑った。

もう少しポーカーフェイスを覚えるべきだ。まあ俺もフェイトさんやはやてさんと言った、お偉方と交渉してきた二人に色々とコツを教えてもらったから読めたのかもしれないが。

 

「ドロー! なのはを通常召喚。ミッドチルダと自身にLCを一つ置く」

 

LCミッドチルダ0→1 なのは1

 

「そしてなのはの効果で自身のLCを取り除き、その伏せを破壊!」

『ディバインシューター!』

「ば、馬鹿な!?」

 

桃色の弾によって破壊されたカードは魔法の筒(マジックシリンダー)。最近良くセットカードを当ててるな。将来プロのデュエリストになれなかったら、心理系の方に進めるかもな。

 

「ミッドチルダのLCを闇の書に移動。そして場の闇の書をゲームから除外してデッキからアインスを特殊召喚! アインスの効果で融合デッキからナハトヴァールを特殊召喚」

 

はやてA2700→A2400

A2300・D2300

A0・D0

 

闇の書から放たれた黒い瘴気の様なオーラが一点に集まり、それが徐々に形を変えてウニョウニョと蠢く蛇の大量の黒い蛇の塊になった。ヌメヌメと生々しく動くその蛇の群は生理的に駄目な人がほとんどであろう。俺もようやく慣れてきたところだ。

実際ナハトを見慣れた俺と十代以外のこの場の全員顔を真っ青にしている。

 

「ナハトの効果でアインスに装備。これにより攻撃力が1000上がる! バトル、シグナムで切り込み隊長に攻撃!」

 

アインスA2300→A3300

A3500 VS A2000

 

氷炎を纏ったレヴァティンで切り込み隊長を真っ二つ、さっきと同じパターンだった。

 

剣LP5900→4400

 

「シグナムの効果で更にダメージだ!」

 

剣LP4400→3200

 

「続いてはやてで異次元の女戦士に攻撃!」

 

A2400 VS D1600

 

ギロリとシグナムさんとアインスに睨まれたが、勝つ為だから許して欲しい。マジで怖い・・・・。

異次元の女戦士を破壊したはやてさんだったが、異次元の女戦士の効果により、共に異次元に連れて行かれた。フィールドにはやてさんがいなくなった事で、またもやシグナムさんとアインスに睨まれた。

 

「ア、アインスで不死武士を攻撃!」

『ブラッディーダガー!』

 

A3300 VS A2000

 

アインスが展開したのは血が固まったような黒い短剣の群。その短剣の群の標的を不死武士にし、一斉発射させた。黒の短剣は死なない武士を串刺しにして、どんな攻撃でも死ななかった武士を倒した。

 

剣LP3200→2000

 

「そしてナハトの効果、戦闘で破壊した不死武士を装備。その攻撃力の半分を装備モンスターに加える」

 

アインスA3300→A3900

 

「そ、そんな馬鹿な・・・・」

 

奴の手札は0。フィールドは一族の結束だけ。墓地に不死武士はいない。戦士族統一デッキでこの状況を打破できるカードはまずないだろう。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗 モンスター3 伏せ2 手札0 LP100

剣  モンスター0 伏せ1 手札0 LP2000

 

俺はエンド宣言をしたが、奴はもうドローする気が無いようだ。奴の仲間の馬鹿共は、既に奴に対して幻滅しており逃げる準備をしている。まあ散々でかい顔をしてきたから自業自得だ。

 

「さっさとドローしろ。じゃなかったらサレンダーするんだな」

「ック・・・・」

 

フェイトとのデートの最中のデュエルだったんだ。

俺はもう勝ちを確信したので、フェイトに連絡を入れようとポケットの携帯を手にしようとしたその時。

 

「お前! その次のドローはお前がデッキを信じる事で変わるんだ。お前が本気でデッキを信じているならドローするんだ!」

 

ハァ・・・・。どうして十代は、迷惑をかけてきた相手にそんな優しい言葉を掛けられるんだろうか。

 

「ッツ・・・・」

「そうだよ。あなたが本当にデッキを信じてるなら、この状況を打破できて遊斗を倒せるかもしれない」

 

凛々しくも可愛い声が背中から聞こえたので、クルッと振り返ると俺のダッフルコートを着たフェイトがいた。どうしてこうもあんな奴を応援するのか。俺が悪役っぽかったからか、それとも二人が優しいのか。

奴・・・・いや、剣はドローする決心を付けたのか、デッキトップに指を置く。

 

「・・・・ドロー! 来た、ブラック・ホールを発動! フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

フィールドの中心に現れたブラック・ホールの渦が、フィールドのモンスターを全て呑み込もうとする。シグナムさんも、アインスも、なのはも、容赦なくブラック・ホールに呑み込まれた。

・・・・本来ならな。

 

「なんで、なんでそのモンスターが残ってるんだ!?」

 

俺のフィールドのモンスターは全滅しておらず、炎と氷を纏ったシグナムさんが立っていた。

 

「シグナムは相手の魔法・罠・モンスター効果で破壊されない」

「そ、そんな・・・・。ターンエンド・・・・」

「ドロー、シグナムで攻撃」

 

A3500

 

戦意を失った相手に本気で斬りつけるのは、シグナムさんのプライドが許さないのだろう。レヴァティンを軽く横に振り、衝撃波を剣に当ててライフを0にした。

 

剣LP2000→-1500

 

デュエルが終り、剣は馬鹿な仲間達から逃げられ一人ぼっちになった。そんな中でも奴はどこか清々しい顔をしている。なんだ? 俺には十代みたいに、楽しませるデュエルなんてしてないぞ。

 

「遊斗だったか・・・・。その、ありがとな」

「俺は何もしてないし、ただ勝負して勝っただけだ。それにお前が最後ドロー出来たのは十代とフェイトのおかげ。俺はサレンダーして欲しかった」

 

剣が改心したのは認めよう。理由は分からないがこうやって礼を言っているした。だがしかし! フェイトとのデート、しかもキスの直前で十代が邪魔をしてきたのはお前達が原因だ。

その事で怒っているので、俺は今かなり冷たい。

 

「お前みたいに強い奴は初めてだ。どうして大会に出ない?」

「・・・・その内出る。じゃあな、これに懲りたら馬鹿やるんじゃないぞ」

 

それだけ言って俺は剣に背中を向け、待っていてくれたフェイトにニコッと微笑む。さっきまとは正反対の俺の態度に、周りにいた観客はギョッとしている。いや、俺は普段あそこまで冷たい人間じゃないぞ?

 

「ゴメンなフェイト」

「ううん。いいデュエルだったよ。いつもは優しい遊斗が怒っててびっくりしちゃった」

「だって・・・・その、いい雰囲気だったのに・・・・」

 

俺が激怒していた理由は、フェイトも分かっていただろうが、やっぱり口にされると恥ずかしいようだ。カアアと頬を真っ赤にさせ、視線をそらして地面の方を向いた。

ハァ・・・・、こんないい雰囲気の時堂々と、フェイトにキスをして甘い言葉でも囁けたらよかったんだが、そんな度胸俺にはない。

ただこのまま何もしないのは余りにも情けないので、フェイトの左手を右手でギュッと握りしめた。

 

 

 




LS氷炎の剣聖神シグナム ☆10/炎/戦士/A3500・D2000
「LS夜天の将シグナム」+「LS祝福の風リインフォース(ツヴァイ)」+「LS烈火の剣精アギト」
自分フィールド上に存在する上記のカードを墓地へ送った場合、融合デッキから特殊召喚できる。(「融合」魔法カードは必要としない)。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果では破壊されない。
また、相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、攻撃宣言したモンスターの攻撃力を自分のエンドフェイズ時まで0にし、守備表示に変更する。
エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。





今回は久しぶりの新オリカ、シグナムの最終形態、氷炎の剣聖神シグナムの紹介。
三体融合と言い、攻撃力3500といい、遊戯王5Dsを知っている方ならお分かりになる通り、スカ―レッド・ノヴァにそっくりの効果です。バーン効果と攻撃力を下げる効果はツヴァイとアギトのイメージなのでオリジナルですが、効果発動のキーはスカ―レッドと同じです。(その方が裁定が楽なので)

効果の説明ですが、やはり強力なのは攻撃力を0にする効果。3500とかなり高い攻撃力を持つモンスターですが、決して超えられない壁ではない。しかしこの効果により戦闘ではほぼ無敵と言っていいでしょう。バーンダメージもあるので、守備モンスターでターンを稼ぐのも難しい。
破壊耐性もありますが、強制脱出装置や次元幽閉と言ったカードには当然弱い。
アギト、ツヴァイどちらかの二体融合の場合はフィニッシャーになりやすく、三体融合の場合はフィールドを支配する。

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