二十代とのデュエルが楽しみです。
追記
ストーリーを修正しました。詳しい変更点は第三十七話の前書きに書いています。申し訳ありませんでした。
機械王とのデュエルで受けたダメージが回復したのは、デュエルが終わってから一時間経った頃だった。その間みんなが人質にされていた翔と双六さんを探索していたが、双六さんだけ見つかったが、翔の姿は何処にも無かった。
その一方、十代とはPDAで連絡を取る事が出来た。どうやら十代が双六さんの店から出た後に双六さんは誘拐されたらしく、俺達がいた喫茶店の騒ぎを見て、俺と翔を探す為にあっちこっち走り回っていてくれたらしい。
十代と再開してしばらくの間、翔の行方を捜したが結局見当たらなかった。
「まさか翔までいなくなっちまうなんて」
「悪い十代。俺がいながら」
「いや、遊斗の所為じゃない。全部その斎王の妹の、美寿知って奴の所為だ」
十代には氷丸と雷丸、そして美寿知の事は話したが、機械王の事は話さなかった。十代はただでさえ斎王やホワイト寮だったりで心配事が多いのに、これ以上心配事を増やしたら、いくら十代でもプレッシャーを感じるだろう。それに20の王が狙っているのはLS。これは俺の問題でもある。
「けどこれからどうする?」
「まずレッド寮のキャンプ場に行こう。向こうから動いてくる可能性がある」
情報が何もない今、ジッとしておくのが一番だろう。
幸いここからキャンプ場までそれほど遠くない。最もキャンプ場と言っても川辺の広場で、自分たちでテントを立てないといけない。因みにイエロー寮は普通の旅館、ブルー女子とホワイト寮は高級ホテルと、相変わらず寮による差がある。
「おっ、もうテントが出来てるじゃんか。おーい! みんなー!」
十代は川辺にいるレッドのみんなに聞こえるように大きな声を出し、手を振りながらみんなの方に走っていき、俺もそれに続く。
「あっ、十代に遊斗! お前達も手伝えよな」
「いや~、わりぃわりぃ。ちょっとトラブルがあってな。お前達も見ただろ? 海馬コーポレーション爆発事件」
「実は俺と翔がその事件に巻き込まれてな。翔は無事だろうが、行方不明だ」
「ま、マジかよ・・・・」
それから数時間。さっきまでのオレンジ色の太陽は山に隠れ、今は満月が見えていた。翔が行方不明と言う事を知ったレッドのみんなのテンションは低く、とても修学旅行とは思えない。
「おーい、みんなー!」
そんな時、聞き覚えのある声が上から聞こえた。声の主は今日お世話になった双六さん。手にはビニール袋を持っており、階段を使い川辺まで下りてきた。
「双六さん! どうしてここに?」
「差し入れじゃよ。遊斗君と翔君には世話になったようじゃからの。ほら、みんなの分もあるぞ」
双六さんの持ったビニール袋の中には、大量のハンバーガーがあった。そう言えばまだみんな、まだ晩御飯を食べていない。一日に二回も命賭けのデュエルをした所為か、俺の腹もかなり減っていたので、双六さんの差し入れを遠慮なく頂いた。
◇
「そうか・・・・翔君が」
「そうなんです。まず間違いなく無事だとは思うんですが」
「やはりその美寿知と言う奴が怪しいな」
「あれ? 三沢いつからいたんだ?」
「さっきからいた!」
ハンバーガーを食べ終わった時には、双六さんと三沢に事の全てを伝え終えた事だった。因みに三沢は「せっかくの修学旅行、大切な友と一緒にいたいからな」と言う事でイエロー寮から出てきたらしい。
「翔君ならきっと大丈夫じゃ。話を聞く限り立派なデュエリストなんじゃ」
「そうですね」
やっぱり双六さんは長く生きているだけあり、冷静に俺達を励ましてくれた。
すると突然、後ろからグ~、と腹が鳴った音がする。さっきハンバーガーを食べたばかりなのに、お前の胃袋はどれだけでかいんだよ、と後ろにいるであろう十代の方を振り向くと、そこには十代はおらず、太った男と痩せた男がいた。
「誰だ!?」
「べ、別に怪しい者じゃない。ただ」
男の一人が慌てて弁解していると、再びグ~と腹が鳴った。先程の音源もこの二人の腹だろう。
「なあお前等。よかったら一緒に食わねえか? このハンバーガー美味いぜ」
「い、いいのか?」
「ああ。メシは大人数で食った方が美味しいからな」
「ハァ・・・・まったく十代は」
「まあいいじゃないか。あれも十代の魅力だ」
◇
それから二人の話を聞いて行く内に、この二人は落ちこぼれのデュエリストだった事が分かった。中々デュエルに勝つ事が出来ず、デュエルアカデミアでは落ちこぼれ扱いされていたレッド寮の生徒さえ、羨ましい、と言っていた。けどこの場にいる全員、努力してデュエルの腕を磨いた人間。十代だって天性の才能を持っているが、それでも受験に向けて必死にデュエルの訓練をしてきたんだ。
「ところでお前達は何でこんな所にいたんだ?」
「ん? ああ、遊城十代ってデュエリストを探してたんだが」
「え? その遊城十代って俺の事だぜ」
じゅ、十代・・・・。もう少し自分の名前を隠そうとは思わないのかよ。どう考えてもさっきの一文から、この二人はお前を狙っているじゃないか。
「マジかよ!?」
「ああ、マジだ」
そして危機感の全くない十代。二人は少し心苦しそうな顔をするが、お互い顔を見合わせ頷き合うと、勢いよく立ちあがった。
「遊城十代! 俺とデュエルしろ!」
「いいぜ。よく分かんねえが、売られたデュエルは買うのがデュエリストだ」
「オイ待て十代。この二人、絶対お前を狙ってる。100%怪しい」
「なんだよ。まさか落ちこぼれの俺達に負けるのが怖いのか? オベリスクのお坊ちゃん」
カッチーン。その挑発は俺への宣戦布告と取っていいだろう。ニヤッと笑みを浮かべる二人に、立ちあがって返事をする。
「おい遊斗。お前まで」
「ホッホッホ、いいじゃないか」
「面白ぇ。デュエルアカデミア最強タッグを今ここで見せてやる。お前達、名前は?」
「俺は岩丸、こっちが炎丸だ」
俺達がデュエルディスクを構えた時だった。前に架かっている綱橋のアーチの上に何かが見えた。ハッキリとは見えないが、満月の光により赤の翼が肉眼で確認できた。デッキケースがカタカタと動いたのでまさかと思い、俺は構えたデュエルディスクを下ろして勢いよく地面を蹴る。
「ごめんみんな! ちょっと急用が出来た!」
「遊斗?」
「おいお前! 逃げるのかよ!」
「そう取ってもらって構わない」
背中に二人の非難の声が刺さるが、今は何と言われようが目の前の奴を無視する事は出来ない。辺りに誰もいない事を確認すると、デッキからフェイトさんが実体化し、俺の体を抱えてアーチの上まで飛んでいく。
鋼で作られたアーチに足を付け、アーチの上に立っている精霊を睨みつける。
フェニックスを連想させる赤い翼。それが装備なのか、それとも生まれつきなのか、白い体から灰色の棘の様なものが体から出ている。
「君の様な子供に、エンディミオンに続き機械王も破れるなんてね」
デュエルモンスターズの中でも高火力モンスターの多い天使族。その中でも一際強力な効果を持った最上級天使が目の前にいる。自らは特殊召喚できながらも、他のモンスターの特殊召喚を封じる、圧倒的な効果を持った天使。
「お前が天使族の王か? 大天使クリスティア」
「そうさ。と言う事はもう目的は分かってるよね?」
「分かっている。だが一つ質問がある。機械王がペラペラと話していた時、精霊界で戦争を起こすと、お前達破滅の光は二つのメリットがあると言っていた。一つは精霊界を弱体化させる事。もう一つは何だ?」
「あ~、あの馬鹿はペラペラ話したのか。まっ、いいけどね。デュエルを受けてくれる代わりに答えよう。もう一つのメリットは、君達LSを見つけやすくする事。と言ってももはや必要ないけどね」
LSを見つけやすくする事?
今一クリスティアの言っている意味が分からなかったので首を傾げると、クリスティアは丁寧に説明してくれた。
「この戦争の原因はLSと民衆に伝える事で、民は戦争を終わらせる為にLSを見つけようとするだろう? しかも見つけたら懸賞金も貰えると知ったら尚更だ」
「そう言う事か。やっぱり戦争の原因がみんなじゃないんだな」
「ああ、LSに罪は無いよ。さあ、おしゃべりは終り。デュエルと行こう」
クリスティアは自分の左腕から灰色の円盤を作り出す。その天使とは思えないグロテスクな光景に、無意識の内に頬がピクピクと動いた。
「最後にもう一つ。お前は王達の中で何番目に強い?」
「ん~、二番か三番かな。あの王達以外はあんま強くないし」
「ッフ、それを聞いて安心した。さあ行くぞ」
「「デュエル!」」
「先攻は貰う。ドロー! 永続魔法時空管理局を発動。なのはを通常召喚。効果でLCを置く」
A500・D1800
LCなのは1
「カートリッジロードを時空管理局に発動し、時空管理局のLCを取り除き、ユーノを特殊召喚」
「いきなりか」
「場のなのはとユーノを融合! 来い、AOA高町なのは!」
『天使族デッキか。気を抜けないね』
A1000・D3000
LC時空管理局1→2
そう。なのはさんの言う通り、天使族は少ないカードでポンと最上級モンスターが出る。ライフ4000でもあっという間に削られ、下手をすればワンショットキルをされる恐れもある。
「なのはさんの効果でデッキからレヴィを手札に加える。カードを二枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ、デッキからカートリッジロードを手札に加える」
場
遊斗 モンスター1 伏せ3 手札3 LP4000
「じゃあ行くよ、ドロー! ヘカテリスを墓地に送り、デッキから神の居城―ヴァルハラを手札に加える」
来たか。高レベル天使族を最大限に生かす優秀な永続魔法。あれは自分フィールドにモンスターが存在しない時、手札から天使族一体を特殊召喚できる効果を持つ。最上級天使族がポンポン出て来るのはだいたいコイツの所為だ。
アンデット族にも同じ効果を持つ永続魔法があるが、アンデットは上級に強いモンスターがいないから採用率は低い。
「ヴァルハラの効果で手札の堕天使アスモディウスを特殊召喚!」
A3000・D2500
巨大な黒の翼。黒と灰色の鎧。腰には銀のチェーンが巻かれている。その堕天使が放つプレッシャーは攻撃力3000と言うだけはある。
堕天使アスモディウスは二つの効果を持つが、その中の一つが特に強い。
「堕天使アスモディウスの効果。一ターンに一度、デッキの天使族を墓地に送る事ができる。堕天使スペルビアを墓地に送る」
強力な効果はこれだ。天使族専用とは言え、便利な墓地肥やしカードである愚かな埋葬を内蔵しているのだ。これだけでもかなり強力だが、もう一つ厄介な効果を持つ。
「さてと、それじゃあバトル! アスモディウスでAOAなのはに攻撃!」
「攻撃宣言時フォーメーションチェンジを発動する。なのはさんを守備にしてデッキから一枚ドロー」
A3000 VS D3000
「う~ん、3000の壁は大きいな。カードを一枚伏せてターンエンド」
「エンドフェイズ永続罠、ウイングロードを発動する」
場
遊斗 モンスター1 伏せ2 手札4 LP4000
大天使 モンスター1 伏せ2 手札3 LP4000
いきなり攻撃力3000を出されるとなるとこっちも辛い所があるが、なのはさんとウイングロードがフィールドにいる。単純な殴り合いになると向こうに歩があるので、なるべく持久戦にならない様に、一気にけりを付けたい。
「ドロー! なのはさんの効果発動。デッキからディアーチェを手札に加え、そのまま特殊召喚」
『天使が相手とは面白いではないか』
A2100・D1600
LC時空管理局2→3 ディアーチェ1
「更に装備魔法、紫天の書を装備。これにより攻守が500上がる」
ディアーチェA2100・D1600→A2600・D2100
「レヴィを通常召喚。効果で自身にLCを置く」
『強いぞ凄いぞカッコイイ~! 遊斗の切り込み隊長ことレヴィ・ザ・スラッシャーとは僕の事だ! ってあれ? ひょっとして三番?』
A1900・D400
自分より先にフィールドにいたなのはさんとディアーチェを見て、ポカーンと口を大きく開けるレヴィ。間抜けなレヴィの姿を見て、なのはさんはクスクスと笑い、ディアーチェは呆れている。
相変わらずのアホの子だがデュエルでは頼りになる。
「なのはさんを守備にしてバトル! レヴィでアスモディウスに攻撃!」
「攻撃力1900で? 何かやるつもりかい?」
「勿論。ダメージステップディアーチェの効果を発動する。このカードのLCを取り除き、LS一体を選択。そのモンスターにLSの攻撃力を集中させる」
LCディアーチェ1→0
レヴィA1900→5500 VS A3000
「いきなり攻撃力5500!?」
『行くぞ! 僕の必殺技! あっ、王様も後に続いて』
『やるかうつけ』
ディアーチェの返答にショボーンと肩を落とすレヴィを無視し、バルフィニカスはバチバチと青い稲妻を刀身に纏わせ、レヴィの魔力変換資質を十二分に発揮させる。
『じゃあ一人寂しくぅ~。エターナルサンダーソード! 相手は死ぬ! ・・・・決まった』
さっきのやり取り以前に登場シーンから、お前がこのデュエルでカッコ良く決めるのは困難だ。とは言うもの、レヴィの放ったエターナルサンダーソードは、アスモディウスの体を真っ二つに切断して大爆発させた。
大天使LP4000→1500
「ぐううう・・・・。い、いきなり1500ダメージ」
「レヴィの効果発動。このカードが戦闘でモンスターを破壊した時、このカードのLCを取り除く事で、デッキからLSを特殊召喚できる。来て、シャマ姉」
A800・D1800
LC紫天の書0→1 時空管理局3→4
「けど破壊されたアスモディウスの効果を忘れるな。このカードが破壊された時、アスモトークンとディウストークンを特殊召喚できる」
真っ二つになったアスモディウスの体がグニョリと動き、次の瞬間分裂した体が二体の天使へと形を変えた。
A1800・D1300
A1200・D1200
「シャマ姉の効果で、紫天の書にLCを置く。更にカートリッジロードを発動し、もう一つ乗せる」
LC紫天の書1→3
「紫天の書の効果発動。このカードに乗ったLCを三つ取り除き、デッキからユーリを手札に加える」
「うわ~、回し方がえげつないね~」
「時空管理局のLCを取り除き、ツヴァイを特殊召喚。場のシャマ姉とツヴァイを融合! 来い、祝福の癒し手シャマル」
LC時空管理局4→3
A1000・D2300
「墓地のツヴァイの効果。融合素材として墓地に送られた時、フィールドのLCを取り除きこのカードを手札に加える」
LC時空管理局3→2
「シャマ姉の効果で紫天の書にLCを乗せ、ターンエンド。エンドフェイズカートリッジロードを手札に加える」
LC紫天の書0→1
場
遊斗 モンスター4 伏せ2 手札4 LP4000
大天使 モンスター2 伏せ2 手札4 LP1500
「とても二ターン目のフィールドとは思えないね。ドロー! 速攻魔法、光神化を発動。手札の天使族の攻撃力を半分にして特殊召喚できる。光神テテュスを特殊召喚」
テテュスA2400→A1200
光神テテュス。正直言うとコイツはチートなんじゃないかと思うくらい強いと思う。自分がカードをドローした時、そのカードが天使族モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事でもう一枚ドロー出来る効果を持つ。しかもこの効果、ドローフェイズ時のドローじゃなくてもいいので、天使族と相性のいいトレード・インでドローしたカードでも追加ドローが出来る。
「余りやられて面白いカードじゃないんだよな~」
「トレード・インを発動。手札の光神機―轟龍を墓地に送り二枚ドロー。ドローした大天使クリスティアを見せてもう一枚ドロー・・・・」
・・・・ホッ。これ以上ドローするつもりは無いようだ。クリスティアを引かれたのは辛いが、まだいい方だと思おう。
「自分の墓地の天使族が四体の時、手札のクリスティアは特殊召喚できる。来い、分身よ!」
A2800・D2300
デュエルディスクを構えたクリスティアと瓜二つのクリスティアが現れた。こいつがフィールドにいる限り、特殊召喚が出来なくなる。攻撃力2800で特殊召喚封じは強力で、実際に準制限に掛かっている。
「この効果で特殊召喚に成功した時、墓地の天使族を手札に加える事ができる。墓地のアスモディウスを手札に加え、場のアスモトークンとディウストークンを生贄に、アスモディウスを召喚」
A3000・D2500
『ほう、これ程の天使が集まるとは』
『あっちのはカッコイイけど、あれはちょっとグロテスクだね。まっ、一番カッコイイのは僕だけど』
『う~ん、レヴィちゃんはカッコイイと言うより可愛いわよ?』
『にゃはは、ちょっとピンチだね』
特殊召喚が封じられたのにも関わらず、緊張感の欠片も無い人達だ。
「バトル! アスモディウスでディアーチェに攻撃! ヘル・パレード!」
A3000 VS A2600
「やっぱりディアーチェから狙ってきたか・・・・」
アスモディウスは両手から禍々しい黒のオーラを出した。両手をディアーチェに向けると、手に溜まった黒のオーラがエネルギー弾となり発射され、その弾にディアーチェは破壊されてしまった。
遊斗LP4000→3600
『あっ! 王様~!』
「ック、やっぱ威力がでかい」
「まだだ! 僕の分身で祝福の癒し手シャマルを攻撃!」
A2800 VS D2300
クリスティアは背中に付いた赤の翼から、超高速の羽を飛ばして攻撃するが、シャマ姉が出したシールドにより、羽がシャマ姉まで届く事は無かった。
「その選択はミスだったな! シャマ姉は一ターンに一度戦闘では破壊されない!」
「うっ。カードを一枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ、光神化の効果でテテュスは破壊される」
場
遊斗 モンスター3 伏せ2 手札4 LP3600
大天使 モンスター2 伏せ3 手札2 LP1500
「俺のターン、ドロー! なのはさんの効果でデッキからシュテルを手札に加え、そのまま召喚する」
『これはまた、ずいぶんと愉快なお相手ですね』
A800・D800
オ、オネストなんていない筈。オネストに臆して何がデュエリストだ。シュテルも目の前の天使達を見て、その瞳に闘士の炎を燃やしている。
「なのはさんを守備にしてバトル! シュテルでクリスティアを攻撃! シュテルは攻撃するモンスターのレベル×300攻撃力を上げる! クリスティアのレベルは8」
シュテルA800→3200 VS A2800
「攻撃力3200に!? インチキだよそんなの!」
「特殊召喚可能+特殊召喚封じ+サルベージ+光属性に言われてたまるか!」
『行きますよ。ブラストファイアー!』
ルシフェリオンから発射された炎で作られた砲撃魔法。それは横に動く火柱で、その火力は大天使であるクリスティアも突破困難。クリスティアは単純に火力で負け、炎に焼かれフィールドから離れて行く。
「クリスティアはフィールドから墓地に送られる場合、墓地へは行かず自分のデッキの一番上に戻る」
「戦闘ダメージが発生しないのはシュテルの効果だ。バトルフェイズ終了時、戦闘を行ったシュテルはゲームから除外される。これで特殊召喚が出来る。シャマ姉の効果で時空管理局にLCを置く」
LC時空管理局2→3
「行くぞ! 祝福の癒し手シャマルを生贄に、ホーリーカタルシス・シャマルを特殊召喚する!」
LC時空管理局3→4
A2000・D3000
ディスクにカードをセットした瞬間、綱橋の下の川からゴゴゴゴ! と音がした。クリスティアと一緒に下を除いてみると川が割れ、川の底が丸裸になっていた。まさか神話の様な光景を、この目で見る事が出来るとは思わなかった。
「さ、流石LSだね・・・・」
『シャマルさん凄い』
『・・・・』
褒めてくれたなのはさんの言葉に、ホーリーシャマ姉はコクンと小さく頷く。ありがとう、と言っているのだ。11年の付き合いだからこれくらい分かる。
「まだまだ、デバイスマイスターを発動! デッキから闇の書を手札に加え、その後時空管理局のLCを二つ取り除いてアギトを手札に加える」
LC時空管理局4→2
「ホーリーシャマ姉の一つ目の効果! 俺の手札の枚数×300俺のライフを回復し、その数値分相手にダメージを与える! 俺の手札は5枚」
「え!? 流石にそれは危ない。手札を一枚捨て、レインボーライフを発動。これでこのターン僕が受けるダメージは回復効果になる」
遊斗LP3600→5100
大天使LP1500→3000
「ッチ、避けたか。ホーリーシャマ姉に闇の書を装備させ、ホーリーシャマ姉の効果発動! 闇の書にLCを二つ置く」
LC闇の書0→2
「最後のカートリッジロードを発動。闇の書にLCを置く」
LC闇の書2→3
「闇の書の効果発動。LCが三つ乗ったこのカードをゲームから除外し、デッキからアインスを特殊召喚する」
LC時空管理局2→3
A2300・D2300
闇の書から発生したオーラから出てきたアインスだが、何故かいつもより機嫌が悪そうで仏頂面だ。
『遊斗、最近私は主とユニゾンをしていない気がするが?』
・・・・言われてみれば、最近王様はやてさんを出していない気がする。仮に出したとしても、フェイクシルエットでどちらかの名称を変えて融合したりと、正規の二人で融合は珍しい。何しろ最近マテリアルズのおかげで、下級でも十分に戦えるようになったから。
「ノ、ノーコメントで。アインスの効果発動、融合デッキからナハトを特殊召喚し、アインスに装備」
アインスA2300→A3300
『私も一人で戦えるとは言え融合機だ。愛する主とユニゾンしたいのだ』
「分かった分かった。レヴィを守備表示にしてターンエンド」
「エンドフェイズ、永続罠リビングデットの呼び声を発動! 墓地のスペルビアを蘇生させ、その効果でテテュスを特殊召喚」
A2400・D1800
A2900・D2400
「ック、ドローフェイズ前にテテュスを呼んできたか」
場
遊斗 モンスター4 伏せ3 手札3 LP5100
大天使 モンスター3 伏せ2 手札1 LP3000
奴のデッキトップはクリスティア。二枚ドローは確定している。
クリスティアの唯一のデメリットでもあるデッキトップに戻る効果も、テテュスが入ればデメリットにならず、むしろアドバンスドロー等を使うとメリットになる。
このターンどうやって対処しようかと考えていると、デッキトップに指を置いたクリスティアが、ドローせずに俺を見つめている。
「君も色々と苦労してるね。LSに」
「・・・・破滅の光に言われたくない。そう思うんならみんなを諦めてくれ」
「僕も面倒臭いんだけど、破滅の光にも上下関係があるからね。ドロー! ドローしたカードは当然クリスティア、もう一枚ドロー、天空の使者ゼラディアスだからもう一枚ドロー。ドローフェイズ終了っと」
ドローフェイズだけで三枚のドロー。やはりテテュスはいかなる手段でも破壊するべきカードだ。これであいつの手札は一気に四枚。そして最後に俺に見せた天空の使者ゼラディアスの効果は――
「手札のゼラディアスの効果。このカードを墓地に送りデッキから天空の聖域を手札に加える。フィールド魔法、天空の聖域を発動。このフィールドがある限り天使族モンスターの戦闘で発生する天使族モンスターのコントローラーへのダメージは0になる」
さっきまで一望出来ていた綱橋は消え、雲の上に建てられた天使の城が生えてきた。すぐ隣には巨大な城門があり、天使が使っているだけありとても綺麗な城だ。
だがこれはソリッドビジョン。本来なら綱橋のアーチの上にいるので、一歩でも左右に動いたら地面に真っ逆様。
「アスモディウスの効果。デッキの
A2800・D2300
「またかよ・・・・」
「アスモディウスとスペルビアを生贄に
奴がディスクにカードを置いた瞬間、ここから少し離れた雲の海の中から、神々しい光が発せられた。余りの眩しさに一瞬目を瞑り、そして光が収まったのを見計らい、ゆっくりと瞼を開く。
輝くクリーム色の服。それは様々な攻撃から身を守る鎧。
左手に持つ杖。それは天使を助ける慈愛の杖。
背中に持つ四つの翼。それは圧倒的な存在感を出し、力を象徴している。
A2800・D2400
「
「へえ。VENUSって人間世界では超レアなんだ。なんか王の僕の方が流通してるって納得いかない・・・・」
天使の王だから、人間世界に一枚しか無いカードも思うがままに使えるって事か。王って凄いな、そこは破滅の光でも素直に感心できる。
「まあともかく、VENUSの効果。フィールドに存在する、天使族以外の攻守を500下げる」
なのはA1000・D3000→A500・D2500
レヴィA1900・D400→A1400・D0
アインスA3300・D2300→A2800・D1800
「うっ、なのはさんとアインスが3000以下になったか・・・・」
天使やドラゴン族と言った高火力モンスターが多いデッキ相手には、攻撃力2900以下のモンスターは大概戦闘で破壊されてしまう。つまり攻撃力3000の優秀なモンスターが多いのだ。逆に言うと3000以上であれば戦闘で破壊される確率が減るのだが、その弱点をVENUSで埋めてきたか。
「バトル! まずはテテュスでレヴィを攻撃!」
『ハッハッハ、馬鹿め! 遊斗、ミラフォを発動だ!』
「そんなカードデッキに入れてないしリバースカードはありません」
A2400 VS D0
守備力0を相手にテテュスも天使としての慈悲を見せてくれたのか、持っている笛でレヴィの頭をポカンと殴った。頭を殴られたレヴィは涙目になりながら頭を押さえ、スッと墓地に行く。
「どうもさっきのレヴィって子は調子を崩すね。クリスティアでAOA高町なのはを攻撃!」
A2800 VS D2500
「ホーリーシャマ姉の効果発動。時空管理局のLCを二つ取り除き、LSがフィールドから離れるのを無効にする!」
『風の護盾』
LC時空管理局3→1
なのはさんに向け放たれたクリスティアの赤い羽根は、先程と同じようにシャマ姉によって防がれた。自分の分身の攻撃が、二度も攻撃を止められた事に、クリスティア自身納得いかないようだ。
「けどVENUSの攻撃が残っている。VENUSでAOA高町なのはを攻撃! ホーリ・フェザー・シャワー!」
A2800 VS D2500
どうやら天使族は自分の羽で攻撃するのが好きなのか、クリスティアと同じように、VENUSは四枚の翼から羽を発射してなのはさんを破壊した。というかVENUSが持っている杖は飾りかよ・・・・。
「ターンエンド」
場 天空の聖域
遊斗 モンスター2 伏せ3 手札3 LP5100
大天使 モンスター3 伏せ2 手札2 LP3000
う~ん、持久戦は余りやりたくなかったんだが、天空の聖域を破壊しない限り、天使を破壊してもダメージ与えられないからな。手札も三枚あるとはいえ、サーチしたユーリとツヴァイとアギト。三人とも特殊召喚が前提となるカードだ。
「アインスでいるから大丈夫か。ドロー! ホーリーシャマ姉の効果発動。時空管理局にLCを二つ置く」
LC時空管理局1→3
「バトルフェイズ開始時、除外されたシュテルがフィールドに戻ってくる。最も、その三体どれも倒せないが」
シュテルA800・D1500→A300・D1000
「バトル! アインスでテテュスを攻撃!」
『ブラッディダガー!』
A2800 VS A2400
テテュスを狙い投擲された地で作られた黒のナイフ。それはテテュスに突き刺さると、その白い服を禍々しい黒で覆いこんだ。
「アインスが装備しているナハトの効果! 装備モンスターが戦闘でモンスターを破壊した時、そのモンスターを吸収し、その攻撃力の半分をアインスに加える」
「それじゃあアインスの攻撃力が・・・・」
アインスA2800→A4000
ナハトヴァールの銃口からウニョウニョと出てきた黒い触手が、クリスティアのデュエルディスクの墓地ゾーンに入りこみ、そこから無理やりテテュスを引きずりこんできた。
攻撃力が4000に上がったとはいえ、天空の聖域でダメージを与える事が出来ず、クリスティアの所為で特殊召喚する事も出来ない。だが特殊召喚が出来ないのは向こうも同じで、アインスのおかげで有利なのは間違いないし、シャマ姉で地道にダメージを稼いで行けば問題ない。
「ホーリーシャマ姉の効果発動。俺の手札は四枚。よって俺のライフを1200回復させ、お前にその数値だけダメージを与える!」
『戒めの鎖』
遊斗 LP5100→6300
大天使LP3000→1800
「ッグ・・・・」
「ターンエンドだ」
場 天空の聖域
遊斗 モンスター3 伏せ4 手札4 LP6300
大天使 モンスター2 伏せ2 手札2 LP1800
「痛~。このままじゃガチでヤバイかな。と言うか君、本当に強いんだね」
「そう思うならサレンダーでもして、大人しく宇宙に帰るんだな」
「まさか。闇のデュエルでサレンダーは許されない。僕も生きたいからね。そんじゃドロー!」
奴の言う通りこのままいけば俺の勝ちだが、そう簡単に事が運ばないのがデュエル。ホーリーシャマ姉を対処しないとあと二ターンでゲームが終わるが、どうやって二回の破壊耐性を持っているホーリーシャマ姉を対処する?
「コイツはついてる。アドバンスドローを発動。クリスティアを生贄に二枚ドロー。デッキトップに行ったクリスティアを入れて二枚ドロー。永続魔法一族の結束を発動。墓地に天使しかいないから、攻撃力を800上げるね」
VENUS A2800→A3600
「光神化を発動! 手札のアテナの攻撃力を半分にして特殊召喚」
アテナA2600・D800→A2100
来たか、スペルビアとの相性が絶望的にいい天使族上級モンスター。かなり優秀なカードだがレベル7と、上級が多い天使族に必須なトレード・インの発動条件を満たせない所が残念だ。
「さあ行くよ~。アテナの効果発動。VENUSを生贄に捧げ、墓地の天使を特殊召喚する。スペルビアを特殊召喚し、スペルビアの効果でVENUSを特殊召喚する」
スペルビアA2900・D2400→A3700
「まだまだ。アテナは天使族が召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時相手に600ダメージを与える。二体特殊召喚したから、1200のダメージ!」
遊斗LP6300→5100
アテナの杖から光のエネルギーが発射され、それが俺の体にダメージを与える。かなりの衝撃が体を襲ったが、少しでも足を踏み外したらアーチから落下する。
「グッ、こんな所でデュエルするんじゃなかった・・・・」
「あ~、それは申し訳ない事をした。またまた墓地の天使が四体になったので、クリスティアを特殊召喚。効果で墓地のアスモディウスを手札に加えて、アテナのバーンダメージ効果!」
クリスティアA2800・D2300→A3600
遊斗LP5100→4500
「痛っ。よくもまあ、こんなにターン経過してまでその条件を満たせる・・・・」
「その厄介な守備モンスターは倒させて貰うよ。バトル! クリスティアで攻撃!」
A3600 VS D3000
「ホーリーシャマ姉の効果で戦闘破壊を無効に」
「じゃあスペルビアで攻撃!」
A3700 VS D3000
ここでLCを消費して破壊を無効にしても、結局はVENUSの攻撃でやられてしまう。ここはLCを使わず、大人しくやられた方がいいだろう。
「あのモンスターがいなきゃダメージも受ける事も無い。続いてアテナでシュテルを攻撃」
A2100 VS D1000
「クリスティアの破壊、ナイスだったぞ」
『お褒めのお言葉ありがとうございます。私は墓地から戦いを見ています』
ホーリーシャマ姉もシュテルも破壊されてしまったけど、攻撃力4000のアインスはそう簡単に突破できなかったのだろう。けどいつまでもアインス一人で耐えきれるとは思えない。
「ターンエンド。エンドフェイズアテナが破壊される」
場 天空の聖域
遊斗 モンスター1 伏せ4 手札4 LP4500
大天使 モンスター3 伏せ2 手札2 LP1800
「ドロー! よし、速攻魔法ロングアーチサポートを発動! これでクリスティアの効果をエンドフェイズまで無効にする」
「何かと色んな手段で特殊召喚しようとするね」
「シグナムさんを通常召喚」
シグナムA1800・D1400→A1300・D900
「更に時空管理局のLCを取り除き、手札のツヴァイとアギトを特殊召喚! 時空管理局の効果でLCに変化は無い」
『ぅぅ。あのカードの所為で力が入らないです』
『元々500しかねえけど、やっぱり0ってのは屈辱だな』
ツヴァイA500・D500→A0・D0
アギトA500・D500→A0・D0
VENUSの効果で攻守共に0にされたツヴァイとアギトは思う様に力が入らないのか、シグナムさんの肩に乗って休んでいる。けどツヴァイとアギトは単体で弱くても、ユニゾンする事で強くなる。
因みにツヴァイとアギトの実際魔法の力を使うと俺はイチコロらしい。俺は数十センチの子供にも勝てないと思うと、軽く鬱になる。
「行くぞ! 場のシグナムさん、ツヴァイ、アギトを融合! 来い、氷炎の剣聖神シグナム!」
右腕には炎の渦を、左手には氷の息吹を。その相反する二つを纏った剣士は、目の前にいる天使達で、手に持っている魔剣で試し斬りをしようと言わんばかりの余裕な表情をしている。
シグナムA3500・D2000→A3000・D2000
「ツヴァイの効果で時空管理局のLCを取り除き、手札に加える」
LC時空管理局3→2
「これまた随分と強いモンスターを・・・・」
「バトルだ! アインスでクリスティアを攻撃!」
『ブラッディダガー!』
A4000 VS A2800
先程テテュスの体を血で汚した短剣が今度はクリスティアを襲いかかる。クリスティアも抵抗するが、ナハトの力で魔力が爆発的に上っているアインスに勝つ事は出来ず、その赤い翼は千切られる。
「クリスティアは墓地に行かずデッキトップに戻る。ナハトヴァールの効果は受けない」
「俺はこれでターンエンド。エンドフェイズ、融合素材になったアギトの効果で、このターン破壊したお前のモンスターのレベル×100のダメージを与える。クリスティアのダメージを受けてもらう」
『ブレネン・クリューガ!』
「うぐっ。天空の聖域なかったらどうなっていたか・・・・」
大天使LP1800→1000
場 天空の聖域
遊斗 モンスター2 伏せ5 手札2 LP4500
大天使 モンスター2 伏せ2 手札2 LP1000
上手い具合にフィールド、ライフで勝っている。なのはさんがいないとどうしても手札消費が激しくなってしまうが、この二人がいる限り何とかなる筈。けどあいつが未だにオネストをドローしていないのが気になるが。
「ドロー! 手札抹殺を使う。僕は二枚」
「俺も二枚だ」
結局使う出番が無かったユーリ。本当にすまない。
サーチしておいて出せなかった事への罪悪感で手札交換はしたくないが、そんな我が儘が通じる訳がない。
「バトル! スペルビアで氷炎の剣聖神シグナムを攻撃!」
「氷炎シグナムさんの効果発動! 相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、攻撃したモンスターの攻撃力を0にして守備表示に変更する」
スペルビア A3700→A0
「VENUSでアインスを攻撃」
「露骨なオネスト!?」
「その通り! ダメージステップオネストを発動! VENUSの攻撃力をアインスの攻撃力分だけ上昇させる!」
VENUS A3600→A7600 VS A4000
『攻撃力7600。流石に無理か・・・・』
VENUSの翼がまるで太陽の様に輝きだした。この真っ白で幻想的な空間でさえ、VENUSの翼の輝きは瞼を閉じる程眩い。その光は闇の力を使っているアインスを浄化するように、アインスの体を包み込み、光の力でアインスを破壊した。
「ぐあああああああ!」
遊斗LP4500→900
アインスへの攻撃が優しくとも、そのダメージは強大なもので、俺へのダメージも大きい。攻撃力3600のダメージを受け、ただの人間である俺が踏みとどまって耐えられる訳が無く、後方へ吹っ飛ばされる。
ソリッドビジョンでは飛ばされた先に地面があるが、実際には存在せず、ソリッドビジョンの地面を貫通し、地面へと落ちて行く。
だが俺が次の瞬間ぶつかったものは、硬い地面では無く、柔らかくて甘い匂いがするもの。
「遊斗。大丈夫?」
「ありがと、フェイト。一日に何回も女の子に助けてもらうって情けないな・・・・」
「そんな事無い、遊斗は一生懸命戦ってる。本当なら第三者である私達がプレイヤーを手助けするのは駄目だけど、事情が事情だから」
フェイトは小さい両手を俺の脇の下に入れ、俺を元居た場所まで運んだ。フェイトに「ありがとう、後で力を貸してくれ」と言ったが、フェイトは一向にデッキに戻る気配は無く、キリッとした顔つきでクリスティアを睨みつける。
「遊斗は今日これで三回の命賭けのデュエルをしている。強い遊斗でも流石に限界だから私がデュエルを引き継ぐ」
「ふ~ん、まあいいよ。どっちにしろ君のライフは900で、僕の優勢には変わりないし」
「フェ、フェイト? これは俺とあいつのデュエルだ」
「分かってる。けど、今の遊斗は命賭けのデュエルを三回もしてボロボロなんだよ! このままじゃいつもの遊斗のデュエルなんて出来る訳ない!」
そんな事無い! と言おうとしたが、視界が霞み、頭がフラフラして視点が定まらない。鉛の様に重たいデュエルディスクを持ちながら、足場の少ないアーチの上を、この足で立つのは不可能だろう。いや、それ以前に立つことすら辛い現状。フェイトが支えてくれないと、すぐにコンクリートに体をぶつけてしまうだろう。
「わ、かった。けど「分かってる」・・・・」
フェイトは俺の左腕からデュエルディスクを取ると、自分の左腕に装着して構える。
「そろそろデュエルを続けるよ? 僕はカードを一枚伏せてターンエンド」
「エンドフェイズ、氷炎の剣聖神シグナムがフィールドに戻る」
場 天空の聖域
遊斗 モンスター1 伏せ2 手札2 LP900
大天使 モンスター2 伏せ3 手札0 LP1000
「行くよ。私のターン、ドロー!」
【このままシグナムで攻撃すれば終わる。けどあのリバースカード】
クリスティアに聞こえない様に、フェイトはアイコンタクトでそう語ってきた。
【けどクリスティアはLSの事を下調べしていないのか、みんなの効果に驚いたりしていた。このまま攻撃で終わるんじゃないか?】
【・・・・考えにくいけど、万が一の為にAsの回収でもう一枚ドローしていい?】
デュエルに関しては素人であるフェイトの意見だが、言う通りにする。もはやフェイトの綺麗な顔も、クリスティアの表情豊かな顔も霞んで見える。
「リオ・ウェズリーを召喚!」
LSリオ・ウェズリー ☆4/光/魔法使い/A1700・D500
リオA1700・D500→A1200・D0
仮にあいつがLSの事を知っていても、このカードは初見だろう。
登場したのは頭の上にリボンを乗せ、ショートヘアーの女の子。八重歯と、一部分だけ伸ばした髪が印象的な女の子だ。アインハルトの友達であり、小さいヴィヴィオの四年後の友達。小さいヴィヴィオと大きいヴィヴィオさんがいるのに、同級生の高町ヴィヴィオがいない事に軽くショックを受けていた出来事が、ボンヤリと脳裏を過った。
「リオの効果発動! 一ターンに二度、墓地のLSと名のつくモンスターをゲームから除外し、相手のエンドフェイズまで攻撃力を100ポイント上げる! 更に除外したモンスターが光、または炎属性の場合、攻撃力が400上昇する。墓地のレヴィとシャマル先生を除外し攻撃力を500上げる」
リオA1200→A1700
「攻撃力1700にしただけ? ひょっとしてまだ効果を秘めてるの?」
「ううん、リオでフィニッシュを決める事はできない。けどリオのおかげで速攻魔法Asの回収を発動できる。これでさっき除外したレヴィとシャマル先生を墓地に戻し、一枚ドローするよ」
フェイトはドローしたカードを見ると、少しだけ頬の緊張を解く。フェイトが欲しかったのはそのカードか。言われてみると、そのカードなら仮に攻撃反応型のカードでも対応する事が出来る。
「バトル! 氷炎の剣聖神シグナムでスペルビアを攻撃! 氷炎の剣聖神シグナムは戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える効果を持つ!」
「そのモンスターの効果は知ってるよ。罠発動
「やっぱりドローしておいて正解だった。速攻魔法ユニゾンアウトを発動! 氷炎の剣聖神シグナムの融合を解除し、融合素材を墓地から特殊召喚する。来て、シグナム、リイン、アギト!」
LC時空管理局2→3
シグナムA1800・D1400→A1300・D900
ツヴァイA500・D500→A0・D0
アギトA500・D500→A0・D0
「対象がいなくなった事で
「ッツ・・・・。初心者の君なら引っ掛かってくれると思ったんだけど、まさか計画を邪魔にされるとは。こんな事になるんだったら、チェンジなんて許すんじゃなかったな~」
氷炎シグナムさんの攻撃宣言時、そのモンスターの効果は知っているよ、と言っていた。他のLSの効果は知らず、氷炎シグナムさんの効果だけ知っているとは考えにくい。フェイトが警戒していた様に、コイツは今まで。
「態々不利になるようなプレイングもして、油断誘ったのにな~」
「今の今まで演技だったって事かよ。そのままやっていたら引っ掛かってたぞ」
「ホント? じゃあやっぱりチェンジを許すんじゃなかったな~」
「恐ろしい奴・・・・。フェイト」
「うん。シグナムでスペルビアを攻撃!」
A1300 VS D0
「ん~、ピンチ」
「シグナム、リイン、アギトを融合! 来い、氷炎の剣聖神シグナム!」
シグナムA3500・D2000→A3000・D1500
「時空管理局のLCを取り除いて、リインを手札に加える。カードを一枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ、融合素材になったアギトの効果を発動! 800のダメージを与える!」
『ブレネン・クリューガ!』
LP1000→200
場 天空の聖域
フェイト モンスター2 伏せ2 手札1 LP900
大天使 モンスター1 伏せ2 手札0 LP200
「さっきのターンAsの回収を発動していなかったら俺は負けていた。ありがとなフェイト」
「ううん、役にたててよかった」
「ドロー! VENUSを生贄に、堕天使ディザイアを召喚! このカードは天使族を生贄にする場合、生贄一体で召喚できる!」
ディザイアA3000・D2800→A3800
シグナムA3000・D1500→A3500・D2000
リオA1200・D0→A1700・D500
クリスティアと同じ赤色の翼。だが堕天した者の翼が綺麗なままでいられる訳は無く、炎の赤と言うより血の様に禍々しい赤。今までに様々な強大な天使と戦ってきたが、ディザイアの威圧感も尋常じゃない。
「ディザイアの効果発動! 攻撃力を1000下げ、氷炎の剣聖神シグナムを墓地へ送る!」
「墓地に送る!? 氷炎シグナムさんは破壊にしか耐性を持っていない・・・・」
「弱点を突かれちゃったね・・・・」
ディザイアA3800→A2800
ディザイアは自らの体から禍々しい闇を放出し、氷炎シグナムさんを闇へと引きずり込む。欲望と願望が込められたその闇の中に、氷炎シグナムさんは苦しそうに呑みこまれて行った。
「バトル! ディザイアでリオを攻撃!」
A2800 VS D500
『私には荷が重いです』
「ごめんね。ピンチの時に呼んじゃった」
ディザイアは両手に持った巨大な盾から刃を出し、二つの刃をクロスするようにリオに斬りかかった。
「ターンエンドだ。ッフ、これでモンスターはいなくなった。手札もさっき回収したツヴァイだけ。さあ、この状況をどうやって突破する?」
「分からない。けどデュエルモンスターズは無限の可能性を秘めている。どんな状況でも必ず突破する手段はある。遊斗はいつもそう言っている」
「フェイト・・・・」
場 天空の聖域
フェイト モンスター0 伏せ3 手札1 LP900
大天使 モンスター1 伏せ2 手札0 LP200
キャンプ場で十代やみんなが待っているんだ。それに行方不明になった翔を助けなくちゃいけない。こんな所で負ける訳にはいかない!
「フェイト! 泣いても笑ってもこれが最後だ! このターンで終わらせるぞ!」
「うん!」
フェイトはデッキトップに力強く指を置き、来て欲しいカードをイメージする。そんなフェイトの肩をギュッと握り、フェイトの指先に魂を送る。二人揃いスーと息を吸い、ハァーとゆっくりと吐く。
「「俺(私)達のターン! ドロー!」」
「来た! ウイングロードの効果発動。ドローしたはやてを特殊召喚する!」
A2000・D1700
LCはやて1 時空管理局3→4
「けど手札のツヴァイと融合した所で、ディザイアに勝てる事は出来ない! ましてや天空の聖域がある以上僕に戦闘ダメージは来ない」
「罠発動、幸運の追い風! 場にはやてがいる時発動できる。ライフを半分払い、手札を一枚捨てる事で、アインスを召喚条件を無視して特殊召喚できる!」
フェイトLP900→450
はやてから溢れ出る白色の魔力。その優しき光を頼りに、眠っているアインスが目を覚める。
「復活して、アインス!」
『今度こそ、奴を倒す』
A2300・D2300
LC時空管理局4→5
「アインスの効果発動! 特殊召喚成功時、融合デッキから夜天の書を特殊召喚する」
A0・D0
「あなたの負け! 夜天の書の効果発動! 時空管理局のLCを全て取り除き、デッキから五枚ドロー!」
「ここにきて手札を五枚ドローだと!?」
LC時空管理局5→0
「行くよ、場のはやてとアインスを融合! 来い、夜天の王・八神はやて!」
ありとあらゆる夜と言う名の闇を支配する魔導師。神の足元でもあり、天使の城である天空の聖域を全て夜で支配し、540の扉、槍の壁、楯の屋根、鎧に覆われた長椅子をも夜で呑みこむ。
その中で光る一筋の光と共に降りてきた王様はやてさん。本来ならこの空間で満たされていた光が、砂漠の中のオアシスの様にとても貴重に見える。
「なっ、なっ・・・・」
LCはやて3
A2800・D2800
「夜天の王・はやての効果発動! このカードに乗ったLCを二つ取り除き、融合デッキの祝福の騎士ヴィータを守備表示で特殊召喚!」
LCはやて3→1
A2600・D2500
「そして場の祝福の騎士ヴィータを生贄に、紅の鉄騎ヴィータを特殊召喚!」
夜に支配された聖域に現れたもう一つの光。その光は王様はやてさんの周りをグルグルと回り、王様はやてさんの前で止まると正体を現す。スラッとした手足、厚い服の上からでも分かる細いウエスト、大人になってもキリッとした表情は変わらず、だがしっかりと美しい女性に成長したヴィータさんがそこにいた。
A3000・D2800
「夜天の書を夜天の主・はやてに装備! バトルだ! 紅の鉄騎ヴィータでディザイアを攻撃!」
「あっ・・・・あ・・・・」
『あんまあたし等や遊斗を舐めんなよ。おめぇが王の中で何番目につええかなんて関係ねぇけどさ、一人で遊斗を倒せると思うなよ。ラケーテンハンマー!』
A3000 VS A2800
グラーフアイゼンは魔力を圧縮させ、ジェット噴射させる事で短時間だが超スピードを出す。鉱石をも軽く討ち砕くヴィータさんの力に、航空型の戦闘機よりも速いスピードが合成される。
欲望と願望の天使もそれには打ち勝てない。
「痛っ! あ~あ~。まさか人間に負けるなんてね~。こりゃほんと、あの方じゃないと勝てないかも」
「さあ、精霊界を混乱させた罪、死んで償え!」
「夜天の主・はやてでダイレクトアタック!」
『雑魚が・・・・。終焉の笛』
A2800
天使族の王であるクリスティアを、まるでゴミを見るかのような目で見下しながら、ベルカ式の三角形の白の魔法陣を出す。ベルカ式の魔法陣の頂点には魔力が平等に溜められ、上に掲げていたシュベルトクロイツを振り下ろす。
『ラグナロク!』
巨大なトンネルよりもはるかに巨大な白の魔力砲撃。クリスティアは接近するそれをため息をつきながら眺め「楽しかったよ」と言い残し、白の砲撃に呑み込まれた。
大天使LP200→-2600
奴のライフが0になったのを確認したのは、王様はやてさんの攻撃が終り、奴の姿が消えていてからだった。ソリッドビジョンが消え、元居た綱橋のアーチの上にいた。
既に立っているのも限界だった体は、デュエルが終わった事により緊張が解かれ、フラフラとアーチに引き寄せられる。
「大丈夫遊斗!?」
「アハハ・・・・。あんまり大丈夫じゃない。シャマ姉とユーノに回復するように言ってくれ。それと、デュエルありがとうフェイト。勝てたのはお前のおかげだ」
クリスティア=演☆技☆王
◇
今回の新オリカ
LSリオ・ウェズリー ☆4/光/魔法使い/A1700・D500
自分の墓地の「LS」と名のつくモンスター1体をゲームから除外して発動できる。
このカードの攻撃力は相手のエンドフェイズ時まで100ポイントアップする。この効果で光属性または火属性をゲームから除外した場合、上昇する数値は400になる。
この効果は1ターンに2度まで使用できる。
このカードが手札から墓地へ送られた時、次の自分のスタンバイフェイズ時、墓地のこのカードを手札に戻す。この効果はデュエル中に1度しか使用できない。
幸運の追い風 通常罠
自分フィールド上に「八神はやて」と名のつくモンスターが存在する時、ライフを半分払い、手札を1枚墓地へ送って発動できる。
自分の手札、デッキ、墓地から「LS祝福の風リインフォース
今回リオは活躍しませんでしたが、ご紹介と言う事で登場させました。
効果が分かりにくいかもしれませんが、よは光か炎を除外したら攻撃力が400上がり、それ以外だと100上がります。あえて作中でシャマルを除外したのも、効果が分かりやすいかな? と思ってです。
もう一つの効果は、あるカードとの相性を良くするためです。まあリオと言ったらあの子ですよね。
幸運の追い風。
あれですよ。闇の書にLCを三つ乗せるのも、LV5二体並べるのも難しいんですよ(苦笑)リビデや蘇生縛ってますから。
だから王様はやてさんが強いんですけど、最近の出番の無さは危険と思いました。王様はやてさんが出ないと、シャマル以外のヴォルケンも出にくくなりますし。
おそらくですが二期入ってからでは、シャマルの出番が一番多いかと。シャマ姉便利。