遊戯王GX 決闘モンスターリリカルなのは   作:あかない

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いや~、お久しぶりです。前回言ってた通り、ネット環境から離れてしばらく執筆+投稿が出来ませんでした。本当は月曜日に投稿しようかとも思ったのですが、予想以上に文字数が多くなり投稿できなくなりました。
久しぶりですので、数ヵ月ぶりにテンションの高い状態で投稿します。


この一週間遊戯王やなのは関連で色々あったと思います(遊戯王らしくなったゼアルだったり、コンプだったりなのは漫画が出たりと)

色々とこの場で書きたいのですが、それは後にして、大事な話がいくつか。


一つはこの回に調整中のルールを勝手に改編してデュエルをしています。これは調整中というのが問題と思うので、謝罪をする訳ではないのですが伝えておこうと思います。


もう一つは、言っていた通り、この回でオリカの募集を止めます。正確に言うと次話を投稿するまでです。今までありがとうございました。




第四十九話

どうやら十代は既にみんなと合流していた様で、十代との待ち合わせ場所に付いた時にはこの研究所に来た時と同じメンバーが揃っていた。何故か明日香の制服がびしょ濡れで、理由を聞くと、プロフェッサー・コブラの罠にかかってしまい、後もう少し手窒息する所だったらしい。

今までのデュエルエナジーの吸収も犯罪レベルのやり口だが、いよいよ殺人まで手を染めたか、プロフェッサー・コブラ。

十代とヨハンもまた、俺とは別にデュエルをしていた様だ。十代の相手はアカデミアの先生の佐藤浩二。その人がプロフェッサー・コブラに手を貸した理由は、十代の影響の所為で自分の授業が崩壊してしまった為らしい。実際に俺もこの人の授業に出た事あるが、勝つ事を最優先とした考え方だから、面白くないんだよな。

ヨハンはヨハンで因縁のある対決をした。何と話題になっていた精霊狩りの人間と戦ったそうだ。何でもヨハンと精霊狩りが戦ったフィールドには精霊の力を妨害する装置が無効にされていたらしく、それを利用してサファイア・ペガサスを札質(人質)にしたようだ。結局宝玉獣とヨハンの絆により、ヨハンはデュエルに勝利した。

 

「調べて無いのはこの奥だけ。ここにプロフェッサー・コブラがいる」

「気を引き締めて行くぞ!」

【おー!】

 

と言った刹那、突如俺達がいた天井がゴゴゴと音を立てて降りて来たでは無いか。後に引くのは簡単だ、数歩後ろへ歩けばいい。ただ前に行くにはそれなりの距離を走らなくてはいけない。俺はともかく、十代とヨハンはデス・ベルトの影響でかなり体力を消耗している。

 

「ゴー! ランニングだ!」

 

ジムの合図と共に一斉に前に走り出したが、体力を奪われている十代とヨハン、女性である明日香、足が遅い翔が間に合うと思えない。走り出す直後すぐ近くにいた明日香を強引に抱き抱えて走る事は出来たが、残りの三人が間に合うとは思えない。

その時だった。落ちて来る壁の動きが止まったのは。

 

「オブライエン! どうしてここに!? お前はプロフェッサー・コブラの味方じゃ無かったのか!?」

「俺はお前達の味方だ。詳しい事は後で話す! 早く行け!」

 

一心不乱に走っていた所為で、どうやってこの壁を止めているのかは知らないが、後方で行われている会話を聞きとる事は出来た。

壁が落ちて来る廊下を抜けた数秒後に遅れていた三人が到着し、更にその数秒後には先程まであった長い廊下は壁になっていた。

 

「ハァ゛ハァ゛。プ、プロフェッサー・コブラは本気ッス」

「ミートゥー」

「ありがとう。助かったわ遊斗」

「意味無かったけどな。ただそう言ってもらえると嬉しいよ」

「この先にプロフェッサー・コブラが」

 

細い廊下を出た先は真っ暗な空間だった。ただ僅かに零れる光から分かる事は、この空間は円の形をしていると言う事。

 

「コブラ! 何処に居る!」

「フッフッフ、まさか訓練をしていない学生達がたどり着くとはな。お前達を過小評価していた様だ」

 

どうやらもう逃げ隠れするのは止めたらしく、プロフェッサー・コブラはこの部屋の明かりを点けて、自らの姿を露わにした。やはり元軍人だけあり、手を降ろして無防備な状態になっているが、隙が一瞬たりともない。

 

「コブラ! 何故こんな事をする!」

「そうザウルス! 今すぐデス・ベルトを解除するドン!」

「それは出来ない。だが冥土の土産に教えてやろう。息子を、リックを救う為だ」

「リック?」

「私はいつもいつも戦場にいた。その事に疑問を思った事は無かった。戦場でリックを拾うまでは。戦うしか無かった私の人生でたった一つの希望、それがリックだった。だが、リックは私の目の前で、事故に合って死んだ」

 

話が見えてきた。プロフェッサー・コブラは息子であるリックを生き返らせる為に、デュエルエナジーを集めている。こんな大掛かりな事件を起こしたら、その後の自分の将来は駄目になってしまうかもしれない。プロフェッサー・コブラもそのくらい分かっていただろうが、自分を犠牲にしてでもリックを救いたいのだろう。リックの事を話すプロフェッサー・コブラの声色は、どこか優しさを感じるものだった。

 

「そんな時私はカードの精霊と出会った。その精霊はリックを生き返らせてくれると言った。だから私はリックを生き返らせる為に、精霊の言う通りにデュエルエナジーを集めている!」

 

プロフェッサー・コブラの話を聞いて、俺はふととある人とこの人が被った。フェイトのお母さん、プレシア・テスタロッサさん。彼女は本当の娘であるアリシアを生き返らせる為に、修羅の道を選び、フェイトにも酷い事をした。プレシアさんの事は、話で聞いた事しかないからどんな人かは分からない。ただ一つ言えるのが、アリシアを助ける為に周りが見えなくなったけど、本当は優しい人、と言う事。

 

「コブラ! 自分が幸せになる為なら誰かを犠牲にしても「十代、俺に話させろ」けど」

「プロフェッサー・コブラ。いや、もうプロフェッサーを付ける必要は無いか。俺はリックを知らないからあんたがどれくら悲しいかは分からない。だけどこれだけは言える。コブラ、あんたはまだやり直せるラインにいる。罪を償い、真っ当に生きる事が出来る」

「ふんっ。子供が何を戯言を」

「俺はッ! あんたと同じ立場にいた人を知ってる。大切な(ひと)を助ける為に、自分の全てを犠牲にしようとした人達を知っている。当事者じゃない俺だけどこれだけは言える! あんたはまだ引き返せる!」

「そんな安っぽい言葉で私を止められるとでも思ったのか?」

「他人を犠牲にしてまで生き返ったリックは喜ぶと?」

 

数秒間の間コブラは無言でいたが、すぐに沈黙を破って口を開いた。

 

「話し合いはこれで終わりだ。デュエルだ。ここを知られた以上、お前達を返す訳にはいかない。根こそぎデュエルエナジーを奪ってやる。相手は遊城十代、お前だ」

「おうっ! そのデュエル、受けて立つぜ!」

 

コブラが十代を指名した理由が気になったが、今はそんな事より重要な事がある。前に出た十代と同じく、俺も前に一歩出て自己主張する。

 

「俺もデュエルに参加させてもらう」

「遊斗?」

「構わん。お遊びでデュエルをしている学生が何人束になった所で結果は変わらん!」

 

コブラの叫び声と同時に、突如この部屋全体が揺れ、ウィーンと機械音がなり部屋の天井が開き、人口の光から月の光によって辺りが照らされる。それと同時に地面がゴゴゴゴ! と音を立てて上に上がって行き、風を感じる外へと伸びて行く。

 

「デュエルアカデミアドン!」

「め、滅茶苦茶高いッスー!」

「悪かったな十代。邪魔して」

「構わないぜ。お前の言葉、すげえ良かった。行くぜ遊斗、俺達の最強タッグを見せてやろうぜ」

「ああ。思えば、こうやってお前とタッグを組むのは初めてだな」

「ライフは私が8000、お前達が4000。お前達はライフ、フィールド、墓地を共通」

「コブラ→俺→コブラ→十代→コブラの順で構わないな?」

「構わん。行くぞ!」

「「「デュエル!」」」

「ドロー! ヴェノム・スネークを召喚!」

 

A1200・D800

 

デュエルモンスターズの中では小さいが、蛇としては破格の大きさを持つ蛇のモンスター。その体を真っ直ぐにしたら、俺より少し小さいくらい。詳しくは無いが、おそらく現実では大きい部類に入るはず。自らの名前に因んだ、爬虫類族のデッキ。こんな時でも思わず一年生の時のミスデュエルアカデミアを思い出す。

 

「カードを二枚伏せてターンエンド」

コブラ モンスター1 伏せ2 手札3 LP8000

 

ヴェノムデッキは相手にカウンターを乗せてジワジワと攻撃力を削っていく、持久戦向きのデッキ。勝手に入って来た俺が今更言う事ではないが、これはライフ8000にさせてしまったのは悪手だった。

いや、くよくよ言ってる場合じゃない。コブラを止める為にも、俺達はこのデュエルを勝たなくてはいけない。

 

「俺のターン、ドロー! ヴィータさんを通常召喚!」

 

A1900・D1200

 

「ワッツ?」

「ヴィータさんドン?」

「遊斗は目上の精霊の人には敬語を使うのよ」

「ほぅ。やはり精霊・・・・」

「お前達の所為で本来の力が出せないがな。魔力高炉を発動。発動後LCを二つ置く」

 

LC魔力高炉2

 

「そしてLCを一つ取り除き、ツヴァイを特殊召喚!」

 

AD500

LC魔力高炉2→1

 

「場のヴィータさんとツヴァイを融合! 来い、祝福の騎士ヴィータ! 効果でセットされた二枚のカードを破壊する!」

「チェーンしてダメージ=レプトルと安全地帯をヴェノム・スネークに発動!」

 

ヴィータさんの効果で破壊できなかったのは少々勿体ないが、情報アドバンテージを得られただけでも十分にでかい。ダメージ=レプトルからの展開が怖いが、ライフを減らす事を優先しないと、ヴェノムは面倒臭い事になる。何故ここまでヴェノムに詳しいかというと、襲ってきた爬虫類族の王がヴェノムを使っていたから。

 

「ツヴァイの効果。魔力高炉のLCを取り除き、このカードを手札に加える」

 

LC魔力高炉1→0→破壊

 

「バトル! ヴィータさんでヴェノム・スネークを攻撃!」

『ラケーテンハンマー!』

 

A2600 VS A1200

 

グラーフアイゼンの後頭部から発射されるジェットに身を任せ、ヴェノム・スネークに猪の如く突進する。蛇に打撃攻撃は効きそうにない気もするが、そんな俺のイメージを破るかの如き勢いでグラーフアイゼンを叩きつけ、ヴェノム・スネークを真っ二つに切断する。

 

コブラLP8000→6600

 

「グゥッ、安全地帯の効果でヴェノム・スネークは破壊されない。ダメージ=レプトルの効果で受けたダメージ以下の攻撃力を持つ爬虫類族を特殊召喚する。二枚目のヴェノム・スネークを特殊召喚!」

 

A1200・D600

 

体を切断されたヴェノム・スネークはトカゲのしっぽの様に体を生やして元の姿を取り戻し、ダメージ=レプトルの絵の中からもう一体の蛇が現れる。

 

「やっぱり序盤であのカードは呼ばないか・・・・。カードを一枚伏せてターンエンド」

「すげえぞ遊斗。一ターン目から大ダメージだ」

「ああ。だが初期手札が俺達の方が多い分、ライフはコブラの方が上。気を引き締めていこう」

 

遊斗  モンスター1 伏せ1 手札3 LP4000

コブラ モンスター2 伏せ2 手札3 LP6600

 

「ドロー! 来たか、フィールド魔法ヴェノム・スワンプを発動!」

 

そこはまさに毒蛇の楽園と言える場所。樹は枯れ、動物の骨が毒沼の中に浸かり、動物達の悲惨な末路が見えて来る。樹が枯れているのにも関わらず、蛇たちが逃げ隠れ出来る紫色に濁った森林は生かされている。三幻魔専用のフィールド魔法、失楽園にどこか似ている。

 

「さあ十代。厄介なフィールド魔法が来たぞ。出来れば俺達どっちかのフィールド魔法で上書きするのが一番だが」

「そんな事はさせん。永続魔法、フィールドバリアを発動」

 

だろうな。これでフィールドバリアを破壊しない限りヴェノム・スワンプを破壊する事は出来ない。一応バウンスという手段があるが、魔法・罠のバウンスは少なく、パッと思いつくのは十代のトリプルコンタクトかニンジャ。

 

「不気味な場所だな・・・・」

「ア、アニキー!」

「あっち行くドン!」

 

背中から聞こえて来る悲鳴に、俺達は慌てて振り向くと、フィールド魔法ヴェノム・スワンプに潜んでいた蛇達がみんなを襲っていた。

 

「汚いぞコブラ!」

「ただのデュエルじゃないって事か」

「なんとでも言え。二体のヴェノム・スネークの効果を発動! ヴィータにヴェノムカウンターを一つずつ置く!」

 

ヴェノムカウンター(以後VC)ヴィータ0→2

ヴィータA2600→A1600

 

二体のヴェノム・スネークはヴィータさんに向け、口から紫色の液体を発射する。その液体を浴びたヴィータさんの肌が、当たった部分から痛々しい紫色に変わる。

 

「ヴィータが!? 遊斗、これは」

「ヴェノム・スワンプの影響下では、ヴェノムカウンターを乗せたモンスターの攻撃力は、カウンターの数×500ダウンする」

「それだけじゃない。ヴェノム・スワンプはエンドフェイズ時に、ヴェノム以外のモンスターにカウンターを一つずつ乗せ、この効果で攻撃力が0になったモンスターを破壊する」

「つまりどんどん毒が回って行くって事かっ!」

「そう言う事だ。安全地帯の影響を受けていないヴェノム・スネークを守備表示に変更。これでターンエンドだ」

 

VCヴィータ2→3

ヴィータA2600→A1100

 

場 ヴェノム・スワンプ

遊斗  モンスター1 伏せ1 手札3 LP4000

コブラ モンスター2 伏せ3 手札2 LP6600

 

「俺のターン、ドロー。コブラ! お前が俺の仲間達を傷つけると言うのなら、俺は全力でお前を倒す! 融合発動。手札のスパークマンとエッジマンを融合! 来い、プラズマヴァイスマン!」

 

A2600・D2300

 

スパークマンがエッジマンの武器や装甲を得た新たなるHERO。両手には黄金に輝くエッジマンのハンマーが装着されており、胸の部分や脛にもプラズマヴァイスマンの装甲が見られる。その他の部位にはスパークマンが着ていた青いスーツが見えるので、スパークマンがメインと言うのが分かる。

 

「バトル! プラズマヴァイスマンで守備表示のヴェノム・スネークを攻撃!」

「ダメージ=レプトルを恐れて守備表示のスネークを狙ってきたか」

「いや、プラズマヴァイスマンは貫通効果を持っている。行け、プラズマヴァイスマン! プラズマ・パルサーション!」

 

A2600 VS D600

 

プラズマヴァイスマンは黄金に輝く右手のハンマーに、強力な電気エネルギーを溜めてより一層に輝きを放つ。この月下で月よりも綺麗に輝く黄金のハンマーは、ヴェノム・スネークを真っ二つに切断し、再生できない様に電気で燃やしつくす。そしてライフダメージが衝撃となってコブラを襲う。

 

コブラLP6600→4600

 

「ダメージ=レプトルを恐れないか。ダメージ=レプトルの効果でヴェノム・ボアを特殊召喚!」

 

A1600・D1200

 

先程のヴェノム・スネークより一段と大きい青色の蛇。間違いなく、現実世界で大蛇と呼ばれるであろう大きさで、クネクネと曲がったその体を伸ばしたら数メートルはある。

 

「ヴィータを守備表示に変更。これでターンエンドだ」

 

VC ヴィータ3→4 ヴァイスマン0→1

ヴィータA1100→A600

ヴァイスマンA2600→A2100

 

場 ヴェノム・スワンプ

十代  モンスター2 伏せ1 手札3 LP4000

コブラ モンスター2 伏せ3 手札2 LP4600

 

「悪い遊斗。お前のサポートが出来なかった」

「気にするなって。自分のデュエルをやるのが一番だ」

「ふんっ、やはりお前達のデュエルは甘いな。私を倒すや助けると言っておきながら、結局は慣れ合いのデュエルで、背負うものは何もない」

「ツッ!」

 

コブラの言葉が十代の心にグサッと来たのか、十代は何も言い返さずに、悔しさを込めた小さな舌打ちしかしなかった。

一年前も、エドとのデュエルの後十代は深く悩んでいた。さっき戦った佐藤先生も、デュエルを楽しそうにやる十代が嫌いと言ったそうだ。

心の奥底で悩んでいた、デュエルを楽しくやったらいけないのか、という疑問をこの一日で二回も付き付けられ軽く動揺している。俺の目に映る今の十代は、そう見える。

 

「違う! 十代や遊斗はみんなの期待を必死に背負っている! 付き合いの短い俺でもそれは分かる!」

「ヨハン・・・・」

「ありがとなヨハン」

 

けど俺は期待を背負う程、誰かを助ける事が出来る人間じゃない。俺も周りのみんなの様に、十代に期待している一人だ。

だけど全く背負うものが無いと言う訳ではない。俺が首にかけている、F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)が纏う五つの色を発する竜の爪。精霊の王の中の王を倒した者として、死んだ彼らに恥じない様にデュエルをする覚悟がある。

 

「俺達にだって背負うものはある! だからお前には負けない。だろ、十代?」

「あ、ああっ・・・・」

「ふん。だったら見せて見ろ! 私のターン、ドロー! ヴェノム・スネークの効果発動。ヴィータにヴェノムカウンターを乗せる」

 

VCヴィータ4→5

ヴィータA600→100

 

エンドフェイズ時にヴェノム・スワンプの効果でヴィータさんにVCが乗る。だからヴェノム・ボアの効果をヴィータさんに使わなかった。そんな所だろう。

 

「ヴェノム・ボアの効果。プラズマヴァイスマンにVCを二つ乗せる」

 

VCヴァイスマン1→3

ヴァイスマンA2100→A1100

 

「プラズマヴァイスマン!」

 

ヴェノム・ボアが放つ紫の液体を浴びたプラズマヴァイスマンの体も、ヴィータさんと同じように紫に変色して行く。これがヴェノムの本領。

 

「マジック・プランターを発動。安全地帯を墓地へ送り二枚ドロー。安全地帯の効果で、ヴェノム・スネークは破壊される。手札を一枚捨て、スネーク・レインを発動!」

「ヴェノムの王様が現れるのが近い」

「スネーク・レインの効果でデッキの爬虫類族を四枚墓地へ送る。ヴェノム・コブラ、二枚のヴェノム・サーペント、そして毒蛇王ヴェノミノンを墓地へ送る」

 

スネーク・レインには、探検隊の頭上に樹から蛇が落ちて来る絵が描かれているのだが、いくらソリッドビジョンでもそこまで再現できず、プロフェッサー・コブラは手動で四枚の爬虫類族を墓地へ送る。

 

「死者蘇生を発動。墓地の毒蛇王ヴェノミノンを特殊召喚する!」

 

AD0

 

毒を連想させる紫のマントと、蛇の形をした兜らしき物を被っている大蛇。その高さは俺達、成人男性と余り変わらないが、地面にウニョウニョと伸びている尻尾も入れたら、相当な大きさになるだろう。複数の黒い小さな蛇が絡み合い、手と指を作り出している。

 

「ヴェノミノンの攻撃力は墓地の爬虫類族の枚数×500アップする。墓地の爬虫類族の数は六枚。攻撃力は3000!」

 

ヴェノミノンA3000

 

「バトル! ヴェノミノンでプラズマヴァイスマンを攻撃! ヴェノム・ブロー!」

 

A3000 VS A1100

 

ヴェノミノンは右腕の蛇達を操り、小さな蛇達を一つの大きな蛇へと変化させる。その巨大な蛇の口から微かに紫が入った、どす黒い塊を吐きだしてプラズマヴァイスマンを破壊する。ヴェノミノンとプラズマヴァイスマンの数値の差分のダメージを与える為、ヴェノム・スワンプに隠れていた蛇達が俺と十代の体に噛みつく。

 

「ぐああああ!」

(うっ)! だ、大丈夫か十代?」

「あ、ああ・・・・」

 

十代LP4000→2100

 

襲い掛かって来た蛇達は、小さい割には予想以上に鋭利で尖った歯をしていた。しかも微弱だが毒を持っているのか、傷口辺りの感覚が鈍くなっている。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

「十代、今だ!」

「メインフェイズ終了時、ソニックムーブを発動! ヴィータをゲームから除外する!」

「ヴェノムカウンターを取り除いたか」

「ターンプレイヤーであるあんたが優先権を持っている。先にヴェノム・スワンプの効果を処理するんだな」

「ヴェノムモンスターもヴェノミノンもヴェノム・スワンプの効果は受けない」

「効果処理後にヴィータさんがフィールドに戻ってくる」

 

A2600・D2500

 

隣に居る十代は効果処理が何なのか今一よく分かっていないのか、ポカーンと軽く口を開いている。俺もデュエルを知り尽くしている訳ではないが、もう少し勉強しよう。

 

場 ヴェノム・スワンプ

十代  モンスター1 伏せ0 手札3 LP2100

コブラ モンスター2 伏せ3 手札1 LP4600

 

「ドロー! よしっ、シュテルを召喚!」

 

A800・D1500

 

下級モンスターの中では無類の戦闘能力を持つシュテル。本来ならデメリットである除外効果も、ヴェノム・スワンプの状況下ではむしろメリットへと変わる。

 

「バトル! シュテルでヴェノミノンを攻撃! ヴェノミノンのレベル×300攻撃力をアップさせる!」

『ブラストファイアー!』

 

シュテルA800→A3200 VS A3000

 

九歳の少女が持った杖先に溜められたのは、全てを焼き尽くす滅びの炎。オリジナルと同じ一撃必殺・火力重視・全力全開の思考を持つシュテルは、巨大な蛇の王に向けて炎の砲撃を放つ。右手の蛇からプラズマヴァイスマンを破壊した塊を発射するが、ジュッと小さな音を立てて蒸発し、ヴェノミノンは少し長くジューと音を出して蒸発する。

 

「ヴェノミノンの効果発動! 墓地の爬虫類族をゲームから除外し、このカードを特殊召喚する!」

 

ヴェノミノンA0→A2500

 

「ヴィータさんでヴェノム・ボアを攻撃!」

『ラケーテンハンマー!』

 

A2600 VS A1600

コブラLP4600→3600

 

「ダメージ=レプトルの効果発動。デッキから二枚目のヴェノミノンを特殊召喚する!」

 

ヴェノミノンA0→A3000

 

やっぱ二枚目も持ってるよね~。これ以上ヴェノムカウンターを乗せない為に、ボアを破壊したが、3000のモンスターが二体並ぶのは辛い。おまけに戦闘ダメージを防ぐカードが一枚しか無い。

 

「バトルフェイズ終了時、シュテルがゲームから除外される。カードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズ時にヴェノム・スワンプの効果でヴェノムカウンターを乗せる」

 

VCヴィータ0→1

ヴィータA2600→A2100

 

場 ヴェノム・スワンプ

遊斗  モンスター1 伏せ1 手札1 LP2100

コブラ モンスター2 伏せ3 手札1 LP4100

 

「ヴェノミノンが二体並んじまったな」

「悪かった十代。正直お前頼みになりそうだ」

「良いって。遊斗のおかげで手札もそこそこあるし」

「私のターン、ドロー! カードを一枚伏せる。バトル! ヴェノミノンでヴィータを攻撃!」

「罠発動! フォーメーションチェンジ! 攻撃対象になったヴィータさんの表示形式を変更し、デッキから一枚ドローする」

 

A3000 VS D2500

 

ヴェノミノンが発射する塊により破壊されてしまったヴィータさん。これで俺達のフィールドはがら空きとなった。

 

「呆気ないな。ヴェノミノンでダイレクトアタック!」

 

A3000

 

流石に同じ攻撃ばかりで飽きたのか、ヴェノミノンは一つの蛇になった腕を元々の複数の蛇に戻し、その蛇達を飛ばして攻撃してきた。確かにフィールドには何もないが、手札は二枚ある。蛇が間近に来た時、手札を一枚捨てて青き狼を呼ぶ。

 

「残念。手札のザフィーラを捨て戦闘ダメージを0にする。その後デッキから一枚ドロー」

 

もう一枚はサーチしたツヴァイだからな。フォーメーションチェンジでザフィーラを引かなかったら負けていた。

 

「チッ、カードと一枚伏せてターンエンド」

 

場 ヴェノム・スワンプ

遊斗  モンスター0 伏せ0 手札2 LP2100

コブラ モンスター2 伏せ4 手札1 LP3600

 

「俺のターン、ドロー! 融合回収(フュージョンリカバリー)を発動!」

「させん! 邪神の勅命を発動! 手札のヴェノム・サーペントを見せる事により、魔法の発動を無効にする」

 

発動条件が少し厳しいが、魔法を無効に出来る優秀なカードだ。これで十代は墓地の融合を手札に加える事が出来なくなった――が、少し使うタイミングが早すぎた様だ。

 

「コンバート・コンタクトを発動! フレア・スカラベとブラック・パンサーを墓地へ送りデッキから二枚ドロー! バブルマンを召喚! 効果でデッキから二枚ドローする」

 

A800・D1200

 

「まだまだ! 速攻魔法バブル・シャッフルを発動! バブルマンとヴェノミノンを守備表示に変更し、バブルマンを生贄にネオスを特殊召喚!」

 

A2500・D2000

 

泡の竜巻がバブルマンを包み込む。泡が消えた時、中に居たのはバブルマンでは無く、十代のエースカードネオス。

 

「装備魔法アサルト・アーマーをネオスに装備!」

 

ネオスA2500→A2800

 

「バトルフェイズ開始時、シュテルが戻ってくる! バトル! シュテルで守備表示のヴェノミノンを攻撃!」

『ブラストファイアー!』

 

シュテルA800→A3200 VS D0

 

「ヴェノミノンの効果! 墓地の爬虫類族を除外して、復活させる!」

 

ヴェノミノンA3000→A2500

 

「ネオスで復活したヴェノミノンを攻撃! ラス・オブ・ネオス!」

 

A2800 VS D0

 

右手を振り上げた状態で高く跳び上がったネオスは、月を背景に、ヴェノミノンの元へ飛びこんで右手の手刀を振り下ろす。

 

「ヴェノミノンの効果! 爬虫類族を除外して、復活!」

 

ヴェノミノンA2500→A2000

 

「けどこれでヴェノミノンの攻撃力は下がった」

「アサルト・アーマーの装備を解除し、ネオスをもう一度攻撃させる! 攻撃表示のヴェノミノンを攻撃だ! ラス・オブ・ネオス!」

 

A2500 VS A2000

コブラLP3600→3100

 

「ダメージ=レプトルの効果。デッキから攻撃力100のヴェノム・コブラを特殊召喚する」

 

A100・D2000

 

「シュテルはゲームから除外される。カードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズ、ヴェノム・スワンプの効果でネオスにヴェノムカウンターが乗る」

 

VCネオス0→1

ネオスA2500→A2000

 

場 ヴェノム・スワンプ

十代  モンスター1 伏せ1 手札0 LP2100

コブラ モンスター3 伏せ3 手札1 LP2800

 

「私のターン、ドロー! 速攻魔法異次元の埋葬を発動! ヴェノミノンの効果で除外した二枚の爬虫類族と、お前達が除外しているシュテルを墓地へ戻す」

「せっかく除外したモンスター達が!」

 

ヴェノミノンA1500→A2500

 

それだけじゃない。仮にこのターン凌いだとしても、シュテルの攻撃が途切れてしまった。このタイミングで異次元の埋葬を引かれたのは辛い。実質先のターンの攻撃が、ライフダメージを与えた以外ほぼ無意味になり、十代の手札が0になってしまった。

 

「ヴェノム・サーペントを守備表示で召喚!」

 

A1000・D800

 

「効果でネオスにヴェノムカウンターを置く!」

 

VCネオス1→2

ネオスA2000→A1500

 

ヴェノムカウンターの所為で2500という優秀な数値が、あっという間に1500と下級ラインまで落ちて行く。

 

「バトル! ヴェノミノンでネオスを攻撃! ヴェノム・ブロー!」

 

A2500 VS A1500

 

ヴェノミノンの両手になっている無数の蛇達がネオスに向かって勢いよく飛ぶ。槍の様に体の先端を尖らせた蛇達は、ネオスの体を貫通して十代に襲い掛かる。慌てて十代の元へ走ろうとしたが、ヴェノム・スワンプに潜んでいる蛇達が足に絡みつき、フィールドを動く事が出来ず、十代への攻撃をただ見ているしか出来なかった。

 

「ぐあああああっ!」

 

十代LP2100→1100

 

「終わりだ! ヴェノミノンでダイレクトアタック!」

「クッ、速攻魔法クリボーを呼ぶ笛を発動! デッキからハネクリボーを特殊召喚する! 頼むぜ相棒」

 

A300・D200

 

「チッ、ハネクリボーに攻撃だ!」

 

A2500 VS D200

 

ヴェノミノンの攻撃にハネクリボーは破壊されてしまったが、最後の力を使って俺達の前に優しい光のバリアを展開させる。これでこのターンは何とか凌いだ。

 

「ターンエンドだ」

 

場 ヴェノム・スワンプ

十代  モンスター0 伏せ0 手札0 LP1100

コブラ モンスター4 伏せ3 手札0 LP2800

 

ヴェノム・スワンプ。ターンが経過するごとに攻撃力がダウンする凶悪なフィールド魔法だが、守備力までは下がらない。そこを上手く付けこみ、次のドローに繋げよう。その為には彼女が来てくれないと始まらない。頼む!

 

「俺のターン、ドロー! いつも助かるよ。シャマ姉を召喚! 効果で自身にLCを置く!」

 

LCシャマル0→1

A800・D1800

 

「シャマ姉のLCを取り除いてツヴァイを特殊召喚! 場のシャマ姉とツヴァイを融合! 来い、祝福の癒し手シャマル!」

 

A1000・D2300

 

「祝福の癒し手シャマルを生贄に、ホーリーカタルシス・シャマルを特殊召喚する!」

 

A2000・D3000

 

ヴェノム・スワンプの毒にも侵食されない、浄化(カタルシス)を司る聖なる泉が現れる。その泉に純水の水が一滴落ち、水面のピチャンという音を合図に泉からホーリーシャマ姉が出てきた。

 

「ホーリーシャマ姉の効果発動。自身にLCを二つ置く。これでターンエンドだ」

 

LCシャマル0→2

 

「例え守備力3000のモンスターを出した所で、数ターンしかもたん。ヴェノム・スワンプの効果発動!」

 

VCシャマル0→1

シャマルA2000→1500

 

場 ヴェノム・スワンプ

遊斗  モンスター1 伏せ0 手札0 LP1100

コブラ モンスター4 伏せ3 手札0 LP2800

 

そうか。最近ハッキリと裁定が決まったからプロフェッサー・コブラは知らないみたいだな。ヴェノム・スワンプの抜け道を。

 

「ドロー! ヴェノム・サーペントの効果でシャマルにヴェノムカウンターを置く」

 

VCシャマル1→2

シャマルA1500→A1000

 

「どうやら一ターンも持たないようだ。ヴェノム・サーペントを生贄に、ヴェノム・ボアを召喚! 効果でヴェノムカウンターを二つ置く!」

 

VCシャマル2→4

シャマルA1000→A0

 

「これでお前達の壁モンスターはいなくなる!」

「ホーリーシャマ姉の効果発動。このカードのLCを二つ取り除き、破壊を無効にする!」

「それでもヴェノム・スワンプの効果で――な、何故破壊されん!?」

「ヴェノム・スワンプは攻撃力が0になった時に発動される効果。この効果で攻撃力が0になっているモンスターが一度破壊されなかった時、もう一度破壊される事はないんだよ」

 

LCシャマル2→0

 

「すげえぜ遊斗! これならヴェノム・スワンプにも対抗できる!」

「だが攻撃力が0の状態では何もできん! ターンエンド!」

 

場 ヴェノム・スワンプ

遊斗  モンスター1 伏せ0 手札0 LP1100

コブラ モンスター4 伏せ3 手札0 LP2800

 

確かにコブラの言う通り、いくら破壊を間逃れても攻撃力は0のまま。だけどホーリーシャマ姉は自分だけじゃなく、他のモンスター達も守る事が出来る。十代ならそこを上手くつけるはず。

 

「俺のターン、ドロー! まずはホーリーシャマルにLCを二つ置くぜ!」

 

LCシャマル0→2

 

「ホープ・オブ・フィフスを発動! スパークマン、エッジマン、プラズマヴァイスマン、バブルマン、ネオスをデッキに戻し、二枚ドロー! シャマルの効果。手札の枚数×300俺のライフを回復させ、お前にダメージを与える! 俺の手札は2枚!」

『戒めの鎖』

「ぐっ。おのれ・・・・」

 

質量保存もへったくれも無く、十代の手札から尖った鎖を出したホーリーシャマ姉は、鎖を使ってコブラのエネルギーを吸収し、その生命エネルギーを十代の頭上に降らす。

 

十代LP1100→1700

コブラLP2800→2200

 

「グロー・モスを召喚! そしてNEX(ネオスペーシアンエクステント)を発動! グロー・モスを墓地へ送り、ティンクル・モスを特殊召喚する!」

 

A500・D1100

 

「最近お前そのカードよく使うよな」

「今は心強いだろ?」

「ああ!」

「バトル! ティンクル・モスでヴェノム・ボアに攻撃! 攻撃宣言時ティンクル・モスの効果で一枚ドロー! ドローしたカードはスペーシア・ギフト。ダイレクトアタックだ!」

 

コブラLP2200→1700

 

「こざかしい真似を!」

「二人のライフがコブラと並んだ!」

「スペーシア・ギフトを発動。デッキから二枚ドローする。カードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズ時にヴェノム・スワンプの効果を発動!」

 

VCシャマル4→5 ティンクル0→1

ティンクルA500→A0

 

「ホーリーシャマルの効果発動。モンスターが離れる代わりに、このカードのLCを二つ取り除く」

 

LCシャマル2→0

 

場 ヴェノム・スワンプ

十代  モンスター2 伏せ1 手札1 LP1700

コブラ モンスター4 伏せ3 手札0 LP1700

 

「凄いドン! アニキと遊斗先輩のカードが助け合ってるザウルス!」

「ティンクル・モスでドローしてホーリーシャマルでダメージを与える。グレイトコンボ!」

「調子に乗るな。お前が魔法を引けば私の勝ちだ。ドロー! このままバトル。ヴェノミノンでティンクル・モスを攻撃!」

 

非常に残念なことだが、十代が自分に都合の悪いカードをドローすると思うか? ドローした十代は、嬉しそうに口元をニヤリと上げて、コブラへとドローしたカードを見せる。

 

「ドローしたカードはカードガンナー。このターンのバトルフェイズを終了させる」

「チッ、ヴェノム・ボアの効果でシャマルにヴェノムカウンターを二つ置く。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

VCシャマル5→7 ティンクル1→2

 

場 ヴェノム・スワンプ

十代  モンスター2 伏せ1 手札1 LP1700

コブラ モンスター4 伏せ4 手札0 LP1700

 

「ドロー。バトル! ティンクル・モスでヴェノム・ボアに攻撃。ドローしたカードは魔法都市ミッドチルダ。よってダイレクトアタック!」

 

と言ってもティンクル・モスの攻撃力は0。ダメージを与える事はできない。

 

「ホーリーシャマ姉の効果。俺のライフを600回復させ、その数値分ダメージを与える!」

『戒めの鎖』

 

遊斗LP1700→2300

コブラLP1700→1100

 

「なのはを通常召喚! 効果でLCを置き、LCを取り除いてフィールドバリアを破壊する!」

『アクセルシュート!』

 

LCなのは1→0

 

精霊のなのはだったら、フィールドバリアをスターライトブレイカーの単純火力を使って破壊するだろうが、ソリッドビジョンの思考には限界があり、コブラの足元にあるフィールドバリアのカードを桃色の魔力弾で破壊するだけだった。

 

「これでフィールド魔法が使える! フィールド魔法、魔法都市ミッドチルダを発動! ヴェノム・スワンプは破壊される!」

 

シャマルA0→A2000

ティンクルA0→A500

 

「これでヴェノムカウンターは無力なカウンターに変わった! ホーリーシャマ姉の効果でミッドチルダにLCを置き、そのLCを取り除いて、ユーノを特殊召喚! 場のなのはとユーノを融合! 来い、AOA高町なのは!」

 

LCミッドチルダ2→1

A1000・D3000

 

「なのはさんの効果でデッキからフェイトを手札に加える。これでターンエンドだ」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗  モンスター3 伏せ1 手札1 LP2300

コブラ モンスター4 伏せ3 手札0 LP1100

 

これでついにライフが逆転。ヴェノム・スワンプが破壊されたおかげでこれ以上モンスターの攻撃力が減る事も無い。しかし奴はまだ、切り札を残している。あらゆる耐性を持ち、自らの効果で復活する事が出来るあのカードを。

だが同時に奴は少なからず焦っている。おそらく俺達の事を、お遊びでデュエルをしている少しデュエルが上手い学生と思っていたのだろう。

 

「優勢になったからもう一度言う。コブラ、お前は戻る気は無いのか?」

「無いと言っている。私のターン、ドロー! アドバンスドローを発動。ヴェノミノンを生贄にして二枚ドロー! リビングデッドの呼び声を発動。ヴェノミノンを特殊召喚する!」

「? 確かに手札は増えたが、何か意味があるのか?」

「速攻魔法サイクロンを発動! リビングデッドの呼び声を破壊する!」

「何を・・・・」

「来るぞ十代!」

 

先の尖った竜巻がリビングデッドのカードを破壊したと同時に、辺りに黒紫色の瘴気が漂う。既にコブラはデッキか手札からあのカードをデュエルディスクにセットしたのだろう。その姿は見えないが、異様なまでの威圧感と恐怖が漂ってきた。この数ヵ月間平和ボケして居た所為か、久々の威圧感に手が軽く震える。

黒紫の瘴気が消えた頃、プロフェッサー・コブラのフィールドに並んでいた二体の王の内一体は消え、変わりに新たなモンスターがそこに居た。食欲を削ぐような青紫の長い蛇の尻尾。両腕には自分の胴体よりも大きい蛇を生やし、髪は神話の生物メデゥーサの様に蛇になっている。

 

「こ、こいつは・・・・」

「ヴェノミノンが戦闘以外の方法で破壊された時、邪神降臨を発動できる。この効果で呼び出せるモンスターが毒邪神ヴェノミナーガ」

「毒邪神、ヴェノミナーガ・・・・」

「ヴェノミナーガの攻撃力は墓地の爬虫類一体に付き500ポイントアップする」

 

ヴェノミナーガA0→A3500

 

「バトルだ! ヴェノミナーガでAOAなのはを攻撃!」

「墓地のソニックムーブの効果発動! なのはさんをゲームから除外する!」

「ならば厄介なそのモンスターを破壊する! ヴェノミナーガとヴェノミノンでホーリーシャマルを攻撃!」

 

A3500 VS D3000

A3500 VS D3000

 

ヴェノミノンの攻撃は緑色のバリアで防いだものの、腕から生やしている二体の大蛇を飛ばすヴェノミナーガの攻撃を防ぐ事は出来ずに、ホーリーシャマ姉は破壊されてしまった。次のターンで確実に決着を付ける為に、フェイトを優先してサーチしたが、これだったらスバルを手札に加えた方がよかったか。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズ時に、なのはさんが戻ってくる」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗  モンスター2 伏せ1 手札1 LP2300

コブラ モンスター4 伏せ2 手札0 LP1100

 

「毒邪神ヴェノミナーガか・・・・」

「相手にとって不足無し。そうだろ?」

「あ、ああ! その通りだ! 俺のターン、ドロー!」

 

・・・・やっぱり十代は隠し事が苦手だな。あからさまに佐藤先生とプロフェッサー・コブラの言葉を気にしている。

このデュエルを楽しむ様な俺の言葉に素直に同意できない自分がいる。俺は心理カウンセラーでも無いし、十代の家族でも無いからハッキリと分からないが、そんな所だと思う。

 

「カードガンナーを守備表示で召喚! 効果でデッキから三枚のカードを墓地へ送り、攻撃力を1500アップする」

 

カードガンナーAD400→A1900

 

「バトル! ティンクル・モスで「罠発動、毒蛇の供物!」何!?」

「私の場のヴェノム・コブラと、お前達のフィールドのAOAなのはとティンクル・モスを破壊する!」

 

ヴェノミナーガA3500→A4000

ヴェノミノンA3500→A4000

 

「クッ、バトルは出来ない。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

十代  モンスター1 伏せ2 手札0 LP2300

コブラ モンスター3 伏せ1 手札0 LP1100

 

「どうやらこれで終わりだな。ドロー! このままバトルだ。ヴェノミノンでカードガンナーを攻撃!」

 

ヴェノム・ボアを攻撃表示にしなかったのがミス。槍の様にカードガンナーに飛ぶヴェノミノンの両手の蛇。機械に襲い掛かる蛇。その両者の間に、突如黒い鎧を着た白髪の戦士が登場する。

 

「墓地のネクロガードナーの効果発動! このカードをゲームから除外し、攻撃を無効にする!」

「ならばヴェノミナーガでカードガンナーを攻撃! アブソリュート・ヴェノム!」

 

A4000 VS D400

 

ヴェノミナーガの両腕の大蛇により、カードガンナーは粉々にされて破壊されてしまう。こう言うとカードガンナーに失礼かもしれないが、カードガンナーは破壊されるのも仕事だ。

 

「カードガンナーの効果で一枚ドロー」

「カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

十代  モンスター1 伏せ2 手札0 LP2300

コブラ モンスター3 伏せ1 手札0 LP1100

 

「ドロー! 十代、この伏せカード、ありがたく使わせてもらうな。リバースカードオープン、死者蘇生を発動! 墓地のなのはさんを特殊召喚! その効果でデッキからスバルを手札に加える」

 

A1000・D3000

 

「フェイトを召喚! 効果で自身とミッドチルダにLCを置く。そして自分のLCを取り除いてヴェノム・ボアを攻撃表示に変更する」

 

LCフェイト1→0 ミッドチルダ1→2

A1800・D500

 

俺達の反撃が怖かったからか、勝ちを確信していたのか、動揺していたのか。どれでもいいが、さっきのターン守備表示のままだったヴェノム・ボアは、フェイトの効果で結局攻撃表示へと変更される。

 

「ミッドチルダのLCを取り除いてアルフを特殊召喚! 場のフェイトとアルフを融合! 来い、黒騎士フェイト・テスタロッサ・ハラオウン!」

 

A2800・D500

 

「バトル! フェイトさんでヴェノム・ボアを攻撃! 攻撃力を700上げる!」

 

フェイトA2800→A3500 VS A1600

 

「これが通れば二人の勝ちッス!」

「させん。罠発動、デストラクトポーション。ヴェノム・ボアを破壊して、ライフを1600回復する」

 

コブラLP1100→2700

ヴェノミナーガA4000→A4500

ヴェノミノンA4000→A4500

 

「ツッ、カードを一枚伏せてターンエンド!」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗  モンスター2 伏せ2 手札1 LP2300

コブラ モンスター2 伏せ1 手札0 LP2200

 

「ドロー! この二体の前ではどんなモンスターを出しても無力! どんなに防ごうといずれ私の勝ちは決まる!」

「それはどうかな? 最後の最後まで分からないのがデュエルだ」

「あくまで諦めないか。まあいい。バトル! ヴェノミナーガでAOAなのはに攻撃! アブソリュート・ヴェノム!」

 

A4500 VS A1000

 

墓地の爬虫類族が増える度に巨大化する二つの大蛇は、なのはさんへと襲い掛かる。なのはさん一人だったらこの攻撃を防ぐ事は出来ないだろう。だけどなのはさんは一人では無い。勿論俺もいるし、手札にはスバルも待機してくれている。だけど彼女が最も信頼している人はすぐ隣に居る。

 

「罠発動、ディバイドエナジー! フィールド上のモンスターが攻撃対象となった時に発動できる。攻撃対象になったモンスター以外のLSをゲームから除外し、除外したモンスターの攻撃と守備力を攻撃対象のモンスターに加える! フェイトさんを選択!」

 

なのはA1000→A3800

 

フェイトさんはなのはさんのすぐ隣に立ち、襲ってくる大蛇をなのはさんと一緒に砲撃で押し返す。桃色と黄色の魔力はゴゴゴ! とこのフィールドを揺らす程の振動を起こしながら、二体の蛇を押し返そうとするが、蛇神と名乗るだけあり、ヴェノミナーガの攻撃力は高い、が。

 

「更にダメージステップ手札のスバルの効果発動! なのはさんの攻撃力を更に1000上げる!」

「ヴェノミナーガの攻撃力を上回っただと!?」

 

なのはA3800→A4800 VS A4500

 

ソリッドビジョンでも空気は読めるのか、スバルはなのはさんとフェイトさんの間に立たず、ウイングロードを使ってヴェノミナーガの上空まで移動し、ほぼ零距離と言う所で、ヴェノミナーガの顔面にディバインバスターを撃つ。

なのはさんには遠く及ばないものの、かなりの威力を持っているスバルのディバインバスターをもろにくらったが、ヴェノミナーガは破壊されない。だが一瞬だけ怯んだ。

二人がその隙を見逃す訳が無く、砲撃の威力を一時的にだが爆発的に上げ、蛇もろともヴェノミナーガを破壊した。

 

コブラLP2200→1900

 

「だがヴェノミナーガは滅びん! 何度でも蘇る! 墓地の爬虫類をゲームから除外して復活!」

 

ヴェノミナーガA4500→A4000

 

「カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

遊斗  モンスター1 伏せ1 手札0 LP2300

コブラ モンスター2 伏せ2 手札0 LP1900

 

「俺のターン、ドロー! 遊斗のおかげでヴェノミナーガの攻撃力をもう一回下げれるぜ。ミラクル・コンタクトを発動! 墓地のネオスとフレアスカラベをコンタクト融合! 来い、フレア・ネオス!」

 

フレア・ネオスA2500・D2000

 

ネオスはホープ・オブ・フィフスでデッキに戻っていたが、カードガンナーの時に墓地へ送っていたのか。墓地へ送った三枚のカードの内、一枚はネクロガードナーでもう一枚は融合素材モンスター。やっぱり十代は頼りになる。

 

「カードを一枚伏せる。フレア・ネオスはフィールドの魔法・罠の数×400攻撃力を上げる」

 

フレア・ネオスA2500→A4500

 

「バトル! フレア・ネオスでヴェノミナーガを攻撃! バーン・ツー・アッシュ!」

 

フレア・ネオスA4500 VS A4000

 

フレア・ネオスの手の平から発射された、情熱を連想させる熱い炎は、見事ヴェノミナーガを焼き尽くす。

 

コブラLP1900→1400

 

「ヴェノミナーガの効果。墓地の爬虫類を除外して復活!」

 

ヴェノミナーガA4000→A3500

 

やはり貫通や表示形式変更を恐れてダメージ=レプトルでモンスターを出してこない。最強のモンスターであるヴェノミナーガを出しておきながらも、未だに100もダメージを与えられない事に、動揺しているのだろう。

 

「なのはを守備表示に変更。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

十代  モンスター1 伏せ2 手札0 LP2300

コブラ モンスター2 伏せ2 手札0 LP1400

 

「何故だ、何故お前達に勝てん! 何も背負うものが無いお前達に!」

「少なくとも、他人を犠牲にして自分の願いをかなえようとする奴に負けない程度、背負うもはあるさ」

「クッ、私のターン、ドロー! バトル! ヴェノミナーガでAOAなのはを攻撃!」

「させるか! 罠発動、和睦の使者!」

 

なのはさんの前に現れる半透明の薄い膜状バリア。厚さ数ミリも無いバリアだが、このバリアは数多のデュエリスト達を助けてきたバリア。例えヴェノミナーガの攻撃でも通す事は出来ない。

十代が発動した和睦の使者にやけに驚いているコブラ。その理由は俺達にも分かる。この和睦の使者は、さっき十代が伏せたカードとは別。このカードは十代がカードガンナーを召喚したターンから伏せてあった。つまり今までこのカードを取って置く、余裕があったと言う事。

 

「コブラ。これ以上続けてもお前は負ける。これが最後のチャンスだ。サレンダーしろ」

「遊斗。お前、どうしてそこまで?」

「言っただろ。コブラと似た人を知ってるって」

「さっきからしつこい。ターンエンドだ!」

 

場 魔法都市ミッドチルダ

十代  モンスター2 伏せ1 手札0 LP2300

コブラ モンスター2 伏せ2 手札1 LP1400

 

答えはノーか。分かっていたけど、こうやって説得する立場って結構辛いんだな。何回も何回も真っ直ぐに突き進む、高町なのはという女性は、粘り強いと言うか、猪突猛進と言うか、正義感に強いと言うか・・・・。

まあ俺は高町なのはじゃないし、デュエリストらしく終わらせる。

 

「俺のターン、ドロー! ディバイドエナジーを発動した二回目の自分のスタンバイフェイズ時に、除外したモンスターがフィールドに戻ってくる!」

 

A2800・D500

 

「なのはさんの効果発動! デッキからディアーチェを手札に加える!」

「この瞬間罠発動! マインドクラッシュ! さっき手札に加えたディアーチェを選択」

 

マインドクラッシュの効果で俺は手札を見せないといけない。渋々コブラに手札のカードを見せ、手札にあるディアーチェを捨てる。

まさかマインドクラッシュを伏せているとは思わなかったが、ある意味ディアーチェを宣言されたのはありがたかった。おかげで伏せカードを気にせずにデュエルを続ける事が出来る!

 

「リバースカードオープン! アームズ・ホール! デッキトップを一枚墓地へ送り、デッキか墓地から装備魔法を手札に加える!」

「十代が伏せていた魔法カードだ!」

「けどバルディッシュかレイジングハート、どっちを手札に加えてもコブラのライフを0にする事は出来ない!」

 

マインドクラッシュで俺の手札を知っているコブラなら分かるだろう。このアームズ・ホールのコストで最も墓地へ行って欲しくないカードを。

 

「デッキトップを墓地へ送り、デッキからバルディッシュを手札に加える。そして墓地へ送られた闇の書の効果!」

「ツッ!」

「闇の書をフェイトさんに装備する。無限書庫を発動! 闇の書をデッキに戻し、二枚ドロー!」

 

ドローしたカードを見ずとも引いたカードが自然と分かった。何故引いたカードが分かったのかは、上手く説明できない。フィールドにいる二人が運んでくれたのか、引いたこの二人の絆が強いからか。

 

「フィールド上のAOA高町なのはと黒騎士・フェイト・テスタロッサ・ハラオウンを生贄に・・・・」

「ワッツ!? 遊斗の奴手札を見て無いぞ!」

「し、信じられないッス!」

「すげぇ! あの二人を一気に出すのか!」

「蒼穹の王・高町なのはと迅雷の化身フェイト・テスタロッサ・ハラオウンを特殊召喚する!」

 

AD2500

A3300・D0

 

フィールドを巻き込む竜巻。荒れる天の雷。神が操作する二つの災害を纏った、二人の最強の魔導師が今ここに降臨する。機械の所為で二人の能力が封じられているが、それでも完全に封じるのは不可能だった様で、デュエルディスクから定期的に衝撃が走る。

現れた二人の魔導師は、モンスターゾーンの壁を越えて隣合う様に登場した。王を守る騎士と言ったところだろうか。

 

「特殊召喚したなのは様の効果発動! デッキからレイジングハートを墓地へ送る」

「ゆ、遊斗・・・・。こう言う時ぐらいはモンスター名で呼ぼうぜ」

「死ぬぐらいならカッコ悪い方がマシだ。なのは様の効果発動! 墓地のレイジングハートを装備! 更に雷フェイトさんにバルディッシュを装備!」

 

なのはA2500→A4000

フェイトA3300→A4300

 

「攻撃力4000に4300ッ」

「バトル! 雷フェイトさんでヴェノミナーガを攻撃!」

 

A4300 VS A3500

 

雷フェイトさんは右手を雷で出来た剣へと変化させ、雷速でヴェノミナーガに接近する。僅かコンマ数秒の間で全てを終わらせたのだろう。次に俺がヴェノミナーガを姿を見た時は、ヴェノミナーガの体はバラバラに切断されていた。

 

コブラLP1400→600

 

「ヴェノミナーガの復活は無しだ!」

 

ヴェノミノンA3500→A4000

 

「なのは様でヴェノミノンを攻撃!」

『ディバインバスターエクステンション!』

 

A4000 VS A4000

 

何人ものデュエリストを敗北に叩き落とした絶望の桃色の砲撃。しかし今回は相手が相手なので、攻撃力は互角だった。なのは様は自らの力とレイジングハートの性能全てを使い、ヴェノミノンは墓地に存在する八体の爬虫類の力を受け継ぎ、攻撃を放つ。

なのは様とヴェノミノンの攻撃は互角で、大爆発を起こす。なのは様はレイジングハートで身を守り、ヴェノミノンは自らの効果で墓地から蘇る。

 

ヴェノムノンA4000→A3500

 

「私が、プロの私が学生に負けるだと!?」

「いっけえ遊斗!」

「終わりだ! 雷フェイトさんで二回目の攻撃!」

『フォトンランサーファランクスシフト・・・・』

 

A4300 VS A3500

 

例えソリッドビジョンが動かしていても、雷フェイトさんは変わらず、クールにファランクスシフトを形成する。形成に掛けた時間は僅か数秒と言うのに、現れたスフィアの数はざっと見ても60はある。

 

『撃ち砕け、ファイア!』

 

約60機のフォトンスフィアを毎秒八発撃つ、ガトリングガンも真っ青になる程の連射。しかも一発一発の密度も高く、その威力は蛇王をも赤子の様に粉砕する。

 

「馬鹿なァァァァアアア!」

 

コブラLP600→-200

 

ソリッドビジョンが消えると同時に、コブラは前から地面へと倒れて行く。慌てて俺と十代が駆け寄ろうとしたが、コブラは地面と口づけする前に右足で体を支えて踏ん張る。デュエルでのダメージが実際のダメージとなって体を襲ってくるデュエルだったので、並みの人間では立つ事が出来ない筈。

「フッフッフ・・・・」

「ツッ!?」

 

突然笑い出したコブラを警戒し、コブラの元へ行こうとする十代を腕で止める。確かに錯覚では無かった。今一瞬だが、コブラの左腕が化け物の腕になったのを。

その時だった。再びデス・ベルトの影響で俺達のエネルギーが奪われたのは。体のエネルギーが所費されるのではなく、どこかに飛ばされる感覚は、ただの疲労感では感じられない吐き気を覚え、先程まで立てていた体が一気に重くなってくる。重いと言っても少し重いのではなく、風邪で体温が38°以上行っている時のダルさに近い。

 

「大丈夫か二人とも!?」

「これでようやくあのお方がお目覚めになる!」

「あの、お方、だと・・・・?」

 

ヨハンの肩を借りながらゆっくりと立ち上がった十代が、コブラを睨みつける。

コブラが言うあのお方の正体は、彼が説明する前に正体を現す事になった。突然下の方から、人間でも感じる事ができる、禍々しい邪悪なオーラが発せられた。この場の全員が邪悪なオーラを感じ取ったのか、コブラ以外の全員が下の地面を見る。

するとヘリポートのHの文字が書いてあった地面から、金色の輝きを発した少年が出てきた。

 

「おお・・・・。リック、なのか?」

『よくやったね、コブラ。これで僕はようやくあの狭い空間から出られる事が出来た』

 

その金色の少年からは、なじみのある精霊の気配が漂っていた。突然の事態に頭が付いて行かないが、ただ一つだけ分かった事がある。それはリックの姿をしたこの金色の精霊が、コブラの言うあのお方と言う事。

 

『コブラ、今まで君は良くやってくれた』

「約束通りリックを生き返らせてくれ!」

「ツッ! 止めろコブラ! 死者が生き返る方法などこの世に存在しない! あってはいけないんだ!」

 

だがコブラは俺の言葉など耳に入らなかったようで、金色の光を発するリックの形をした精霊にゆっくりと近づいて行く。

 

『君はもう、用済みだよ』

 

さっきまで女声だった精霊の声が、突然野太い男の声へと変わると、精霊は突然コブラの胸に手を貫通させた。

 

「ぐああああっ! な、何を!?」

 

殺されたと思ったコブラの声が聞こえ、恐る恐る瞼を開ける。コブラは確かに生きていたが、コブラの体から邪悪な瘴気の様なものが溢れだし、精霊は吸収するかの如く、その瘴気を自らの体へと取り込んでいく。

突然の出来事の前に、俺もみんなも動く事が出来ず、ただただ茫然と見ているしか出来なかった。ハッと我に返って慌ててコブラの元へと走り出した頃、既にコブラは干からびたミイラの様になっていた。

 

『パパー! こっちだよ!』

「リ、リックなのか・・・・?」

 

リックが飛んで行った先は、ヘリポートから出た場所。即ち空だった。しかし目の前のリックに気を取られていたコブラはそれに気づかないのか、ノロノロとリックのいる方へと進んでいく。

 

「ツッ!」

 

二回のデス・デュエルで疲れ切っていたが、それでもコブラの歩く速度よりかは速かった。しかし俺の手がコブラに届く事は無く、金色の精霊が発したのであろう衝撃波により、俺の体は後方へと飛ばされる。

 

「大丈夫か遊斗!」

「あ、あいつ・・・・。なんでこの装置がある中で行動できるんだ・・・・」

「キャアアアアア!」

 

明日香の悲鳴が聞こえた頃、ヘリポートの上にコブラの姿は何処にも無かった。俺を支えていた十代の体がフルフルと怒りで震えている。

 

「お前! 何で、何でこんな酷い事をする!」

『十代。君は彼が死んで苦しんでくれたの? だったら彼も、生きていた価値はあったって事かな?』

「な、なんで俺の名前を!」

『・・・・それはお楽しみにしよう。十代、君にはある世界に招待するよ。そこで仲間達が傷つく姿を思う存分に見るがいい』

「なっ! 何――」

 

ドォォォン!

十代が返事は突如施設内から起こった爆音により遮られた。その爆音に連動したのか、何故か俺のデッキが白い光を輝き始める。ひょっとして精霊の活動を妨害する装置が破壊されたのかと思ったが、それは甘い考えだった。

 

『いくら僕でも異次元へ飛ばすのは疲れるからね。そこのLSの力を借りるよ』

「なんだと!? お前! みんなに何をした!?」

『これからするんだよ。LSの莫大なエネルギーを使って、このデュエルアカデミアの一部を異次元へと飛ばす。いくらLSでもこの装置の影響下では抵抗できないだろう? さあ十代。僕の愛を、受け取ってくれ!』

 

金色の精霊の口が目に届きそうな程グニャリと曲がった刹那、俺のデッキが眩い光を発し、デュエルアカデミア全体を、真昼間と思わせる程明るくさせる。

何が起こっているのか未だに分からないが、みんなが危険な状態だってことは分かる。すぐにデュエルディスクからデッキを取り出し、みんなの安否を確認する。

 

「そ、そんな・・・・」

 

そこには次々と真っ白になって行くカード達がいた。モンスターも魔法も罠も関係なしに、次々と色や効果欄、絵が消えて行って遂には一枚の真っ白のカードになる。

慌ててデッキの中にある一枚のカードを探す。フェイトのカードだ。フェイトのカードも既に下から徐々に白くなって行き、一瞬だけ絵の中に居る彼女の顔が辛そうな表情に変わった。

 

「あっ、あ・・・・」

「止めるんだ! 何でこんな酷い事をする!」

『なんで? それは君が僕に教えてくれた事じゃないか。さあ行くよ! 異次元へと!』

 

みんな・・・・消えてしまった・・・・。

俺の所為だ。俺が、俺がみんなを連れてここまで来たから!

 

「うあああああああ!」

 

金色の精霊が居た場所へと飛びかかったが、そこに金色の精霊の姿は無く、振りかぶった拳が空を切る。

 

「グッ・・・・」

 

ふら付いた足を支えきれなかったのか、体が勝手に地面に激突した。

砂だ・・・・。さっきまでヘリポートにいた筈なのに、いつの間にか地面が砂になっている。

 

「何処だよ、ここ・・・・」

 

何処でもいい。何処だっていい。みんな、みんな消えてしまった・・・・。何も抵抗できずに、ただ見てる事しか出来なかった。みんなの絵がいたカードは真っ白になり、ただの紙となった。

 

「あっ、あああああああああ!」

 

 

 




まああれですよ。精霊世界でなのは達がいたら間違いなく俺TUEEEE! 状態になりますから、こうやって危機感をね。

ユベ○『よかれと思って!』


2nd見て頭の中がなのフェイにならない人は
他のカップリング好き or 二人は俺の嫁! or 純粋な心の持ち主

しかし百合好きな癖にヒロインがフェイトというよう分からない考え方です。まあ主人公を自分を重ねたりしていないので、矛盾は無い・・・・かも?


今回は初めて十代とタッグを組みました。本当なら十代とのタッグはもっと後にしても面白いかもと思ったのですが、ここって十代には結構重要なデュエルですし、かと言って優斗をデュエルさせないのもなんですし。


お分かりになった方もいらっしゃると思いますが、前書きで書いていた調整中の部分は、ヴェノム・スワンプで攻撃力が0になったモンスターは破壊を無効にできるのか? と言うところ。
wikiには、ヴェノム・スワンプで攻撃力が0になったガチガチガンテスは~~と書かれております。
この回投稿した翌日に決まったら嫌だな~(フラグ)


新オリカ


ディバイドエナジー 通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。攻撃対象になったモンスター以外の、自分フィールド上に表側表示で存在する「LS」と名の付くモンスター1体を選択し、ゲームから除外する。攻撃対象になったモンスターの攻撃力は、除外したモンスターの攻撃力または守備力のどちらかを選択し、その数値分アップする。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、この効果で除外したモンスターを表側攻撃表示でフィールドに戻す。






受け継がれる力と援護射撃を足して二で割った感じの罠です。迎撃カードですね。最低でも二体以上必要+タイムラグ+相手依存なので強くはありません。まあある程度強くない方が、デュエルの構成がしやすので、結構いいかも(自画自賛)


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