実際始ったinnocentやって思ったのが、strikers以降のカードださなくて、融合のレパートリーを増やすのも面白かったかな~と思います。
異世界に飛ばされた翌日。流石に二回続けて飯を抜くとみんなの限界なので、異世界に来て最初の食料が配給された。まあ食料に関して、俺は何も口出しせずにトメさんとセイコさんに任せておく。
配給の手伝いをしている剣山とヨハンに食料をついでもらった俺は、ふぅとため息を吐いて床に座った。すると俺の元へ男子ブルー生徒が歩いてきた。見覚えのない顔・・・・一年生か?
「何か用か?」
「スカリエッティせんぱ~い。先輩のご飯の量、多くないッスか?」
「ん? そうか?」
チラッとヨハンと剣山の方を見ると、何とも言えない微妙な表情をしている。ひょっとしたら二人が気を使って俺の分だけ多くしてくれたのかもしれない。
「分かった。んじゃあ量が同じになる様に減らしてもらうよ」
この態度の悪い一年生が何をやりたかったかは知らないが、少年はチッと舌打ちをして足を引っ掛けようとする。ガキの遊びに付き合ってる暇は無く、足元を見ずにヒョイッと回避してヨハンと剣山の元へ行く。
「わりぃ。けど遊斗はデス・デュエルを連続でやってるから」
「そうザウルス。人より多く食べていいドン。何なら俺のを」
「大丈夫。人よりデス・デュエルの影響を受けにくいのか結構ピンピンしてるし」
自分の食料が減る訳でも無いのに、二人は悔しそうに俺の皿に乗った食料を戻して行く。そしてさっきいた場所に戻る途中、さっきの一年生に「これで問題ないだろ?」すれ違いざまに言った。その言い方が気に入らなかったのだろうか。その一年は後方から俺の脚を蹴ってきた。
完全な死角。仮に気付いても対処が出来ない場所からの蹴りだったが――。
「いい加減にしろよガキ」
左足を軸に素早く回転させ、後ろから来る蹴りを右足で受け止める。
「ヒィ!」
「下らない事やる暇があるなら働け。何もやる事無いなら、ジッとして妄想でもしてろ」
「は、はいっ」
ハァ・・・・。目立つ立場にいるとこう言った事にも巻き込まれるのか。まあ彼も気が立っているのは分かる。少し言いすぎたかもしれない。
「ノー。立場は遊斗も同じさ。むしろもっと強く言ってもよかったさ」
「ありがと・・・・」
「・・・・やっぱり辛いのか?」
「・・・・ああ。腹減ってるのに、食欲が出ない。心配するな、ちゃんと食べるよ」
食べると言う事よりも、体にエネルギーを送り込むと言う理由で、無理やり口の中に食料を押し込む。水で胸に詰まった食料を流し込むと、デッキケースを取り出して、デッキから一枚のカードを取り出した。
「それは?」
「フェイトのカードさ」
「分かるのか?」
「なんとなく。けどこれはフェイトのカードだよ」
周りからみたら、カードに取り込まれた男子高校生に見えるだろう。それだけ俺はジーと手の中にあるカードを眺めていた。すると真っ白なカードが一瞬だけ。ほんの一瞬だけフェイトの絵が見えた。
「ツッ!?」
何度も瞬きをして目をゴシゴシと擦る。改めて見たら真っ白なカードは真っ白なまま。何も映っていない。
「っと、ヤバイ。ボーとしてるとホントに病みそうだ」
「遊斗・・・・」
「じゃあまた外回りでも「大変だ遊斗!」十代?」
勢いよく入って来た十代はダッダッダッと走って来て俺の手を掴むと、無理やり引っ張った。
「ど、どうかしたのか?」
「レイが大変なんだ!」
◇
十代が連れてきたのは保健室だった。保健室にもかなりの生徒が居り、万丈目もベッドで横になっていた。そう言えば万丈目はアモンとのデス・デュエルで衰弱していたんだっけ。十代が引っ張って来たのは万丈目の隣のベッド。
「ハァ・・・・ハァ・・・・」
そこには呼吸が荒く、顔が朱に帯びたレイちゃんがいた。かなりの高熱なのか、レイちゃんの額にはタオルが置いてあり、鮎川先生が付きっきりでいる。
「熱、ですか?」
「ただの熱じゃないの。これを見て」
鮎川先生がベッドの一部を剥がし、レイちゃんの左腕をベッドの外へ出す。十代が大変だと言った意味がようやく分かった。これはただの熱じゃない。レイちゃんの白い細腕には、野獣の様な巨大な爪で引っ掻かれた生々しい傷があった。しかもただの傷では無く、血が出ないかわりに黒い禍々しい何かがそこにあった。
「レイは、治りますか?」
「駄目。こんな傷見た事無いわ。だけど傷以外の症状は分かるから、逆算して行けばいい薬が無い事も無いわ。だけどこの保健室には・・・・」
「薬草になりそうな草も一本も無い。クッ、どうする?」
「潜水艦ならあるかもしれない」
「三沢!? 潜水艦ってどういう事だ?」
「漂流してからここに来る途中、砂漠の中に潜水艦があったんだ。あの時は幻かと思って中まで探さなかったが、ひょっとしたらその潜水艦になら薬があるかも」
三沢の説明を聞いて俺と十代は顔を合わせる。本当に幻かもしれないが、可能性があるなら行くしかない。一緒のタイミングで首を縦に振る。
鮎川先生も異論が無いのか、数秒間目を瞑って何かを思考し、目を開けるのと連動して口を開く。
「○△□×よ。それがあれば治す事が出来るわ」
「「・・・・ワンモア」」
「○△□×」
・・・・それは英語? ドイツ語? フランス語? イタリヤ語? それとも地球に存在しない言葉?
「三沢なら分かるだろ?」
「俺もそっち方面は詳しくない。それに俺はこの学校で次元の計算をしておく」
日常生活では何の役にも立たない次元の計算だが、今これ以上に役に立つ計算があるだろうか? 足し算や引き算より役に立つ計算だ。
けど肝心な薬が分からないとなると厳しいな。今鮎川先生を保健室から連れ出すと、医師がいなくなるし、かといって潜水艦の中にある薬を全部持っていく訳にもいかない。
「その薬なら俺が分かるぜ」
「ヨハン!?」
「分かるって本当かよ?」
「ああ! 向こうの学校で勉強したからな! 俺も一緒に行く!」
よしっ。薬が分かる人がいるってだけでも心強いのに、それがヨハンなら鬼に金棒だ。
三沢の話ではここから潜水艦まで半日強かかるそうだ。往復するから一日半は掛かる。それまでの間レイちゃんが持つだろうか。いや、こうやって悩んでいる間にも時間は経って行くんだ。
準備に取り掛かろうと、部屋を出ようとしたその時。
「マルっち・・・・助けてあげて」
マルタン君?
そう言えば朝から姿を見ていない気がする。準備に取り掛かるついでもあったので、クロノス先生とナポレオン先生がいる購買へと走る。
「クロノス先生、ナポレオン先生。お話があります」
「い、今はそれどころでは無いのでアール! 生徒が一人いなくなったのでアール!」
いつにもまして焦っている様に見えるナポレオン先生の態度が気になったが、先生の態度よりも言葉の方が気になる。まさかとは思い、いなくなったその生徒の名前を聞く。
「イエロー寮のマルタンがいなくなったノーネ!」
「・・・・昨夜、何者かに襲われた早乙女レイが、マルタン君の名前を出しました」
「ま、まさかマルタンが襲ったと言うのでアールか!?」
「違います。ただマルタン君は何か知っているかもしれません。それとクロノス先生。早乙女レイの傷を治す為に、一日半ここを留守にします。その間ここは任せました」
「分かったノーネ。シニョール遊斗も気をつけるノーネ」
◇
結局潜水艦に向かうメンバーは、俺、十代、ヨハン、オブライエン、ジムの五人。人数的にはこれくらいが丁度いいだろう。皆一日分の食料が入ったバッグを背負い、腕にデュエルディスクを付けている。
「三沢の話ではこっち方面だな」
「ヨハン。これは冗談じゃなく本気で迷子になるなよ」
「大丈夫だって」
前例があるから注意しているんだが、本当に分かっているのかコイツ?
なんて少し呆れながら十代とヨハンの背中を眺めていると、十代が喋り出した。
「なあ、ネオスに乗っていかないかぁ?」
「お前、この状況を楽しんでないか?」
「あ、あはは・・・・」
「命がかかってる。それを忘れるな十代」
ヨハンもオブライエンも結構厳しい。
「俺はむしろ十代みたいな明るい奴がいた方がいいな。今朝みたいな奴が増えると思うと余計にストレス溜まる。張りつめてやるサバイバルは長く持たないって聞いたことあるし」
「確かに訓練していない場合そうだ。だが今は「分かってるよ。俺も十代も」・・・・」
「けどモンスターの召喚はバッドだ。デス・ベルトが付いている以上、下手にモンスターを召喚しない方がいい。エネルギーを奪われる」
最初はデュエルが終わった時にしかエナジーを奪われなかったが、随分見境なくなったな。しかしデス・ベルトの機能が壊れていないとなると、未だにあの金色の精霊はデュエルエナジーを溜めているのか?
「もう一つ厄介なのがデュエルモンスターズの精霊だ。昨日のハーピィ・レディの様に襲ってくる精霊もいれば、デュエルを挑んでくる精霊もいる。デュエルが出来る精霊と出来ない精霊の差が何か分からないが、後者の方が頭がいいだろう。最も、お前達が苦戦するレベルの精霊はそうそう出てこないと思うが・・・・」
最後にポツリと言葉を足しながら、倒した王達の姿を思い出す。あの頃はまだ三幻魔がいたから勝てたものの、今の俺が挑んだら厳しいだろう・・・・。って、なんか俺らしくない。デュエルで弱音なんて――
「うわあああ!」
突如十代の叫び声がした。さっきまで十代がいた場所には、十代の姿は無く、変わりに巨大な蟻地獄があった。三沢の話ではあんな蟻地獄の話は無かった筈。
誰よりも早く動いたのはオブライエンだった。蟻地獄に呑み込まれないギリギリの場所まで来ると、蟻地獄の中にいる十代に向けてロープを投げた。
「させん!」
だがそのロープは投げられた一枚のカードにより切断され、十代を助ける命綱が断たれてしまった。
カードを投げた主の元へ視線を移す。蟻地獄の真ん中には岩でできた柱があり、それを支えにして立っていたのは、左手にデュエルディスクを付けた岩の精霊タイタン。
「いくら俺でも十代を助けながら蟻地獄を登るのは無理だ」
「だったら俺がやる! サファイア・ペガサス! コバルト・イーグル!」
「イーグル。お前は十代を助けろ。私は先陣を切る」
「分かったぜリーダー!」
サファイア・ペガサスは空を駆けてサファイア・トルネードを放つ。だがサファイア・ペガサスの攻撃は岩の精霊タイタンの前に現れた番兵ゴーレムにより防がれた。攻撃力と守備力が互角だから止められたのだ。
「クッ!」
「番兵ゴーレムの効果! その鳥を手札に戻す!」
十代を助けようとしたコバルト・イーグルは、黄色の光を発しながらヨハンの手札に戻っていく。
「ヨハン、サポートする「待て! デス・ベルトがある以上大人数で召喚するのは避けた方がいい!」そうだが」
「ヨハン! 装備魔法だ! それで一気に蹴りを付けろ!」
「ああ! 装備魔法宝玉の解放を発動! サファイア・ペガサスの攻撃力を800上げる!」
サファイアで作られた角が、より一層青い輝きを発し、サファイア・ペガサスに秘められた力を解放する。これで番兵ゴーレムは破壊できる。
その間俺達はただボーとしている訳ではない。切られたロープの変わりになる布を細く丸め、縄の変わりにする。
「邪魔だ!」
タイタンが新たにモンスターを召喚した。出てきたモンスターはこの間ジムが使っていたコアキメイル・ガーディアン。白い岩石でできたモンスターで右手には剣、左手には盾を持っている。コアキメイル・ガーディアンの出現と同時にオブライエンが素早く銃を放ったが、やはり頑丈な岩で作られているのか弾丸が効かない。
「危ないヨハン!」
コアキメイル・ガーディアンは宝玉獣達のプレイヤーであるヨハンを狙って剣を振った。比較的近くに居た俺は、デュエルディスクを盾にしてコアキメイル・ガーディアンの攻撃を受け止める。デュエルディスクはかなり頑丈に出来ている為切断されたりしなかったが、左手に走る衝撃はかなりのもので、普通の人間が受け止めていたら骨が折れていたかもしれない。
「大丈夫か遊斗!?」
「こんなの、ヴィータさんの鉄槌に比べたら足元にも及ばない!」
叫ぶと同時に剣を弾き、体を思いっきり回転させる。そして回転の勢いを利用して回し蹴りを繰り出す。コアキメイル・ガーディアンは左手の盾で防ごうとする。岩で出来た盾を壊せる筈無いと思ったのだろう。現に俺もそう思っていた。
だが違った。岩は粉々になって破壊され、コアキメイル・ガーディアンに蹴りが炸裂。蹴りが当たった場所を原点に罅が入り、バラバラとなって、小さい白い岩の山が出来た。
「ツッ!? ・・・・ジム! 降ろしてくれ!」
「お、OK! カレンも持つのを手伝ってくれ!」
自分の化け物じみた力に茫然としたが、今は十代の救出が最優先事項。ロープに掴みながらゆっくりと蟻地獄の中心へと降りて行く。十代も頑張って抵抗していたので、落ちた所からさほど移動していなかったのが幸いで、降りて数十秒後に十代の手を掴む事ができた。
「わ、わりぃ」
「おあいこだ。ジム! 引っ張ってくれ!」
「OK! 行くぞカレン!」
身長が180以上あるジムによる引っ張りと、ワニの強力な力により、俺達の体はゆっくりとだが上がっていく。上って行く間、ヨハンの様子を見ていると、サファイア・ペガサスとコバルト・イーグルの空中攻撃で岩の精霊タイタンを押していた。
「終わりだ! サファイア・トルネード!」
「ぐあああああっ!」
サファイア・トルネードをもろにくらった岩の精霊タイタンは足場から飛ばされ、蟻地獄に落ちて行った。自分が仕掛けた罠に掛かるとは何とも間抜けな終わり方だ。
「ふぅ・・・・クッ」
「大丈夫かヨハン!?」
「あ、ああ。少し休めば大丈夫だ」
「俺が背負っていく。俺の荷物を誰か持ってくれ」
「悪い。俺の所為で・・・・」
「気にするなって。言っただろ、おあいこだって」
十代に自分の荷物を渡してヨハンを背負う。結構鍛えているのか、見た目に反しヨハンは意外と重い。
再び歩き始めると共に、背中に居るヨハンが問う。
「なあ遊斗。お前はいったい?」
「・・・・自分でも分からない。すまない。今はこれ以上追及しないでくれ」
鍛えている、ではすまされない身体能力。どうして俺がこんな力を持っているのか分からない。ただ今は、余り考えたくなかった。
◇
「潜水艦だ!」
どうやら潜水艦までの距離は、疲れ切っていた三沢の足で半日らしく、俺達は十時間前後で潜水艦に到着した。その間何度か精霊に襲われたりしたが、デュエルディスクを付けた精霊は居らず、野生の精霊と何度か戦ったりしたが、低ステータスだったので俺とオブライエンのリアルファイトで追い払った。
潜水艦などの乗り物に全くと言っていい程詳しくない俺は、これが潜水艦の中でどれくらいの大きさがあるか分からないが、結構長い。
やはり傭兵としての知識があるのか、オブライエンが先頭に立って探索を始める。やはり映画やゲームと同じように、|甲板(うえ)に出入り口があり、オブライエンから中に入って行った。
「へえ! 中身はこんな感じになってるのか! カッコイイな!」
「丁度いいからここで飯にしよう。なるべく荷物を軽くして、ここにある物を持って行きたい」
「分かった。だが食事をするなら一旦外に出よう。見晴らしの悪く、地理を知らない場所で腰を落とすのは自殺行為だ」
オブライエンの意見に賛成した俺達は、一度外に出てリュックから食料を取り出す。
「けどホントに変な場所だよな。太陽が三つあるなんて」
「そのおかげか、砂漠でも気温の変化が無い。いい事だぜ」
「俺達は本当に帰られるんだろうか?」
「何言ってるんだオブライエン? 大丈夫だって」
「周りにいるのがお前等だから言う。正直俺も帰れるかどうかは微妙だと思う」
「ゆ、遊斗まで。大丈夫だって、絶対帰れる」
そうだと良いが・・・・。
「どっちにしろ普通の方法じゃ帰れる事は出来ない。ここは外国じゃない。異世界だ。例え何千キロ歩いてもデュエルアカデミアに戻れない」
「そ、そうだけど・・・・」
「ストップ。遊斗、ちょっと言い過ぎだ」
「悪い・・・・。ただ一週間生きているだけじゃ帰れない。それだけは分かって欲しい」
楽しい食事の時間を、お通夜の様な空気にしてしまったな。食事を楽しみにしていた十代、ヨハン、カレンには悪い事をした。
この空気を引っ張らない為に、食料を胃に送りこむと同時にパチンと自分の頬を叩く。
「よし。食べ終わったし行くか」
「おう」
「ああ!」
「OK」
「了解」
おい、デュエルしろよ
鮎川先生が言った薬名を、まるさんかくしかくばつと読んだあなた。あなたは十代や遊斗と同じく、薬名は分かりません。作者も、まるさんかくしかくばつと読んでいる為、分かりません。
何でヨハンの「潜水艦だ!」はあんなに面白いんだろうか・・・・。ジャックの「MATTE!」や「O☆KA☆WA☆RI☆DA!」と同じ魔力を持っている気がします。
デュエル無いんでストーリーポンポン進めようと思っているのですが、あまりザックリし過ぎていると、精霊世界二・三話で終わったかもしれないので、色々やって文字数増やして話数を稼いでいます。