遊戯王GX 決闘モンスターリリカルなのは   作:あかない

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この回入れてついに四話連続デュエル無しという・・・・。
そのおかげで一週間の間に五話投稿出来たので結果オーライですが。


一ヵ月ぐらい言うのが遅いですが、漫画innocentでもなのはの運動音痴設定は無くなりましたね。movie2ndでもフェイトとリアルファイトしてましたし。
innocentはパラレルですし、movieも少し違いますが似たようなものなので、運動音痴設定無くてもモーマンタイですが、ここ最近二次創作書き始めた方はどっちの設定を使ってるのかいささか気になりました(自分で調べろ)



第五十三話

あれから一時間以上かけてデュエルゾンビをまいた俺は、ようやく購買まで戻って来た。囲まれない限り、デュエルゾンビから逃げるのは決して難しい事ではないが、ただ逃げるだけではデュエルゾンビを購買まで誘ってしまう。だから一時間以上かけたのだ。

 

「「遊斗!」」

「遊斗先輩! 心配したドン!」

「よく帰って来たな、遊斗」

 

出迎えてくれたのは十代、ヨハン、剣山、ジム。入口から少し離れた場所に明日香が居り、眠っているレイちゃんの看病をしている。話を聞くに、レイちゃんの呼吸の乱れは無く、頬の朱も大分収まって、気持ちよさそうにグッスリ寝ているらしい。

 

「オブライエンは一緒じゃないのか・・・・?」

「ああ・・・・。でも心配するな。あいつは俺より先に包囲網を突破していた。きっと大丈夫」

「そうだよな!」

 

レイちゃん救出作戦は、無事にではないが成功する事が出来た。だがもう一つの食糧庫奪還はかなり難しい。オブライエンがいなくなったから、作戦を立てるのも難しくなった。

しかも食糧が調達できない為、自然と食糧不足になってくる。今もなお、食事を要請する声が多数上がっている。

 

「腹減ったぞ!」

「早く食事を出せ!」

「まだ今日一回しか食べて無いわ!」

 

さ~て、どうしたものか・・・・。皆一週間の間は食事に不自由ないと思っていたのと、突然同じ学校の生徒がデュエルゾンビになった事で、かなり気が立っている。これは抑えようとしても難しいだろう。

そうなると目標は食糧庫奪還か、あるいは・・・・。

 

「おい、三沢」

「・・・・」

 

購買の壁一面に計算式を書いている三沢の名を呼ぶが、夢中になって計算しているのか、返事が無い。

 

「三沢!」

「ん? 遊斗か。どうしたんだ?」

「元の世界に帰る算段は見つかったか?」

「いや、やはり俺だけだとどうしようも出来ない。だが一つ、万が一だが元の世界と連絡を取る可能性が無くは無い」

「本当か!?」

 

三沢の言葉を耳にした十代、ヨハン、ジム、剣山の四人が集まってくる。他の生徒は食べ物を寄越せと騒いでいる為、耳に入らなかったようだ。

 

「発電所。ひょっとしたらそこの電気エネルギーなどを利用して、元の世界から通信してきているかもしれない」

「それが本当なら行ってみる価値があるぞ。アカデミアごと飛ばされた大事件だから、父さんがいるかもしれない!」

 

 

 

 

発電所に行くメンバーは俺、ヨハン、三沢の三人。下手に大人数で動いても目立つだけなので、最低限の人数で行く事にした。モンスターを召喚できる二人と、身体能力の高い俺が出た訳だ。

相変わらずデュエルゾンビの数が多く、ヨハンと三沢が召喚したモンスターで道を開いて突き進んだり、デュエルディスクを物理的に破壊したりする事で、何とか発電所近くまで来る事が出来た。

 

「ハァ、ハァ・・・・。昔からお前は運動できる奴だったが、まさかデュエルモンスターズと戦える程とは」

「俺もつい最近まで知らなかったよ」

 

もうその事で考えるのは面倒だったので、軽い口調で適当に流した。発電所の中にはデュエルゾンビの気配は無く、電線から青い稲妻がバチバチと漏れていた。

 

「通信の気配な無いが・・・・」

「俺の計算が合っていても、結局は向こう頼みだ。やはり無理だった『君は私を馬鹿にしているのかい?』ツッ!?」

 

相手を馬鹿にするような落ち着いた声により、三沢の独り言は途切れた。ノイズが入って少し聞きとり辛いが、この声は間違い様が無い。慌てて辺り一面を見渡すと、二本の電線がバチバチバチと巨大な音を出しながら、青い電気を放つ。すると上下に平行にして並んでいる二本の電線の間に、モニターが現れた。モニターは一昔前のテレビの様にノイズが入っているが、そのモニターに映っている人物はすぐに分かった。

 

「父さん!」「ジェイル博士!」

『まさか三沢君とデュエルアカデミアが飛ばされた次元が同じとはね。運命って奴かな?』

「そんな呑気な話をしてる場合じゃないだろ!? 帰る方法はあるの!?」

『久しぶりに会った父親に酷い言い草じゃないか』

 

それはあんたが夏休みの間ずっと研究室に籠っていたからだろう! と突っ込みたかったが、グッと堪えて我慢した。

 

『結論から言うとある。この世界と君達の世界を繋ぐ事が出来るのは、一枚のカード。究極宝玉神レインボー・ドラゴン』

「「「レインボー・ドラゴン!?」」」

「けどあれは見つかっていない!」

『君達は運がいい。つい先程レインボー・ドラゴンの石板が見つかった。今ペガサス会長がデザインしている頃だよ』

 

こんな事件に巻き込まれた時点で運がいいとは到底思えないが、まあ不幸中の幸いと言うべきか。帰る手段が見つかったのは何よりも大きい。

 

『そのレインボー・ドラゴンの爆発的エネルギーでデュエルアカデミアごと戻せるだろう』

「けど待って下さい! そのレインボー・ドラゴンがこっちの世界に無いと!」

『勿論それについても考えている。こっちの世界とそちらの世界を繋いでデュエルをする。その時に発生する膨大なデュエルエナジーを使用する事で、そちらの世界にレインボー・ドラゴンを送る事ができる』

 

いいぞ! 段々希望が持ててきた。これなら無理に食糧庫を奪還する必要も無い。

 

「具体的な方法は?」

『まずペガサス会長のデザインに数時間が掛かる。更にそのデザインを元にカードを作らなくてはならない。それを入れると、デュエルが出来るのは今日の夜遅くだろう』

「それまでに俺達がやっておくべき事は?」

『誰にもデュエルを邪魔されないスペースを確保し、そこにこの施設のエネルギーを送り込む。それくらいだよ』

 

たった一つしかないが、これが結構厳しかったりする。今現在この場所にデュエルゾンビがいないが、何もバリケードがないからいつデュエルゾンビが来てもおかしくない。比較的購買に近く、バリケードを作りやすい場所と言えば――。

 

『おっと。もうそろそろ限界の様だ』

「待ってくれ父さん! この世界に飛ばされた時、精霊達(みんな)のエネルギーが使われてカードが真っ白になったまんまなんだ! それにこの世界に来てから、俺の体がおかしくて!」

『ほう。いつの間にかお前も面白い存在になって来たものだ』

「ふざけてる場合じゃ『一つだけ言おう。私を倒した奴等は殺しても殺せない奴らだ』・・・・」

『また会おう』

 

父さんが言い終えると共にノイズが酷かったモニターがプツりと切れ、二本の電線が発していた青い電気が消えた。

さっきの父さんの台詞からするにみんなは無事なんだろうか? あの人はどうでもいい嘘をついたり、信じられない様な真実を口にしたりするから、今一素直に喜べない。それにもう一つの質問にも答えてもらっていない。

腰に付けたホルダーからデッキを取り出して、一番上にあるカードを見る。相変わらず真っ白のままだったが、この気配から、なのはのカードだろう。

 

「・・・・」

「心配するな遊斗! お前の親父さんって天才なんだろ? その人が大丈夫って言うんだから大丈夫さ」

「それに今は落ち込んでいる場合じゃない。スカリエッティ博士が仰られた通り、俺達はやるべき事をやろう」

「そう・・・・だよな。悪い。どうもみんなの事になると、弱くなってしまう」

「気にすんなって。それでデュエルゾンビに邪魔されない場所ってどこかあるか?」

「一つある。月一試験が行われるデュエルフィールド。あそこなら購買に近くてバリケードも貼りやすい」

 

 

 

 

目的が決まった俺達は、早速行動に映った。まず発電所のエネルギーをデュエルフィールドに送りこんだ。普通の高校生でも、普通じゃない高校生でも、発電所の操作方法なんて全く知らないのが当たり前だが、何と三沢は知っていた様で、見事デュエルフィールドに電気を送り込む事が出来た。

その後デュエルゾンビから逃げながら購買に戻り、購買にいる全員に事の全てを説明。これで食糧庫を奪還しなくてもすむと言ったのだが――

 

「今夜まで待てって言うのか!」

「それに絶対帰れる訳じゃないだろ!」

「食糧庫は絶対に必要よ!」

 

と、十代、ジム、明日香、クロノス先生、ナポレオン先生とトメさんとセイコさん以外の全員非難の声を上げている。

これ以上コイツ等は俺達に何を求めているのかは知らないが、自分で動かない奴等の我が儘にもそろそろ限界が近づいてくる。が、堪忍袋の尾が切れるギリギリのラインに居ようとも、俺はブルー寮三年のエースなのには変わりない。なるべく冷静に冷静に・・・・。

 

「みんな落ち着け。腹が減っているのは分かる。俺達も同じだ」

「嘘だ!」

「自分達だけ多く食べているだろ」

「そんな事ないわ。みんな平等に別けているよ」

「それにだ。仮に食糧庫を奪還しても限界がある。今、目先の食糧に気を取られて数日後野たれ死ぬより、今我慢して早く帰る方が良いだろ?」

 

冷静な判断能力を皆が持っていれば、潔く後者の案を引き受けてくれただろう。だが今は食糧不足と、デュエルゾンビの徘徊、異世界に飛ばされた事によりかなり混乱している。一度ヒートアップした彼等の勢いは止まらなかった。

 

「夜まで我慢しないといけないんだろ!?」

「そんなの無理だよ!」

 

・・・・そろそろ我慢の限界だよ。こちとら家族がいなくなって、恋人がいなくなって、人外の力で混乱してるって言うのに、その上お前達の戯言まで聞かなきゃいけないのかよ・・・・。あいにく俺は十代みたいに明るくないし、ヨハンのように優しくないんだ。

我慢の限界ですぐ隣にあるロッカーをぶん殴ろうとしたその時――

 

『へ~、ずいぶん食料に困ってるみたいだね』

 

突然スピーカーから少年の声が聞こえた。どこかで聞き覚えのあるこの声は。

 

「マ、マルッち?」

「マルタン!? マルタンでアールか!?」

『そうだよ。マルタンさ。そしてデュエルゾンビを操る王でもある』

 

あのマルタン君がデュエルゾンビを操っている? 俄かに信じ難いが、デュエルゾンビがうろついている状況で、放送室に居ると考えると嘘とは思えない。それ以前にこっちの声が向こうに聞こえている時点で普通では無い。

 

「マルタン、何をしているアールか! 何故こんな事をするのでアール!」

『僕の目的? それはね、マルタン帝国を作る事だよ。それが僕の望みであり、野望でもある』

 

それは中学生ほぼ全員が発症するであろうあの病気が、高校生になっても未だに続き、更に重症なのだろうか? しかし、いくら中学生ほぼ全員が発症してしまう例の病気が重症だとしても、デュエルゾンビを操る原因にならない。

 

『十代。僕と取引をしないか?』

「へ? 俺か?」

 

この雰囲気に似つかわしくない、間抜けな声を出しても無理は無いだろう。十代とマルタン君は接点も何もない。あるとしてもレイちゃんを繋いで、顔見知りくらいのはず。

 

『食糧庫を君達に上げよう。勿論デュエルゾンビに邪魔をさせない』

 

食糧が切れかかっている俺達には、文字通り喉から手が出る程美味しい話だ。さっきまでガミガミと喚いていた生徒達が一斉に【ワァァアッ!】と歓声を上げる。

だが条件が余りにも厳しすぎた。

 

『その代わり発電所を僕にくれないか?』

「なっ!? そんな事出来る訳ないだろう!」

 

さっきの話を忘れ居ているのか、腹が減っている生徒達は非難の声を上げる。

 

『君に拒否権はない。デュエルゾンビを一斉に押しかければすぐに出来る。でもそれじゃあ面白くないだろう?』

「ふざけるなマルタン! 俺とデュエルしろ!」

『ふふっ、君ならそう言うと思ってたよ。いいよ、じゃあ今から二時間後、デュエルアカデミアの前でデュエルをしよう。けど普通のデュエルじゃ面白くないし、そっちから三人代表を出しなよ。三人全員が勝ったら食糧庫を上げる。じゃあね、十代』

「待つのでアールマルタン!」

 

放送を切るのを止めようとするが、ナポレオン先生の声がマルタンに届く事は無かった。

勝てば食糧庫を手に入れられるし、発電所も守る事が出来る。これ以上無いくらい最高の案に、皆大声を上げて盛り上がっている。

そんな中、やけにマルタン君の名前を呼んでいた、ナポレオン先生の元へと行く。

 

「ナポレオン先生。あなたとマルタン君の関係は?」

「・・・・マルタンは、私の息子でアール」

「そう、ですか・・・・。もしよろしければ名字が違う事を聞いても?」

「マルタンは離婚した母に引き継がれたから名字が違うのでアール。きっとマルタンがあんな事をしているのは、私と母が離婚してしまった所為なのでアール」

 

そう言う事か・・・・。

しかし両親が離婚した所為でデュエルゾンビを操れるようになったら、今頃世界は滅んでいる。マルタン君が何かを抱え込んでいたとしても、何らかのきっかけがあった筈。

その時ふと、十代を知っている金色の精霊、コブラの左腕が一瞬化け物になった事、レイちゃんの左腕の傷、この三つが重なり合った。

 

「もしかすると・・・・」

 

化け物になったコブラの腕と、レイちゃんの左腕の傷。どちらもハッキリと見た訳ではないので分からないが、形がかなり似ている気がする。コブラの左手が金色の精霊の力だとすれば、あの金色の精霊は今度はマルタン君に取り付き、近くに居たレイちゃんを傷つけた。

そう考えると、接点のないマルタン君が十代に話しかけていたのにも、マルタン君がデュエルゾンビを操つれる力を持っているのも納得できる。

 

「それで誰がデュエルに出るザウルス?」

「俺は絶対出るぜ。マルタンが何で俺を呼んだかは分からないが、デュエルじゃ絶対に負けない」

「トゥーミー。十代に同じく」

「俺も出るぞ」

「ヨハンは駄目だ。さっき父さんに言われたばっかりだろ」

「大丈夫だって。それに俺だって腹減ってるんだ。絶対に勝ちたい」

 

俺を見るヨハンの瞳は、一度言い出したら絶対に考えを曲げない時の十代の瞳にそっくりだった。

しっかりしているのかしていないのか、今一よく分からないヨハンの言葉に、ハァとため息を吐くしか無かった。

 

 

 

 

それから二時間後。マルタン君は本当にデュエルゾンビを操れる様で、安全無事にデュエルアカデミアの表に来る事ができた。因みに購買に居た全員が、十代、ヨハン、ジムの三人を応援に来ている。

三人の相手であろう三つの人影。その正体はなんと、デュエルアカデミア生徒、原田、寺岡、山中の三人。しかし三人ともデュエルアカデミアの制服を着ておらず、デュエルモンスターズと融合させられたのか、人外の恰好をしている。

 

「いっけぇぇ!」

「絶対に勝てよぉぉ!」

 

・・・・やっぱり話が上手過ぎる。マルタン君がこの話を出した時点で、こっちには言わずと知れた十代と明日香がいるし、留学生代表のヨハンとジム、更に実技担当最高責任者であるクロノス先生もいる。一人でも勝てば発電所が手に入るとはいえ、この布陣相手に挑んでくるだろうか?

最初はマルタン君本人が出てきて、確実に一勝をもぎ取って来るかと思ったが、出てきたのはそこまで強くない原田、寺岡、山中の三人。

 

「何ダメージくらってるんだ!」

「負けたら絶交だからな!」

 

そもそも何でマルタン君は発電所を狙っているんだ? デュエルゾンビを操って占領するにしろ、この勝負に勝って奪うにしろ、発電所を手に入れる意味が無い。それにデュエルゾンビで占領しても面白くないと言ったが、実際はデュエルをする事が目的?

 

「まさかッ!」

 

一つの推理が成り立った途端、俺は三人のデュエルを見届けるのを止め、走り出した。

色々とあり過ぎて混乱していたが、デス・ベルトの影響でデュエルをするとデュエルエナジーが奪われる。それが目的で不利なデュエルを挑んできたとすれば、つじつまが合う。

デュエルエナジーを集めて何をするかは分からない。この世界に来る前に、ジムに説明した通り、デュエルエナジーはどんなエネルギーか分からない。ただ一つ俺は、デュエルエナジーの使い道を知っている。

 

「どうして気が付かなかった! マルタン君が狙っているのは発電所じゃない!」

 

デュエルゾンビを作り出したのも、発電所をかけてデュエルを挑んできたのも、全てあの三枚の復活の為。

うろついているデュエルゾンビ達を無視してあの三枚が眠っている場所へと走る。できれば外れて欲しかった俺の推理は的中した様で、その場所にはマルタン君の姿がいた。

 

「マルタン君! いや、カードの精霊と言った方がいいのかッ!」

「君は・・・・。へぇ、僕の目的と正体に気付いたのか」

 

マルタン君が振り返ると、もう一つの推理も当たっていた様で、マルタン君の左腕はコブラと同じように化け物になっている。

 

「デュエルを挑んできた時から変だと思ってたんだ。デュエルゾンビを操れるなら態々デュエルを挑む必要も無いし、そもそも発電所を狙う理由も無い。だから分かったんだ、態々デュエルエナジーを集めるのは強大な力、三幻魔を手に入れる為だってな」

「君は思った以上に頭がいいんだね。けどLSがいない君が僕をどうやって止めるつもりだい?」

「こうするのさッ!」

 

マルタン君の体を傷つけるのは嫌だが、今目の前にいる少年はマルタン君では無く、みんなの力を利用して、コブラを殺した精霊。これだけでも許せないのに、奴は三幻魔の力まで手に入れようとしている。

 

「なっ!?」

 

俺の事をただの人間だと思っていたのか、奴は油断していた。予想以上に素早く接近してきたからか、俺が繰り出した拳に対処できず、溝への攻撃を許した。いくら精霊とはいえ、体はマルタン君だ。これをくらったらひとたまりも無い筈。

そう思った刹那、突然溝辺りに、まるで何かに殴られたかの様な痛みが走った。

 

「カハッ!?」

 

いくら頑丈な体でも急所はそこまで頑丈じゃない。突然の来る溝への痛みに、一瞬呼吸が止まる。

 

「フフッ。僕の痛みは君自身の痛みなんだよ」

「お、前の、効果、かっ・・・・」

 

奴の正体が何か分からないが、反射ダメージ系統で間違いない。マルタン君の顔は痛みを感じておらず、むしろニヤニヤと余裕の表情のまま見下ろしてくる。

 

「君は十代の親友って言ってたね。十代に必要なのは僕だけだ。十代には他の何もいらない」

 

意味不明な事を言いながら化け物の腕が俺の首を掴み、呼吸を無理やり止めてきた。

奴から離れる為に右肘を、それこそ骨を折る勢いで化け物の腕に打つ。

 

「ツッ!?」

「言ったでしょ? 僕の痛みは君への痛みになる」

 

嘘・・・・だろ? 何をしても奴へのダメージは俺が受ける。これじゃあ何をやっても、どんな事をしても奴を倒す事は出来ないし、奴から逃げる事が出来ない。

しかも・・頭まで・・・・ボーと・・・・。

化け物の腕が霞んできて、記憶が走馬灯のように駆け巡った。

ずっと一緒だったみんな。この学校に入って初めて出来た友達。尊敬する先生や先輩も出来たし、慕って後輩もできた。

一年前に出来た恋人、フェイト。昔はずっと甘えてて、今も偶にだけど甘えさせてもらって。フェイトが最後に見せてくれた表情は、凄く辛そうだった。

 

「まだ、死ぬ・・わ、け」

「君は死ぬ。これで十代が悲しんで、苦しんでくれたら君に感謝するよ」

 

奴の最後の言葉がもう耳に入らなかったその時だっただろうか? 全てが朦朧としている中、突然ゴゴゴゴ! と、爆音が鳴った。

 

「ゴホ゛ッゴホッ! ハ゛ァ゛、ハ゛ァ゛! ハァ、ハァ・・・・」

 

突然呼吸が可能になり、無我夢中で肺に空気を送っては吐き、送っては吐いた。暫くの間、それがどのくらいの時間かは分からないが、体感時間では既に数十分経っている気がした。

ようやく意識が戻って行き、何が起こったのか辺りを確認する。

少し離れた場所でマルタン君の体が倒れており、それを見下ろす一人の少女の姿があった。腰まで当たる長い栗色の髪をした少女。着ている服はウエディングドレスの様に派手で、肩や肩甲骨辺りが露出して、スカートはフレア状になっている。しかし普通のドレスとは決定的に違うものがある。色だ。彼女が着ているドレスは、紫が混ざった黒のライン以外、全て漆黒。

 

「久しぶりだね。え~と、あの時は冬だったからもう半年以上前かな?」

「君は一体・・・・」

「僕? 僕はフェルシュトラーフェ」

 

三幻魔と一緒にどこかへ行った、フェルシュトラーフェがそこにいた。

 

 




フェルシュトラーフェが出ると予想した方、大正解でございます! 8888!
と言う事で、どこかに行っていたフェルシュトラーフェが出ました。最初は出す予定無かったんですが、やっぱ三幻魔関係なので出したかったんですよね。


今回は遊斗のハイパー推理で色々とフラグを回収したりしました。主人公の力ってすげー!
けど反射ダメージ持ちには勝てないと。


しかしデュエル脳のスカさんと言うのもかなりシュールなシチュエーションだと思います(苦笑)
スカさん「その方法はレインボー・ドラゴンだ!」


遂に次回デュエルがあるので、少し更新が遅れるかもしれません(この五話が早すぎた)
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