遊戯王GX 決闘モンスターリリカルなのは   作:あかない

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ついに六十話と思うと、まだ終わってないのに妙な達成感があります。


というか超今更ですけど漫画innocentってパロネタが多いですよね。はやてがやっていたいらっしゃ~いは知らないんですけど何か元ネタがあるようですし、レヴィの「僕と王ちゃまでオーバーレイ」とか「嘘だと言ってよ」とか。後者はパロでは無いですけど。
他にも気づいていないだけであるのかな?



それと本当にしつこいですが、この手の戦略系の話は苦手ですので色々とツッコミ所があると思います。(勿論見直しはしていますが)
何かあれば本文への反映が出来ないかもしれませんが言ってください。こればかりは本当にすいません。てか何で遊戯王で戦略の話があるんだよ!





第六十話

「ああ。これから宜しく頼む」

 

四体の竜は深々と頭を下げて俺に忠誠を誓ってくれた。俺もそれに応えられるように、そして本当の父親であり先代のF・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)の名に恥じぬように努力しないといけない。しかし王としての使命を果たすよりも、まず第一にやらないといけないのは、この戦争を終わらせる事とヨハンを救い出す事。これだけは必要以上に伝えておかないといけないので、マスター・オブ・ドラゴンナイトにも話したがもう一度四体に言っておく。

 

「さっきも言ったが俺はこの戦争を止めようと思う。一番いいのはこれ以上誰も傷つかずに戦争を終わらせる事だがあくまで理想だ。ひょっとしたら戦争を止める為の戦いをするかもしれない。それでもいいか?」

「勿論です」

「私達はあなたの命に従い、力を使い、策を練り、あなたの手となり足となります」

「ありがとう。色々と積もる話もあるが、早速だがこれからの大まかな方針に付いて話し合いたいと思う。この世界の地図と机を持って来てくれ」

「畏まりました。すぐに手配させます」

 

モンタージュ・ドラゴンは三つの首を丁寧に下げて巨大な扉から出て行くと、すぐ近くに居たのであろう下級ドラゴンに俺が言った二つを持ってくるように命じた。モンタージュ・ドラゴンが命を下したのはボマ-・ドラゴンとハードアームドラゴンの様で、二体はそれぞれ地図と人間サイズの机を持って来てくれた。ハードアームドラゴンはともかく、爆弾を持っているボマ-・ドラゴンに物を運ばせるのは心配な気がするが、そこはツッコミを入れずに見なかった事にしておこう。

 

「すまないが人間の姿でいてくれると助かる」

「了解しました」

 

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンに続き、四体のドラゴン族はそれぞれの属性の光を発すると共に人間の姿に戻っていく。マスター・オブ・ドラゴンナイトは元々人間サイズだからそのままだ。

口調や性格で想像していた通り、タイラント・ドラゴンは長い赤髪のクールな男性で、アームド・ドラゴンLV10はツンツン頭の緑の髪のワイルドな男。ホワイトナイツは青髪のストレートのキリッとした女性で、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンは目に掛かるくらいの黒髪の紳士的な男で、モンタージュ・ドラゴンは茶髪というより栗毛の中年の男性だった。

 

「はやてさんとフェイトさんも出てきて下さい」

「んっ」

「了解や」

 

デッキケースから現れた二人は俺の両隣の席の前に立って、俺が席に座ると同時に席に座る。それから少し遅れて席に座ったドラゴン族だが、何やら俺の顔を見て少し困った顔をしていた。

 

「失礼ながら言わせていただきますが、自らの僕であるモンスターに敬語を使うのは誇り高きドラゴン族の王として・・・・」

「あ~、ん~・・・・」

「私達も呼び捨てでいいって言ってるんですけど」

「ゴメン。このメンツでいる時だけはこれで行かせてくれ。俺が敬語で話す方は、お姉さんって言うかお母さんって言うか。凄くお世話になっている人達だから」

 

いつかはスバルやティアナの様に年を追い越したらタメ口で話せるようになるかもしれないが、なのはさん、フェイトさん、はやてさんは特にお世話になった三人だ。

それにもう10年以上の癖みたいなものだし、ヴィータさんやシグナムさん、そして王様なのはさんを呼び捨てにできる自身が俺には無い。前者二人はさほど気にしていないだろうが、王様なのはさんはデュエルの最中でさえ呼び捨てにしたら怒るからな・・・・。

 

「分かりました。ですがくれぐれも、多種族との前やデュエルの最中に出ないよう」

「き、気を付けるよ」

「早速王様としての威厳がないな~。もうちょっとディアーチェや王様なのはちゃんを見習わんと」

「あ、あの二人は生まれながらの王様だからちょっと。それに俺が、ふはははは! 我が前にひれ伏すが良い! なんて台詞が似合うと思います?」

「「全然」」

「・・・・遊斗様。そろそろ本題に」

「そ、そうだったな」

 

いかんいかん。大事な会議を始める前だって言うのにいつのもアットホームな会話をしてしまった。場の空気を占める為にわざとらしく咳払いをすると、目の前に敷かれた精霊世界の地図を見る。地図には分かりやすく円と、円の中に種族のマークが描かれており、かなりザックリとだが位置関係は分かった。

 

「先にすぐに終わるだろう話題から。単刀直入に言うと、お前達はヨハン・アンデルセンという人間の少年を知らないか?」

 

予想していた通り五人は顔を見合わせて首を横に振る。そもそもどの次元のどの世界にいるかが分からないから絞り様が無いのでこれは仕方が無い。こればかりは運に身を任せるしかないが、可能な限りヨハンを探す努力をしておこう。

 

「この会議が終わった後、俺がヨハンを探していると書いた張り紙を配るように手配してくれ」

「では私が」

 

そう言って黒髪の男性、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンが手を上げる。

 

「頼むぞ。じゃあもう一つの戦争を止める話に切り替える。簡潔に言うと戦争を止める方法として俺が思いついているのは、全種族のお偉方と話して戦争を止める事と、一つの勢力がこの精霊世界全域を支配するの二つ」

「なるほど・・・・」

「全種族との話し合いは難しいかと。我々ドラゴン族は余り多種族との交流を好まず、まともに交流をしていたのは魔法使い族と鳥獣族の二つくらいです」

「予想以上に少ないですね。いや、二種族あるだけでも良い方か・・・・。今多種族に攻撃的な種族と守備的な種族はありますか?」

「フェイトさん?」

 

フェイトさんの質問にホワイトナイツが応えるのか、席を立つ。そして自らの能力を使って、氷で作られた小さな剣と盾を手の平の上に形成すると、一つ一つ地図に置いて行く。

20種族の内剣を置かれたのは8つの種族。そして残りの12の種族が盾を置かれた。剣が攻撃的な種族で盾が守備的な種族と見て間違いないだろう。意外にも攻撃的な種族が少ないのに内心驚きながらも、ようやくフェイトさんの質問の意図に気付いた。流石執務官フェイトさんと言うべきか頭の回転が早く、組んだ手の上に顎を乗せる恰好が様になっている。後者は執務官関係が無いけど。

 

「攻撃的なのはアンデット族、獣戦士族、獣族、鳥獣族、悪魔族、天使族、炎族、そしてドラゴン族か・・・・」

「ただ爬虫類族に関しては、守る事が攻める事となるので守備的とは言いにくいです」

「食虫植物の様に獲物を待っている状態です」

 

俺が王になったからにはドラゴン族の戦い方も守備的になる。俺は席を立ってドラゴン族の国の上に置いてある剣と爬虫類族に置いてある盾を交換した。

 

「守備的な種族には、今すぐ戦争を止めようと話さずに、ドラゴン族はそちらの種族を攻撃する意思は無いと伝えるだけでいいと思う」

「伝えるだけでいいんですか?」

「うん。すぐに警戒を解かないと思うけど、時間が経つにつれて警戒も薄くなるはず。そこでもう一度話し合いに行けば大分話しやすくなると思う」

「なるほど。ですが自分達の王を倒した遊斗様が出向かれると、火に油を注ぐようなものでは?」

 

俺もタイラント・ドラゴンの意見に同感だが、フェイトさんはフルフルと首を横に振る。

 

「いや。王の仇を取ったり悲願を叶えようとしているなら、守備的になんてならない筈。破滅の光に乗っ取られていた王に愛想を尽かしたのか、それとも悲願を叶えたいけど財政や食糧的に困難なのか。守備的になる理由がどうあれ、攻撃的だったドラゴン族から攻めないと宣言されたら向こうとしては大助かり。仮にドラゴン族の王が遊斗だと知って、王の仇を取る為にこっちを攻撃してきたとしたら、相手は炎に大量の油を注ぐことになる」

「しかしドラゴン族の王が遊斗様だと知られると、多種族で同名が組まれてこちらを攻撃して来る可能性も」

「いや、むしろ遊斗がドラゴン族の王って事は堂々と発表していいと思います」

「なに!?」

 

堂々と話し合いを続けるフェイトさんの横顔を感心しながら眺めていると、はやてさんがチョンチョンと指で突いてきた。何かと思いフェイトさんの反対側にいるはやてさんを眺めると、顔を近付けて会議の邪魔にならない様に小さい声で呟く。

 

「なあ、私必要無いとちゃう?」

「ま、まあそれを言ったら俺もですし、アームド・ドラゴンもポカーンとしていますし、とりあえず同席しておきましょう」

「りょ~かい。私も色々考えとく」

 

はやてさんとどうでもいい会話をしている間もフェイトさんは自分の考えを伝えていた。

 

「遊斗が王を倒したという情報がどれ程広がっているかは分かりませんが、少なくとも地位の高い精霊達は知っている。それは遊斗が私達LSを持っている事を知っていると言う事です」

「確かに。遊斗を襲って来た魔法使い族や王達は、遊斗本人じゃなくて私達LSを狙っとった。遊斗=LSは間違いなく知っている筈」

「自分達の王だけじゃなく全ての王を倒した遊斗が、最強の王だったF・G・Dの息子。果たしていくつの種族がこちらに攻撃してくるでしょうか? あっ、この話はドラゴン族の力や数が多種族より多いのを前提として話していますが」

「我々を舐めてもらっては困る。ドラゴン族は天使族と並び、多種族に比べて強さが頭二つ分程飛び出ておる。その天使族と戦っても多種族の邪魔が無ければ勝つ自信はある」

 

ドラゴン族と天使族の共通点は最上級モンスターの割合が多い事。やはりこの世界では効果よりも高ステータス高火力を持つモンスターが強いのだろう。実際魔導サイエンティストやクリッターと言った、禁止カードや制限カードが平和を望む村に居た。

ドラゴン族は高いステータスが多く、全体的な枚数も戦士族・悪魔族・魔法使い族・機械族に続いて五番目で、最上級モンスターの数では一番多い。随分いい種族の王様の子に産まれたものだ。

 

「つまりこちらが防御的な種族に、攻めません、と言っても余りデメリットは無いと」

「余り?」

「さっきマスター・オブ・ドラゴンナイトが言ったけど、多種族同士で手を組んで攻めて来る可能性はある。勿論私達とドラゴン族が手を組んだら迎撃出来るだろうけど、戦争の被害が広まる。そこで少し言い方は悪いけど、攻めません、と一緒に相手を脅すんだ」

「脅す? 多種族と手を組んで攻撃してきたら真っ先にあなたの国を襲います~て?」

「うん。簡単だけど効果はあると思う。元々守備的な国が攻められたら被害はより深刻になるだろうし、脅す時に全ドラゴン族とLSの勢力を上げて、とか付け加えたらとても攻撃しようとは思えないでしょ?」

「確かに・・・・」

「それに、全体に比べて数は減るけど私達とドラゴン族の共通点は空を飛べる事と遠距離攻撃が豊富な事。例えば飛ぶ手段が少なそうな魔法使い族、戦士族とか、数の少ない恐竜族が、全精力を上げて攻撃するって言われたら、まずこちらに攻撃してくる事は無いと思う。勿論10年以上戦争を続けているから、自分達の弱点に気付いて何らかの対策はあるだろうけど」

 

す、凄い・・・・。俺だけじゃなく六体のドラゴン族も感心して、台詞や声のトーンは違うが感心の声を上げている。というか本格的に俺が蚊帳の外に置かれて話が進んでいる気が・・・・。いやいや、一応俺も相槌を打っているから、話の内容が全く分かっていないアームド・ドラゴンLV10のみが蚊帳の外に置かれていると言った方が良いだろう。やはり彼はみたまんま、頭では無く戦うのが得意の様だ。

 

「じゃあ早速話し合いに「その前に」へ?」

「こっちが守備的になったって伝えるにはまず前線で攻撃しているドラゴン族達に攻撃を止めさせないと」

「今すぐ攻撃を止めさせるように言ってきます。いや、私が行くより全く話しの無い様が分かっていないアームド・ドラゴンが行くべきでしょう」

「お、俺か? よく分かんが攻撃を止めさせればいいんだよな?」

「はい。宜しくお願いします」

 

まるで説教を受けていた少年が解放されたかの如く、嬉しそうな笑みを浮かべながら、ドラゴンの姿に戻って怪獣の足音を響かせながら玉座の間から逃げる様に去って行った。その態度にマスター・オブ・ドラゴンナイトとホワイトナイツとモンタージュ・ドラゴンは呆れており、残りの二人は無表情なまま何かを考えていた。

 

「それにまだ話し合いは終わっていないよ。もう一つ、攻撃的な種族に対する対処法だけど何かある?」

「俺は今の所思い付きませんけど。誰かあるなら順に言っていくのがいいんじゃないでしょうか? 何も無いなら時間を取ってもいいですし」

「先程のフェイト殿の話で思ったのですが、守備的な姿勢の種族と同盟を組むのはどうでしょうか?」

 

マスター・オブ・ドラゴンナイトのフェイトさんに対する呼び方が、フェイトさんからフェイト殿にランクアップした事へのツッコミは入れず、マスター・オブ・ドラゴンナイトの話をしっかりと頭に叩き込む。守備の姿勢を取る種族との同盟、攻撃的な種族に対する対処法。

 

「守備の種族と同盟を組んで、攻撃的な種族を迎撃する・・・・って事でいいんだよな?」

「はい。そうすれば攻撃的な種族の戦力を削ぐ事が出来ますし、こちらの信用も上がります」

「あっ、しかも守備的な種族の方が多いから、それぞれで同盟を組まれると攻撃する側としてはかなり辛くなる。だからと言って戦争を止めるとは思えないけど、向こうからしてみればじり貧になる」

「確かにいいかもしれません。攻撃側も戦力が落ちれば攻撃する余裕も無くなって、守備にならざる得ない。そしてまた守備的になった種族と同盟を組んで行けばいい。ただ攻撃側同士で同盟を組まれた場合、大きな戦いになるとは思うけど・・・・」

「まあこれはあくまで今後の方針を決める為の話し合い。全てがこの通りに動くとは限りませんので」

 

けど多種族とのこれからの方針に付いてはほぼこれでいいだろう。他の皆も反論は無い様で、特に何も言わない。

 

「じゃあドラゴン族の攻撃を止めて、その後俺が新しい王だと公表する。それがある程度伝わってから守備的な種族に話し合いに行く。これでいいか?」

「「「「「はい!」」」」」

「うん。今の所は問題ないと思うよ」

「私も。念の為みんなと話し合って大きな穴が無いか調べるなぁ」

 

 

 

 

それから三日の時が流れた。翼を持ったドラゴン族の速さはかなりのもので、二日経った今日ドラゴン族達は攻撃を止めた。そして今日の昼頃、俺は沢山のドラゴン族達の前に立ってカッコつけた演説をしたが、色々と恥ずかしいし、何より細かく説明すると長くなるので割合する。

演説の中、俺がF・G・Dを倒したと知るものは多く、また人間であるからほとんどのドラゴンが俺を王として受け入れようとしなかったので、ここはドラゴン族の王らしく腕に自信のあるデュエリストを文字通り片っ端から倒して実力を認めさせた。元々ドラゴン族の王に必要なのは多種族の王とは比べ物にならない圧倒的な力なので、20の王を倒した俺にはその力は十二分にある。それに加え、F・G・Dの血を引く者にしか反応しない竜の爪と、六体の大臣達が皆の前で頭を下げてくれたおかげで反発も大分減って、無事に演説を終える事が出来た。

勿論そんな簡単に認めてもらえる訳は無く、西で不満を呟くドラゴンがいればデュエルでねじ伏せ、東でデュエルを挑んできたドラゴンがいればデュエルでねじ伏せ、北でリアルファイトを挑んできた者がいればデュエルでねじ伏せた。おかげでデュエルの腕を認めて貰えた様で、演説終了後より少しだが不満を呟く輩は減った様だ。

 

「・・・・疲れた。フェイトをモフモフしたいフェイトとイチャイチャしたい」

「お疲れ様です遊斗様。好か不幸か、我々ドラゴン族は力ある者に惹かれますからね。これからも度々民とデュエルをする時があるでしょうが、頑張ってください」

「もうレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンとミンゲイドラゴンと一族の結束は飽きた~。違う戦法は無いのか~」

「余り多種族のカードは入れませんからね。私の様に沼地の魔神王やカオス・ソルジャー等のカードを入れる方が珍しいです」

「フェイト~、出てきてくれ~」

「無視です「お疲れ様、遊斗」・・・・」

「フェイト! ああ~、やっぱりフェイトだよな~。フェイトに始まってフェイトに終わるのが俺の一日だよ」

 

フェイトが出るやすぐに抱き寄せて俺の太ももに座らせると、ぬいぐるみを抱くかのようにギューと抱きしめてサラサラした金色の髪に顔をうずくめてフェイトの甘いフルーツの様な香りを鼻孔の奥まで堪能する。くすぐったいのかフェイトは体をモジモジと動かすが、俺の腕から出ようとはしない。まだまだ堪能し足りないがフェイトの髪から一旦離れ、今度は首筋に顔を落とす。

 

「遊斗、くすぐったいよ~」

「いいだろ~。そう言えばフェイトここ弱いよな」

「きゃっ! も~」

「・・・・。お二人とも、少しは我等ドラゴン族を束ねる者としての」

「お前しかいないからだいじょーぶ。ほら、フェイト。お前もドラゴン族を束ねる者だってよ」

「えへへ・・・・。嬉しいな」

「俺も嬉しいよ」

 

首を回して振り向いたフェイトは、頬の筋肉を崩して可愛い笑みを浮かべる。おそらく俺もデレッとした情けない顔になっているだろう。何度もキスをした小さい唇を指の腹で軽く当て、ゆっくりとフェイトの唇に自分のそれを近付けていく。そしてお互いの距離が僅か数㎝になり――

 

「大変です遊斗様! って、何をされているのですか?」

 

(あわただ)しく玉座の間に入って来たのはドラゴンの姿であるホワイトナイツだった。この巨体に体当たりされたのにも関わらず、巨大なドアは傷一つ付いていない。フェイトは無言で俺から視線を逸らして、太ももの上にチョコンと座り込み、その様子をホワイトナイツは大きな首を傾げて眺めている。

 

「・・・・キスする直前」

「そ、それは申し訳ありませんでした「いい。それでどうしたんだ?」覇王軍と名乗る謎の軍団が現れ、尋常じゃないスピードで勢力を伸ばしております!」

「覇王軍?」

 

何だ? アインハルトのご先祖様がこの次元にいるのか?

なんてジョークにもならないどうでもいい反応は置いておき、ホワイトナイツがここまで驚くのは何か大きな理由がある筈。大きな理由が無くとも、そもそも種族間で争いが起こっている中で、21番目の軍勢が出来るのは驚くべきことだ。

 

「覇王と名乗る者が指揮を取り、様々な種族がその覇王の下に付いており、集落や村や国を襲っているそうです」

「種族混合の軍勢・・・・。しかも好戦的なモンスターが多いか・・・・。その覇王軍は、どの国を襲った?」

「悪魔族とアンデット族を沈め、いえ、吸収して兵力を増やしています!」

「吸収!?」

 

悪魔族やアンデット族のお偉方がどんな奴等カは知らないが、悪魔族は最上級モンスターが多く数も中々あり、アンデット族は再生能力に長けたモンスターが大勢いる筈。おそらく悪魔族もアンデット族もイメージ通り、腹黒い奴等が多い筈だ。そんな奴等を覇王軍の一部として吸収したとなるとただ事じゃない。

 

「今覇王軍がどこにいるか分かるか?」

「魔法使い族の国、エンディミオンに向けて進行しており、今は根城で待機中の様です」

「今すぐエンディミオンに向かう。ホワイトナイツは案内してくれ。マスター・オブ・ドラゴンナイトはここで待機していてくれ。ひょっとしたら戦争を止めるって言った傍から戦争をするかもしれない」

「はっ! 他の大臣達にも伝えておきます」

「こちらです」

 

 

 

 

ドラゴン族の国から魔法使い族の国まではヴォルフラムで三時間飛行して到着した。やはり覇王軍の噂を聞いてかかなり警備が厳重になっていたが、ドラゴン除くと数少ない交流があるだけあり、向こうもホワイトナイツの存在を知っている様で、ホワイトナイツを見ると素直に通してくれた。この魔法都市の中央にある建物にヴォルフラムを着地させ、ヴォルフラムから降りるとコスモクイーン、氷の女王、そしてブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールが待っていた。

 

「え!? ひょっとして遊斗君!?」

「静かにしていろ」

「でもお師匠様! だってあのLSの持ち主ですよ!」

 

フェイトのバリアジャケットに負けじと露出度の高い服を着た魔法使いの卵は、ブンブンと大きく手を振って俺を出迎えてくれた。ブラック・マジシャン・ガールと言ったらやっぱり一年生の文化祭の時にあった彼女を思い出すが、どうやら本人の様だ。ホワイトナイツより先にブラック・マジシャン・ガール達の元へ走る。

 

「やっぱりお前あの時のブラック・マジシャン・ガールか?」

「そうだよ。ってそれより何で君がここに居るの!? 確かドラゴン族の使者の話じゃ、新しいドラゴン族の王が来るって」

「ああ。その新しい王が俺だからな」

「なるほど~」

 

本当に理解できたのか、ずいぶんと軽い反応をしたブラック・マジシャン・ガールは「なるほどなるほど」と何度も同じ言葉を発して頷いていた。壊れた人形の様に同じ行動を繰り返すブラック・マジシャン・ガールを無視し、その隣にいたデュエルモンスターズの代表モンスターとも言える魔法使いに挨拶をする。

 

「あなたがブラック・マジシャンですね。まさかこの目でお会いできるとは光栄です」

「遊斗様。相手が王で無い以上、敬語を使うのは控えて下さい」

「あ、ああ。分かった」

「ありがたいお言葉です。暴走したエンディミオン様や、王達を救って頂きありがとうございます。他にも大切な話しがあるのですが、まずは現れた覇王軍について話を」

「俺もそのつもりで来た。LSの代表も同席していいか?」

「勿論です。ではこちらに」

 

ブラック・マジシャンの案内に従い歩き始めると共に、デッキケースからフェイトさんとはやてさんが現れてSPの様に俺の隣を歩き、更にホワイトナイツが俺の後ろに陣取って歩き始めた。これから一生こんなのが続くと思うと胃が痛くなるが、これも王達の尻拭いだと思って我慢するしかない。

 

「ってええええええええええ!?」

「反応遅。ガールって天然なのか?」

「恥ずかしながら」

 

人型のモンスターが半数を越えている魔法使い族の城は俺のサイズにも合っており、ブラック・マジシャンに案内されて一分程度で目的の部屋にたどり着いた。ドアが開かれると、そこにはいい素材で作られたのであろう綺麗で細長い机が置かれていた。ドラマや映画でよくオシャレな金持ちが座っている机を、まさか実際に座る事になるとは昔の俺は思いもしなかっただろう。もし座るとしても、せいぜい家具屋に行った時に買わない癖に座り心地だけ堪能するレベルの筈だ。

俺が机の中央に置いてある椅子に座ると、その両隣にフェイトさんとはやてさんが座った。そしてはやてさんの隣にホワイトナイツが座り、反対側にブラック・マジシャン、ブラック・マジシャン・ガール、コスモクイーン、氷の女王が座る。改めて見ると女性の割合が多いな。

 

「そっちも色々話したいだろうが、まずこっちから重要な事を一つ話す。俺はこの戦争を止めようと思っている。だから魔法使い族に攻撃を仕掛けたりしない。勿論信じるか信じないかはお前達次第だ」

「いえ、信じましょう。あなたが弟子の言っていた通りの方なら、あなたは信用できるデュエリストです」

「だがブラック・マジシャン!」

「分かっている、氷の女王。彼はエンディミオン様を倒した。だがあのエンディミオン様は破滅の光に操られており、もはやエンディミオン様では無かった。その件に関してはむしろ彼に感謝するべきだ」

「ありがとうブラック・マジシャン。こっちから話題を振ったのに申し訳ないが、今は俺を信じるか信じないかは別として、覇王軍について話し合いたい。俺は三時間前に、覇王軍が集落や村を襲って、悪魔族とアンデット族を吸収したとしか聞いてないが、この他に情報が無いか?」

 

やはり魔法使い族だけあり、みんなが到底使う事の出来ない、本物の魔法少女が使う様な魔法の力で様々な情報を得ているのか、俺達が知らない情報が次々と出てきた。

 

「まず一番重要な事ですが、再び覇王軍が進行を初めてこっちに向かって来ています」

「余り時間は無いのか・・・・分かった。向こうの対応次第ではドラゴン族をこちらに向かわせる」

「ありがとうございます。それともう一つ、覇王と名乗る者は王達を凌ぐほどのデュエリストの様です」

「王達を凌ぐ、か・・・・」

「それと邪悪なE・HEROモンスターを使うと」

「ツッ! 冗談でそのカテゴリを言ったのならぶっ飛ばすぞ」

「? 冗談ではございません」

 

王達を凌ぐ強さに、あいつとは正反対とはいえ邪悪なE・HEROを使う者。もし十代もこの次元に来て、この噂を聞いていたら覇王の元まで突っ走るだろう。一瞬でもその覇王と十代を繋げてしまってカッとなったが、これは十代と再会するチャンスだ。

 

「その覇王に負けたって事は悪魔族もアンデット族もその程度って事だ。覇王さえ倒せばいいんだろ? 俺がその覇王とデュエルして勝つ」

「遊斗様!? ダメです。王が前線でデュエルするなど」

「だったらドラゴン族の王に相応しいデュエルの腕はいつ使うんだ?」

「ひょっとしてE・HEROって聞いて焦ってる? 確かに十代もこの噂を聞いて覇王の元まで行くかもしれないけど」

「焦ってはいま――焦って無い。だけど十代と会いたいって思いはその通りだ。どっちにしろ覇王を倒せば、覇王の下に居る悪魔族やアンデット族、更にその他の種族の一部も軍門に下る。王より強いデュエリストの相手を俺以外の誰がやる?」

 

多種族との話し合いの最中なのでフェイトさんに敬語を使わずにタメ口で話す。

因みにさっき言った通り俺は焦っていないし、覇王一人を倒した方が両者に被害が少ないと考えた為、覇王とデュエルをすると口にした。その覇王とやらがどれ程の力を持っているか分からないが、噂通り王達を凌ぐデュエリストならこの場どころかこの次元で適任なのは、王達を倒した俺だけだ。なんて口にするとウザいので心の中で語っている。最も遠回しにだが似たような事を言っているが。

 

「分かりました・・・・。では頼んでもよろしいでしょうか?」

「ああ。その代わり、ドラゴン族と同盟を組むと約束してくれ」

「勿論です」

「おそらく覇王軍は半日ほど進行し、この破棄された城で休息を取ると思います。そこがチャンスかと」

「どうやって潜入するかだな。いかにも覇王軍にいそうなドラゴンに乗って潜入するか、堂々と全勢力を上げてぶつかってその間に俺が覇王の元に行くか」

「いかにも覇王軍にいそうなドラゴンって言うと、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンとかディアボロスとかか、破壊竜ガンドラとか?」

「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンは知られているので、後者二体両者かどちらか一体を呼んできます。遊斗様はディアボロスかガンドラに乗って覇王軍内に突入し覇王とデュエル」

「ああ。それで行こう」

 

 




ご覧になった作品は遊戯王GXの二次創作です。どうもこの小説の三期は遊戯王から離れる事が多いみたいです。


まずはどうしてこうなった……。だけど一話でもいいからこうやって書いて置く事で、後々この回の会話の通りに動いたらうまくいったぜ、とか一言で終わらせそうだから←オイ
それと単純に戦争関係の戦いをしてからの覇王軍が繋げやすかったので。


あとですね、これは調べても分からなかったから無難に進めたんですけど、マハードやマナってどうなってるのか分からないから、本文ではブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールとして進めました。初代遊戯王の記憶ってほぼ無いので。
他の二次創作ではマナが出る事が多いので、GX時期にマナが活動していても何の問題も無いと思うのですが。まあマハードとマナである必要は全くないです。あくまで一年の時に学校に来たブラック・マジシャン・ガールの精霊であればOKですので。


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