もうそろそろダウンロード発売が開始されるTF6ですが、ほとんどのサイトではvitaでプレイ可能と書いてありますが、一部のサイトではvitaではプレイできないと書いてあるので少し不安な気持ちがあります。数年前のゲームなのでカードプールが少なくとも組めるデッキは大量にあるし、pspでやっていた頃は5Dsを全く見てなかったので、是が非でもやりたいんですよね。
翌日の早朝。昨日ブラック・マジシャンに宣言した通り、俺は朝一にエンディミオンを出て砂漠へと向かっていた。道中特にトラブルも無く、エンディミオンを発って六時間程度で砂漠地帯に到着した。ヴォルフラムの外から見る荒れる砂漠地帯は、水晶に映っていた時より荒れており、あちらこちらにある竜巻が、砂や岩石を吹き飛ばしていた。それはフェルがいるドームに近付くにつれて勢いを増し、遂にはヴォルフラムでさえ進行できなくなる程の竜巻と砂嵐になって来た。
「私達もこの砂嵐の中飛ぶのは厳しいから、ここからは歩きになるね」
ガラス越しに映る、何十本もの竜巻と薄らと見える黒いドームによって起こっている悪天候になのはさんは苦笑しながら告げる。いくらF・G・Dの力を使えるようになったとはいえ、俺にはこの悪天候を前に進む自信は無く、なのはさんと同じ様に苦笑するしか出来なかった。そんな俺の心境を察してくれたのか、後ろにいたヴィータさんが「大丈夫だ、あたし等二人がバリアを張るからな」と言ってくれた。
「助かります。じゃあ行きましょう」
余り大人数で行動する意味も無いので、俺となのはさんとヴィータさんの三人で移動する事にした。何故この二人かと言うと、堅い防御力を持ち、尚且つ前衛と後衛で相性のいい二人だからだ。精霊になる前も、よくこの二人でコンビを組んで任務をしていたと言う。ヴォルフラムから降りてズシャと砂漠に着地すると、早速球体状の桃色のバリアと紅のバリアによって俺達三人の体は、吹き荒れる風や、飛ばされる砂や岩石から守られた。
相変わらず魔法って便利だな~、と感心しながらヴィータさんの小さい背中に付いて行きフェルがいるドーム状の空間へと向かう。
「しっかし凄ぇ砂漠だな。あたし等も色々な場所に行って来たけど、ここまで荒れる砂漠は初めてだ」
「仮にも混沌幻魔を名乗ってるフェルが中心に居ますからね」
「あの子も昔の私とそっくりな顔なんだよね~。遊斗に見せてもらった、ユベルの混沌幻魔みたいな見た目じゃなくてよかったよ」
「同感です」
融合素材の三人はなのはさんとフェイトさんとはやてさんだからな。美しい容姿を持つあの三人が融合してアーミタイルみたいなのが出て来たら、何か色々と残念だ。けど改めて思い出してみるとアーミタイルの大きさは、三幻魔を融合しているだけあり暴走状態のナハトヴァールと同じかそれ以上だった。体積ではナハトが勝っているかもしれないけど、高さではあっちの方が大きいだろうな~。
「あたしからすれば、これ以上お前に増えて欲しく無いんだがな。シュテルみたいに賢いならともかく、お前は一人でも十二分に面倒だ」
「え~、酷いよヴィータちゃん」
「でも実際、なのはさんの派生ってかなり多いですよね。シュテルになのは様に三幻魔にフェル。Forceはちょっと違うから省きますけど。なのはさん的にはどんな感じなんですか?」
「ん~、みんな姉妹みたいで面白いよ。顔は似てるけど性格は全然違うし」
空の様に広い心を持っているなこの人は・・・・。自分と同じ顔の奴が自分の周りに大量にいたら、想像しただけで嫌だと思うんだが。
なんて会話していると黒いドームの手前まで来ていた。流石Sランク級の魔導師が防御に徹しているだけあり、バリアの中に砂が飛んできたりする事は無く、岩石が飛んできても弾き返したりと、バリアの中に害は一切無かった。
しかし無事にドームの麓まで来たのはいいが、中に出入り出来そうな場所は無い。あったらあったで不自然なのだが、中に入れないとフェルと会う事すらできない。ヴィータさんは試しにグラーフアイゼンで黒いドームを叩こうとすると、グラーフアイゼンはグニュリと黒い空間に呑み込まれた。慌ててグラーフアイゼンを引っこ抜くと、グラーフアイゼンの赤と銀の装甲は正常なまま俺達の前に戻って来た。
「入れるみたいだね」
「ですね・・・・」
「安全かどうか分からないけどな」
「大丈夫ですよ。中にいるのはフェル何だから通してくれますって。じゃあ行きましょう」
ここに来て引き返す訳にはいかない。先の見えない空間に足を踏み入れるのは怖いが、先陣を切ってドームの中に入った。中に入ると、先程まで叫んでいた砂漠の風の音がピタリと止み、シーンと何の音も無い空間に一転した。ドームの中はまるで宇宙空間の様で、星の様に輝く白い点と、宇宙の様な黒しかそこにはなかった。クルッと後ろを向くと、そこには既になのはさんとヴィータさんが居り、辺りをキョロキョロと見渡していた。
「何も無いですね」
「そんな事無いみたいだよ。ほら」
前を指したなのはさんの指先を見ると、そこには先程まで無かった白く光る洋風の扉が置かれていた。こっちに来いと言うフェルのメッセージなのかもしれない。足場の見え無い場所をコツコツと足音を立てて歩く感覚は気持ち悪く、少し早足になって扉へと近付く。そしてドアノブに手を当て、スーと深呼吸をしてゆっくりとドアノブを回して扉を開ける。
すると先程まで9割以上が黒で埋められていた空間は一転し、世界の終りの様な不気味な荒野が広がっていた。空は心地よい青空とは程遠い暗い色が混ざった不気味な青が広がり、黄色い稲妻が天地を行き来して轟雷を鳴らし、割れた地面から覗くマグマが爆発して天へと昇る。寒い様で熱く、空気が綺麗な様で汚く、重力が地球の倍ある様で半分も無い様な、言葉では表せない不気味な空間。
そして扉から出た俺達の視界の中央にいたのは、なのはとそっくりな容姿を持つ黒のドレスを着た混沌幻魔フェルシュトラーフェ。
「いらっしゃい遊斗」
フェルらしからぬ落ち着いた挨拶が、この不気味な空間に重なってより一層不気味に感じられた。そんな感情が表に出ていたのか、フェルはクスクスと笑みを浮かべて小さい唇を動かした。
「変な遊斗。私に会いに来てくれたんでしょ?」
「私?」
フェルの一人称は女の子ではかなり珍しい僕。普段なら見た目にあった年相応の笑みを浮かべて飼い犬の様に人懐っこいオーラを放っているが、今目の前にいる少女は普段のフェルとは正反対のオーラを放っており、明らかにいつものフェルでは無い。
フェルとの面識が薄いなのはさんとヴィータさんもその変化に気付いたのか、デバイスを構えて目の前の少女に警戒する。
「お前、何者だ?」
「フフッ、混乱してるね。せっかくここまで来たんだから私の知ってる事全部教えてあげる。だけど私の正体をすぐに教えても面白くないから、この質問には最後にしか答えないわ」
俺の感情とは裏腹に嬉しそうなその雰囲気は決して気分がいいものでは無く、数秒間目の前の少女を睨みつける。しかし混沌幻魔であるフェルを乗っ取っているだけあり、俺如きの睨みではビクともせず、彼女の好意に素直に甘えて質問をする事にした。
「・・・・。じゃあまず、何故次元の歪を大きくしている?」
「簡単だよ。君達LSに力を送った時に失った力を取り戻し、そして更なる力を手に入れる為さ。普通のカードじゃない私は次元の歪にある膨大なエネルギーを吸収できるからね。でも驚いたよ。三幻魔を融合してようやくカードとして収められるのが
最後の一言が気になったが、それは目の前の少女の正体を聞いた時に解るだろう。少女の口から紡がれた言葉を忘れないようにしっかりと頭に刻みながら、次の謎を頭の中に浮かばせる。昨日のブラック・マジシャンとの話の時に明かされ無かった謎。
「フェルが存在するだけで様々な次元や時間のカードを運ぶのは本当か?」
「ええ、その通りよ」
「・・・・俺の父さんは今までに無い、新たな召喚方法を作ろうとしている。あの父さんがやるんだ、未来に新しいモンスター群が出る筈だ」
「? ・・・・ああ、ひょっとしてシンクロ召喚の事を言ってるの?」
「シンクロ、召喚?」
全く聞き覚えの無い単語。最後に召喚と付くから、儀式召喚や融合召喚の様なものだろう。
「未来に現れる召喚方法よ。呼び出したいシンクロモンスターのレベルと同じになるように、フィールドのモンスターを墓地へ送る。つまりあなたが聞きたいのは、未来に現れるシンクロモンスターが、何故この時間に現れないのか。そう言う事でしょ?」
「ああ」
父さんがレベルを必要とする召喚方法をシンクロ召喚と名付けたと仮定するなら、その質問で間違いない。目の前の少女は再びクスクスと小さく笑い、それからすぐに俺の質問に答えてくれた。その小さい口から出てきたのは、しばらくの間茫然としてしまう程スケールが大きい話だった。
「それは私も上手く言葉で説明できないから困るんだけど。何て言うのか、運命、この言葉が合ってるのかな? 彼女は時間を歪めて様々な時間から様々なカードを運んでしまう。けどその時代に絶対に存在してはならないカードを運ぶ事が出来ない。遠い未来、そのシンクロモンスターが辿る運命がある。だけどこの時代にシンクロモンスターがあったらその運命は滅茶苦茶になっちゃう」
「うん、めい・・・・?」
「最初に言ったでしょ、言葉で説明するのは難しいの。あくまで運命って言葉を使ったけど、世界の抑止力、時間の修正。兎に角目に見えない力が抑えているって言ったら分かる?」
「まあ、何となく」
そう答えると少女はまるで先生の様に「よくできました~」と手をパチパチと叩いて、見た目にあった年相応の笑みを見せた。
「・・・・じゃあ次。砂漠の次元から元の次元に戻った時、なんでフェルは俺の元を離れた?」
「その質問は私の正体に付いても話す事になるけどいい?」
つまりこれ以上質問は受け付けないと言う事だろう。他に気になる謎は無いので、後ろにいるなのはさんとヴィータさんが首を振るのを見て、俺もコクンと首を縦に振った。少女は「私の正体って言っても大した事無いんだけどね~」と落ち着いた表情で言った後に、その正体を暴露した。
「私の正体はフェルシュトラーフェに宿るもう一つの人格」
「もう一つの人格?」
「そう。存在するだけで様々な次元や時空に存在するカードを運んでしまう彼女の強大すぎる力は、とても一人でコントロールできる物じゃ無かった。だから彼女は無意識の内にもう一つの人格を作り、自分の力を半分に減らして力をコントロールした。その時生まれた人格が私」
もう一つの人格を作り、負担を半分にしても存在するだけでカードを運んでしまう・・・・。フェルの持つ力は俺の想像を越える程の力を持っているのかもしれない。今の今までフェルは自分の中にもう一つの人格がある等一言も言わなかったし、そんな素振りも見せなかった。先程彼女が行った通り、無意識の内に人格を作っていたため、今まで気付かなかったのだろう。
そして一番初めの質問の時に彼女が口にした「そのおかげで私が出てこれたんだけどね」という言葉。何となくだが何故もう一つの人格が表に出ているか分かって来た。
「お前はフェルがみんなに力を与えて弱っている間に表に出てきたって事か」
「正解。で、それが分かった遊斗は私をどうするつもり? 元の人格を表に出す為に私を倒す?」
「お前がその要件をすんなりと受け入れてくれたら戦わない。けど・・・・」
こいつは一番初めの質問の時、もう一つ重要な台詞を放った。「更なる力を手に入れる」と。今までの話が全て本当なら、より強大な力を求めている目の前の少女はとある行動に出る筈。その推理に至ったキーワードはついさっき彼女が説明してくれた、人格を二つにする事で力を半分にしたという発言。
目の前の少女はより一層警戒を強めた俺を見て、俺の思考に気付いたのか、先程まで浮かべていた笑みをスッと消して、なのはと同じ顔とは思えない悪魔の様な瞳と冷たい表情で俺を睨みつけた。
「気付いたみたいだね。そう、私は本来の人格を消してこの体に宿る力を全て私の物にする」
「ッツ! やっぱりそうか・・・・。何で、何でそんな事をしようとする! たった少ししか話していないが俺には分かる! フェルはこれ以上の力を求めていない!」
「逆に私が質問したいよ。何で本来の人格は力を全て自分の物にしなかったのか。コントロール出来なくても力は使える。その力を使って何でこの次元世界を滅茶苦茶にしなかったのか。君から実体を貰ってからもそう。彼女はただ次元世界を回って色んな物を食べたりするだけで、一度も破壊をしようとしなかった。私には理解できない」
今の一言で分かった。これ以上こいつにフェルを帰してくれと説得するのは意味が無い。そしてこいつにフェルの力を与えるのはダメだ。フェルの純粋な心が光りとするなら、こいつの歪んだ性格は闇。そんな危険な奴を放って置くわけにはいかないし、命の恩人であり仲間でもあるフェルが苦しんでいる。
後ろで待機していたなのはさんとヴィータさんが融合デッキに戻ると共に、俺はF・G・Dの力を解放してデュエルディスクを起動させる。F・G・Dの力を解放すると共に発生した風が三色のメッシュの入った髪を靡かせると共に、奴は自分の腕に炎の様にユラユラと揺らめく黒い炎を纏わせた。
「デュエルだ! 俺が勝てばフェルを帰して貰う!」
「フフッ、いいよ。本来の人格を消すまでの暇つぶしには丁度いいね」
「「デュエル!」」
今回は5500文字と今まででもかなり短い方です。まあ次回のVSフェルのもう一つの人格戦では長くなると思いますが。
元々フェルと戦う予定はあって戦う理由もザックリと決めていたのですが、いざ文にすると色々と絡み合わない点が多かったので、構成していた内容を全てリセットしました。体調不良の他にもそれが理由で更新に時間がかかりました。その結果がつい数話前と同じ二重人格って言うね。
しかしグダグダな点も多々ありますが、次回で遂に三期完結と思うと達成感があります。