遊戯王GX 決闘モンスターリリカルなのは   作:あかない

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ちょいとPCを使える時間が少なくなり、合間を見て執筆していた為投稿が遅れました。もうあと八話くらいなのでラストスパートと思って頑張りたいのですが、中々できません。

あと最近デュエルの構成に勝手に自分でハードル上げていたので、勝手に上げていたハードルを下ろすかもしれません。まあラスボスとかに関しては無理やり上げる予定ですが。
更新ペースが落ちてきた理由に勝手にハードル上げたっていうのも大きいと思いますし。


第六十七話

「遊斗、ご飯はまだかしら?」

「・・・・まだだ」

「もうボクお腹ペコペコだよ~」

「・・・・そうか」

「先日の件は甘い物で許してあげましょう」

「優しいシスターシャンテはステーキであなたの罪を許してあげるよ」

「・・・・そう思うなら、お前ら降りろ! 雑技団じゃないんだぞ!?」

 

学生寮とは思えない豪華な一室。その隅にある世間一般の主婦が指を咥える豪華なキッチンに立っている俺。その俺の背中にはフィンスター、レヴィ、シュテル、シャンテがいた。皆小さい女の子だが、四人となると結構な重みになり、非常に料理の邪魔になる。それでも100キロ前後なので楽々担いでいるが。

 

「それにレヴィとシャンテ。なにさらっとお前達がいるんだ」

「え~、堅い事言わないで御馳走してよ~」

「シュテるんとフィンスターだけなんてズルい~」

 

俺の上の上、つまりフィンスターの上にいるレヴィと、天辺にいるシャンテ。二人の顔は口を尖らせていることだろう。ブーブーと二人のブーイングを受け「仕方ない」とボソッと呟きながら、更に二人分の材料を追加する。すると頭上からレヴィとシャンテの喜びの声が聞こえ、静かに溜息を吐く。

 

「へいへい。ったく、仮にもお前達の主なんだから、もう少しこう尊敬というか敬意というものを――」

「――では料理ができるまでの間、皆でデュエルでもやりましょうか」

「いいわね、暇潰しになるわ」

「今日こそフィンスターに勝つぞぉ!」

「シュテルにすら勝てないあなたが私に勝てる訳ないでしょ? 異世界でのラスボスよ、私」

「ムッ、サラッと私を馬鹿にするのは止めて下さい」

「だって、実際二人がかりでも倒せないでしょ? ところで遊斗、さっき何か言った?」

「・・・・なんでも無い」

 

分かってますよ。俺に主としての威厳が無いのは、今に始まった事じゃない。未だにカードにさん付け、IFなのはさんに関しては様を付けで、初対面のディアーチェにはパッとしないと言われるし。それでもさぁ、一応一つの次元を束ねる王様でもあるんですよ? せめて材料を切るなり、混ざるなり単純な作業ぐらい手伝ってくれても――

 

「――大変だね遊斗。良かったら手伝おうか?」

「マイエンジェルフェイト」

 

 

 

 

全ての料理が出来上がり、皆が「美味しい」と言ってバクバク料理を食べる光景を見るのに、結構な時間が掛かった。

普段はなのはさんやはやてさんディアーチェの料理が得意な三人が作ってくれる事が多いが、今日はフィンスターが俺の料理が食べたいと脅してきた(甘えてきた)ので、久しぶりにキッチンに立った。

どっちにしろシュテルにも何か美味しい物を上げる約束をしていたので、丁度いいかな~なんて思って了承したのが間違いだった。気が付けばレヴィにシャンテの我が儘少女が飛び出し、二人に釣られて三王娘とリオとコロナが出てきて、シュテルに脅されディアーチェとユーリの分も作り、それからも何だかんだあってかなりの人数の料理を作らされた。

 

「ふぁ~あ。疲れた~」

「お疲れ様、遊斗」

 

祭りの様に盛り上がっている部屋の中で、ようやくソファーに腰を下ろす事ができたので、背筋をグーと伸ばしてリラックス。そして一回気の抜けた息を吐いて、隣にいるフェイトに礼を言った。

 

「ホントに助かった。ありがとな、フェイト」

「ううん、気にしないで」

「全く。アカデミア帰って早々これだ」

「フフッ。でも向こうもこんな感じじゃなかった?」

「・・・・言われてみれば。ハァ、もうちょっとゆっくり日常を送りたい・・・・」

 

なんて爺臭い事を呟くと、フェイトがクスクスと微笑ましそうに優しく笑った。何か変な事言ったかな? と意味を込めて首を傾げると、周りの雑音に消されない様にハッキリした、だけどいつもの優しいトーンでフェイトは告げる。

 

「口ではそう言ってるけど、今の生活楽しんでるでしょ?」

「・・・・バレた?」

「遊斗の彼女ですから」

「ほんと、フェイトには敵わないな~」

 

大人びた雰囲気で男心をグッと掴む言葉を放つフェイトへのささやかな反抗に、フェイトの頭を子供をあやすかの様に頭を撫でた。するとフェイトはプーと、先程よりも少し赤くなった頬を膨らませる。

 

「貴様等。乳繰り合うのは構わんが、客人が来ておる。そのくらいにしておけ」

 

ディアーチェが指す先には、ハンカチを噛み締めて俺とフェイトを睨みつける翔の姿があった。

 

 

 

 

「こんな時間に用って何だよ翔」

 

冬の終りの冷たい夜風を遮るものが無いブルー寮の屋上。月明かりとデュエルアカデミア本校の明りを頼りに歩く俺の前には、大人びた雰囲気を纏う翔の姿があった。翔はクルッと振り返り俺を見ると、左手に装着したデュエルディスクを起動させる。

 

「遊斗君にデュエルを申し込むッス」

「デュエル? 別にいいが、急にどうした?」

「昨日、サイバー流を敵視するサイコ流と名乗るデュエリストとデュエルをして勝ったッス」

「おお。それは凄い事じゃないか」

 

と、素直に褒めるものの、翔は嬉しそうな顔をせずに淡々と話を進める。

 

「そのデュエルで僕はお兄さんのデッキと僕のロイドデッキ、二つのデッキを混合したデッキを作り上げたっス。そう、カイザーと名乗っていたお兄さんのカードを引き継いだ。少し話がズレるけど、今のデュエルアカデミア、遊斗君は自分から名乗って無いけど、キミはカイザーと呼ばれているのを知ってるッスか?」

「そうらしいな」

 

どうやら俺達が別次元にいる間に、俺の噂が飛び交っていたらしく、気が付けば現カイザーは遊斗・スカリエッティ、って事になったらしい。

 

「お兄さんのカードを受け継いだのに、このデュエルアカデミアのカイザーは僕じゃない。ううん、このデッキじゃない!」

 

翔はそう言ってデュエルディスクからデッキを取り外し、一番下に眠っていたサイバー・ドラゴンのカードを俺に見せる。

 

「お兄さんのカード達は叫んでるッス。自分達より強いデッキはこの世に存在しないって! それに僕のロイド達も共感して、遊斗君、そしてアニキを倒したいって疼いてるッス!」

「なるほど。つまり、カードの為にカイザーになりたいと?」

「ううん。カードの為だけじゃない。僕自身も君を倒してカイザーになりたいって思ってる。お兄さんの後を継ぎたい!」

 

俺の目の前にいる翔は、数年前までコンプレックスの塊だった翔とは別人だった。兄より下と見られたくないからカイザーになりたい。そんな邪な考えは翔の瞳には無く、ただ純粋に、リスペクトしている亮さんの後を継ぎたいと願っている。

 

「・・・・一度爆発したら止まらない所は兄譲りか・・・・」

「何か言ったッスか?」

「いや、何でも無い。分かった翔。お前の三年間の成長見せてみろ。だが俺も加減はしない!」

 

俺がデュエルディスクを起動したその刹那、俺を中心に強風が巻き起こり、曲線が印象的だった第二世代のデュエルディスクがグニャリと形を変える。赤をメインとした色は漆黒に染まり、曲線は第一世代の三角の形になる。そして靡く前髪の一部が、赤・青・金・茶・黒の五つの色で螺旋状に並ぶ。

 

「ッツ!」

 

俺が睨みつけると、翔はビクッと肩を震わせ、ガタガタと震える足を数歩後ろへ動かす。

 

「どうした翔? まさか、ビビって逃げるなんて事無いよな?」

「そ、そんな事・・・・あるわけ無いッス!」

「面白い! いくぞ翔!」

「「デュエル!」」

「せ、先攻は僕! ドロー! ビークロイド・コネクション・ゾーン発動! 手札のスチームロイド、ドリルロイド、サブマリンロイドを融合し、スーパービークロイド-ジャンボドリルを融合召喚!」

 

A3000・D2000

 

いきなり攻撃力3000の融合モンスター。しかもコネクション・ゾーンの効果で融合召喚されたモンスターは効果で破壊する事ができない。とは言え、いきなり四枚の手札消費。亮さんのデッキを追加したって事は、ただでさえ事故率と手札消費が激しい筈だがどうやってその壁を潜りぬけて来るのか。

 

「エクスプレスロイドを守備表示で召喚! 効果で墓地のサブマリンロイドとドリルロイドを手札に!」

 

A400・D1500

 

「速攻魔法手札断殺! 互いのプレイヤーは手札を二枚墓地へ送り二枚ドロー。永続魔法、機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロントライン)を発動し、カードを一枚伏せてターンエンド」

 

翔  手札0 LP4000

モンスター ジャンボドリル エクスプレス

魔法&罠  最前線 セット×1

 

「いきなり手札全て使うとは。俺のターン! 相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない時、カリム姉は特殊召喚できる」

 

AD500

 

「効果発動。カードの種類を宣言し、デッキトップがその種類だったら手札に加える。モンスターを宣言、デッキトップはなのは、手札に加える。なのはを通常召喚! 効果でLCを乗せる」

 

なのはLC1

A500・D1800

 

「魔法・罠ゾーンにすずかを置き、その効果でなのはのLCを自身へと移動。そしてなのは以外に乗っているLCを取り除く事で、ユーノを特殊召喚!」

 

LCなのは1→0 すずか0→1→0

 

「遊斗君もいきなりエースをッ」

「場のなのはとユーノを融合! 来い、AOA高町なのは!」

 

A1000・D3000

 

「なのはさんの効果発動。デッキからスバルを手札に加える。そしてレイジングハートをなのはさんに装備させ、攻撃力を1500アップ!」

 

なのはA1000→A2500

 

「バトル! なのはさんでジャンボドリルに攻撃!」

「攻撃宣言時、スーパーチャージを発動! フィールドのモンスターがロイドのみの時、ロイドへの攻撃宣言時に発動可能。デッキから二枚ドローする!」

 

亮さんのカードを入れても、スーパーチャージは入れているか・・・・。亮さんのカードを何枚デッキに入れているかは分からないが、デッキが翔に応えてくれている。無茶苦茶なデッキでも無理やり回している。

 

「ダメージ計算時、手札のスバルを捨ててなのはさんの攻撃力を1000上げる!」

 

なのはA2500→A3500 VS A3000

 

接近して来るなのはさんを追撃しようとドリルを回転させ突進してくるジャンボドリル。しかしなのはさんは空へと飛んでジャンボドリルの攻撃をアッサリと回避し、空から一方的にディバインバスターを放つ。それだけでは僅かに火力不足だったのか、巨大なドリルによって受け止められるが、その隙にジャンボドリルの後方へと回ったスバルがディバインバスターを零距離で打ちこんだ。

 

翔LP4000→3500

 

「クッ! フロントラインの効果発動! デッキから二体目のスチームロイドを特殊召喚!」

 

AD1800

 

「カードを二枚伏せてターンエンド」

 

遊斗 手札1 LP4000

モンスター なのは カリム

魔法&罠  レイジングハート セット×2 すずか

翔  手札2 LP3500

モンスター エクスプレス スチーム

魔法&罠  最前線

 

「僕のターン! サイバー・ヴァリーを召喚!」

 

AD0

 

「機械複製術を発動! デッキから二体のサイバー・ヴァリーを特殊召喚!」

 

ヴァリーを並べた。主にサイバー・ヴァリーとエクスプレスロイドを使用して手札を稼ぎ、融合モンスターを沢山召喚するつもりか。

 

「二体のサイバー・ヴァリーの第二の効果! エクスプレスロイドとスチームロイドをゲームから除外して、デッキから四枚ドロー!」

 

これで翔の手札は一気に五枚になった。だが手札融合をすればすぐに息切れするライン。まだ狙って来る筈だ。

 

「装備魔法D・D・Rを発動! 手札一枚を捨て、除外されたエクスプレスロイドを特殊召喚! その効果で墓地のドリルロイドとサブマリンロイドを手札に加える」

 

A400・D1500

 

「上手いッ! 手札を補充しつつサイバー・ヴァリーのドロー要員を確保した」

「再びサイバー・ヴァリーの効果でエクスプレスロイドと自身を除外して二枚ドロー!」

 

これで翔の手札は七枚。十二分に動ける。更に翔のフィールドはガラ空きになった為、あのモンスターを呼べる。

 

「相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない時、手札からサイバー・ドラゴンを特殊召喚できる!」

 

A2100・D1600

 

「来たか。亮さんのエースモンスター」

「そして手札抹殺! 僕は五枚のカードを捨てデッキから五枚ドロー!」

「俺は一枚だ」

「死者蘇生を発動し、墓地のジャンボドリルを特殊召喚!」

 

A3000・D2000

 

まああれだけドローすればなのはさんの火力を越えるモンスターを呼ぶ手段はいくらでもあるよな。さてと、せっかく復活したのに申し訳ないが、そのモンスターの火力は無意味になる。

 

「バトル! ジャンボドリルで――」

「――メインフェイズ終了時に罠発動! Force-evolution! なのはさんを生贄に、融合デッキからCW-Force00X高町なのは-Fortress Strike Cannonを特殊召喚する!」

 

LCなのは1

A2000・D3500

 

月の光を避けていたカードが表になった時、翔の表情が一気に険しくなる。Force-evolutionから装備を託されたなのはさんの守備力は更に上昇し、ジャンボドリルの攻撃力よりも高い3500。しかもこのカードは相手モンスターのステータスを永続的に下げる効果を持つ。

 

「バトル!」

「バトルフェイズ開始時になのはさんの効果発動! 相手フィールド上に存在するモンスターの数だけこのカードにFCを乗せる」

 

FCなのは0→2

 

「そしてこのカードが攻撃対象になった時、このカードのFCを取り除く。だがお前のエンドフェイズ時になのはさんにFCが乗っていたら、FCの数だけモンスターを選択し、選択したモンスターの攻守を500下げる」

「厄介なカードッス・・・・。ならジャンボドリルでカリムを攻撃!」

「それも通さない。罠発動、協力防御! LSが二体以上いる時発動可能。このターン俺はダメージを受けず、LSは戦闘破壊されない。更に発動後デッキから一枚ドローできる」

 

A3000 VS D500

 

ジャンボドリルの攻撃はカリム姉の前に立ったなのはさんのシールドによって防がれ、アッサリと後退。

 

「メインフェイズ2に永続魔法、未来融合-フューチャー・フュージョンを発動! 鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴンを選択して発動! デッキのホーン、エッジ、キールを墓地へ! カードを三枚伏せてターンエンド!」

「エンドフェイズ、なのはさんの効果発動! 乗っている二つのFCを取り除き、お前のモンスター二体の攻守を下げる!」

 

なのはFC2→0

ジャンボドリルA3000・D2000→A2500・D1500

サイドラA2100・D1600→A1600・D1100

 

遊斗 手札2 LP4000

モンスター なのは カリム

魔法&罠  すずか

翔  手札0 LP3500

モンスター サイドラ ジャンボドリル

魔法&罠  最前線 未来融合 セット×3

 

未来融合の対象はキメラテックじゃなくサイバー・ダーク。確かにキメラテックは融合召喚成功時に自身を除くフィールドのカードを全て墓地へ送らなくてはならない。とはいえデッキの機械族を全て墓地へ送れる立派なメリットはあるが、今の翔にはそこまでの墓地肥やしは必要無いらしい。

 

「俺のターン! まずはカリム姉の効果発動! デッキトップはヴォルフラムだから魔法と宣言。勿論デッキトップはヴォルフラムだ」

「うぐっ! インチキ臭いッス」

「なにを今更。俺くらいになるとデッキトップを読めるくらい当然だ。永続魔法ヴォルフラムを発動! これによりForceは俺のエンドフェイズ時にLCを取り除く効果、融合デッキに戻るデメリットが消えた」

 

これで思う存分Force形態を呼べる――のだが、肝心のForceを呼ぼうにもこの手札では無理だ。翔のフィールドには貫通持ちのジャンボドリルがいるからさっさと奴を片づけたい。なら・・・・。

 

「フィールド魔法聖王教会を発動!」

 

ミッドチルダの方が使い勝手がいい為、どうしても出番が少なくなってしまうフィールド魔法だが、一部のLSを支えてくれる優秀なフィールド魔法。

殺風景な夜のブルー寮屋上は消え、太陽が真上に上る気持ちの良い昼へと時が動く。更に色とりどりの花々、巨大な鐘を抱えているシンメトリーになっている塔、そして俺達がいる中庭を囲う聖王教会。

 

「シャッハを攻撃表示で召喚! 召喚成功時にLCを置き、聖王教会の効果でシャッハの攻守が500上がる」

 

LCシャッハ1

シャッハA1800・D1000→A2300・D1500

 

「シャッハの効果発動。LCを二つ取り除く事で、デッキからシャンテを特殊召喚できる。が、聖王教会がある時、LCのコストを一つにする事ができる。シャンテを特殊召喚!」

 

LCシャッハ1→0

シャンテA1400・D500→A1900・D1000

 

シャッハに呼びだされて跳んで来たシャンテの頭には、大きなたんこぶがあった。そのたんこぶを作った原因であるシャッハは、ペコリと俺に頭を下げた。

シャンテがおこられた理由。それは聖王教会のシスターであるにも関わらず、他人にステーキを奢らせた事。シスターに相応しい言動で日常を過ごさないといけない、と言うのがシャッハの信念みたいだ。まあ俺はシャッハ程厳しくはないから、シャンテにご飯作ってあげてもいい。食べてる時のシャンテって大人しくて可愛いし。

 

「魔法・罠ゾーンにアリサを置く。そしてアリサの効果でシャッハを支援。バトル! シャンテでジャンボドリルを攻撃!」

「攻撃力が低いモンスターで? いや、確かそのモンスターの効果は・・・・ッ」

 

A1900 VS A2500

 

ジャンボドリルへと稲妻を思わせるステップで接近して行くシャンテ。突進してくるシャンテを感知し、巨大なドリルを回転させて迎撃しようとしたジャンボドリル。だが次の瞬間、ジャンボドリルの瞳に焦りが現れた。さっきまで突進して来たシャンテの姿が三人に増えていたのだ。更にジャンボドリルの後方、つまり翔の頭上に一人の少女が浮いていた。

 

「そう。シャンテは幻影の使い手。お前がシャンテだと思っていた子は、実は別の子だったりしてな。さあ出番だシュテル!」

 

A800・D1500

 

「しまった!」

「シュテルでジャンボドリルに攻撃! シュテルが戦闘を行う時、攻撃対象のレベル×300ポイント攻撃力をアップする」

『呼んでくれ感謝します遊斗。ブラストファイアー!』

 

シュテルA800→A3200 VS A2500

 

シャンテの幻影に惑わされたジャンボドリル。ただでさえ戦闘準備ができていないのに、そこからシュテルの超火力砲が後方からくればたまったもんじゃない。襲って来た衝撃に耐えきれずに転倒したジャンボドリルの背中には、シュテルのマグマの様に熱い炎の砲撃によって空けられた穴があった。

 

「ジャンボドリルッ!」

「シュテルの戦闘によって相手が受けるダメージは0になる。シャッハでサイバー・ドラゴンを攻撃!」

 

A2300 VS A1600

 

シャッハはシャンテよりも更に速いスピードでサイバー・ドラゴンに接近し、厚い装甲に覆われたサイバー・ドラゴンをいとも簡単にトンファー型のデバイスで叩き斬った。

そしてアリサがシャッハに与えた炎の加護によってシャッハに魔力が与えられ、更にデッキトップがオレンジ色の炎で燃え盛る。

 

翔LP3500→2800

 

「ぐうぅっ! フロントラインの効果発動! デッキからサイバー・ドラゴン・ツヴァイを特殊召喚!」

 

A1500・D1000

 

「アリサが支援したモンスターが戦闘で相手を破壊した時、LCを置く。更にフィールドにすずかがいる時、デッキから一枚ドローできる」

 

シャッハLC0→1

 

「バトルフェイズ終了時、シュテルは次の俺のバトルフェイズ時までゲームから除外される。そしてもう一度シャッハの効果発動。LCを取り除き、デッキからシャンテを特殊召喚する」

『え~、また出番?』

『何か文句でも?』

『ありません・・・・』

 

シャッハLC1→0

シャンテA1400・D500→A1900・D1000

 

シャッハとシャンテのやり取りを、なのはさんとカリム姉は微笑ましそうにフフッと笑っている。カリム姉が優しく笑っても全然違和感無いが、Forceを装備した今のなのはさんが優しく笑うと、無論可愛いのだが、装備とのギャップが激しい。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

場 聖王教会

遊斗 手札0 LP4000

モンスター なのは カリム シャッハ シャンテ

魔法&罠  すずか アリサ ヴォルフラム セット×1

翔  手札0 LP2800

モンスター サイドラツヴァイ

魔法&罠  最前線 未来融合 セット×3

 

カードを一枚も持っていない左手は非常に心細いが、フィールドに戦力が集まっているので不安は無い。だが油断はしない。俺が対峙しているデュエリストの瞳はこの状況に諦めていない。何とかして巻き返そうとドローする手に全神経を集中させている。

 

「僕のターン! よしっ! 罠発動、チェーン・マテリアル! このカードの発動ターン、手札・デッキ・フィールド・墓地から融合素材モンスターを融合できる!」

「またコネクション・ゾーンか?」

「違うよ。フィールド魔法フュージョン・ゲートを発動!」

「フュージョン・ゲート!? ・・・・上書きによって聖王教会は破壊される」

 

シャンテA1900・D1000→A1400・D500

シャッハA2300・D1500→A1800・D1000

 

チェーン・マテリアルとフュージョン・ゲート。このコンボはマニアックだが結構有名で、チェーン・マテリアルのデメリットがあるが、フィールドを融合モンスターで埋める事ができる非常に面白いコンボ。とは言え翔のデッキでメリットがあるコンボなのか?

 

「フュージョン・ゲートの効果発動。デッキと墓地、三体のサイバー・ドラゴンを融合してサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!」

 

A4000・D2800

 

亮さんの切り札、サイバー・エンド・ドラゴン。だがチェーン・マテリアルにより攻撃できず、エンドフェイズ時に破壊されてしまうサイバー・エンドの威圧感は無いも同然だった。

 

「まだまだ! デッキのトラックロイド、エクスプレスロイド、ステルスロイド、墓地のドリルロイドをゲームから除外して、スーパービークロイド-ステルス・ユニオンを召喚!」

 

A3600・D3000

 

「やっぱ呼んできたか。チェーン・マテリアルで召喚したモンスターは効果を発動できる」

「そうッス! ステルス・ユニオンの効果! なのはをこのカードに装備!」

「チッ」

 

ステルス・ユニオンの胸の所がパカッと開き、掃除機の様になのはさんを吸い取って体内に封じ込めた。見た目の割には地味な演出かもしれないが、相手を装備する事でモンスターを除去できる数少ないカード。それを防ぐカードは結構少ない。

 

「まだ! デッキのレスキューロイド、キューキューロイド。ジャイロイド、スチームロイドをゲームから除外してレスキューキューロイドとスチームジャイロイドを特殊召喚!」

 

A2300・D1800

A2200・D1600

 

「なっ!? そいつ等まで!?」

 

どういう事だ・・・・。攻撃が出来ないサイバー・エンド・ドラゴンを呼んだからには何か狙っていると思っていたが、フィールドをサイバー・ドラゴン・ツヴァイと融合モンスターで埋めやがった。一瞬カタパルト1キルの存在が頭を過ったが、翔がループ系の1キルをする訳がない。第一フィールドを全て埋めては何の意味も無い。

 

「流石の遊斗君も驚いてるッスね」

「当たり前だ。多分名高いデュエル評論家やデュエルキングでも今のお前のプレイングには驚くだろうよ」

「お兄さんのサイバー・ドラゴンデッキと僕のロイドデッキ。その共通点は同種族で、融合モンスターをエースとする。それぐらいしかない。だから僕はその二点で無理やり繋ぎ合わせた。これが僕のサイバー・ロイドデッキ! 罠発動、ハイレート・ドロー!」

「なっ・・・・!? なるほど。自分フィールドのモンスターを全て破壊するカード」

 

口にした通り、ハイレート・ドローが表になった瞬間、翔のフィールドを埋め尽くしていた五体のモンスターは全て破壊された。ただのデメリットカード。これだけではそう見えてしまうが、問題はこの次の効果。

 

「そしてこの効果で破壊した機械族モンスター一体につき一枚デッキからドローする! 僕が破壊したモンスターは全て機械族! よってデッキから五枚ドロー!」

「無茶苦茶だが最高に面白いぞ翔!」

「ありがとう遊斗君! でも僕は君を楽しませる為にデュエルをしてるんじゃない。君に勝つ為にデュエルをしているんだ! 再びフュージョン・ゲートの効果発動! 墓地のレスキューキューロイド、ジャンボドリル、スチームジャイロイド、ステルス・ユニオン、デッキのジェットロイドを融合し、極戦機王ヴァルバロイドを特殊召喚!」

 

AD4000

 

いつか、翔とタッグを組んだ時があった。その時活躍してくれたロイドの本当の切り札とも言える融合モンスター。

 

「ヴァルバロイドまで・・・・」

「まだ僕は通常召喚を行っていない。強化支援メカ・ヘビーウェポンを召喚し、ヴァルバロイドに装備」

 

ヴァルバロイドAD4000→AD4500

 

「カードを一枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ時に、チェーン・マテリアルの効果でヴァルバロイドは破壊されるけど、メカ・ヘビーウェポンを身代わりにして破壊を免れる!」

 

ヴァルバロイドAD4500→AD4000

 

場 フュージョン・ゲート

遊斗 手札0 LP4000

モンスター カリム シャッハ シャンテ (シュテル)

魔法&罠  すずか アリサ ヴォルフラム セット×1

翔  手札3 LP2800

モンスター ヴァルバロイド

魔法&罠  最前線 未来融合 セット×2

 

攻撃していないのにド派手なターンだった・・・・。さっきのターン翔はデッキと融合デッキ、かなりの枚数のカードを使って手札を補充したが、目的はそれだけでは無い。フュージョン・ゲートの効果で融合召喚したモンスターは、蘇生制限を満たす事ができる。ドローと一緒に、墓地に蘇生制限を満たした強力な融合モンスターを送った。

 

「ふぅ・・・・。昔のお前はどこに行ったのやら。嬉しい半面少し寂しいよ」

「人間離れした遊斗君に言われたくは無いッス」

「それもそうだな。俺のターン! まずはカリム姉の効果。モンスターを宣言。デッキトップはティアナ。よって手札に加える」

 

さて・・・・。この手札じゃヴァルバロイドどころか、おそらく近い内に召喚されるサイバー・エンドの攻撃力すら突破できない。次のターンにはサイバー・ダーク・ドラゴンも来る・・・・。

 

「罠発動、strikersの収集を発動。墓地のなのは、ユーノ、AOAなのはさんをデッキに戻し二枚ドロー。永続魔法時空管理局発動! そしてフィールドのシャッハ、シャンテ、カリム姉を生贄に、ユーリを特殊召喚!」

 

LC時空管理局0→1

AD4000

 

ヴァルバロイドとユーリ。俺と翔がタッグを組んだ時に相手を倒すキーカードとなったカード達。たった一回のタッグデュエルだったが、いい意味でも悪い意味でも思い出の詰まったデュエルだったな・・・・。

 

「遊斗君もあの時の事を思い出してるッスね」

「ああ。あの頃から俺の人生大きく変わったし、昨日のことの様に覚えてるよ」

「うん・・・・。でも容赦はしないッス! 確かにユーリちゃんは破壊できないッスけど、ディアーチェちゃんがいなければ攻撃できないッス」

「すぐに反撃してやるさ。ティアナを通常召喚!」

 

A1200・D1000

 

「ティアナの効果! 時空管理局のLCを一つ取り除き、墓地のLS一体を除外。除外したモンスターと同じ名前のトークンを特殊召喚する。俺はディアーチェを選択し、ゲームから除外!」

 

LC時空管理局1→0→1

AD0

 

手札抹殺の時、墓地にディアーチェを送る事ができた。あの時は高火力アタッカーとなるディアーチェの損失は大きかったが、結果オーライ。

 

「そしてバトルフェイズ開始時、除外されているシュテルが特殊召喚される」

 

A800・D1500

 

ここでシュテルで攻撃したらヴァルバロイドの攻撃力を上回る事ができる。だがあの二枚のセットカードの内、一枚がシュテルを除去するカードだったら、次に繋げる事ができなくなり一貫の終わりだ。破壊されないユーリと、ユーリがいる時攻撃対象にされないディアーチェを呼んでおくのが安全だ。

 

「戦闘は行わずそのままメイン2に移動。速攻魔法フェイクシルエット。デッキのレヴィを墓地へ送り、ティアナを対象に発動。ティアナをレヴィとして扱う」

「これでマテリアルズが三人揃った!」

「場のディアーチェ、シュテル、レヴィを融合! 現れろ、紫天の王-ロード・ディアーチェ!」

 

A2500・D2000

 

ディアーチェの両隣にいたシュテルとレヴィの体が自らの魔力光で包まれ、ほんの一瞬の内に手の平サイズの球体へと形を変える。そしてシュテルとレヴィ、二つの球体がディアーチェの胸に入った瞬間、ディアーチェの背中の黒い翼に炎と雷が宿り、ディアーチェ自身からもその二つの属性のパワーが溢れ出た。

 

「ディアーチェの効果。融合召喚に成功した時、デッキから紫天の書を手札に加える。紫天の王-ロード・ディアーチェは、レベル5の闇統べし王(ロード・ディアーチェ)としても扱う。よって紫天の書は装備可能。最も、今は紫天の書は発動しない」

 

魔法・罠ゾーンの内四つが永続カードで埋まっている今、下手に紫天の書は発動できない。せめてどれか一枚フィールドから去った後にしないと。

 

「すずかの効果発動。時空管理局のLCを自身へ移動。そのLCを使用し、次のターンのヴァルバロイドの攻撃と表示形式の変更を封じる」

 

LC時空管理局1→0 すずか0→1→0

 

すずかはまるでバイオリンの奏でるかのようにそっと、だが強く空を撫でた。すずかの氷の力が大気の水分と共鳴し、ヴァルバロイドの手足を巨大な氷の枷が縛り、ヴァルバロイドの動きを封じる。

 

「ヴァルバロイドの効果はダメージ計算後に戦闘を行ったモンスターの効果を無効にする。このままじゃユーリはサイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃で破壊されてしまう」

「やっぱり気付いてたッスね」

「俺はこれでターンエンド」

 

場 フュージョン・ゲート

遊斗 手札1 LP4000

モンスター ディアーチェ ユーリ

魔法&罠  すずか アリサ ヴォルフラム 時空管理局

翔  手札3 LP2800

モンスター ヴァルバロイド

魔法&罠  最前線 未来融合 セット×2

 

「僕のターン! このスタンバイフェイズ、未来融合の効果でサイバー・ダーク・ドラゴンを融合召喚!」

 

A1000・D1000

 

ヴァルバロイドの左側に出現した大きな融合の渦から現れたのは、全てを染める暗黒の装甲で覆われた機械の竜。それは三体の下級サイバー・ダークが合体し、一つとなった姿。ホーンは刃の様に鋭い翼となり、エッジは全エネルギーを収束させる牙となり、キールは墓地のドラゴンの力を吸収する尾となる。

 

「サイバー・ダーク・ドラゴンの効果発動! 融合召喚に成功した時、墓地のドラゴン族をこのカードに装備できる。墓地のドラゴンロイドを選択し、このカードに装備!」

「ドラゴンロイド・・・・。初めて聞くモンスターだ」

 

サイバー・ダーク・ドラゴンは墓地から、機械で作られた可愛らしい赤い竜を引きずり出して自らに装着。どうやらドラゴンロイドの攻撃力は2900の様で、攻撃力が一気に3900までアップした。

 

サイバー・ダークA1000→A3900

 

「ドラゴンロイドが墓地に存在する限り、自身の種族をドラゴン族として扱う」

「なるほど。デッキや手札では機械族として扱い、墓地ではドラゴン族として扱うロイドモンスター。お前のデッキとは相性がいい」

 

更にサイバー・ダーク・ドラゴンのもう一つの効果が発動される。自分の墓地のモンスター一体につき、攻撃力を100ポイントアップする。色々回していたので翔の墓地のカードはもはや把握していないのだが、一体何枚あるのやら。

 

「僕の墓地のモンスターは十一体! よって攻撃力は5000!」

 

サイバー・ダークA3900→A5000

 

「攻撃力5000か・・・・」

 

とはいえ俺のフィールドにはユーリがいる。場にユーリがいる時、相手はディアーチェを攻撃対象にする事ができない。守備表示のユーリに対しては、攻撃が可能なサイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃は無意味――

 

「――バトル! サイバー・ダーク・ドラゴンでユーリに攻撃! 攻撃宣言時にリバースカードオープン! ストライク・ショット! 攻撃モンスターの攻撃力を700アップさせ、貫通効果を与える」

「サイバー・エンド以外にも貫通カードを入れていたか。何も無い、攻撃は通る」

 

サイバー・ダークA5000→A5700 VS D4000

 

サイバー・ダーク・ドラゴンはドラゴンロイドと墓地のモンスター達の力を吸収し、牙と牙の間に、血の様に赤く、闇の様に暗いエネルギーを溜め、ユーリに発射。ユーリは自分の体よりも大きい手形の翼で身を包み、サイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃を見事に受け止めた。が、ストライク・ショットの効果によって暗黒のエネルギーは、翼を、そしてユーリをも無視して俺へと飛んで来た。

 

遊斗LP4000→2300

 

「なるほど。流石亮さんの、いや、封じられていた裏サイバーのカード。ソリッドビジョンにしては衝撃が強い」

「その割にはリアクションが薄いッス。僕はこれでターンエンド」

 

場 フュージョン・ゲート

遊斗 手札1 LP2300

モンスター ディアーチェ ユーリ

魔法&罠  すずか アリサ ヴォルフラム 時空管理局

翔  手札4 LP2800

モンスター ヴァルバロイド サイバー・ダーク

魔法&罠  最前線 未来融合 セット×1 ドラゴンロイド

 

あのリバースカードが不気味だが、さっきのサイバー・ダーク・ドラゴンの時に発動しなかったって事はリミッター解除では無い。

 

「俺のターン! 無限書庫を発動。魔法・罠ゾーンに表側表示で存在するカード一枚とこのカードをデッキに戻し、二枚ドローする。時空管理局をデッキに戻して二枚ドロー! 装備魔法紫天の書をディアーチェに装備!」

 

ディアーチェA2500・D2000→A3000・D2500

 

「アリサの効果でディアーチェを支援!」

 

アリサが右手に持っていた剣に纏う炎が、蛇の様に動いてディアーチェの右腕に纏う。

 

「バトル! ディアーチェでヴァルバロイドを攻撃!」

「ヴァルバロイドの方が攻撃力が上だよ!」

「残念。シュテルの効果を受け継いだディアーチェが戦闘を行う時、相手モンスターのレベル×100ポイント攻撃力を上げる。ヴァルバロイドのレベルは12」

 

ディアーチェA3000→A4200 VS A4000

 

ディアーチェの背中に付いた煉獄の焔と、右手を纏う業火が闇を統べる王に更に力を与える。デュエルモンスターズの神々や三幻魔と等しい攻撃力を持つヴァルバロイドさえも、ディアーチェには勝てない。

 

『スクラップとなるがいい! エクスカリバー!』

 

炎を螺旋状に纏う紫色の砲撃が放たれ、全長十数メートルはあるヴァルバロイドの巨体を呑み込んで破壊。高熱に耐えきれず爆発したヴァルバロイドの破片と火の粉が翔に襲い掛かり、200とは思えない程後方に吹き飛ばされる。

 

「うわあああっ! うっ、フロントラインの効果は使わない」

 

翔LP2800→2600

 

「アリサの二つの効果と、紫天の書の効果発動! アリサの効果でディアーチェに一つLCを乗せ、一枚ドロー。そして紫天の書の効果で自身にLCを乗せる」

 

LCディアーチェ0→1 紫天の書0→1

 

「クッ、またすずかの効果が」

「その通り。すずかの効果発動。ディアーチェのLCを自身へと移動させ、そのカウンターを使用してサイバー・ダークの攻撃を封じる!」

 

LCディアーチェ1→0 すずか0→1→0

 

「クッ!」

 

前のターンのヴァルバロイドの様に、氷漬けにされたサイバー・ダーク。いかに強力な攻撃力を持っていようとも、その力を発揮できなければただの壁だ。それもいつ砕けるか分からない脆い壁だ。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

場 フュージョン・ゲート

遊斗 手札2 LP2300

モンスター ディアーチェ ユーリ

魔法&罠  すずか アリサ ヴォルフラム 紫天の書 セット×1

翔  手札4 LP2600

モンスター サイバー・ダーク

魔法&罠  最前線 未来融合 セット×1 ドラゴンロイド

 

「僕のターン!」

 

翔はドローしたカードを見、その後俺のフィールドを眺める。その視線の先は俺の魔法・罠ゾーン。警戒すべきカードはリバースカード一枚だが、アリサとすずかのコンビ、ディアーチェの火力増強とユーリの攻撃を可能にする紫天の書。Forceが居ればデメリットを解除できるヴォルフラムと、相手からすれば非常に厄介なカードが多い。

翔が今引いたカードがサイクロン等の単体除去ならともかく、大嵐の様な全体除去だった場合、未来融合が破壊され、サイバー・ダークは破壊される。

 

「僕、この三年間色々な人のデュエルを見て気付いたッス」

「ん?」

「人によって色んなデュエルをするんだって。明日香さんは相手のモンスターや表示形式を利用するデュエル、万丈目君はコンボを重要視するデュエル、剣山君やレイちゃんは自分の好きなカードを使うデュエル。エドは時間を利用するデュエル。そしてアニキは流れを操るデュエル」

 

皆のデュエルに対する翔の評価はしっくり来る。明日香は貫通効果持ちのモンスターや、ドゥーブルパッセ。万丈目はおジャマ・デルタハリケーンやVWXYZの召喚。剣山は恐竜、レイちゃんは恋する乙女や可愛いモンスター。エドはD-HEROで時間を操り、十代はE-HERO達との結束によりデュエルの流れを一手で変える。

 

「・・・・確かに。じゃあ、俺は?」

「遊斗君は、フィールドを支配するデュエル。安定性のあるカードや永続カードを軸に、高火力モンスター、モンスター除去、防御、手札補充をしていくデュエル」

「なるほど。悪くない」

「ただ相手の魔法・罠を破壊するカードや、妨害カードが無いのが弱点だけど」

「ははっ、違い無い。それで翔はフィールドを支配するデュエルをする俺に、どうやって勝つつもりだ?」

「こうやるッス! 大嵐を発動!」

 

俺の予想とは少し違い、翔は前から手札にあったカードを発動した。カードから発生した嵐によってフィールドの魔法・罠カードが全て吹き飛ばされ、フュージョン・ゲートが破壊された事により辺りの景色がブルー寮の屋上へと戻る。

 

「だがお前のフィールドはがら空きになった」

 

ディアーチェA3000→A2500

 

フィールドに並んでいたカードを蹂躙していった嵐が消えると同時に、未来融合の効果で特殊召喚されたサイバー・ダークは消えて行く。心強い永続カード達が破壊されたのは痛いが、それ以上に翔の痛手の方が大きい筈。

 

「ただじゃやられないッスよ。フィールドをよく見るッス」

 

翔に言われ自分のフィールドを見ると、そこにはさっきまで居た筈のユーリの姿が消えており、ユーリの消失に少し困惑しているディアーチェの姿があった。

 

「何が?」

「大嵐にチェーンして強制脱出装置を発動していたッス。対象はユーリちゃん」

「なるほど。だがまだディアーチェが残っている」

「ライフを800払い、装備魔法再融合を発動! 墓地のサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!」

 

サイバー・エンド・ドラゴン。二年前からずっと亮さんと戦う度に毎回対峙して来たサイバー流最強の融合モンスター。三体のサイバー・ドラゴンが融合したそのモンスターは、一体何体のモンスターを破壊し、何人のモンスターを屠って来ただろうか。

 

「ヴァルバロイドは召喚しないのか」

「僕はサイバー・エンドで遊斗君を倒す! アームズ・ホールを発動! デッキトップを墓地へ送り、墓地のD・D・Rを手札に加え、そのまま発動! 除外されたステルス・ユニオンを特殊召喚!」

 

A3600・D3000

 

「またそいつか!」

「ステルス・ユニオンの効果でディアーチェを装備する!」

 

これで俺のフィールドはモンスターも、魔法・罠カードも無いがら空き状態になってしまった。そして俺のライフは2300、対する翔のフィールドには攻撃力3600と4000の二体の融合モンスター。ステルス・ユニオンは攻撃する時攻撃力が半分になるが、翔が持っている最後の一枚・・・・。

 

「バトル! サイバー・エンド・ドラゴンでダイレクトアタック! エターナル・エヴォリューション・バースト!」

「させるか! 墓地のフェイクシルエットの効果発動! このカードとティアナをゲームから除外し、相手の攻撃を一度だけ無効にする!」

 

サイバー・エンド・ドラゴンの体内に貯蔵されているエネルギーの全てを放射する最強の攻撃も、当たらなければライフが減る事は無い。機械竜の破壊光線は、墓地のティアナの力によって生み出された幻影へ放たれ、ブーンという空気の震える音を放つだけの空しい攻撃となった。

 

「まだまだ! ステルス・ユニオンでダイレクトアタック!」

 

ステルスA3600→A1800

 

ステルス・ユニオンはおもちゃのロボットの様にゆっくり右手を標的()へと向け、腕を胴体から切り離して飛ばしてきた。所謂ロケットパンチである。一見可愛らしく聞こえる攻撃名だが、自分に、高速で巨大な拳が飛んでくる光景は生きた心地がしない。更にその拳は道中で更にスピードを上げる。

 

「勝ったッ! ダメージステップリミッター解除を発動! ステルス・ユニオンの攻撃力を倍にする!」

 

ステルスA1800→A3600

サイバー・エンドA4000→A8000

 

先程の倍のスピードで飛んでくる拳。あと数秒もすれば拳は俺に届き、俺のライフは尽きるだろう。勝利を確信した翔はグッと手を握っている。その目は、自らの全力を出し切ったこと、何より勝利を確信した事に満足している。

デュエルアカデミアにいる三年間、ずっとつるんで来た大切な親友の一人。最後くらいその親友に見せ場を作るのも悪くないかもしれないが、まだまだ発展途上の翔にカイザーの名を渡してしまうと亮さんに怒られそうだ。

 

「手札の・・・・、ザフィーラの効果発動ッ!」

「なっ!?」

 

一枚のカードを墓地へ送ると、俺の目の前に青い大きな狼が立ちふさがった。盾の守護獣ザフィーラ。例えどんな攻撃であろうとも、防いでくれる盾。例えリミッターが解除されたステルス・ユニオンの攻撃も例外では無かった。

ザフィーラが作り出した青いバリアによって拳の進行は阻止され、ザフィーラが『ておおおお!』と咆哮を上げると、ステルス・ユニオンの拳は弾かれて明後日の方向へと飛んで行った。

 

「ザフィーラの効果でデッキから一枚ドロー」

「アハハ・・・・。墓地のフェイクシルエットの存在は覚えていたんスけど、やっぱり遊斗君には敵わないッス。僕はこれでターンエンド。リミッター解除の効果で二体は破壊されるッス」

 

遊斗 手札2 LP2300

モンスター 

魔法&罠  

翔  手札0 LP2600

モンスター 

魔法&罠  

 

「ドロー。フェイトを召喚し、バルディッシュを装備」

 

フェイトA1800・D500→A2800

 

「ビックリしたよ翔。あんなに遊斗を追い詰めるなんて」

 

バルディッシュをザンバーモードにしながら現れたフェイトは、翔に話しかけた。

 

「その言い方だと、やっぱりフェイトちゃんは遊斗君が勝つって思ってたんスね」

「うん!」

 

俺にはフェイトの背中しか見えないが、きっと翔は優しく明るいフェイトの天使の様な笑みを見ているだろう。翔が俺に向けて来る顔は、嫉妬半分、呆れ半分の複雑な表情だった。

 

「全く、遊斗君は幸せ者ッス」

「知ってるさ。バトル! フェイトでダイレクトアタック!」

 

A2800

翔LP2600→-200

 

 

 

 

その翌日、デュエルアカデミア内にある亮さんが入院している病院に行き、このデュエルの事を話すと、亮さんは嬉しそうに「そうか」と呟いた。ただ亮さんから受け継いだカードと自分のカードを混ぜるだけじゃない、二つのカテゴリを融合させた自分オリジナルのデッキを弟が作ってくれたのを喜んでいるのだろう。

ダーク・サイバーの持つ力によって体が弱ってしまった亮さんが、デュエル界に復帰するのは随分と時間が掛かるそうだ。

 

「そう言えば亮さん。俺っていつの間にかみんなからカイザーって呼ばれているんですけど、亮さんは何でカイザーって呼ばれる様になったんですか?」

「ああ。俺は自分で言うのも何だが、デュエルに強くてかなり目立っていてな。派手好きな吹雪が勝手に俺の称号をカイザーにしたんだ」

「そのついでに自分もキングと名乗ったと・・・・。あの人らしいですね」

「だろう? あの頃は楽しかったよ」

 

 




翔のデッキって何枚あるんだろう(他人事)

どうも丸藤兄弟はデッキを使いまくる傾向があるようで、おそらく40枚だったらデッキ切れてただろうなぁ・・・・。
まあ相変わらずちょくちょくTFのオリカとかも使っていますが、ノーコス複数枚ドローカードは使っていないので許して下さい(許してやるよォ!)


最初ヴァルバロイドの攻撃力を5000と考えて進めている所があったので、ヴァルバロイドが出て数ターンの間のやり取りが変だったりするんですが、許して下さい (許してry
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