太陽は昇る   作:ーー塩ーー

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第1話

中国の軽慶市にて発光する赤子が生まれたのを皮切りに、各地で次々と超常が発現するようになった。

原因不明、もしかしたら知らないだけで過去にもそういう超常を持つ生物がいたかもしれないが、それは既に知りようもない。

当時はその異常に対し人々は恐れ、全国的に迫害や隔離なども行われてきたが、時が進み現代・・・。

今や総人口の約8割もの人にその超常は日常として現れるようになっていた。

そして私、『白威 日野』にも・・・

 

私は幼き頃、とある老夫婦により発見された過去を持つ。

童話『桃太郎』や『竹取物語』なんかのように、元来出てこないはずのところから・・・私の場合は巨大な筍から飛び出してきたらしい。

その老夫婦・・・ばあ様は中学に上がる数ヶ月前に、じい様は去年この世を去り、現在は二人の息子である『神木 剣』という男に後見人になってもらい、3人で暮らした家を離れ一人で暮らしている。

剣さんは豪快な人で少々ガサツ、時折デリカシーのない発言しては奥さんに叱られてはヤケ酒をする様な人、仲裁の為に何度呼び出されたか分からない。

だけど血の繋がりのない私を本当の兄妹のように思ってくれている、私にとって大切な家族。

奥さん・・・『酒成(シュナ)』さんも私の事を可愛がってくれており、よく2人で買い物やお茶をしてる。

2人からは一緒に住もう、と言ってくれたが申し訳なさ半分、気まずさ半分で断らせてもらった。

そんな私を尊重してくれ、セキュリティの高いマンションの部屋を用意してくれた剣さんには本当に頭が上がらない。

そして現在私は中学3年生、進路を決める大事な時期。

私の通う折寺中学の教室では教師が教壇に立ちHRが始まった。

内容は進路について、先生の「みんな、大体ヒーロー科志望だよね~」の声に各々“個性”を発動させながら私を含めた3名を除いて、元気に返事をしていた。

 

「先生~」

 

そんな中、返事もせず足を机に乗せて舐め腐った態度をとる奴が1人・・・。

 

「みんなとか一緒くたにすんなよ、俺は日野以外のこんな没個性どもと仲良く底辺何か行かねぇよ」

 

『爆豪勝己』、私のどういう訳か中学3年間ずっと同じクラスだった折寺中学随一の不良のような生徒。

態度も口も悪く、しかし成績は常に上位なので先生方もあまり厳しく指導しようとしないからタチが悪い。

今も尚、反発して怒りを露わにするクラスメイトたちに

 

「モブがモブらしくうっせぇ!」

 

と嘲笑いながら言い放つ始末、それについて何も言わず爆豪が雄英高校志望である事を伝える先生。

驚くクラスメイトを再び嘲笑し、勝己は机の上に仁王立ちになり高らかにオールマイトを超えると宣言してみせた。

 

「足をかけるに飽き足らず乗らない、ど阿呆」

 

私は風紀委員長として自作したハリセンで引っぱたく。

そんな私に掴みかかろうとするがヒラリと躱す私、先生はそのやり取りにも一切指摘をせず次は私も雄英高校志望である事を伝える。

勝己の時同様、クラスメイトが驚く中で私は1人溜息をついた。

 

「先生、隠している訳では無いですけど勝手に人の進路を口外しないでください」

 

「いやぁすまんすまん」と反省の色も無く私の抗議の声に軽く応え、ついでに出久が雄英高校志望であることを暴露する先生は自覚ないだろうが鬼畜だと私は思う。

みんなの視線が出久に集まり、堪えきれずに吹き出し無理だ、と嘲笑う。

出久は勉強こそ勝己同様上位ではあるがこの超常社会において重要視される“個性”が無い・・・所謂『無個性』とされる側の人間である。

あまり他人の夢を否定したくない私ですら無理だと思うくらいにはこの社会およびヒーローという職業において、それほど“個性”の存在は大きい。

そして案の定、常日頃から出久を見下している爆豪は怒りを顕に自身の“個性”を脅しに用いて詰め寄る。

勝己の言葉に必死に言い訳する様に出久は言葉を口にするが、状況はともかく内容は勝己の方が正しい。

だけど・・・

 

「勝己、それ以上やるなら学級委員として見過ごせないよ。先生も教師なら止めてください、職務怠慢です」

 

私の言葉に舌打ちをして席に戻る勝己、先生は先程同様に反省の見えない言葉だけの笑うような謝罪をするだけ。

私は床にへたり込む出久の手を掴み起き上がらせ、自分の席に座った。

 

「私も今の貴方にヒーローは向いてないと思うわ」

 

と、耳打ちだけして。

 

 

その日の授業が終わり、すぐさま生徒会長として校内を見回りをするのが私の日課。

不良生徒が隠れそうな場所は重点的に回っている、そして外にいると上からノートが私の頭に降ってきた。

 

「痛た⋯何これ、【将来の為のヒーロー分析 No.13】・・・、出久のノートか。この焦げてるのは勝己か・・・。器物損壊・・・アレは本当にヒーローになる気はあるのかしら・・・?」

 

私は今日何度目かの溜息をついて“個性”を使う、世界が白黒に染まり停止する、私にしか見えない筆を自分の意思で操りノートを塗り潰した。

“個性”を解除すると世界は戻り、焦げてボロボロだったノートは黒く墨に染まり、墨が飛び散ると綺麗に直っていた。

 

「無断での個性行使、バレたら・・・、いやここの教師陣は気にもとめないか」

 

思い浮かぶのは朝の光景、“個性”をただ使う場面も脅しに使う場面も見ていたはずなのに何もしない教師が浮かび上がり嫌な気分になる。

また溜息が口から出てしまう、ノートを渡しに行こうと校舎の方へ戻ろうとするとその途中で出久にあった。

 

「あ、白威さん・・・」

 

私に気づいて、続いて私の持つ自身のノートに気づいて驚く表情。

私は持っていたノートを出久に向かって放り投げた。

 

「放り投げたのは勝己でしょうけど、貴方も大切な物ならもっと抵抗したら?」

 

それを慌てて受け取る出久、あれ・・・?と口から漏れていたから

 

「直しといた、さっきも言ったけどどうせ勝己が貴方から奪い取って“個性”でボロボロにして窓から捨てたんでしょ。私の頭に当たったんだけど」

 

それ僕のせいじゃない・・・と不機嫌そうになった私に聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で口にする出久。

ここでまた私の口から溜息が漏れる、それに出久は怯えるように反応する。

 

「やっぱり貴方、向いてないよヒーローに」

 

そう言われて悲しそうな・・・悔しそうな表情をする出久。

また無個性が・・・って思ってるかもしれないけどそうじゃない。

 

「私が言ってるのは他の人たちの言う“個性”の有無の話じゃない、あなたの性格の話よ」

 

え?と、驚く出久

 

「・・・僕の性格・・・?」

 

「だって貴方、今日のHRのとき周りを気にして恥ずかしそうに手を挙げて・・・、皆から無理と言われた時も言葉に力が籠ってないもの。勝己に詰め寄られた時も逃げ腰で・・・口では言い返してるけど心で負けてる、今の貴方はそんな感じ。オマケに身体はヒョロヒョロ・・・全然鍛えてる様子もないし、そんなんじゃ言い方はともかく内容は皆の言う通りだと私は思うけどね」

 

まぁ私には関係ないけど、と言い残しその場を去った。

 

 

後日、朝のニュースで勝己が(ヴィラン)に人質にされていたことを知った。

一応怪我とか後遺症とかも無いようで翌日普通に登校していた。

それを救助したのはNo.1ヒーローであるオールマイトとのこと、オールマイトに憧れ、そして超えるべき目標だと見定めている彼にとって嬉しい経験だと思ったのだが、世間的には“ヘドロの時の”・・・っいう印象が勝己には付いてしまった。

もう1つ変わったことといえば・・・出久、時を同じくしてヘドロの件以降、授業中にぶつくさ独り言を羅刹のように並び立てるようになり、更にはハンドグリップや空気椅子などで筋トレをしているようだった。

そして早朝のランニング中に通る、人も寄り付かないゴミが流れ着く海浜公園にて出久と金髪のおじさんがゴミ掃除している姿が毎日目撃されるようになった。

私の言葉の影響かそれとも・・・理由は分からないが今度なにか差し入れしよう、無駄が有意義かはともかくとして頑張っているのなら応援してあげるべきだと思った。

そして・・・

 

「白威さん!?」

 

「何故ここに人が!?」

 

スポーツドリンクを持って出久の元に現れた私の前には

 

「出久と・・・オールマイト・・・・・・?」

 

一見何の繋がりもなさそうな2人がそこにいた。

 

 




5ヶ月ほど前に大神の新作が発表されましたね
それに気づいたのは、つい最近。
大神の一ファンとして情けないと思いつつ、それでも楽しみな気持ちが隠せない
発売がいつになるか分からないけど、はやる気持ちを抑えてのんびり書きます。
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