「それで?何で出久とオールマイトが一緒にいるんです?」
明らかに動揺している2人は滝のように汗が吹きでていた。
しかも出久はともかくオールマイトは普段よくテレビで見かける筋骨隆々な姿ではなく、痩せ細りまるで骨と皮しかないようなそんな姿になっていた。
何故か正座する2人の前に、私が仁王立ちする形になっている。
当事者たる私が言うのもなんだけど本当になんでこんな風になっているのだろう。
「じ・・・実は・・・」
「あぁ弁明の前に1つ、緑谷もそうですけどオールマイトさんも割と嘘つけない人間ですよね。隠し事も苦手そうっていうか割と強引に話をそらすところもワイドショーとかで見かけましたよ?」
案に嘘つくなよ、見抜くからな?とも取れる私の発言により一層2人の顔が青くなる。
「分かった・・・君に真実を打ち明けよう」
「!?いいんですか、オールマイト!!」
「この姿を見られてしまった以上、隠し立てはできない・・・。何より下手な誤魔化しでは白威少女を納得させることは出来ないだろう、それは緑谷少年も気づいているはずだ」
「で、でも・・・」
「・・・白威少女、話す前にひとつ約束して欲しい。今から伝えることは誰にも口外しないと」
先ほどの表情とは打って変わって真剣な顔付きとなったオールマイトに少々驚きを隠せず、私は黙って頷いた。
オールマイトは観念したのか事の経緯を話し出した。
○かつて
○“平和の象徴”、その後継を探す中で出久と出会い彼のヒーローとしての素質を見出し鍛えていること。
話が長く途中から飽きてしまったので所々聞き飛ばしていたが、とりあえず纏めるとこんな感じだった。
「白威さん、途中から飽きてなかった?」
おっと気づかれてた
「話長いんだもの、もっと簡潔に話して欲しいわ。言っとくけど私、割と飽き性だから」
2人が・・・特に出久がかなり衝撃を受けていたがまぁ無理もない。
普段の私は風紀委員、教師にも不良生徒にも物怖じせず抗議したり時には取り押さえたりする真面目な生徒だから。
私の事を尊敬してくれる生徒は多いだろう、でもごめんね
本当の私はマイペースなの
「まぁ状況は理解しました・・・でも1つひっかかりますね」
「何がだい?」
「貴方ほどのヒーローが見出したのなら出久には素質があったのでしょう、私には分かりかねますが。ですが彼は“無個性”、それはオールマイトもご存知なのでしょう?今のご時世に“個性”無しでヒーロー・・・ましてや“平和の象徴”に本気でなれると仰るおつもりで?」
私の発言にオールマイトが苦虫を潰したような顔をした、まだなにか隠してるな。
「・・・少し突飛な推測を立てましょうか。オールマイトの“個性”は不明、メディアでその話題になっても誤魔化し決して話そうとしない。恐らく口外しにくい・・・通常の“個性”の範疇から逸脱したものだと仮定します。“無個性”であるはずの出久を次世代の“平和の象徴”として鍛えている。出久をヒーローにする上で1番のネックは“無個性”であること。逆に言えば“個性”さえあればヒーローとして、その“個性”が強いものなら“平和の象徴”として活躍ができるということになります。そして先の仮定も併せて考えるとオールマイトには出久が“無個性”である事を払拭できる手段が・・・そうですね、例えば⋯オールマイトには他者に
少し出久みたいな感じで話してしまった、柄にもないことをしてしまった。
私の推察を聞いてオールマイトと出久は驚いていた、ならこの推察はまちがいではないようだ。
「・・・あぁそうだ。私の個性【ワン・フォー・オール】は“個性”そのものと内包されている力を譲渡する、私自身も先代であるお師匠にこの“個性”を授かった」
・・・成程、これは秘密にするわけだ。
他者に個性そのものを譲渡できる・・・そんな存在が公になれば間違いなく世間は混乱する。
何より・・・出久の身も危うくなる。
「⋯よーく分かりました。聞けたいことも聞けたので私はこれで」
私は2人に背を向け、日課となるジョギングに戻ろうとする。
「待ってくれ、白威少女!話す前にも言ったがこの事は・・・」
「もちろん誰にも言いませんよ、聞いたのはあくまで私の興味本位なので。それでは」
そう言って私はランニングに戻った。
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side:オールマイト
「もちろん誰にも言いませんよ、聞いたのはあくまで私の興味本位なので。それでは」
そう言い残して走り去っていく白威少女を見送り、私は緑谷少年と2人になった。
「しかし迂闊だった、早朝で人が寄り付かないと油断してマッスルフォームで一緒にいる姿を見られてしまった。普通の人なら頑張る少年を応援していた、で通してきたが君の事情を知る者には・・・特に彼女のように聡い者なら今までのような誤魔化しは通じない・・・」
良く考えれば想定できたはずだろう・・・!!
「口では口外しないと言ってくれたが・・・」
不安そうな表情をしていたのだろう、緑谷少年が真っ直ぐな目で私を見ていた。
「オールマイト!他の人ならともかく白威さんは大丈夫だと思います。本当の白威さんにはオールマイトの時と同じくらい驚いたけど、学校での白威さんは本当に真面目で色んな人が尊敬してるし、何より・・・あのかっちゃんが唯一対等であると認める人ですから・・・」
「そんなに凄い子なのかい?」
「1年生の頃から生徒会に入ってて、2年生の春には生徒会長も務めてました。成績もかっちゃんに次ぐ学年2位で、向かってくるかっちゃんを無傷で取り押さえれる唯一の人です。“個性”も全容を知ってるわけじゃないけど凄い色々できるみたいで、まるで・・・
少年が放った最後の言葉を聞いて私の体は凍りついた。
まさか・・・まさか・・・!!
私はあまりの驚きでしばらく緑谷少年の言葉が聞こえていなかった。