出久とオールマイトの関係を知ったあの日からかなりの時間が経過し、雄英高校入学試験当日。
同じ学校、同じクラスとはいえ出久とも勝己とも一緒に行くなんてことはなくかなり早いタイミングで会場には着いた。
指定された席に座り開始時間を待つ、左隣には勝己、その更に左に出久が十数分遅れでやってくる。
正面モニターに雄英高校の校章が映し出され、スポットライトが点灯し壇上には教師でプロヒーローでもある【プレゼントマイク】が上がっていた。
「受験生のリスナー・・・」
とプレゼントマイクが話し出す、その話を聞いていると次第に私は・・・
あまりにも長すぎて寝た。
私が起きたのはプレゼントマイクとは別の声が聞こえてきたから。
寝起きで上手く聞き取れないが何やらスポットライトを浴びている男子生徒が出久に対し何か言っているようだ。
「そして二つ隣の君も!」
・・・どうやら次の標的は私のようだ、指が真っ直ぐこちらを向いている。
「今は寝る時間では無い!君もやる気がないのであれば即刻、ここから去りたまえ!!」
出久は恥ずかしそうに謝罪を口にしていたが、私にはそんなことは関係ない。
1つ大きな欠伸をして、指摘を気にも止めず眠りについた。
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「おい、日野」
誰かの呼ぶ声で私は再び目を覚ました、声の主は勝己だった。
「あれ、もう説明終わったの?」
「今から試験会場に移動だ、ほんっとに寝てて聞いてなかったんだな」
周りを見てみるとほとんどの学生が立ち上がり移動を開始している。
「てっきり私を起こしてくれるのは出久だと思ってた、勝己が起こしてくれるなんて意外」
「そらぁこっちのセリフだ、てめぇ普段は真面目ぶってたくせに本性はソレか」
呆れた表情でこちらを見下ろす勝己、私は伸びて立ち上がる。
「何はともあれありがとう、知らない学校の子たちじゃあ起こしてくれなかっただろうし。あんな感じで目立っちゃったなら尚更」
「それはてめぇの自業自得だろうが」
そんな話を他愛なくしていると列が動き出す、それに合わせて私たちも歩き出す。
「んー実技試験楽しみね、お互い思いっきり暴れましょ」
そう言うと勝己はとてもヒーロー志望には見えない凶暴な笑みを浮かべ、何も応えなかった。
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演習会場Cが私の試験場所、バスに乗り数分かけて移動した。
私たち3人の受験番号は連番だったのに勝己がA、出久がBらしいので意図的に離されたのだろう。
運動着を身につけ、巨大な門の前で私たちは待たされることとなった。
1人ぼーっとしていると
「はい、じゃあスタート」
上の方から女性の声が聞こえる、声の主は先ほどの説明会の教師ではなかった?
スタート・・・って、もう行っていいのかな?
「あら、聞こえなかったかしら。もう試験は始まってるわよ!」
その声で漸く、皆が一同に扉の向こうへと走り出す。
当然私も同様に走り出し、立ち位置が良かったのか先頭を走っている。
そして数秒もしないうちに仮想
《標的補足、ぶっ・・・》
電子音が鳴り止まぬ前に“個性”を使い線を描く。
一刀両断、仮想
「・・・・・・・・・思ったより脆いのね」
私は動かなくなった仮想
現れては“一閃”、現れた仮想
数十分後にはその数40を超え、ポイント数こそ数えてないので不明だがここまでやれば十分合格基準を満たせてると思うけど。
しかし突如として大きな地響きが辺りを揺らす、周りの受験生からも同様の声が上がる中、巨大な仮想
その拳が地上に振り下ろされ、その衝撃で突風が吹き抜ける。
私はすぐさま正面にグルグルと渦を描き、神風が吹いて突風を押し返した。
私は周りを見渡す、他の受験生たちは恐怖で足が竦み動けなくなったり、一目散に逃げたり・・・誰も立ち向かおうとする者はいなかった。
私たちは中学生、まだ子ども・・・しかしこの試験を受けている以上は皆ヒーローを志す者たちであることには変わりない。
「ヒーローなら立ち向かわなきゃね」
私は他の受験生たちが進む方とは真逆の、巨大仮想
「ちょっと貴女!?」
それに気づいて呼び止めようとする者もいた、でも私ならこれを止められる。
瓦礫を足場に跳び障害物を避けていく、再び仮想
地上からマンションに線を描き壁に張り付くことでそれを避け、衝撃波は再度風を吹かせて相殺する、そして腕パーツに飛び乗る。
そこを伝って眼前に迫り一描き、【⚡︎】。
「機械はこれに弱いわよね」
すると空から雷が仮想
そして仮想
私は倒れゆく仮想
地面に着くと恐怖で動けなかった受験生と自分とを結んだ。
すると蔦が私たちを繋げるように現れ、私の身体は相手の元へ引っ張られる。
突然眼前に現れた私に驚いて声を上げる女の子を背に抱え、倒れゆく仮想
そして
「試験終了よ!」
その声の後にサイレンが鳴り響き、私たちの入学試験は幕を閉じた。
抱えていた子を降ろし、両腕を上げて伸びる。
「あ、ありがとうございました」
そう言ったのは先程の子、私はその子の方に振り向く。
少し顔が赤らんでいる。
「えぇ間に合ってよかった、顔が赤いけど・・・怪我はしてない?」
「だ、大丈夫です!あ、あの私【小森希乃子】です!お名前教えて貰ってもいいですか!?」
「【白威日野】、よろしくね希乃子・・・ってやっぱり怪我してるじゃない。ちょっと待ってね」
私は再度、個性を使う。
今度は希乃子を対象に丸とそれを貫く1本の線を描いた。
すると円環を携えた光の球体が現れて、瞬く間に足の傷を癒していく。
「す・・・凄いノコ・・・!!」
「これで大丈夫ね、良かったら他に怪我をされた方はいませんか?私でよければ治しますよ」
希乃子とのやり取りを見ていた人たちが私の声聞いて集まってくる、次第に少し列となり数十人の受験生たちを癒し、そのついでに壊れた会場を別の力で修復していく。
そして全てが終わり、説明会場へと戻るバスの中で
「なぁお前、見てたぜ!あんなデケェの相手にすげぇ根性だな!」
赤いツンツンした髪の少年が話しかけてくる、そしてその前の座席に座っていた橙色の髪をしたポニテの女の子。
「ホント!最初、走ってく姿見た時はビックリしたけど凄いのね貴女!私は【拳藤一佳】よろしく」
「その後も凄かったわ、他の人の傷を治して会場の損壊も直して・・・貴方の“個性”色んなことができてとても不思議ね。私は【蛙吹梅雨】よ、梅雨ちゃんと呼んで」
「俺は【切島鋭児郎】、よろしくな」
とまぁこんな感じで行きとは打って変わって数名だけ賑やかになった帰りのバス。
制服に着替えた後で希乃子、一佳、梅雨ちゃんと連絡先を交換した。
切島くんは1人男子だったので当然更衣室が違った為、タイミングが合わず交換できなかった。