月日は流れ4月、雄英高校の生徒として登校日初日。
朝早くに家を出て電車に揺られて数十分、特に問題もなく雄英高校に辿り着く。
自身の教室である1ーAの教室の扉を開く、まだ誰も来ていないようで私が一番乗りだった。
事前に梅雨ちゃんは同じA組、一佳と希乃子がB組なのは話してる。
全員同じくらに離れなかったのは残念だけど誰かが1人だけ別のクラス・・・なんてことにはならなくて少し安堵。
他のクラスメイトが来るまでの一人の時間をのんびり楽しみながら待つこと十数分、眼鏡をかけた男子生徒が入ってきた。
「む、一番乗りだと思ったのだが先客がいたとは・・・って君は!!入試の説明会で寝ていた女生徒!・・・何故君のような不真面目な生徒が・・・」
・・・自業自得だが、普通本人の前で言うかな。
「・・・俺は聡明中の飯田天哉だ、納得は行かないがこれから3年間よろしく頼む」
「えぇ・・・白威日野です、よろしくお願いします」
真面目で真っ直ぐな感じが挨拶から伝わる・・・よく伝わる。
「白威日野・・・ってことは君が入試成績ダントツ1位の!」
あの点数ならしょうがないけど、思ったより私の存在は目立ってしまったらしい。
「えぇまぁ・・・そうですね」
「成程、あれ程の成績を出せる実力者なら・・・いやしかし・・・」
何やら考え込んでいる・・・彼は何やら葛藤しているようだ。
「・・・1つ聞いてもいいかい」
飯田くんはこちらに向き直り真剣な表情で尋ねてくる。
「何でしょう」
「入試試験の実技テスト、事前の説明では
「・・・それに答える前になぜ?と、聞いてもいいですか?」
すると飯田くんは顔を俯かせた。
「俺がいた試験会場・・・巨大な仮想
「・・・成程・・・そうですね、恐らく貴方が思うような感じではありませんよ。彼も、私も。」
「?それはどう言う・・・」
「私は通知の映像で言われましたけど試験後に壊れた会場を直したり、怪我した方を治療して回ってたら、その行動が認められて特別に試験時間外の行動ではありましたが加点していただけただけですよ。私も彼と同じくあの仮想
そう言うと彼は呆然とした表情になっていた。
「(俺は何という思い違いを・・・余裕を持った彼女に有ったのは慈悲の精神、余裕のなかった彼にあったのは自己犠牲の精神。ただ2人とも救けたかっただけ・・・彼らは試験の為に狙って行動した訳では無い、それを俺はまるで・・・)白威くん!申し訳ない!!」
数分考え込んでいた飯田くんが突然大きな声で謝罪し始めた。
「君と彼の他者を救けた行動を俺は試験の構造に気づいた上で合格の為の行動だと勘違いしていた!己の浅ましさに恥じるばかりだ、本当に申し訳ない」
「別に気にしてないですよ、人によってはそう捉えられても仕方ありませんし」
最初の彼からの評価は何処へ、私と出久への評価がうなぎ登りに上がっていく。
それからも彼と話していると続々とクラスメイトとなる人物が揃ってきた、その中には梅雨ちゃんも当然いた。
「梅雨ちゃん!こうして会うのは入試以来ね」
「えぇ!改めてよろしくお願いするわ日野ちゃん」
そして異性だったが故にタイミングが合わず連絡が取れなかった彼も。
「よぉ白威、梅雨ちゃん!お前らもA組だったのか」
「切島くん!久しぶりね」
「切島ちゃん、同じクラスで嬉しいわ」
「おぅ!・・・見たところ拳藤はB組みたいだな、小森は?」
「希乃子もB組にいますよ。同じクラスじゃなくて残念だけど後でB組に挨拶にでも行きましょうか」
「それいいな!あ、そうだ。おーい芦戸!」
切島が声をかけると呼ばれた女生徒がこちらに近づいてくる。
「えーなになに?切島、女の子に囲まれて実質ハーレムじゃん♪」
「そんなんじゃねーよ!学校で話したろ、白威と梅雨ちゃんだ。2人ともこいつ同中の芦戸だ」
「こいつって言うなし。ゴホン、芦戸三奈でーす、よろしく~♪」
「白威日野です、よろしく三奈」
「蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで」
その後もどんどん自己紹介が始まった。
お互いの連絡先を交換し合い、連絡アプリにはクラスのトークグループと女子だけのトークグループが作られた。
ガヤガヤと盛り上がるクラスの雰囲気は担任の先生が来るまで止まることはなかった。
「おともだちごっこがしたいなら他所へ行け・・・ここはヒーロー科だぞ・・・」
声が聞こえた、少し掠れた感じはあるがクラス全員に聞こえたのか静まり返る。
私がいる場所からは姿が見えないがどうやら誰か来たみたいだ、このタイミングなら十中八九担任の先生だろうけど、出久とあとから入ってきた女生徒、そして出久の元へ挨拶に行った飯田くんが驚いている。
「はい静かになるまで8秒かかりました、時間は有限・・・君たちは合理性に欠くねぇ」
先生らしき人が教室に入ってくる、髪はボサボサで顔には生気が感じられず、失礼ながら浮浪者に思えてくる。
「担任の相澤消太だ、よろしくね」
クラスに少々の動揺が走る、相澤先生はそんなクラスの状況などお構い無しにさっきまで自分が入ってたであろう寝袋からガサゴソと体操服を取り出す。
「早速だがこれ着てグランドに出ろ」
これから始業式の筈なのに急な指示、事前に貰っていた資料にはない事態に一同は驚きを隠せないでいた。