個性把握テストを終えたその翌日から通常通り授業が行われている。
雄英のヒーロー科と言えど当然他の学校同様に国語や数学などといった通常科目も行われる。
ヒーロー科に限っては午後に行われる、ヒーロー基礎学を初めとして特殊なカリキュラムがある為、通常科目は他科と比べても過密な内容をかなりのハイスピードで行われる。
午前の授業が終われば昼食の時間、今日はお弁当を作ってきたけど学食ではプロヒーロー【ランチラッシュ】の作った美味かつ安価な料理を食べることができる。
三ツ星レストラン顔負けの美味なる料理が午前の授業で疲れ、空腹に苦しむ学生たちのお腹と心を満たし英気を養わせてくれる。
⋯そして午後の授業。
教室では初めてのヒーロー基礎学に少なからずみんながソワソワしている。
あの勝己ですら口元が緩んでいたのを私は見逃さなかった。
待っていると数秒も待たずにかのNO.1ヒーローの駆けつけた時の決まり文句が聞こえてくる。
「わーたーしーがーー⋯」
来たー!と何名かは心の中で叫んだだろう、出久なんてちょっと口から漏れている。
「普通にドアから来たー!!」
赤を基調としたコスチューム、筋骨隆々なその肉体が彼の迫力と力強さをより感じさせる。
「オールマイトだ⋯!」
「凄ぇや!ホントに先生やってるんだなぁ⋯!」
「あれシルバーエイジのコスチュームね!」
「画風違いすぎて鳥肌が⋯!!」
皆の憧れの存在、平和の象徴であるオールマイトが教師として私たちの前に現れたことに歓喜の声が上がる。
現役NO.1ヒーローその人に教えて貰える機会そうある事じゃない、それが1度や2度では無く教師として何度もというのだから尚更。
「私の担当はヒーロー基礎学。ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う科目だ、単位数も最も多いぞ」
「早速だが今日はコレ!戦闘訓練!」
オールマイトの手にはBATTLEと書かれた紙があった。
「戦闘⋯!!」
「訓練⋯」
嬉しそうに言葉にする勝己と対照的に不安そうな出久。
好戦的な勝己の反応も“個性”を与えられたばかりで制御もままならない出久、2人の反応も2人を多少なりとも知っている私からしたら当然も当然。
「そしてコチラ!」
オールマイトが指を指すと壁から4箇所ほど飛び出してくる。
曰く中には私たちが入学前に送ったそれぞれの要望に合わせたコスチュームの入ったアタッシュケースである。
「着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ」
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更衣室にて男女それぞれ別れて制服からコスチュームに着替え始める。
私のコスチュームはかなり特殊なもので、普段はそれぞれ模様の描かれた白い着物と紅い羽織の姿ではあるが、一度犬の姿に変われば消えてなくなり、戻れば再び現れる謎仕様。
コスチューム会社にも原理が分からないと匙を投げられた逸品で、これをくれた剣さんもじい様ばあ様から預かったらしく詳しくは知らないらしい。
「けろけろ♪みんなとっても素敵なコスチュームね」
「あら、梅雨ちゃんのもとっても素敵なデザインよ。三奈もお茶子も響香も素敵だわ⋯ただ⋯」
前述した4人はともかく2人はかなり際どく見えるので言い淀む。
「ごめんなさい、まずは百」
「何でしょうか?」
コテンと首を傾ける百、しかし来ているコスチュームはレオタードとほぼ酷似しており腰に巻いている装備から下はブーツまで生足。
上半身の方も背中は隠れているのに前側は首からおへそに至るまで肌が露出しており、肩から指先にかけても何か巻いたりとかは無い。
雄英高校の教師でもある18禁ヒーロー【ミッドナイト】を彷彿とさせるその装い⋯いや寧ろ露出度でいえば百の方が⋯。
「そのコスチュームは貴女が概ねデザインしたのよね?」
「?えぇ、被服控除でお送りしたデザインとほぼ同じですわ」
えぇ⋯
「因みに何故そんなに肌の露出面積が大きいのか聞いてもいいかしら?」
私がそう聞くとよくぞ聞いてくださいました、と言わんばかりに百は目を輝かせ語り出す。
「このコスチュームは私の“個性”である【創造】を最大活用できるよう理にかなった構造をしてますの!私の“個性”は体内に蓄えた脂質を様々な分子へと変換させ様々な物質を作り出しますの!私が構造さえ知っていればどんなものであろうと創り出せるのですが大きい物を創るにはたくさんの脂質が必要となりまして~」
長いよ
「ごめんなさい百、時間もないから手短にお願い」
「あら!失礼いたしました!そうですわね、簡単に説明いたしますと創ったものを肌から取り出すので、色んなところから取り出せるようにしているんですわ」
⋯なるほどね
「言いたいことは分かったわ、でもね百、貴女は女の子なのよ?“個性”の為とはいえ露出は控えめにした方がいいと思うわ。でないと⋯いやこれを言うのはよしましょう。とにかくもう少し服の面積を増やして、それでいて“個性”発動の邪魔にならないような工夫をした方がいいわ。貴女の為にもね」
流石に学友が18禁ヒーローと呼称されるのは私としても見逃せない。
ミッドナイトのような性格ならともかく百はどちらかと言うと真反対側に位置する性格の子⋯可能ならば阻止したい。
「とは言っても⋯どうすれば」
「あくまで一例だけどファスナーをつけるとかどうかしら?手間は増えるけど露出は抑えて必要時は肌の面積を広げることができるわ。あとは上半身は前じゃなくて背中側を開けた方がいいと思うわ、マントを羽織れば見えづらいしね」
「なるほど⋯わかりましたわ!私、もう少し考えてみます」
よし次
「ええその方がいいと思うわ。⋯そして透、一応聞かせて。手袋は視認できるけどそれって服はちゃんと着てるよね?」
私の視線の先には手袋とシューズのみが装着され、それ以外の部位は自身の“個性”により姿が透過して見えない透がいる。
私の言葉で透に視線が集中した。
「え?着てないよ?」
驚愕を禁じ得ない、頭がズキズキと痛みを感じ始めた。
「透?時間もないから事情は聞くつもりないけど、そもそもどんな事情があっても服は着なさい。今の貴女⋯いややめておきましょう⋯。とりあえず貴女の髪の毛を繊維にすれば見えない服は作れるはずよ、今日中に申請して作ってもらいなさいね?」
「はぁい⋯」
戦闘訓練開始前なのにもう疲れた⋯、勝己に出久だけじゃないのね問題児わ。
痛む頭を抑えて部屋を出ると既に男性陣は部屋を出ており、更衣室を出た先⋯目的地であるグラウンドβの方へと進んでいた。
私たちもまたその後ろを進み始める。
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全員がグラウンドに集まったのを確認したオールマイト、改めて話を進めようとするも⋯
「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか?」
全身を白い金属製のアーマーで覆った飯田さんが手を挙げて質問した。
オールマイトはそれを否定し
「いいやもう2歩先に踏み込む、
「基礎訓練なしに?」
「その基礎を知る為の実践さ、但し今度はぶっ壊せばOKなロボじゃないのがミソだ」
⋯いきなり戦闘訓練とは⋯正直苦手だ、如何せん加減が難しい。
屋内なら尚更、ヒーローとしては周りへの被害も考慮しないといけなくなる。
私の場合は直せるから弁償等は気にしなくてもいいけど、市民からの心象は良くはならないでしょう。
そんなことを考えていると矢継ぎ早しにオールマイトに対し質問があげられる、怒涛の質問に新米教師のオールマイトは対処が追いつかず苦い顔をしていた。
そしてあろうことか生徒の前で堂々とカンペの紙を広げ読み上げ始めた、それでいいのかNO.1ヒーロー⋯。
「状況設定は
⋯なるほど、これは索敵持ちがかなり有利な状況に感じる。
この限られたスペースで先手を取られたらかなり厄介かな。
「コンビおよび対戦相手はクジだ!」
「てきとうなのですか!?」
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多いし、そういうことじゃないかな」
「そうか⋯先を見据えた計らい、失礼いたしました!」
「いいよ、早くやろう!あ、白威少女は人数の都合上最後に引いてもらうのでちょっと待っててくれ」
⋯最後?あぁ偶数個しか無いのか、公平にするために全文のための中から選んでそのチームってとこかしら。
私が最後のなのは入試の実技成績が1位だったからかしら。
オールマイトが持つ箱から順番にボールを取っていく、クラスメイトたち。
そして組み合わせ結果が
〇チームA【麗日お茶子】【緑谷出久】
〇チームB【障子目蔵】【轟焦凍】
〇チームC【八百万百】【峰田実】
〇チームD【飯田天哉】【爆豪勝己】
〇チームE【青山優雅】【芦戸三奈】
〇チームF【口田甲司】【砂藤力道】
〇チームG【上鳴電気】【耳郎響香】
〇チームH【蛙吹梅雨】【常闇踏陰】
〇チーム I【尾白猿尾】【葉隠透】
〇チームJ【切島鋭児郎】【瀬呂範太】
このような形になった、その上で私の番⋯。
10個ある玉から1つを引き抜く、そこにはIの文字。
「わぁ!一緒のチームだ!よろしくね日乃ちゃん」
「えぇよろしく透、尾白くんもよろしくね」
「あ、あぁ///頑張ろう! 」
チームメンバーとの束の間の談笑の後にオールマイトがHEROと書かれた白い箱とVILLAINと書かれた黒い箱からそれぞれボールを取り出す。
ヒーロー側にはAと
「あっ⋯」
これは初戦から荒れるわ⋯間違いなく