0-0 生まれる前から知っている
宇宙世紀(Universal Century)
西暦時代の宇宙への情熱が形になったような新世界。
かつてはおとぎ話であったスペースコロニーが実現を果たし、地球の外で人が生まれ、死んでいくようになって久しくなっていった時のことであった。
U.C.0079。
地球からもっとも離れたサイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に対して独立戦争を挑んだ。
0079年1月3日のブリティッシュ作戦から始まり、0080年1月3日にジオン公国の勝利で終わった。
戦争が終わり、生き残った人々が銃後の世界で生きることへの戦いを挑み、少しずつ平穏が取り戻されていく。
だが、戦争という祭りの中で生み出された狂気というべき感情は、戦争が終わったとしても消えることはなく、人々の中に残り続けた。
そして平和を取り戻していく世界の影で、蠢く怪物達がいた。
ナガラ衆。
一年戦争時代から、存在だけは語られてきた超自然の力を持つ、思想不明のテロリスト集団がいた。
彼らは自分達の神様の令と自分達のエゴのために、サイド6のイズマ・コロニーの平和な世界の水面下で動き出そうとしていた。
私の一番古い記憶。お母さんのお腹の中にいた頃。
羊水が熱くて狭い子宮の中、お母さんのお腹の皮膚を通して伝わる外の明るさが、その世界のすべてだった。
その世界の中で、私という存在は混沌の中にあった。
そこに自分がいるという感覚すら曖昧で、ノイズが混じったような思考の中、私はこのような思いを抱いていた。
『外に出たい』
『この空間から出たい』
『でも、外がどうなっているのか分からなくて怖い』
世界は私ひとりだった。
狭い世界に、私ひとりだけがいると思っていた。
いつからか、私以外の存在を感じるようになっていた。
私以外にも、私がいる。
私以外の私は、私と同じようで違う。
私以外の私は、私ではない。
それが、「私という一個人以外にも人がいる」ということに、初めて気づいた瞬間だった。
他人という存在を知ったのだ。
初めての他人に対して、私は興味を持った。
あなたは誰?
あなたは私なの?
私はあなたなの?
ノイズ混じりの思考で、私は他人を求めた。
その他人もまた、私と同じように私を求めた。
お互いを必要としていた。
私の世界には、私と他人の二人がいた。
だが、他人は私よりも先に外の世界にいた。
『外の世界はどうなのか?』
私は他人に聞いた。
『寒い』
他人はそう答えた。
『私は外に出たい。でも、怖い』
私はそう打ち明ける。
『外は寒い。だが悪い世界ではない』
その言葉に、私は安堵したような気がした。
『早く出た方がいい』
他人はそう告げる。
私は聞いた。
『外に出たら、あなたに会えるか?』
他人は答える。
『会える』
その答えを聞いて、私は決めた。
外に出る、と。
私は、母親の身体から外へ出る。
外に出て、私は目を見開いた。
天井の照明をその目に焼き付け、ベッドの柵を掴んだ。
そして、他人を探した。
他人はどこにもいなかった。
柵の冷たさに私は心地良さを覚え、タオルに包まれながら泣いたような気がする。
泣き声を上げながら外で待っているはずの他人のことを考え、そして思考を続けているうちに私は眠たくなってしまった。
柵を掴んだ赤子はアマテ・ユズリハと名付けられ、0085年で17歳の誕生日を迎えるほどに歳を重ねた。
アマテは赤子の頃を朧げに思い出す。
そして、たまにあの時の他人が誰だったのかに思いを馳せながら眠りにつく。
幸せな夢を見るために。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ