10-1 (訂正版) ラビアンローズへ
サイコガンダムとナガラ衆の大暴れから一晩が明けた。
ほぼ壊滅状態だったイズマの軍警MS部隊に代わり、リボーやカミイグサの軍警が増援で駆けつけており狂乱状態だった当初よりは幾分か秩序が戻ってきてはいた。
大破したキケロガをパープルウィドウが引き上げていく。
その様子を軍警のMS-06が監視している。
モノアイがコロニー内部から離れていくソドンを静かに見つめる。
(何でこうなっちまうんだろうな)
MS-06のコックピットに搭載された情報収集用のラジオから流れる情報を聞いたパイロットは投げやりな気持ちになった。
『イズマコロニーの軍警は壊滅し、他コロニーの応援でどうにか秩序を維持しています』
『突如発生したゼクノヴァを巡って地球連邦政府とジオン公国の両政府は調査のために合同チームを結成する予定です…』
『光の翼を巡ってジュピトリスの轟沈に何かしら関係があるのではないかとネット上で憶測が出ています』
『テロリストよりも軍警とジオン軍のせいで被害が拡大しているとの批判も』
パイロットはラジオを切った。
キシリアは助かった。
それだけでも展開していたソドンとパープルウィドウは役割を果たした。
だが、肝心のテロリストは消息不明、ナガラ衆の介入でジオンもイズマも滅茶苦茶な結果に終わってしまった。
キケロガを破壊した光の翼によって複数のMS-06が市街地に墜落、飛散したメガ粒子によって甚大な被害が発生した。
ゼクノヴァから現れたガンダムととそれに伴って出現した赤いガンダム、この事態に対してソドンはほぼ何もできずに終わってしまった。
グラナダへと帰っていくキシリアを乗せたパープルウィドウに戦闘で収集したデータを引き渡した後、ソドンはイズマから離れていった。
ソドンにはもはやまともな戦闘能力は残っていない。
そんなソドンにケルゲレンが随伴していく。
かねてよりサンライズカネバンはソドンに対しての支援を行う予定だったので当初の予定通り物資の搬入と簡単な整備が行われていた。
だが、戦闘によって想像以上にソドンはダメージを受けていた。
サイド3へ帰還する以前に修理を受ける必要があった。
作業用に改修されたRGM-79に乗ったニャアンはソドンにコンテナの搬入作業をしていた。
ニャアンがソドンの搬入口へ向かう道中で大穴が空いたソドンのMSハンガーがRGM-79のモニターに映った。
「あそこにアマテのMSがいたんだ」
ケルゲレンのハンガーで駐機しているジオンの最新鋭MS、ジークアクスをニャアンは思い浮かべる。
事態がひとまず落ち着いた後、ソドンとケルゲレンではジークアクスを巡ってひと悶着が起こっていた。
マチュがジークアクスに乗って出ていった後、サイコガンダムとの戦闘のイザコザに巻き込まれてコロニー外に出ていた所を保護したというのがケルゲレンの主張だが、戦闘の一部始終を見ていたソドンからすればその話は少々どころではない無理があった。
女学生があんなにMSを使いこなすのもおかしな話だし、ジークアクスがゼクノヴァから現れたガンダムと共に行動を取っていたのはソドンからでも確認できたのでマチュはもしかしたらナガラ衆の関係者じゃないかというくらいにはソドンもまとまりがなかった。
だが、マチュがジークアクスに乗れたというのはソドンにとっても都合の悪い話であった。
オメガサイコミュだのニュータイプだの理屈はさておき、ジークアクスが一般人が乗れるくらいにはセキュリティ面についてはガバガバであったという事実はソドンで幹部数名が裁判所に呼ばれるくらいには大問題であった。
それに戦闘中にジークアクスがいたハンガーは破壊されており、もしマチュがジークアクスを持ち出してなかったらハンガーにはジークアクスのスクラップが出来上がっていた。
ジークアクスがスクラップになったらラシェット達も無事では済まない。
マチュが無罪というのは無理がある。だからと言ってマチュがジークアクスに乗っていることを周囲が認めたらそれだけで大変なことになる。
マチュの処置を巡ってソドンとケルゲレンに乗る大人達は口裏合わせを決めた。
そもそもの話、マチュがジークアクスに乗っていたという事実自体が無かったことにされた。
代わりにジークアクスに乗っていたのがジョンということになった。
ジョンがソドンに乗艦することは決まっていたので、ジョンがジークアクスを操縦して戦闘の支援としてハンガーから出したら操縦ミスでソドンから離れてしまった。
そこを赤いガンダム2機に遭遇し、追跡していたら戦闘に巻きまれていたマチュを救助、コロニー外に出てしまった所をケルゲレンに保護された、というシナリオになった。
細かいつじつま合わせは後で決めるとしてケルゲレンにジョンとマチュがいる理由というのは表向きにはこのように説明された。
(無理があるよ…)
その話を聞いたニャアンは開口一番にこう言った。
何で民間人がジークアクスで戦闘に参加しようとしてるんだと突っ込みを入れてしまった。
現在、ソドンにはMSの運用能力がない。
まともにメンテナンスも出来ない以上、現状ジークアクスはケルゲレンのハンガーで保管されている。
最低限の修理が完了するまではケルゲレン預かりだ。
そんな重症のソドンは現在、修理のためにアナハイム・エレクトロニクス社の自走ドック艦に向かっている。
名前はラビアンローズ、薔薇の花弁の名を持った艦だ。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ