ケルゲレンの最高クラスというだけあり、軟禁部屋の居住性はかなりの物だ。
重力ブロックに設けられているおかげでベッドはコロニー内の物と変わらない。
ベッドのシーツとトイレも清潔、元軍艦という性質上、どうしても狭さは感じてしまうが、デスクとチェアはデッドスペースにならないように収納されている。狭いなりに圧迫感を感じさせない配慮がされていた。
ベッドに座ったマチュは手に持ったT字型の金属片をじっと眺めていた。
自分を導いた金属片は眠っているように静かだ。
『マチュ ダイジョウブカ』
白いハロがマチュの隣で心配そうに見ていた。
マチュはそんな白いハロを一瞥すると金属片をベッドに置くとリュックから金属片を入れていたポーチを取り出した。
ポーチを摘まむとマチュは白いハロを見た。
「ハロに見せてあげる」
そう言うとマチュはポーチの中に手を入れた。
ポーチから取り出した物をマチュはハロの前に置いていく。
「これね、御守りなの、これと同じくらい大切なんだ」
取り出した物の横にマチュは金属片を置いた。
『コレハ』
自分の前に出された物を見て白いハロは困惑するような挙動を取った。
白いハロの前には小さな2体の木製人形が置かれていた。
2体の人形は互いの腕を赤い紐できつく結ばれている。
片側の人形にはマチュの名前がペンで書かれ、もう片方には書かれていない。
「これはね、恋のおまじないなんだ」
『オマジナイ コレガ』
マチュは自分の名前が書かれた人形を手に持った。
人形の左腕に赤い紐が結ばれ、それに引っ張られてもう片方の人形がベッドから動く。
「ダバオからイズマに帰ってきた後、すぐに作ったんだ。ジョンに会いたくて」
もう片方の人形も手に取ってマチュは微笑む。
「あの時はなんでこれを作ろうと思ったのか分からなかった。でもやっと思い出した」
そういうとマチュはリュックからソーイングセットとポケットティッシュを取り出す。
「あの子もシュウジ君を捕まえられたかな?」
いつぞやの電車の中での夢のような光景をマチュは思い出す。
マチュは自分と似た少女にこのおまじないを伝授していた。
ソーイングセットから針を一本取り出して、マチュは自分の指に刺す。
指から流れた血を針で拭う。
「間が悪かったね、本当は月イチでやりたかったんだけど」
マチュは名前が書かれていない人形に血で名前を書いていく。
その光景を見て白いハロは震えていた。
上手く血を流しながらマチュは名前を書いていく。
「できた!!」
名前を書き終えたマチュは針をソーイングセットの蓋の上に置いた。
指から流れる血をポケットティッシュでふき取るとマチュは人形を白いハロに見せつけた。
その人形にはマチュの血で「ジョン・マフティー・マティックス」の名が刻まれた。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ