ケルゲレンに搭載されたRGM-79は地球連邦軍から払い下げられた機体を作業用に改造した代物だ。
RGM-79自体は改良を続けながら連邦軍でも運用されており、ケルゲレンで運用されている機体は一年戦争時の性能のままなので連邦軍の改良型には勝てないと判断されているために払い下げられた。
シュウジはRGM-79をあまり好んではいなかった。
赤いガンダムのような柔軟さがRGM-79には無いのだ。
動作の一つ一つが硬い上にOSの出来もあまり良くない。
人間の形をしているくせにテンキーのボタンを押すような操作も出来ないのだ。
赤いガンダムなら問題なく出来る所作がRGM-79には慎重さが求められた。
歴史背景を追うのであれば、元々は赤いガンダムを巡る騒動のせいでこんな体たらくになっているが、パイロットからすれば歴史背景などどうでもいい。
夜間帯の作業が終わった時間帯にシュウジはニャアンのRGM-79の操縦訓練に付き合っていた。
入社から一週間でいきなりケルゲレンに乗せられたニャアンを不憫に思いながらもニャアンはかなりの適応力を見せた。
おぼつかなった操縦も一週間も経たずに目に見えて上達した。
今日のソドンへの物資搬入が初のMSを用いた作業だったが、何の問題もなく終えることができた。
(シイコさんも気に入るわけだ)
ここにはいないシイコが自宅でニャアンに餃子作りを教えている光景をシュウジは思い出す。
『マチュハ君ニ付イテクルダロウナ』
『君ガアマテ・ユズリハノ人生ヲ滅茶苦茶ニシタコトヲ忘レルナ』
『忘れはしない』
『マチュは無理矢理でもイズマに帰ってもらう』
ラップトップに表示される文字列を見ながらおっちゃんはコップに注いだ麦茶を飲んだ。
ジョンが泊まっている居室には盗聴器が仕掛けられていた。
盗聴器を介してジョンとハロの会話はおっちゃんに筒抜けで伝わっていた。
盗聴器が収集した音声はラップトップのソフトウェアに搭載されたAIによってリアルタイムで文字起こしが可能だ。
諜報戦で使われている装備で一般には出回っていない物だが、おっちゃんは平然と使いこなしていく。
『ハロ、君は何者なんだ?』
『今ハ話セナイ、ダガ君ノ味方ダ。ナガラ衆ト同ジ力ヲ持ッテイルガ、彼ラトハ違ウ。ピンクチャンモソウダ』
『マイド』
ジョンはジオンに行くつもりだ。
ジョンの言葉を思い浮かべながら、おっちゃんはデスクに置いてある業務用のタブレットに表示された文書を一瞥した。
つい先ほどソドンがグラナダ基地から送られてきた文書だ。
文書の中身を要約すると
「ソドンはラビアンローズで破損した部位の修理と武装の改修を受けること、G3とジョンはグラナダ基地から迎えを送るからそれまで待っていて欲しい。修理及び改修の詳細については別の文書で送るね」
という内容だ。
おっちゃんはジョンがどんな事情でこの場にいるのかはシュウジとニャアンの情報でしか分からない。
ただ、先ほどの会話である程度までは事情を把握することが出来た。
「ボン、またちっこい姉ちゃんを泣かせる気かいな…」
おっちゃんは目を閉じて過去へと思いを馳せた。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
-
ジョン・マフティー・マティックス
-
アマテ・ユズリハ(マチュ)
-
ニャアン
-
シュウジ・イトウ
-
シャリア・ブル
-
シロウズ
-
サンライズカネバン社長
-
シイコ・スガイ