コロニー公社イズマ支部は社内全体が修羅場と化していた。
サイコガンダムの一連の騒動で破壊されたコロニーの管理を巡って大騒ぎだ。
コロニーのどこが壊れていてどこを直すべきなのか、直すためにはどれくらい手間がかかるのか、サイド6の政府にいかに説明して協力を得るかを巡り社内全体がピリピリしている。
コロニー内部に残留しているミノフスキー粒子の濃度を調査するため、以前のソドンのようにイズマ支部の作業艇がコロニーの上空を飛行していた。
アナハイムエレクトロニクス社から借用したミノフスキー粒子干渉波検索装置に専用の計測器を装着し、残留するミノフスキー粒子を調べていく。
オペレーターが目の前のディスプレイと睨み合う中で同乗していた部長は艦橋から見える外の光景を見ていた。
ちょうど作業艇の艦橋からはイズマの軍警が保有するMS格納庫と併設されているグラウンドが見えた。
グラウンドにはコックピットがあった箇所がブルーシートで覆われ、手足が封印されたサイコガンダムが保管されている。
このサイコガンダムの扱いを巡ったイザコザにイズマ支部も巻き込まれていた。
サイコガンダムの調査のために軍警とアンノウン1の捜査の延長でジオンも介入しようとしているし、地球連邦政府も捜査協力に申し出ている。
部長から見てもサイコガンダムがただのテロリストが用意したようなMSじゃないことは目に見えて分かる。
恐らくは地球連邦かジオンの過激派またはアンノウン1を保有する謎のテロ組織の差し金だろうという推測を部長は立てていた。
サイコガンダムが出現とほぼ同時期に現れたMSが放った光の翼の影響も甚大だ。
あれで通信ケーブルの一部がズタズタになったり、建物が倒壊したりしているのだ。
畳みかけるようにゼクノヴァが発生しそこからガンダムが出てきたり、シャアの赤いガンダムがどこからともなく出てきたりした。
山のように書かなければいけない文書を目の前に部長と仲間達はイズマ支部に泊まり込みが決まった。
(それを思うと、ジョンはタイミングが良かったのかもな)
ジョンもジョンでジオンの最新鋭MSに乗せられることになって、テロに巻き込まれたマチュを助けたらしいので向こうも大変なのだろう。
ラビアンローズからグラナダへ行くらしいのでその時には連絡を貰うことになっている。
サラミス級宇宙警備艇を改造した骨董品の作業艇が船体を揺らしながら進んでいく。
端末でニュースサイトを読んでいた部長はある記事で目が止まった。
その記事には逃走していたテロリストのMSが発見されたという。
コックピットは爆破されており、内部から男女2人の生体組織が採取されたという。
(逃走は不可能だと判断して機密保全のために自爆したのか?)
記事も部長と同様の意見が載せられている。回収されたMSはサイコガンダム同様に軍警で保管されるという。
何か引っかかるような思いが部長にはあった。
何かがおかしい。
部長が記事を読み返そうとした時、端末にジョンからのメッセージが届いた。
ラビアンローズへジオンからの迎えが来たのでこれからグラナダへ向かうらしい。
(最近は物騒だからな、気を付けろよ…)
これからグラナダへ向かうジョンの無事を部長は願った。
『ジョン、アマテから逃げないで』
『ナガラがどうであれ、グラナダから帰ったらちゃんとアマテと向き合うんだ』
『愛を疎かにすると碌なことはない、とガンダムが言っている』
出港直前にシュウジから言われたことをジョンは振り返る。
シュウジとニャアンに見送られながらジョンはグラナダへと向かう。
遠くなっていくラビアンローズを艇の窓から見ながらジョンはドッキングベイに接続されているケルゲレンが見えなくなるまで見ていた。
どこからか声が聞こえる。
泣き声だ。
その声にジョンは聞き覚えがある。
マチュだ。
マチュが泣いている。
ジョンにはそんな直観があった。
マチュが泣いている原因は自分のせいだ。
ジョンはマチュを泣かせたのだ。
その事実がジョンに重く圧し掛かる。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
-
ジョン・マフティー・マティックス
-
アマテ・ユズリハ(マチュ)
-
ニャアン
-
シュウジ・イトウ
-
シャリア・ブル
-
シロウズ
-
サンライズカネバン社長
-
シイコ・スガイ