『状況終了』
今日のガンダムとゲルググのデータ収集作業は終了した。
ガンダムの関節部の摩耗が著しい。
イズマ支部での運用時でも関節部の整備については気を遣っていたが、暴走MS事件の際のダメージとコモリがガンダムを操縦した時に機体に負担を掛けさせるような動きをガンダムにさせていた。
それらの蓄積の結果、ジョンが試験場で搭乗した際には違和感がかなり大きくなっていた。
『ガンダムを乗りこなしてくれるはありがたいが、イズマで相当無理な動きをさせたみたいだな』
「セクシーさん、申し訳ないです」
軟質素材の訓練用アーマーシュナイダーの刃をグニャグニャさせているゲルググのパイロット「セクシー」がゲルググのマニュピレーターでガンダムの肩を叩いた。
グラナダに来て6日が経ち、ジョンは月での生活に慣れ始めていた。
シャリア達と別れ、こうしてバイオセンサー研究所での仕事も板についてきた。
僅かな記憶にあるような月の重力の軽さに驚きつつもバイオセンサー研究所の外来宿舎での寝泊まりもルーティンが出来るくらいには落ち着いていた。
慣れては来たものの、ジョンには究所全体から感じる「ジオン軍の匂い」というのがどうも鼻につく。
バイオセンサー研究所の前身はジオン軍の新兵器の研究を行っていたようだ。
戦後はサイコミュシステムの研究とサイコミュ搭載MSの試験を主軸に今の名前に変わった。
そのような経緯があるために今回のデータ取りのようにグラナダ基地の試験場を利用しているジオン軍との関係は深い。
そもそもバイオセンサー研究所の建物自体がジオン軍のお下がりであり、外来宿舎という言葉とワンパターンな建物の構造自体が軍の名残を色濃く残している。
ジオン工科大学がジオン公国の中でも優秀な人間を集めた機関であり、バイオセンサー研究所がその「精鋭部隊」であるということに疑いの余地はない。
大学が軍と密接な関係があるのは古今東西普遍的な話だ。
ジョンはジオン軍のことは好きではない。
シャリア、エグザベ、コモリ、メカニック達のことは一個人としては好きだが、組織としてのジオン軍を好きになれる要素がまるでなかった。
とはいってもイズマコロニーから離れられればそれでよし、仕事でもあるのでジョンはバイオセンサー研究所に協力は惜しまなかった。
ただ、どうしても納得がいかない部分があった。
ジオン工科大学に里帰りしたガンダムは元々の所属である第8研究室で運用されている。
第8研究室はMSに対する新技術の搭載を研究の軸に置いている。
研究所全体でもかなり功績を挙げており、大学からもかなり注目を集めている研究室でもあるが、ここは妙な習慣があった。
第8研究室に所属すると二つ名を授けられるのだ。
ジョンはお客様扱いで二つ名は授けられなかったが、所属するとゲルググのパイロットの「セクシー」のような二つ名、コードネームが授けられているのだ。
そして研究室のボス、第8研究室の室長と部長を兼務するのが…
『ジョン、今日は飲むよ』
『ブラジャー部長、ジョンは未成年です』
『あたしの中では成人なの』
『またキシリア様にシバかれますよ』
『その時は逆にシバきかえすわ』
管制室からセクシーと口論する「ブラジャー」部長だ。
酒癖悪いんだよな、とジョンが思っていると端末が揺れた。
コックピットに設けたホルダーに取り付けた端末の通知画面を見るとメッセージが届いていた。
『仕事が終わったら電話が欲しい』
メッセージの相手はニャアンだ。
メガ粒子でズタズタになったキケロガの装甲をシャリアは撫でた。
電子機器も内部もボロボロ、無事な部分を探すのが難しいくらいだ。
「中佐、お久しぶりです」
キャットウォークに立つシャリアの後ろにエグザベが立っていた。
装甲から手を離してシャリアはココアシガレットをポケットから取り出して咥えた。
「ギャンの修理ですね、エグザベ君」
一本のココアシガレットをシャリアはエグザベに渡した。
シャリアとエグザベがいる場所はグラナダ工廠のMA用のハンガーだ。
パープルウィドウに回収されてグラナダまで回航したキケロガは修理の為にグラナダ工廠のMAハンガーに搬入されていた。
キケロガの修理と同時にHi-MD男が変身するブルーディスティニー1号機との戦闘で破損したエグザベ専用ギャンも同じくグラナダ工廠へ持ち込まれていた。
「サイコミュのセッティングで私はここいますが、エグザベ君は…」
「新装備のテストですよ。ブルーディスティニーとは因縁ができちゃいましたからね」
苦笑いを浮かべながらエグザベはキケロガの傷を触った。
「コモリ少尉はどうしたんですか?」
「午後休です。明日と明後日は非番です。大都会を味わう!と気合を入れてましたよ」
シャリアの言葉にああ、とエグザベは納得した。
「その様子を見ると2人で遊びに行くようですね」
「ええ、明日と明後日に非番を入れろと散々言われてたので」
非番を取るのに疲れましたよ、と若干疲れ気味のエグザベにシャリアは耳元で囁いた。
「ちゃんと避妊はしてください」
「…その前にゲロの処理が先だと思います」
イズマコロニーでの泥酔具合を思い出してエグザベは首を振った。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ