おっぱい大作戦   作:そらまめ

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12-9 ドレンの追想 第2次ソロモン会戦(中編)

ソロモン落としは地球連邦軍の最後の悪あがきだ。

せっかく手に入れたソロモンを質量兵器として月に落とす。

ルナツーを事実上の囮として扱い、宇宙での拠点を全て失うことになっても構わない。

 

ジオンが月面都市の中でも懇意にしていたグラナダを破壊することで戦後の交渉を有利に進めたいという政治的な思想の元で作戦は立案された。

グラナダを破壊すれば他の月面都市、フォン・ブラウン市やエアーズ市にも重大な被害が出る。

月に住む大勢の人々の命が危機に晒されることになる。

 

作戦が提案された当初は反対意見もあったが、それでも作戦は実行される歩みとなった。

 

 

 

刻一刻とグラナダに迫るソロモンに対してソドンが旗艦とした4隻の艦隊が出撃した。

キシリアはこの殴り込み艦隊にソロモン迎撃の命令を下した。

あまりの時間の無さに迎撃作戦の内容についてはソドンに一任されることになり、シャアが作戦を立案することになった。

 

殴り込み艦隊の出撃直前、キシリアが愛用している弁当型携帯FAXにたった5枚の作戦計画書が送られてきた。

同時にキシリア達、グラナダ基地の幹部クラスの人間が詰めている指令室に作戦内容を印字した書類を持ってきた下士官が入ってきた。

 

その内容を見てキシリア達は得心した。

現状の限られた状況下でソロモン落下を阻止するにはこれしかない。

「赤い彗星、灰色の幽霊に期待する以外あるまい」

「不幸中の幸いだ」

幹部達がそれぞれ好き勝手言っている中、キシリアはモニターに映るソドンを見つめる。

ソドンは3隻のムサイを連れてソロモンへと向かっていく。

「頼んだぞ、キャスバル坊や…」

誰にも聞かれないように小さくキシリアは呟いた。

その口元が歪んでいることには誰も気付いていない。

 

 

 

シャアが立案したソロモンの落下阻止作戦はある意味ではシンプルな作戦といえる。

ソロモン内部の4か所にミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合炉を自爆させるように改造したザクを設置、同時に自爆させるというものだ。

通常、ザクに搭載されたミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合炉は攻撃など受けても大爆発などしない。

 

だが今回使用する自爆ザクには意図的に大爆発するように改造が施されており、爆発自体も4機同時に起爆するようにタイマーを設定している。

 

かつて地球連邦軍がジオン軍のチベットに構えたラサ基地を攻略する際に陸戦仕様に改修した軽キャノンのミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合炉を意図的に自爆させたという報告がグラナダにも寄せられており、この件も自爆ザク投入の根拠となった。

 

シャアの作戦計画書にはソロモンがどの位置まで到達したら爆発させればよいか、ソロモン内部でどれくらいの爆発が必要なのかが書かれていた。

ソロモンは元々ジオンの要塞であるから測量も完璧で3Dモデルが作られるくらいには情報は足りている。

グラナダ基地のスーパーコンピュータでシミュレーションも完璧だ。

シャアの作戦はキシリア達が納得するのに十分な根拠とその下地があった。

 

 

 

「スワメル、トクメル、前へ」

殴り込み艦隊の事実上の指揮官となったドレンは2隻のムサイをソドンの前に出すように指示を下す。

「最大戦速で連邦の防衛隊を突破するぞ!!」

地球連邦軍もグラナダから迎撃が来ることは織り込み済みだ。

それに対処するための出来る限り多くの艦隊をソロモン、彼らからすればコンペイトウの守りに置いている。

 

今回の作戦の要になる4機の自爆ザクはソドンに搭載している。

スワメルとトクメルを盾にしなければならないくらいに地球連邦軍の迎撃は必死だ。

「ソロモン阻止落下限界点まであと70」

「敵の直掩艦隊確認、前方に展開中」

オペレーターからの報告を聞いてブリッジにいる全員に緊張が走った。

『やはり簡単には行かせてくれないか』

赤いガンダムに乗り込んだシャアからブリッジに接触回線で通話が入った。

今回の戦いに備えて赤いガンダムには可能な限りのフル装備が施されている。

6基のビットに推進剤は満タン、ビームライフルのエネルギーに過不足なしだ。

「ソロモン内部ではビットを使うのは困難です。なので…」

ブリッジに上がっていたチーフメカニックの1人がシャアにタブレットの通話機能で話しかける。

『直掩艦隊相手にほぼ使い切った方がいいな。2基残して後はぶつけよう』

ソドンのメカニック全員がギリギリまでMS達の点検を続けていた。

万が一でも故障が起きないようにするためのプロフェッショナルとしての意地だ。

チーフメカニックとの会話が終わり、シャアは宣言した。

 

『ガンダム、出るぞ』

 

カタパルトから宇宙へと射出された赤いガンダムはガンダム自身のバーニアと6基のビットのバーニアを併せた大出力でソロモンへと向かう。

その後ろをシャリアのキケロガが追随する。

 

作戦の第一段階、地球連邦軍の直掩艦隊の露払いを赤い彗星と灰色の幽霊のMAVが行う。

赤いガンダムから切り離されたビットとキケロガの有線型のメガ粒子砲が展開中の軽キャノンと艦艇へ攻撃を加えてく。

 

一方的な攻撃を受けているが、軽キャノン達も諦めない。

攻撃を確認すると大量のダミーバルーンを展開して攪乱を狙った。

ビームコーティングを施した大型シールドを構え、3機1組となって死角を無くす。

少しでもセンサーにビットらしき反応があればCIWS代わりの外付けバルカン砲で撃ち落とそうとする。

その努力もあって無数の派手なビームの花火とは裏腹に地球連邦軍側にはシャア達が思っている以上の被害が出ていない。

 

以前、シャアとシャリアがソロモンを襲撃した際に生き残った面々が必死になって対策を練ったからだ。

ある意味ではシャアは手の内を地球連邦軍に明かしてしまっていた。

「ソロモン阻止限界点まであと40」

オペレーターが叫ぶ。

時間がない。

地球連邦軍の直掩艦隊はあと少し守れば勝てる。

その執念が実を結んだのかマゼラン級からのビームがスワメルの推進器に直撃した。

「スワメル、速力低下」

「キャメルを前へ」

敵の渦中にある中で置いて行かれたスワメルがどうなるかは火を見るよりも明らかだ。

それでもスワメルに速度を合わせる訳には行かない。

合わせたらソロモンの落下阻止に間に合わなくなってしまう。

ドレンは非情な決断を下し、キャメルをソドンの前に出した。

 

 

 

殴り込み艦隊の血路を開くMAVの機体にも消耗が見え始めていた。

ビットの推進剤が少なくなってきた。

このまま装備していてもデッドウェイトになってしまう。

「予定通りだ」

こうなることは予め分かっていた。

出撃直前のチーフメカニックとの会話の通り、ソロモン内部でビットを使用することは難しい。

だからこそ、出し惜しみは考えずにビットを使ってきたのだ。

 

シャアは推進剤が切れかけている2基のビットを機体から切り離し、目障りな位置にいるサラミス級にぶつけるように操作した。

 

2基のビットが直撃コースに入ったことを確認したサラミス級は艦の周囲に展開している4機の軽キャノンに指示を飛ばす。

サラミス級のMS着艦部に予め置いてあった「秘密兵器」を使う機会が来たのだ。

 

4機の軽キャノンは大急ぎで秘密兵器を展開していく。

そして4機揃ってビットへ向かっていく。

ビットはそのまま質量弾としてサラミス級のブリッジに向かって直撃するはずだった。

だが、その道中を遮る物があった。

 

ビットは2基揃ってそれに阻まれてしまう。

シャアは既にビットの操作を切っているので細かい動作ができない。

推進剤を限界まで使い切って2基のビットは機能を停止してしまう。

 

ビットはサラミス級のブリッジギリギリまで迫ったが、質量弾としての役割を果たすことは出来ずに終わってしまった。

力なく秘密兵器に絡まった2基のビットを見て4機の軽キャノンはマニュピレータでサムズアップを取った。

 

その秘密兵器は巨大なネットだ。

シャアのビットから生き残った者達が必死になって編み出した秘密兵器だ。

巨大ネットでビットを無力化する作戦で彼らは見事、赤いガンダムのビットの無力化に成功したのだった。

 

 

 

掘り下げが足りないと感じる主要人物

  • ジョン・マフティー・マティックス
  • アマテ・ユズリハ(マチュ)
  • ニャアン
  • シュウジ・イトウ
  • シャリア・ブル
  • シロウズ
  • サンライズカネバン社長
  • シイコ・スガイ
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