おっぱい大作戦   作:そらまめ

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13-4 ブラウ・ブロ号

パルダ・コロニーではエレカの普及率が高い。

数ある自動車の中でもパルダ・コロニーではエレカの充電設備が他コロニーよりも充実しており、イズマ・コロニーとは異なる自動車事情がそこにはある。

 

バッテリー残量を気にせずエレカを運転するシイコは助手席から窓の外を眺めるマチュをチラリと見た。

「イズマとは景色が全然違うでしょ」

「こっちの方が緑が多い」

多少機嫌が良くなったマチュは端末にSNSでの検索結果を表示したままイズマにはないパルダの光景が窓の外を流れていくのを見つめる。

「品揃え良かったでしょ」

エレカの後部座席に置いてあるホームセンターでの購入品が詰まったトートバッグを見てマチュの表情が暗くなる。

手に持った端末には

 

「キラ」

「女」

「浮気」

 

という単語で検索を掛けているが、マチュが望んだ結果は出てこない。

「嫌いな人を悪魔みたいに思わない方が良いわ。相手を必要以上に悪く思うと後に引けなくなる」

マチュが何を考えているのかシイコにはお見通しだった。

「夢は夢と割り切るべき、とは行かないでしょうね」

「グラナダはイズマよりずっと都会なんです。ジョンは誰かとエッチするかもしれない…」

 

グラナダは月で2番目の規模を誇る月面都市だ。

サイド6のコロニーの1つに過ぎないイズマ・コロニーなんて比較にならないほどの大都会だ。

 

当然のことながらジョンはイズマ・コロニーよりも異性と接触する機会は増える。

自分以外の女と付き合うジョンの姿を想像するとマチュの心がドロリと動く。

 

エレカが揺れてトートバッグの中身が零れた。

マチュは手を伸ばして零れた中身を手に取る。

「あのお店、ちょっと珍しい物を取り扱ってるの」

「こんなのおもちゃでしか見たことない」

「でしょ。でもこれは本物」

金属のこすり合う音が車内に響き渡る。

 

マチュが手に持っているは手錠だ。

 

手錠を眺めてマチュの口元が緩む。

トートバッグの中に手錠を戻してマチュは端末の画面を閉じた。

 

 

 

「さあ行こう、エグザベ君!!」

「分かったよ…」

 

私服姿のコモリがエグザベを引っ張ってホームへ向かって行く。

雑誌を載せた手押し台車の取っ手に両手を載せたシャリアは2人の後ろ姿を優しく見送る。

ジョンはシャリアから3m離れてエグザベ達を見送った。

 

エグザベとコモリのデートの待ち合わせ場所がグランド・セントラル・グラナダだったことが、

シャリアがジョンを駅に呼び出した理由の1つであった。

 

せっかくのデートの待ち合わせ時間をエグザベはシャリアの雑誌購入に付き合わされた形になったが、コモリは大して気にもしていなかった。

「シャリア中佐にありがちなこと」

シャリアとエグザベの2人が買ったミリタリー雑誌とエロ本の並びにコモリは呆れながら語っていたことをジョンは思い出していた。

「さてジョン君、我々も行きましょう」

「どこへ行くんですか」

台車を押しながらシャリアは歩き出した。

 

明らかに目立ちそうなシャリアであったが、グラナダで最大級のターミナル駅であるために業者の出入りも多く、台車を引く程度では大して目立たない。

「後10分くらい歩けば南口に出ます。南口広場にある降車場に『ブラウ・ブロ号』を呼び出しているので乗ってください」

『ブラウ・ブロ号トハナンダ?』

聞き慣れない単語を話すシャリアにハロは疑問を呈す。

「私の愛車です」

 

 

 

「意外と普通だな…」

MAのようなネーミングセンスとは裏腹にブラウ・ブロ号はグラナダで走っている車の中でもかなりグレードの高い車だった。

 

ステンレス製の車体とガルウィングが目を引くデザインではあるが、グラナダではさほど珍しくない。

トランクルームに雑誌と折り畳んだ台車を雑用毛布に包み、シャリアはトランクルームを閉める。

「いい車でしょう」

両側のガルウィングが開き、運転席に座ったシャリアが運転席側のガルウィングを閉めながらジョンに言った。

 

ジョンはハロを抱いて助手席に座るとガルウィングを閉めた。

「さて、ドライブです」

ジョンがシートベルトを締めたのを確認するとシャリアは降車場からブラウ・ブロ号を発進させた。

 

 

 

「MSはジオンで生まれました。連邦の発明ではありません。我がジオンのオリジナルです」

ブラウ・ブロ号にはタマキの車と同様に自動運転機能があったが、シャリアは自動運転機能を使わずにブラウ・ブロ号を走らせる。

「連邦はしばし遅れをとりましたが、V作戦で巻き返しを図ろうとしました。その結果はジョン君の知る通りです」

「ヒゲマン」

ジョンはシャリアと視線を合わせずに前を見る。

「失礼、そろそろ本題に入りましょう」

いつものようにシャリアはココアシガレットを口に咥えるとバッグミラーを見た。

道路上にはブラウ・ブロ号以外の車は無い。

「盗聴対策のためにブラウ・ブロ号を用意する必要がありました。キシリア機関はしつこいですからね」

シャリアはココアシガレットを噛み砕いて飲み込む。

「僕を呼んだ理由、赤いガンダムのことですか?」

ジョンのその言葉を待っていたようにシャリアは微笑んだ。

 

「ゼクノヴァから現れた赤いガンダムのパイロットは君ですね、ジョン君?いやオルフェ君と呼んだ方がいいでしょうか」

掘り下げが足りないと感じる主要人物

  • ジョン・マフティー・マティックス
  • アマテ・ユズリハ(マチュ)
  • ニャアン
  • シュウジ・イトウ
  • シャリア・ブル
  • シロウズ
  • サンライズカネバン社長
  • シイコ・スガイ
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