おっぱい大作戦   作:そらまめ

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第14話は今回で終了となります。
中々返事を送れていませんが、感想は全て読ませていただいています。
感想を送っていただきありがとうございます。


14-10 不安

誰もいなくなった営倉の中をコモリ・ハーコートは憮然としながら見ていた。

この中に収容されていたアマテ・ユズリハはジークアクスに乗って脱走している。

 

コモリは上官にあたるシャリア・ブルの判断が信じられなかった。

彼女の脱走とそれを促した存在に従うことが「シャロンの薔薇」に近づく手段であるというのが上官の言い分だが、ジークアクスを強奪し今となってはお尋ね者となった女子高生に対してゲロ甘な判断だとコモリは思う他ない。

 

そもそもクランバトルにジークアクスが参加しているのを確認した時点でポメラニアンズをさっさと縛り上げておげばアマテが指名手配を受けることも、ここまで深刻な事態に陥ることはなかった。

 

コモリから見たアマテという少女の印象はあまりよろしいものではない。

最新鋭MSを盗み、どういうコネクションかシャアの赤いガンダムと共にクランバトルに参加してしまった。

この時点で国際問題レベルの所業をしているのにも関わらず、本人がやっと事態の深刻さに気付いたのは国際指名手配されてからだ。

 

自分がやったことへの想像力の欠如というのが、コモリは好きになれなかった。

 

返却された端末に届いた大量の通知を見たアマテの顔をコモリははっきりと覚えている。

その時に自分が掛けた言葉というのも同じくらいには覚えていた。

 

『お母さんに連絡してあげたら?こんだけ迷惑かけたら私なら出来ないけど』

 

『小遣い稼ぎのお遊びだったのに取り返しのつかない事になっちゃったわね』

 

思い返せば随分意地悪な言い回しだったなとコモリは振り返る。

端末とペットロボットの返却、着替えの服だけ渡すだけで良かったのに余計なことを言ったもんだ。

例え好きではない相手だったとしてもその感情を表に出すのと出さないのであれば精神の成熟度というのはまるで違う。

 

そういう点においてはコモリもまたアマテと同じく小娘でしかない。

 

ソドンは現在、地球への降下に向けて準備を進めている。

地球に近づくにつれ、コモリの身体はだんだんと寒気に近い感覚を覚える。

体調を崩した訳でも空調システムが壊れたわけでもない。

 

自分達が向かおうとしている場所にジークアクスとアマテがいる。

シャリアはシャロンの薔薇に繋がる手がかりがあると思っているようだが、コモリはそれだけで済まないような気がするのだ。

 

ソドンを丸ごと飲み込むような怪物の口に向かって自分達から進んでいるような錯覚…

コモリはそんな気がしてならなかった。

 

 

 

キラキラの空間から解放され、ジョンはララァを見据える。

 

「僕は何でも屋で働いています。その何でも屋の社長がシャア、名前は変えてますが…」

 

昼下がりの林の中でジョンは額に浮かんだ汗をM65の裾で拭う。

 

「あの人、社長さんなのね…フフ、面白い」

「名前が全く違うので分からなかったのですが、うちの社長は間違いなくシャアです」

「仕事はちゃんとしてる?」

「イズマ支部に出向中なので最近は会っていませんが、仕事はちゃんと…」

 

ジョンの言葉を遮るようにウーマくん以外の馬のいななきが周囲に響き渡る。

 

「お――――――――い」

 

アンダルシアに乗った管理員がジョン達に手を振って現れた。

先ほどからポカーンとしているアマテの横を突っ切ったアンダルシアはララァの前で止まった。

 

「探したよ、ララァさん。午後の恋人さんの準備もあるから来てくれ」

 

管理員の言葉を聞いてララァはブランコから降りる。

 

「おっ、王子と客人もいたのか、どうだララァさんは?綺麗だろ」

 

ララァはアンダルシアの鞍、管理員の前方に跨った。

乗り慣れているのかアンダルシアもララァも自然と乗りこなしてる。

 

「とても綺麗ですよ」

「だろ、ウーマくんは厩舎の近くまで連れて来てくれ。馬房に入れるのはこっちでやる」

 

アンダルシアが反転して館の方へと顔を向ける。

ララァはジョンとアマテの方を振り返る。

 

「また話をしましょう。王子様と薔薇を探す人」

 

ララァが言い終えるのを待っていた管理員はララァの顔が正面に戻ったのを見るとアンダルシアを走らせる。

誰も座らなくなったブランコが静かに揺れる。

『そろそろ、俺達も行こうぜ』と言いたげなウーマくんを人撫でした後、ジョンはアマテの方を見た。

 

「いっぱい質問していい?聞きたいことがいっぱいあるの」

 

正気を取り戻したアマテは臨戦態勢を取ってジョンを見ていた。

その顔には不安が混じっているのが見て取れる。

 

「僕も君に聞きたいことは多い」

 

その言葉にジョンも肯定するしかなかった。

 

今、この場においてジョンのやるべきことはウーマくんにアマテを乗せてカバスの館に帰ることだ。

小柄なアマテをウーマくんの前に乗せて自分は後ろに乗る。

「マチュ」と一緒にやりたかったと思いながら、ジョンはウーマくんにアマテを乗せることを決めた。

掘り下げが足りないと感じる主要人物

  • ジョン・マフティー・マティックス
  • アマテ・ユズリハ(マチュ)
  • ニャアン
  • シュウジ・イトウ
  • シャリア・ブル
  • シロウズ
  • サンライズカネバン社長
  • シイコ・スガイ
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