おっぱい大作戦   作:そらまめ

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16-4 死ぬ覚悟

『0085年7月21日

 

月面のエンデュミオン・クレーターでゼクノヴァが発生。

ゼクノヴァに巻き込まれたアンノウン3、アンノウン4は消滅。

ナガラ衆に拉致されたシャリア・ブル中佐、エグザベ・オリベ少尉、コモリ・ハーコート少尉は当日のうちに解放されたが、ジョン・マフティー・マティックスは消息不明。

 

その後のナガラ衆からの発表はない。

 

同日からジオン軍とジオン工科大学の合同調査隊がクレーター周囲での調査を開始する』

 

 

自動タクシーの中で、ジョンはララァから手渡されたタブレットで、これまでに起こっていた出来事をまとめた資料を読み漁っていた。

 

どうやらここが、ジョンにとって元の世界であることは間違いない。

ゼクノヴァに巻き込まれた後、ジオン軍とジオン工科大学の合同チームによってゼクノヴァの調査とジョンの捜索が進められていたようだ。

 

ゼクノヴァについて分かっていることは、あまり多くない。

イズマ・コロニーに発生したゼクノヴァの調査も進展がなく、現場はともかく外部から見れば、かれこれ三か月経っても大きな進展がないように見えてしまう。

 

ただし、一般からは見えないだけで軍事面としてみれば多少の進展はあるようだ。

ミノフスキー粒子がゼクノヴァの発生にも深く関わっていることから、ミノフスキー粒子干渉波検索装置(MPIWS)をベースにしたゼクノヴァ検知用センサーをサイド3のコロニー各地に設置。

 

ゼクノヴァを検知し次第、コロニー防衛隊が現地に向かう体制が整えられているという。

クワトロのメビウス・ゼロがストライクとフリーダムの戦いの場に現れたのはララァからの告げ口もあったが、防衛隊としての仕事しての意味合いもあった。

 

もっぱら、元になったMPIWSの精度が怪しいこともあり、誤検知ばかりであまり信用はない。

今回の件もセンサーの誤検知ということで話を通すとクワトロはキャリアーの移動中にジョンに語っていた。

 

「あのゼクノヴァのせいでサイド3はてんてこ舞い。おかげで、あんな0点兵器がウチに押し付けられたんだから」

 

向かい側の席で足を組みながら、ララァは言った。

資料を読んでいたジョンはタブレットから顔を上げ、ララァを見る。

 

「0点兵器?」

「零式のことだよ。このページを読んでみ」

 

ララァはタブレットのページを指定してジョンに手渡した。

 

そのページには、各コロニーの防衛隊の装備を増強させるという趣旨で、兵器の割り当てが示されていた。

ゼクノヴァの発生に深く関わったと思われるナガラ衆が再び何かを仕掛けるかもしれない。

その抑止力として戦力を増強する、と書かれている。

アマテラス・コロニーには、メビウス・ゼロ3機が配備されているとあった。

 

「メビウス・ゼロは一年戦争中に作ってたんだけど、サイコミュまわりの開発に失敗してね。おかげで、誰も動かせない0点の兵器が出来たってわけ」

「失敗兵器ですか…」

「メビウス・ゼロのゼロは0点のゼロだ、なんて言われたくらいだよ」

 

資料内にもその旨の記述が存在していた。

メビウス・ゼロは一年戦争中に開発された試作MAであるが、サイコミュが未完成のまま開発が頓挫し、フラナガン・スクールの倉庫に保管されていた。

0085年になって、ガンダム[G3]のバイオセンサーとガンダム・クアックスのΩサイコミュの技術を活かして再設計され、ようやく実用に耐えるものが出来たと資料には書かれている。

 

メビウス・ゼロはガンバレルストライカーのように、オールレンジ攻撃が可能なMAであり、対MS兵器としてはかなり優れている。

 

ただし、武装の陳腐化とそもそも試作兵器で数が少ないこともあり、そんな機体を防衛戦力に割り当てて増強と言うあたり、ジオンの懐事情の寂しさをジョンは感じ取っていた。

 

「クワトロが乗れば0点扱いから120点の兵器になる。それがメビウス・ゼロだ」

 

ララァは誇らしげに語る。

 

「ララァさん。その…」

 

ジョンは、ララァに向こう側の世界の話をしようとした。

なぜサイド3にララァがいるのか。

なぜ自分のことを知っているのか。

ジョンはそれを知りたかった。

 

(この人は一体、何を知っているんだ?)

 

クワトロとセイラという人物も、ただ者ではない。

シャリアに目をかけられていたというワンクッションがあったにせよ、見ず知らずの自分に対して彼らがこうして接しているのかがジョンは分からなかった。

 

「あたし達のことはどうでもいいんだよ」

 

ジョンの疑問を感じ取ったのか、ララァはノンノンと手を振った。

 

「このタクシー、どこに向かっているのか分かる?」

「…いや、分からないです」

 

ジョンはララァに、MSハンガーからそのまま押し出されるように外で待っていたタクシーに詰め込まれている。

行き先なんて分かるはずがない。

 

「ジョン、あなたには領主様のところに行ってもらう」

「領主…このコロニーのトップですか?」

 

イズマ・コロニーとは異なり、コロニーの顔役として領主が存在する例はそれなりにある。

アマテラス・コロニーの領主のことは知らないが、なぜ自分がコロニーの一番偉い人間のもとへ連れて行かれるのか、ジョンには理解できなかった。

 

「領主様に会う前に、ジョンに聞いておきたいことがある」

 

向こう側の世界でカバスの館で会ったララァとは異なり、アマテラス・コロニーのララァはあのララァよりも姉貴分のような雰囲気と物言いだった。

彼女はジョンの目をまっすぐ見据える。

その目はジョンの覚悟を求めていた。

 

「ジョン、今から死ぬ覚悟はあるかい?」

掘り下げが足りないと感じる主要人物

  • ジョン・マフティー・マティックス
  • アマテ・ユズリハ(マチュ)
  • ニャアン
  • シュウジ・イトウ
  • シャリア・ブル
  • シロウズ
  • サンライズカネバン社長
  • シイコ・スガイ
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