おっぱい大作戦   作:そらまめ

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16-6 空白の3ヶ月

ジョンは目の前に差し出された個人登録の用紙を見て、言葉を失った。

 

この人はいったい何を言っているんだ。

 

そんな思いの方が先に来た。

「なぜ?」という疑問が山のように湧き上がる。

 

「ナガラという神に仕えるニュータイプの集団、ナガラ衆の話は軍内でも噂になっている。

Gクアックスとソドンを半壊に追い込み、イズマ・コロニーでは全裸の中年男が艦内を破壊して回り、挙句の果てにはシャリア中佐のキケロガを光の翼で破壊した。

どれもこれも信じがたい話だが、すべて事実だ」

 

ジョンの困惑を見たのか、ジュウゾウは淡々と語り出す。

 

「そして君が月面で戦ったプロヴィデンスも、ナガラ衆のMSだろう。

どれも現代兵器の性能を大きく上回るスペックを持っている。

その技術の出所と、彼らがどうやってMSを維持しているのか私は不思議で仕方なかった…」

 

コロニーの領主でありながら、軍事兵器にやけに詳しい人物だな、とジョンは思った。

 

「ジオンのMS開発には、私もかつて参加させてもらった身だ。

人よりはMSに詳しいつもりでいる」

 

ジョンの表情に浮かんだ疑問を読み取ったのか、ジュウゾウは補足した。

 

「だからこそ、エグザベ少尉がGクアックスをアンノウン1によって破壊されたと聞いた時は驚いたものだ。

最新鋭のMSをテロリストの機体が正面から戦って圧勝する。そんなMSを、いったいどうやって作り出し、摘発から逃れていたのか。

だが、君がストライクに変身できるのであれば、すべての説明がつく。

彼らもまた、MSに変身できる能力を持っているのだろう」

 

「僕がMSに変身できるという話を、信じるんですか?」

 

領主に対する口の利き方が分からないジョンだったが、さすがにそこは聞き返した。

人間がMSに変身する、そんな話を信じる人間など、普通はいない。

 

「世の中には信じられない話が山ほどある。

それに比べたら、人間がMSに変身できるなんて、些細な話だ」

 

しみじみとそう語るジュウゾウの姿に、ジョンは長年の人生経験が滲み出ているのを感じた。

少なくともジュウゾウにとって、MSへの変身は現実の範疇に収まる事象らしい。

 

ジュウゾウの顔がだんだんと険しくなっていく。

 

これからが本題だ。

 

ジョンはそれを悟り、自身も同じように表情を引き締めた。

 

「キシリア様は、ナガラ衆と共謀して良からぬことを考えている。ここ数年、莫大な金がキシリアを中心に動いている」

 

キシリア様、ジオンの政治を牛耳るザビ家の長女、キシリア・ザビ。

サイド6とサイド3の外交政治でも関わりが深い。

この間のサイコガンダム襲撃のきっかけも、キシリアの訪問だった。

さらに、「全地球環境改善用光増幅照射装置」と銘打たれたイオマグヌッソにも、サイド6が資金援助をしている。

 

「まさか…イオマグヌッソですか?」

 

ジョンは思わず声を上げた。

キシリアが中心となって莫大な金が動くとなれば、それしか考えられない。

 

「よく分かったな。そうだ。キシリア様はナガラ衆と共に、イオマグヌッソを軍事兵器として利用しようとしている」

 

ジュウゾウはジョンの推測を肯定した。

 

「イオマグヌッソは、ソーラ・レイの技術を応用した施設だ。使い方次第では、ソーラ・レイと同等の破壊力を持つ兵器に転用できる」

 

確かにイオマグヌッソに関しては胡散臭い話が多く、イズマ支部でもジョンはよく耳にしていた。

「環境改善装置」と言われてはいるが、戦略兵器だと言われても不思議ではない。

だが、それがなぜキシリアとナガラ衆に結びつくのか、ジョンにはまだ腑に落ちなかった。

 

そんなジョンの疑問に答えるように、ジュウゾウは脇から一枚の文書を差し出す。

 

「キシリア様はイオマグヌッソ以外にも、次世代MSの開発を主導している。これは現状で公開されている情報をまとめたものだ」

 

ジュウゾウから手渡された文書を、ジョンは目を通した。

 

「これは…」

 

現在のジオン軍は戦後の軍縮もあり、MSの新規開発はほとんど行われていない。

一年戦争期の機体のマイナーチェンジを繰り返す中で、ジークアクスやジフレド・カルラのような新規開発機は非常に珍しい。

 

「情報は多くは公開されていないが、このMSの名前はジェガンというらしい」

 

文書にはジェガンの簡単な設計図と、完成予想図のCGが掲載されていた。

ぱっと見では、ゲルググの発展形といった外見をしている。

最新鋭MSの図面であるため、意図的に偽装された部分もあるだろう。

それでもジョンは、その線画を見て思わずつぶやいた。

 

「…洗練されすぎてるな」

 

ジョンは図面を見ただけで性能を推し量れるほどのベテランではない。

だが、それでもこのジェガンという機体には、無駄のない完成された印象を受けた。

停滞していたMS開発だが、その裏では着実に次の段階へと進んでいたのだ。

 

「イオマグヌッソの竣工式に合わせて、ジェガンはすでに複数の試作機が実戦配備されている。

キシリア様が直々に指導を行っているほどの肝いり案件だ」

 

三か月前の時点で、イオマグヌッソはまだ基礎工事の最中だったはずだ。

それがもう竣工式が視野に入っている。ジョンはその進行の早さに驚いた。

 

「ナガラ衆がキシリア様に協力し、ジェガン開発の技術提供を行っている。その可能性が高い」

掘り下げが足りないと感じる主要人物

  • ジョン・マフティー・マティックス
  • アマテ・ユズリハ(マチュ)
  • ニャアン
  • シュウジ・イトウ
  • シャリア・ブル
  • シロウズ
  • サンライズカネバン社長
  • シイコ・スガイ
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