おっぱい大作戦   作:そらまめ

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機動戦士GundamGQuuuuuuX 第11話「アルファ殺したち」が放送されました。
おっぱい大作戦は平常運行で行きます。


4-4

壁に描かれたシュウジのグラフィティを見るたび、メモリースティック女の目頭は熱くなった。

自分以外誰もいない通路を、裸体のまま歩き回りながら、誰もいない空間に語りかける。

 

「みんないなくなった。エックスラウンダーも、イノベイターも、ニュータイプも、なにもかも…」

「スレッタ、もう顔も思い出せないよ。あなたは幸せに生きられたの?」

 

愛おしそうにその名を呼ぶ。

だが、背後に人の気配を感じた。

振り返ると、そこには虹色の水着を纏った女性が立っていた。

 

「時の流れを、誰も断罪することはできない」

「断罪しようとする者は、必ず罰を受ける」

 

「分かっている」

 

メモリースティック女は答え、どこからともなく端末を取り出して虹の水着の女に画像データを見せた。

 

「インストーラー・デバイスのおまけで、サーバーから取った王子のデータ…見た?」

「見たわ。でも、これは予想外だった」

 

端末の画面には、軍警のサーバーに保管されていたジョンの顔写真。

虹の水着の女も、どこからか端末を取り出して見せる。

 

「本来、王子探しはもっと先だった。王子が誰か分かった以上、焦る必要はない」

 

彼女は自分の端末に保存されたシュウジ・イトウの顔写真を表示し、メモリースティック女の端末の隣に並べた。

 

「運命とは面白いものね。ナガラにも分からないことはある」

 

二つの画面に並んだ、ジョンとシュウジ。

髪色も顔つきも違う。だがその輪郭、眼差しの構造、微笑の癖があまりに酷似していた。

 

 

 

応接室はタマキ、アマテ、部長の三者に分かれ、まるでカオスだった。

だが、シャリア・ブルの仲裁により、どうにか話し合いができる空気に落ち着いた。

 

アマテの主張を整理するため、部長が会議室からホワイトボードを持ってくる。

シャリアはそれに情報を書き込みながら、貼られていた社訓の紙を見つけてテーブルに移した。

 

『Just Communication』

『Rhythm Emotion』

 

字は大きくて読みやすいが、妙にスペースを取っていた。

 

書き終えるとシャリアは三人に向き直り、淡々と口を開いた。

 

「では、この話をアマテさんの視点から振り返ってみましょう。

アマテさんは二年前、0083年頃から、ジョン・マフティー・マティックスという少年と夢の中で逢引するようになった」

 

「この夢の中で、二人は仲良く話せる関係でしたが、ジョン君には全身がある一方で、アマテさんは左手しか実体化できなかった。それでも交流は二年間続いた」

 

「お互いのプライバシーを守りながら交流を続けてきた。ネットでの接触もジョン君から禁じられ、住まいも知らなかった」

 

「転機は五日前、ソドンがテロリストに襲撃された事件。ジョン君が拉致された時、アマテさんはニュースを通じて彼の勤務先を知ることになる」

 

「そして彼に会いたくなり、母親であるタマキ女史に頼んでジョン君の勤務先、コロニー公社イズマ支部MS運用部へ来た」

 

「そうですね?」

 

と、シャリアは椅子に座るアマテを見て言った。

 

「そうだけど…口に出されると恥ずかしいな」

 

自分たちの話をホワイトボードに赤裸々に書かれ、マチュの頬が赤く染まる。

シャリアは苦笑し、言葉を添えた。

 

「言葉にしなければ伝わらないこともあります。

認識がずれたまま話しても、話さないのと同じです。…それでも」

 

視線をタマキに移す。

 

「失礼ですが、言葉に出さないと相手には伝わりませんよ」

 

タマキは真顔で見返した。

(夢? さっきから訳の分からないことばかり言って…)

 

タマキも娘を嫌ってはいない。むしろ恋路を邪魔したくはない。

ただ、話があまりにもファンタジーすぎるのだ。

これなら「不良彼氏ができた」と言われたほうがまだ理解できる。

 

「夢というのは、私なりの解釈になりますが…後で説明します。次はタマキ女史の視点です。よろしいですか?」

「…お願いします」

 

この男に頼るしか現状打開の道がない。

それがタマキの胸の内だった。

 

「まず、タマキ女史は以前ジョン君と会っていますね?」

「そうなの!?」

 

マチュが驚いたようにタマキを見る。

 

「聞いてないよ、お母さん!」

(そもそも話し合いすらしてないんじゃ…)

 

すっかり蚊帳の外の部長は、二人の間にディスコミュニケーションがあるのを察した。

 

「アマテさん、拉致から解放されたジョン君が軍警に保護されていた。それを夢の中で彼から聞いていますね?」

「うん…」

「その後、赤いガンダムの件で面会するため、会計監査局外交三部のタマキ女史に仲介を頼んだ」

 

マチュは思い出した。あの駐車場でのやり取りだ。

 

「あのタマキ女史の動揺ぶりから見るに、ジョン君の話をしたのはその時が初めてでは?」

「車の中で少しだけ話した」

「なるほど。詳しくは?」

「忙しかったから、かなり端折ってた」

 

だからあんなにジョンにキレていたのか、とシャリアは得心した。

 

「お互い理解しているようで、噛み合っていない。まさにオールドタイプのコミュニケーションの限界ですね」

 

「タマキ女史、ジョン君はあなたが思うようなクズではありません。そもそもガンダムを任されている時点で、そういう人間ではない」

 

(ガンダム?)

 

マチュには初耳だった。

ニュースのミニコーナーで見た、イズマ支部のガンダム。

赤いMSの暴走を止めていたあの機体が、ジョンの乗機だったとは。

 

(そんな危ないことを…)

 

ニュースでは短く扱われたが、SNSでは大きな話題だった。

ナイフと警棒だけで暴走MSを制圧する動画をマチュも見ていた。

戦う姿と、戦場での周囲への配慮。どちらも、彼らしかった。

 

「それは分かります。でも、夢なんて」

 

「それについてですが、アマテさんのニュータイプとしての感応能力かもしれません」

 

シャリアは手にした水を一口飲んだ。

 

「皆さん、ニュータイプについてはご存じですね」

 

マチュの脳髄が一気に動く。

(ニュータイプ…宇宙に適応した新人類。テレパシーとか、心が読めるとか、MS操縦がうまいとか…そんな話だったっけ)

 

「アマテさんの考えるニュータイプは、世間一般のそれですね」

 

(この人、心が読めるんだ)

 

シャリア・ブルがニュータイプであることは知っていたが、読心されるとは思っていなかった。

 

(まあ、そういうものか)

 

マチュは思いのほかすんなり受け入れた。

 

「慣れるまでは辛いですよ」

 

その言葉には、経験者の重みがあった。

 

「シャリア中佐、アマテがニュータイプだと?」

タマキは困惑した。

まさかジオンのニュータイプ戦士に、娘がそう言われる日が来るとは。

 

「ニュータイプの研究はまだ途上ですが、アマテさんの感応能力が何かの偶然でジョン君と惹かれあった。あり得る話です」

「根拠は?」

「私の勘です」

「勘って…」

 

(おいおい、マジかよ。そうなるとジョンがニュータイプの娘と二年も交流してたってことか?)

 

「ジョン君も、ニュータイプの可能性があります」

 

部長の思考に、シャリアは即座に答えた。

 

「話の腰を折るようですが、なぜ中佐がうちへ?」

 

部長は聞いた。

そもそも、彼が単独でコロニー公社支部に来た理由を誰も知らない。

 

「ジョン君に聞きたいことがありまして。前回の面会は盗聴されていましたので」

 

タマキも頷いた。たしかに、あの時は落ち着いて話せる空気ではなかった。

 

「何を聞くつもりで?」

 

「あなたもご存じのとおり、私たちは今、シャア大佐と赤いガンダムを捜索しています」

「ええ」

「彼なら知っていると思ったのです」

 

一拍置いて、静かに言った。

 

「もう一機の赤いガンダムを」

掘り下げが足りないと感じる主要人物

  • ジョン・マフティー・マティックス
  • アマテ・ユズリハ(マチュ)
  • ニャアン
  • シュウジ・イトウ
  • シャリア・ブル
  • シロウズ
  • サンライズカネバン社長
  • シイコ・スガイ
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