6-1
ショッピングモール:第2公共広場(お好み焼き大会会場)
おっちゃんの端末がメッセージを受信した。
「連絡が来た。ちょっと頼むで」
端末のバイブレーションを感じたおっちゃんは鉄板をケーンに任せて屋台の奥へ歩いていき、一息吐いた。
ズボンのポケットに入れていた端末を開くとメッセージはシュウジからだった。
『今から屋台に戻る。ジョンとジョンの友達を連れていく。ジョン、おっちゃんの事を覚えていない。記憶の欠如有り』
「記憶の欠如か、無理もないか」
英語で端的に打たれた文面を見ておっちゃんは端末を閉じてポケットに戻した。
踵を返しておっちゃんは鉄板の前へと戻った。
「シュウジから?」
「友達を連れてくる。いよいよこのスーツの真価を発揮する時が来たんや」
おっちゃんは胸にあるお好み焼きが描かれたランプを右手で叩いて言った。
「いよいよだね」
「おう、ついに来た。アルティメットフォーム…」
ショッピングモール:第1屋上プール
ショッピングモールはいくつもの建物で構成されている。
そのため平地な屋上が存在するエリアもいくつかある。
平地であることを活かして緑地公園、駐車場などに利用されているが、このショッピングモールでは大小5個のプールが設けられていた。
その中で第1プールはショッピングモール内では最大級の広さを誇る。
本来なら休日である今日は客足が多くあるはずだったが、今の時間帯は1人しかいない。
今日に限っては昼の12時から13時までの1時間をエムグループの一企業が貸切にしていた。
そんな贅沢を味わうようにプールの水面に虹色の水着の女性が仰向けで浮かんでいる。
頭上に浮かぶビル群を見ながら虹色の水着の女性は目を閉じる。
コロニーでの生活を鑑みるに大量の水と維持に手間がかかるプールは贅沢の極みに見えるだろう。
勿論、贅沢ではあるが、数千万人の人が暮らすコロニーとでもあればそういう贅沢は必要になってくる。
実際、フランチェスカのようなレジャーコロニーが作られるくらいにはこういうレジャーというのは贅沢と言われても生きていく上で必要な経費でもあった。
虹色の水着の女性は思い起こす。
アースノイドとスペースノイドが対立した一年戦争、だがスペースノイドの中にアステロイドベルトの人間達のことはカウントされているのだろうか?
自分達であらゆる物を作り出さなければならなかったアステロイドベルトの住民達、そんな贅沢すら許されない人間達がいたことを社会は透明化する。
弱者を初めからいない者として扱う社会、アステロイドベルトの彼らからすればコロニーの住民達はアースノイドと大差ない。
プールから飛び降りた時の水飛沫にコリオリの力が働いていようがいまいが、人間の本質はさして変わらないのだろう。
水面に浮かぶ虹色の水着の女性は目を開いてプールサイドを見た。
そこにはハイバリーハウス学園の制服を着た生徒が立っていた。
プールで制服姿というのも奇妙な出立ちだったが、ここには虹色の水着の女性とその生徒しかいないので誰も咎める者はいない。
「アマテ・ユズリハ、ニャアン、シュウジ・イトウの3名が合流しました。現在このショッピングモールにいます」
「想定通り。世の中狭いわね。このまま監視を続けて」
「良かったのですか、長老に報告しなくて?」
虹色の水着の女性は仰向けの姿勢からジャバっと水音を立てながら姿勢を正して生徒の方を見た。
「ナガラ衆としてのニュータイプはもう絶滅するしかない。長老がイオマグヌッソを棺の王に使わせようとしている時点でもう私達だけで世界を変える力はとっくにない。
私達がキシリアと協力しないといけないくらいに力も人数もない。
ナガラの命令がなければ長老は王子と棺の王を戦わせるなんて発想には至らないわ」
「私達のこれまでの動きはキシリア派が有利になるように動いてきたことばかりでしたからね」
Hi-MD男によるガンダムクアックスとソドンへの奇襲、デジタルマイクロカセット男のソドン襲撃、メモリースティック女による暴走MS事件、これらは全てキシリア派がイズマ・コロニー内で有利に動くための工作であった。
「R-DAT男とS-DAT女の作戦も2週間後に控えています。サイコガンダムの件も兼ねるとここは」
生徒が言う前に虹色の水着の女性は言った。
「崩壊するわね、イズマ・コロニー」
寂しそうな表情をしながら生徒はハイバリーハウス学園の制服のネクタイを揺らした。
続けて虹色の水着の女性は言った。
「王子はどうしてるの?」
「それが…」
生徒はスカートのポケットから端末を取り出す。
それを見た虹色の水着の女性は突然、バタフライでプールサイドまで泳ぎ始めた。
コリオリの力で変な方向に飛ぶ水飛沫を見て生徒はプールサイドから離れて水飛沫を避けた。
息を切らしながらプールサイドに到着した虹色の水着の女性に対して生徒は端末に表示した写真を見せた。
端末には喫茶チェーン店で話すジョン達の写真が表示されていた。
「やっぱりか」
多少の驚きこそあれど虹色の水着の女性は納得したように頷いた。
「この件、極秘にします。写真は消して」
「了解しました」
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ