映画館での話し合いは竜頭蛇尾というべき結果に終わった。
動画の後にシモダが熱弁を始めて誰も話についていけなくなってしまったのだ。
シモダを脇に置いてとりあえずジョンとニャアンはマチュとシュウジ達に必要な情報を共有することに努めた。
ただ、話し合いの中でもナガラ衆についてお互いに断片的な情報しか持っておらず、警察に相談しようにも現状では警察が動くことはない上にシュウジの赤いガンダムの件も合わさって話しようがない。
とりあえずニャアンのサンライズカネバンのスカウトについては前向きに進むことになり、マチュについてはジョンと端末で定期的に連絡することを条件にこの日は解散することになった。
明日、サンライズカネバンのメンバーがイズマコロニーを出港することになるのでその際にもう一度会おうということにはなった。
(グダグダすぎる)
シモダは「ゆっくりシイコとゆっくりアンキーのナガラ解説動画」というのも準備していたようだが、結局再生されることはなかった。
「なんだったんだ、あの集まり…」
マチュのその言葉にジョンは頷くしかなかった。
ただ、シモダが正気を保っていた時に話していた17バンチ事件については改めて問おうとジョンは決めていた。
17バンチ事件はこれまでジオンが起こした不祥事の1つだとは思っていた。
シモダのいうことはよく分からないことが多いが、決して無視できる話ではない。
動画データ自体はシモダから外部に共有しないことを条件にメモリーカードにコピーして貰った。
マチュとシュウジの連絡先は交換したので連絡はいつでも出来るようになっただけ大した進歩だとジョンは思ったが、話し合いそのものは竜頭蛇尾に終わったのは事実だ。
「私はけっこう楽しかったよ」
帰り際にニャアンは楽しそうにジョンへ言った。
ニャアンはショッピングモールまでは自転車で来ていたのでジョン達とはショッピングモールでお別れだ。
「明日もアマテ達と会えるからその時にちゃんと話そ?」
ニャアンのその言葉にジョンも同意した。
名残惜しそうに手を振って帰っていくニャアンを見てジョンはどこかニャアンが少し自分から離れたような気がした。
「聞いていいか?」
ニャアンの背中を見送った後にジョンはシュウジに聞いた。
「君とあの社長はどういう関係なんだ?」
「お世話になっている人…そしてお互いに利用しあっている」
シュウジのその顔にはどこか影があった。
「おっちゃんはシャアを殺そうとしている。赤いガンダムがあればシャアが来ると思っている。だから僕とガンダムを手元に置こうとしているんだ」
「社長はそんなにシャア・アズナブルを恨んでいるのか」
赤い彗星は人から恨みを買ってそうではあるが、あの社長が一体どんな因縁があるのかジョンはイマイチ分からなかった。
「おっちゃんは地球連邦軍にいたんだ。そこでシイコさんと結婚した」
「シイコさん、奥さんか」
「おっちゃんは良い人だよ。でもガンダムの話になると人が変わる。そしてジョンのことをすごい心配してた」
「心配?」
「明日、ちゃんとおっちゃんと話して」
シュウジとの会話を思い出しながらジョンはバイクを走らせていた。
『良イノカ?マチュヲ送ッテイケタノニ』
ハロが疑問を口にした。
ジョンは帰りにマチュを家まで送ろうとしたが、マチュは
「ごめん、ちょっと用事があって」
などと断られてしまった。
『アノ子ナラ絶対ニバイクニ乗ルト思ッタンダガナ』
『トコロデジョン、君ハ今ドコニ行コウトシテイルノダ?寮ノ方向ジャナイダロウ』
「バー」
ヘルメットのディスプレイに表示された地図を見ながらジョンは言った。
「ヒゲマンに行くように言われた。会わせたい人がいるらしい」
『ヒゲマン、シャリア・ブル、ダナ。随分フランクナ関係ダ』
「向こうがそう呼べと言ったんだ。面白い人だけどよく分からない人だ。あの人とはなぜかテレパシーが会話できる」
『サラット言ッテイルガ、ジョンハトンデモナイコトヲシテイルナ』
ジョンとハロを乗せた夜の街の中へと消えていった。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ