グラナダ:宇宙港
グラナダにある軍民共用の宇宙港の一角は多忙を極めていた。
宇宙重巡艦のチベ級の一艦が出航準備に向けて艦内に物資の搬入が進められている。
このチベ級はパープルウィンドウと呼ばれ、一年戦争時からキシリア・ザビの専用座乗艦として運用されて今に至る。
キシリアのイズマ訪問に合わせてイズマへ向かう準備が進められてはいたが、キシリア本人はイズマには別の船で向かうことになった。
パープルウィンドウがイズマへ向かうのは万一に備えての護衛という目的の意味合いが強い。
メカニックの操縦によりエグザベ専用ギャンはパープルウィンドウのハンガーに向かって歩いていく。
専用装備のハクジを艦にぶつけないように慎重に歩いていく様は優美な外見からは程遠い。
ミゲル・セルベートはそんなギャンを尻目にパープルウィンドウのノーズアートをじっと見ていた。
通常のチベ級とは異なり、パープルウィンドウの配色はその名の通り紫色を基調としている。
目を引くのが、サメのような目をしたノーズアートだ。
人が入り乱れる埠頭でパープルウィンドウを眺めているミゲルの隣に中尉の階級章を付けた軍人が歩いてきた。
「ミゲル少尉、ここに立っていては港湾労働者組合の皆さんの邪魔になるだろう」
その声を聞いてミゲルはその人物に頭を下げた。
「アサーヴ中尉」
ミゲルはアサーヴに連れられて埠頭から離れた。
宇宙港の複数ある待合室の一室に直接通じるエスカレーターに二人は乗った。
長いエスカレーターにはミゲルとアサーヴしかいない。
二人は目を合わせずに話を続ける。
「キシリアが三人目の候補を見つけた。今度のイズマ来訪時にソドンに乗せてこちらに来るようだ」
その言葉にミゲルは軽い衝撃を受けた。
「軍人では無い?」
「ジ工大のG3のパイロットだ。試作型のバイオセンサーを使えている以上、ニュータイプとみなしたらしい」
「厄介なことになりましたね」
「名前はジョン・マフティー・マティックス、彼をジフレドのパイロットにするつもりだ」
「マフティー、皮肉だ。神話の英雄をディアブロにしようなどと」
彼らは非常に政治的な立ち位置にいる。
ジオン政治の二大巨頭、ギレンとキシリアの軋轢こそが今のミゲルとサイーヴという人間を生んだ。
彼らはキシリアの計画を妨害するための悪巧みを練るためにここにいた。
「マティックスをグラナダには来させない」
ミゲルはアサーヴが言いたいことが分かった。
「エコーズですね」
「彼には別働隊を送り込むという話だ。キシリア諸共、イズマが墓場になる」
アサーヴはキシリアの側近を務めている。少なくとも自分以上にキシリアへの忠誠心があるアサーヴの墓場発言を聞くに自分が知らない情報を掴んだとミゲルは察した。
「思い出した。ミゲル少尉にこの間借りたゲームボーイミクロを返してなかったな」
そういうとアサーヴはミゲルに向き直った。
ズボンのポケットから青色のゲームボーイミクロを取り出してミゲルに渡した。
受け取ったミゲルはミクロに刺さっているロムカセットを見て気付いた。
ロムカセットの中にICチップが入っているのだ。
「天国の記憶に入るためのパスですね」
「キシリアがグラナダを離れている今がチャンスだ。グラナダの最深部、天国の記憶に何があるのか見てきてくれよ」
その言葉にミゲルは頷いた。
二人は政治の世界においてスパイとしての役割を与えられている。
彼らはキシリアのイズマ来訪に合わせ、自分達の目的のために動き出していた。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ