イズマ:某ホテル
ここからはソドンを見ることはできない。
1週間前なら見れたかもしれないが、今のソドンは宇宙港に係留されている。
サイコガンダムとハンブラビをイズマに密輸した際にその姿を見ている。
エコーズもイズマに潜入して準備完了の連絡を貰っているのでそちらも問題ないだろう。
自分達の目的はジオン公国の実権を握るザビ家の長女、キシリア・ザビを暗殺することだ。
キシリアを暗殺することによってジオンの政治に衝撃を与え、政治を地球連邦政府にとって有利な方向へ進めることができる。
キシリアが月面都市グラナダに5年間籠城しているために中々連邦軍が手を出す機会がなかった。
話によるとギレン派による暗殺計画やスパイの話も出ているようなのでどこに住んでいるかも分からないらしい。
だからこそイズマにキシリアが来るというのはこれ以上ないビックチャンスだ。
今回のキシリア暗殺計画は連邦軍内でも極一部の者達によって計画された。
ムラサメ研究所からサイコガンダム(MRX-010)とそのパイロット、ドゥー・ムラサメが派遣され、自身にもオーガスタ研究所のハンブラビ(ORX-139)が貸与された。
そしてキシリアに直接手を下すエコーズの部隊も戸籍が抹消されるレベルで存在が秘匿されてきた選ばれし者達だ。
作戦を振り返ろう。
1.明日の夜、イズマでペルガミノ大統領との会合を終えたキシリアが宿泊先のホテルに帰ってる
2.キシリアの所在を確認後、サイコガンダムとハンブラビをコロニー内に展開、軍警をおびき寄せる
3.ホテルに潜伏しているエコーズの部隊がキシリアを暗殺する
4.キシリア暗殺後、サイコガンダムとハンブラビでホテルを破壊、エコーズの部隊を回収する
5.コロニーから脱出し、機体を爆破後、宙域に待機しているシャトルに回収してもらい地球に帰還する
ゲーツ・キャバは不安でいっぱいだった。
作戦が上手く回る気が全くしなかった。
エコーズの部隊は優秀ではあるが、秘密保全を理由に連絡があまりできない上に連携を取る気があるのかまるで分からない。
それでも、サイコガンダムとハンブラビを通す税関のお間抜けを見てワンチャンあるかと期待した。
道中で見たソドンにドッキングされているキケロガを見て全てが吹き飛んだ。
あの灰色の幽霊で有名なキケロガだ。
もし戦うのであればサイコガンダムはともかく、自身の技量とハンブラビでどうにかなる相手だとゲーツには思えなかった。
そのサイコガンダムのドゥー・ムラサメも変な奴でゲーツはあまり接したくない。
キシリア暗殺に成功したとしてもその後の脱出も適当にコロニーを破壊して宙域に行けというアバウトさだ。
もし失敗して地球に帰ってきたら自分達は消されるだろう。
成功して地球に帰ってこれたとしても、その後の余生が穏やかな物になるとは到底思えない。
成功する余地がない。
第一、暗殺だけならエコーズだけでも良かったのだ。
元々の計画は違法のクランバトルに乗じてという話だったのが、去年になってクランバトルが合法化したのでMSを使う意味が薄くなってしまった。
そこからエコーズを投入する話が出てきて、クランバトル案との折衷案で今回のキシリア暗殺計画が進んでいった。
グダグダすぎる。
しかも今のイズマには「ナガラ衆」というよく分からないテロリスト集団が活動している。
ナガラ衆はソドンに嫌がらせするような活動をして以降は目立った動きはないが、もしソドンが動くようであれば彼らも動くかもしれない。
もしそうなったら今回の計画で彼らとバッティングするかもしれない。
自分1人しかいない部屋でゲーツは酒が入ったスキットルを一口飲んだ。
「滅びゆく者のために…」
例え失敗する作戦であっても自分達は任務を遂行しなければならない。
一年戦争で地球連邦政府は負けて、ジオン公国が正義となった。
正義は三歩歩けば全て忘れられるほど脆い物だ。
それでも任務だけは価値観も正義が変わっても信じられる。
スキットルの蓋を閉めてテーブルに置くとゲーツはドゥーが宿泊している部屋へと向かった。
ミーティングの時間になってもドゥーがゲーツの部屋に来ないからだ。
部屋のロックは端末の専用アプリで発行されるバーコードで管理されており、今回はペアでの予約をしているためゲーツのアプリにもドゥーの部屋のバーコードが発行されていた。
ドゥーの部屋の前に着くとゲーツはドアをノックした。
「ドゥー、ミーティングの時間だぞ」
返事がない。
「入るぞ、ドゥー」
少し待った後、ゲーツはドアのロックを開けて部屋に足を踏み入れた。
ドゥーはいた。
ベッドの上にいた。
全裸で喘ぎ声をあげていた。
「いいよストライク、シュベルトゲベールで僕を貫いて!!」
(もう帰りたい…)
この女は普通じゃない。
ストライクというMSにご執心のようだが、そんなMSは地球連邦軍にもジオン軍にもない。
「何?」
ようやくゲーツに気付いたドゥーは自分の裸を見られたのに羞恥心がないように振舞う。
「ミーティングの時間を過ぎてるぞ」
呆れと諦めが混ざった感情のままゲーツは床に落ちているドゥーの下着と服をベッドに投げつけた。
「早く着替えて僕の部屋に来てくれ、エコーズのメンバーが失敗したらMSでキシリアを殺るしかないんだ」
その言葉を聞いてドゥーはふふ…と笑った。
「早く会いたいな、ストライク」
この女のストライク病は治らないのかとゲーツは思った。
ミーティングの時間に遅れたこともあってゲーツはドゥーに文句の一つでも言いたくなった。
「そんなにストライクってのはいいのか?」
「お婿さんにしたいくらい…そうだ、もし僕がストライクに勝てたらストライクを僕の物にしていいかな」
「いいんじゃないか…」
「そしたらさ、捕まえたストライクに僕の物を飲ませたいんだ」
この女の中では作戦にストライクが出てくることが既定路線らしい。
存在しないMSを欲する女にサイコガンダムを任せていいのだろうか?
ゲーツは胃薬が欲しかった。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ