コロニー公社イズマ支部:庁舎前
イズマ支部のMSハンガーからガンダムを載せたトレーラーが宇宙港へと向かっていくのをジョン達は庁舎前で見送った。
ジオンへ向かうジョンを見送るためにMS運用部の手空きの職員とタマキが庁舎前に集まっていた。
ジオンへ行くこの日をジョンは憂鬱な気分のまま迎えた。
ナガラ衆に対する対策を何も講じれなかったのと何よりマチュが見送りの場にいないことが気がかりだった。
「ごめんなさい。アマテに何度も電話してるんだけど出なくて…どこに行っちゃったのかしら」
タマキが申し訳なさそうにジョンに頭を下げた。
ジョンもマチュに何度か電話してみたが何故か出ない。
「ジョン、忘れ物はないKA?」
部長に言われてジョンはリュックからパスポートを取り出した。
それを見て部長は満足そうに笑った。
「色々あったが、ジオンには面白いMSもあるだろうから見てくるんだZE」
パスポートをリュックに戻すジョンを見てタマキは何かが引っかかった。
ジョンとマチュが現実世界で邂逅を果たし、同日にジオン行きが決まったその日にマチュはパスポートの申請をしていた。
パスポート申請の話をタマキがマチュに問うと友人達との観光だと言い張っていた。
そのパスポートが家に届いたのは数日前になる。
(まさか…)
タマキは胸騒ぎがした。
物凄く嫌な予感だ。
ソドン:外来部屋
『12th/July/0085 PM 07:00』
外来部屋に掛けられている時計をチラリと見たコモリは改めて部屋全体を見まわした。
ソドンには外部の人間を宿泊させるための部屋が少ないながらも設けられている。
集団部屋と個室があるが、コモリがいる部屋は個室だ。
洗濯済みのベッドシーツと新品の女性用のジャージと下着、生活用品一式がベッドの上に置いてある。
「中佐は何を考えているんだか」
新品のジャージと下着はシャリアから直々に買ってくるように頼まれた物だ。
エグザベとのデート時に合わせて買ったが、コモリはシャリアが何を考えているのか分からなかった。
数時間後にソドンに乗艦するジョンのためだというのならまだ分かるが、ジョンの部屋は別室だ。
キケロガをソドンに持ってきたシムス・アル・バハロフ大尉も別室だ。
「誰が泊まるっていうの?」
「可愛い娘ですよ」
コモリが振り返ると後ろにシャリアが立っていた。
(うわ、出た)
シャリアは指を振ってその指で時計を指さした。
その時刻を見てコモリは気付いた。
そろそろイズマ支部から来たガンダムが搬入される時間だ。
先程、ガンダムの搬入準備のためにメカニック達と幹部が集められていたのをコモリは見た。
「そろそろ、ガンダムが来る頃ですね」
ポケットに入れていたココアシガレットを口に咥えてシャリアは言った。
「ガンダムとこの部屋に何の関係が?ジョン君は男でしょう、この間酔ってて殆ど記憶ありませんけど」
「あなたは酒癖が悪いですからね。エグザベ君も困ったことでしょう」
外来部屋を出てシャリアとコモリは通路を進んでいく。
行き先をシャリアは言わなかったが、このまま行けばハンガーに着く。
道中のシャリアは微笑ましそうな表情を浮かべており、コモリは気味が悪かった。
ソドンに到着したガンダムはガンダムクアックスが格納されているハンガーとは別のハンガーに搬入されていた。
メカニックがガンダムを囲んで点検を進める。
ガンダムと共に搬入された装備品は定数が揃っており、破損等もない。
ガンダム自体も破損はないが、少し困ったことになっていた。
コックピットのハッチが開かないのだ。
整備用ソフトをインストールしたパソコンからガンダムのコンピュータに命令を下してもロックが開かないのだ。
「何で開かないんだよ」
「イズマ支部に問い合わせるか?」
悩むメカニック達の前にシャリアとコモリが現れる。
コモリは軽く会釈した。
「その必要はありませんよ」
シャリアはポケットからコーラシガレットを一箱取り出してメカニックに渡した。
「エロヒゲ、分かるか」
コーラシガレットを受け取ったチーフが怪訝そうな顔でガンダムを見返した。
「このガンダムは天岩戸です」
シャリアはそう言うと端末からストリーミングサービスで配信されているゲンシ・ヨネヅの音楽を再生し始めた。
その音楽に合わせてシャリアがダンスを始めた。
ゲンシ・ヨベヅの歌声がハンガーに響き渡る。
シャリアの突拍子のない行動にメカニックチームとコモリは顔を合わせる。
23秒の時間が流れるが何も起きない。
「天岩戸の前で踊るのはよくある話です。さて、本題に入りましょう」
音楽を止めてシャリアはハッチが閉じられたガンダムのコックピットの前に立った。
「やはり来ましたか、アマテさん」
その名前にコモリは覚えがあった。
泥酔した時に自分はアマテという少女に会っていた。
だが、彼女は学生だ。ガンダムに乗っているはずがない。
「あなたのために外来部屋は準備しています。ジョン君が来るまでそこで籠城するのもしんどいでしょう」
コモリは嫌な予感がした。
「アマテさん、ハッチを開けてくれませんか?」
シャリアのその声でハッチがゆっくりと解放されていく。
その光景にメカニックチームのメンバーは驚いた。
自分達が試行錯誤しても開かないハッチが開いたのだ。
解放されたコックピットには誰も乗っていないはずだった。
「…」
コックピットの中には大柄のリュックと白いハロを抱えたマチュが座っていた。
CL環状6号線:地上出入り口
(何でマチュ来なかったんだろう?)
バイクは寮で保管されることになったのでジョンは公共交通機関で宇宙港へ向かうことになった。
少ない手荷物とハロ、シャリアから押し付けられたスケボーを抱えてジョンは地下に入ろうとした。
「何だ?」
ジョンは強大なプレッシャーを感じた。
何か危険な存在が近くにいる。
ジョンは周囲を見渡す。
『ジョン!!上ダ!!」
ハロの叫びでジョンは頭上を見た。
筒状のコロニーの中でジョンの頭上、都市部があるエリアにパープルカラーの「何か」が浮かんでいる。
まさかと思いジョンは端末を開いた。
『ただいま、電波障害が発生しているためネットワークが利用できません』
「ミノフスキー粒子だ」
パープルカラーの「何か」の中でドゥー・ムラサメはミノフスキー粒子の「匂い」を嗅ぎ取っていた。
『ドゥー?どうした?』
「ありがとう、サイコガンダム」
パープルカラーの「何か」ことサイコガンダムがドゥーに囁く。
サイコガンダムの光学カメラが自分達とは正反対の方向を映し出す。
カメラはズームアップしていき、そこにある光景を映し出す。
「見つけたよ、ストライク!!」
そこにはリュックとペットロボットを抱えた少年が映し出される。
少年はじっとサイコガンダムを睨みつけた。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ