暴走MS事件の時に温存され、軍警のMS特殊部隊とその機体のMS-06-SSPEXはサイコガンダムの攻撃を搔い潜り、何とか戦力を保っていた。
ラゴウチとアラガが無重力の空間を飛びながらサイコガンダムに再度攻撃を仕掛けようとした時だった。
「あ」
突然モニターが消えた。
それどころかMSが動かなくなった。
操縦を一切受け付けない。
アラガは一瞬の内にEMP攻撃を受けたと判断した。
「ラゴウチ!ザクが動かなくなった。EMPか!?」
当然無線機も死んでいるのは分かっているが、それでもアラガはマヴに問いかけてしまった。
落下の衝撃を身体で感じながらアラガは瞬時にコックピットのハッチを強制的に開放した。
非常時のために爆裂ボルトで開くようにハッチは出来ている。
脱出装備を構えてコックピットから飛び出したアラガは信じられない物を見た。
「なんだ?」
コロニーの中央部に光の翼が飛んでいる。
光の翼はまるでここが狭いと言わんばかりに翼を広げる。
ピンク色の翼が生き残った軍警のMS達を無残に破壊していく。
そんな光景にアラガは思わず見とれるしかなかった。
だが、アラガは感傷に浸っている場合ではなかった。
光の翼から目を反らし、自身のジェットパックを起動する。
無事にジェットパックが起動し、アラガは宙を飛んだ。
助かったアラガは愛機が無抵抗のままコロニーの大地に叩き落されていくのを見るしかなかった。
光の翼で撃墜されたパイロット達の中でアラガはまだ幸運な方だ。
大抵はそのまま機体ごと大地に落下して衝撃で死ぬか、光の翼のメガ粒子がコックピットにまで入ってきて身体がズタズタにされるかの最期を選ぶことになるからだ。
この光の翼でイズマコロニー内にメガ粒子がばら撒かれ、光の翼の周囲は悲惨な光景が広がることになった。
セカンドVは機能を停止して大地に落ちていくキケロガを静かに見送った。
シャリアが死ぬことはないだろう。
ただ、もうキケロガは戦えない。
セカンドVの大きなシールド、ミノフスキー・シールドは3基のシールドビットでシールドビームを形成し、その中でビーム兵器を発射してシールドビームを共振させることで光の翼が出来る。
ただし、光の翼が維持できるのはミノフスキー・シールドにビームの残留が残っている数秒間のみ。
それでもこの数秒間はセカンドVについて何も知らない者にとっては何も知らないまま死ぬしかない。
セカンドVはキシリアのいるホテルへと頭部を向けた。
ソドンとキケロガがよく分からないMSに落とされた。
ゲーツはビームライフルの銃口をキケロガからそれを落としたMSに向けた。
あれが話に聞くナガラ衆のMSか?
(勝てるわけないだろ!?)
あの戦いは普通じゃない。
ゲーツは断言できる。絶対に勝てない。
サイコガンダムなら何とか逃げれるかもしれないが、ハンブラビはダメだ。
それでも任務は放棄できない。
ゲーツはエコーズ側の連絡要員からのレーザー通信で内通者からキシリアを屋上に誘導したと連絡を受けた。
キシリアのいるホテルまであと少しだ。
『おっぱい…ストライク…おっぱい…』
(ムラサメ研はもっとまともなのを送ってくれよ…)
地球のムラサメ研に恨みを馳せながらゲーツはハンブラビをサイコガンダムに追随させる。
『光ノ翼ハ消エタナ』
「この世の物とは思えないな…」
ビル街の隙間から光の翼が消えていくのを見たジョンは呟いた。
あれがミノフスキー物理学の範疇の代物であるとはジョンにも分かったが、あまりにも異常すぎる。
光の翼の周囲にメガ粒子が散布されており、近くを通過すると電子機器を破壊してしまう。
ジョンはソドンとキケロガが沈められたをモニター越しで見た。
世話になった人々の顔が脳裏に浮かび、彼らを一方的にぶちのめしたあのMSへの怒りが静かにあった。
『ジョン、今ノ目的ハサイコガンダムヲ止メルコト…セカンドVヲ撃ツコトデハナイ』
ガンバレルストライカー(ハロ)はジョンの怒りを咎めるように言った。
「セカンドVというのか、あのMS」
『ソウダ、0153年ニ存在シタMSダ』
ジョンは聞き間違えたかと思った。
宇宙世紀0153年、つまり68年後からという話になる。
『歴史ハ常ニ繰リ返シテイル…セカンドVハ数アル宇宙世紀ノ一ツニ過ギナイ』
「さっきからよく分からないことばっかりだな」
今日一日でよく分からないことが1ダースくらいあってジョンの頭は混乱しそうだ。
確実に言えるのはコロニーを滅茶苦茶に破壊したセカンドVとそれを扱うナガラ衆、そしてサイコガンダムとその僚機はジョンの敵であるということだろう。
ガンバレルストライカーは高架橋の近くまでやってきた。
高架橋は通行止めになっているのか何も走っていない。
この場所にジョンは見覚えがあった。
『ジョン、久シブリダナ』
「君が僕のバイクを運転してきたのか」
『ソウダ、ジョンヲ迎エニ来タ』
タマキにグリフェプタンD+入りのコーヒーを飲まされそうになった場所であり、ジョンとハロが初めてあった場所だ。
『ソロソロサイコガンダムノセンサーニ引ッカカル。ジョン…』
ガンバレルストライカーはゆっくりと減速していく。
突然の減速に驚くジョンにガンバレルストライカー(ハロ)はモニターに後部カメラの光景を投影する。
後ろを必死で追いかけてきたジークアクスが失速したガンバレルストライカーの横に並び、その両手でガンバレルストライカーを掴んだ。
重いはずのガンバレルストライカーをがっしり掴むとジークアクスは高架橋の下へとなだれこんだ。
『戦イニ行ク前ニ君ノ恋人ト話ハ付ケテオケ』
自動的にキャノピーが解放され、ジョンは久々に肉眼で外を見た。
高架橋の下は先程の騒ぎが嘘のような静かさと薄暗さがある。
薄暗さに怖さはない。
今のジョンには程よい明るさだ。
コックピットから降りたジョンはガンバレルストライカーの機体の上からジークアクスを見た。
メンテナンス中だったあの時から修理は完了したようで動作には問題ないようだが、ジョンはなぜジークアクスがここにいるのかが分からなかった。
ジークアクスはソドンのMSなのだからわさわざ正体不明のMAを相手にするよりサイコガンダムの方に向かっているはずだ。
それにこのジークアクス、操縦がプロとは思えない。
そして先程のハロの発言。
先程から必死になって追いかけ、ガンバレルストライカーを絶対に離さないようにホールドしているこのMSのパイロット…
まさか、とジョンは思った。
「ジョーン!!!!!!」
ジークアクスのハッチが解放されてそこから赤髪の少女と白いハロが出てきてジョンは自分の「まさか」が的中したことを察した。
ガンバレルストライカーの機体の上で抱き合うジョンとマチュをジークアクスはツインアイで優しく見つめている。
『オイ』
ガンバレルストライカー(ハロ)はジークアクスに思念を送った。
『何ヲ考エテイル』
その思念に応えるように白いハロはガンバレルストライカーのコックピットに転がり込んだ。
コックピットに入った後に白いハロは小さくジャンプして姿勢を正す。
『マチュノ ネガイヲ カナエタダネダ』
『ジョンハコレカラ戦イニ行クンダゾ、何故アノ子ヲコックピットニ乗セタ?』
『マチュハ ジョント イッショニイタイ ダカラ ソドンニ マチュヲ ミチビイタ ジョンノ ガンダムニ ノセテ』
『マサカイズマ支部ノG3ニアノ子ヲ乗セタノカ!?ソドンニ密航サセルタメニ!?』
なんて馬鹿なことを…とガンバレルストライカー(ハロ)は嘆く。
『オトコノコハコノクライノホウガイイ』
『女ノ子ダロ、アノ子ハ』
『ムカシ イッタ コトバサ…』
『アノ子マデ戦場ニデタラタマキ達ハドウナルンダ!?』
『ジョンヲ タタカイニ イカセタイ ヨウダナ』
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ