イズマコロニーに侵入した時、シュウジが最初に見たのは赤いガンダムによるゼクノヴァだった。
その赤いガンダムがテロリストのMSと戦い始めた時、シュウジにはある確信があった。
(あのガンダム、ジョンが乗っている?いや、ジョンがなっている?)
赤いガンダムからはジョンの気配を感じる。
ジョンの気配こそ感じるが、コックピット以外からもジョンの気配を感じた。
ガンダムの全身がジョン、普段のジョンそのものを見ているような感覚がシュウジにはあった。
赤いガンダムが腰からナイフのような物を取り出してモノアイを潰した瞬間、シュウジは確信した。
「ジョンはガンダムになったんだ」
本来ならあり得ない話だ。
オカルトで膨れ上がったニュータイプの伝説以上にありえない。
だが意外にもシュウジには腑に落ちた。
どんな理屈であれジョンがガンダムになってテロリストと戦っていることには変わらないのだ。
ならば手助けをしよう。
それがシュウジの参戦理由だった。
ジョンとの連携は上手く進んだ。
ガンダム、ストライクという名前のガンダムになったジョンは背部に搭載された4基のガンバレル、ビットの一種を装備して戦いに臨んでいた。
ジョンが話すところによるとストライクにジェネレーターが搭載されておらずバッテリーで稼働しており、ストライカーパックと呼ばれる武器システムを活用して予備バッテリーの増設と武器を使えるようにしているらしい。
4基のガンバレルを武器とするストライカーパックはガンバレルストライカーと呼ばれ、ガンバレルストライカーだけでも戦える優れものらしい。
武器換装システム自体は研究が進められてきているので存在しても不思議ではない。
だが、バッテリーで動くMSというのはシュウジの知る知識ではありえない話だ。
地球連邦軍が一年戦争中に投入したRB-79は燃料電池で動いているのでバッテリー駆動するMSというのは前例がある。
だがRB-79は宇宙作業用のポットをベースに作った代物であって2足歩行するMSではRB-79に採用された燃料電池だけでは足りない。
考えれば考えるほどジョンとストライクは不思議な存在だとシュウジは思った。
だがそんなことはどうでもいい。
「ジョンならガンダムになっても不思議じゃない」
シュウジからジョンには側から見れば謎の信頼があった。
ハンブラビがドゥーの入ったコックピットブロックを抱えて地下の整備用トンネルに入っていくのを見てストライクは追おうとした。
命こそ助けたが、自分達の住むコロニーを破壊した行為をジョンは許すことができない。
コロニーを破壊する、という点ではアイランドイフィッシュのジオン軍と大差ないのだ。
そんなストライクの肩を赤いガンダムが叩く。
『おっちゃんが手を打ってるから大丈夫だよ』
シュウジがイズマコロニーに入る直前、おっちゃんからシュウジに対してレーザー通信があった。
もしもテロリストを逃すようなことがあっても深追いしないように、あとはこちらで何とかする、手短に送られたメッセージをシュウジは受け取っていた。
『それよりも、あのガンダムを何とかした方がいいんじゃない?ジョンの友達なんでしょ?』
赤いガンダムで宙に浮いたままのジークアクスをシュウジはマニュピレーターで指差した。
『ジークアクスに乗っているのはマチュだ』
ストライクと接触回線で話しているシュウジは少し驚いたような声を上げた。
『何で乗ってるの?』
『僕を追いかけてきたらしい…迎えに行ってくる』
『その…ジークアクス、連れてきてね。このままだと面倒なことになると思う』
『分かった』
ストライクはガンバレルのバーニアを吹かして大ジャンプ、そしてそのまま飛行を続けた。
スペースコロニーだから出来る芸当だ。
少しの時間をかけてストライクは上昇していき、やがてジークアクスへと触れる。
『マチュ、帰ろう。マチュ?』
接触回線でストライクはジークアクスの中にいるマチュに語りかける。
だが、返事がない。
ストライクの中にいるジョンは疑問に思っていた。
普段のマチュの行動を見るとサイコガンダムとの戦闘にマチュも割って入ってきそうなのに今回は何もせずに宙に浮いたままだ。
ジョンも戦闘ということもあってジークアクスのフォローにまでは回りきれなかった。
ジークアクス自体はサイコガンダムからのダメージを受けていない。
ビーム兵器や装甲をビットのように飛ばしてくる相手なので流れ弾が飛んで行かないかジョンは心配だったが、近くでジークアクスを見て安堵した。
『…ジョン?』
マチュからの返答があった。
その声が少し枯れているのがジョンには気がかりだ。
マチュが泣いている。
『あぁ、訳あって今このガンダムに乗っているんだ。ごめんね、怖かったでしょ』
マチュに一から説明すると長くなる。
とりあえず自分が乗っているという体でジョンは話を進めた。
実態としては乗ってるどころか一体になっている。
ジョンはマチュが戦闘に怯えて泣いたのだとジョンは一瞬思ったが、すぐに違うと分かった。
ジョンの本能がそれを訴えたのもある。
実感したのはジョンの言葉の直後、ジークアクスがストライクを抱きしめたからだ。
最新鋭MSによるハグの洗礼をストライクは受ける。
『ジョン…』
サイコミュの力でジークアクスはマチュの思い通りに動く。
よってこの行為もマチュの感情からくる物だろう。
愛情表現でMS同士で抱きつく例をジョンは知らない。
だが、このジークアクスのハグからは愛よりもドロドロした感情をジョンは感じた。
本来なら装甲の肌触りしかないはずのジークアクスからマチュの体温をジョンは感じた。
ジョンはジークアクスから温もりを感じた。
『絶対に逃さない…』
マチュの枯れた声で放たれたその言葉は温もりというにはどこか湿っていた。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ