イズマコロニーで行われた戦いの一部始終をシャリアは大破して座礁したキケロガの上から眺めていた。
シャリアが生き残れたのは殆ど奇跡に近い。
キケロガの分厚い装甲のおかげで光の翼のメガ粒子がコックピットまで破壊してくることは無かったのと電子機器が殆ど破壊されてもパイロット保護用の救命装置が機能していたのでコロニーの大地に叩きつけられてもその衝撃を和らげることが出来た。
墜落した場所も避難が完了した市街地、それもキケロガが丸ごと着陸できるくらいの広さも相まって死傷者や周囲への被害も何とか抑えられた。
それでもシャリアの全身にはゴムなしバンジージャンプをしたような衝撃が残っている上にキケロガには機密情報が多分に含まれているため、シャリアはこの場を動けずにいた。
キケロガの無線機は完全に破壊されているので通信はできない。
ノーマルスーツに内蔵されている簡易型のミノフスキー粒子測定器は散布濃度の低下を示しているので近いうちに通信は可能になるだろう。
近いうちに助けは来る。
今は動けないが、それが定めだ。
定めを利用してシャリアはガンダム達の戦いをじっくりと見ていた。
(大佐ではない…)
以前、ソドンに突入してきたシャアの赤いガンダムと今回のパイロットは同一人物だろう。
シャア・アズナブルの戦い方ではない。
恐らくあの赤いガンダムの今について知っている人物をシャリアは知っているが、それは後で本人に聞けばいい。
問題なのはもう1機の赤いガンダムだ。
「やっぱり現れましたか、もう1機の赤いガンダム」
どこからともなく現れたシャアの赤いガンダムと共に見事なM.A.Vを披露した赤いガンダム、それはシャリアが探しているシャアのガンダムとは違う、もう1機のガンダムで間違いなかった。
その赤いガンダムは自分に抱きついてきたジークアクスの頭部を撫でながら下へと降りていく。
まるで恋人に接するような態度だ。
シャリアはあのジークアクスを見て一瞬で分かった。
乗っているのはアマテ・ユズリハだ。
しかもオメガサイコミュまで起動している。
ソドンクルーが素人をジークアクスに乗せるなんてありえない。
恐らくマチュが自発的、悪い言い方なら盗むような形で乗り込んだのだろう。
普通の女学生ならやらないが、マチュならやりかねない。
しかもこんな事をやりかねない理由にシャリアは心当たりがある。
「ジョン君ですね、アマテさん」
恐らくあの赤いガンダムにはジョンが乗っている。
シャリアにはそういう確信があった。
もう1機の赤いガンダムのパイロットはジョンだ。
一年戦争でシャリア達が目撃した赤いガンダムとゼクノヴァの中から現れた赤いガンダムは同一個体で間違いない。
(あの時は羽がありましたが、今回はビットか)
シャリアの記憶の中にある赤いガンダムには背部に羽のような装備があった。
ジークアクスに抱き締められたままもう1機の赤いガンダムはシャアの赤いガンダムに誘導されるように街の中へと消えていく。
ミノフスキー粒子が残留している内にイズマコロニーから出ていくのだろう。
地下の整備用トンネルを通って宇宙に出れさえすれば、そこから船でもあればすぐに出られる。
それを追いかける勢力もいない。
軍警が別コロニーから応援を呼ぼうにもその頃にはすでにロストしている。
ボロボロになったソドンとジークアクスの処置をどうするかシャリアは頭を抱えつつ、シャリアは見えなくなっていくジークアクス、その中に乗っているだろうマチュに聞こえはしないだろうが語りかける。
「ジョン君は向こう側からやってきた人間かもしれません。彼が向こう側に帰るようなことがあれば、あなたはどうするんですか?」
あの赤いガンダムとシャロンの薔薇は向こう側の同郷から来たかもしれない。
あるいはシャリアの想像の域を超えた世界からやってきた存在かもしれない。
マチュはそんな人間に恋をしたのだ。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ