ジョン君に好意を持つ過程、再会した後の動向をもっと丁寧に向き合うべきでした。
少なくともお好み焼き名人を出してる場合では無いです。
キシリア・ザビ暗殺計画は失敗に終わった。
エコーズの連絡要員達はその顛末を見届けた後、このような場合に備えたプランに移行した。
イズマコロニーからの脱出、そのためにアジトから地下の整備用トンネルに隠していたMSで宇宙に飛び出して待機しているシャトルと合流する手筈になっている。
脱出したサイコガンダムとハンブラビのパイロットも今頃地下トンネルを移動している頃合いだ。
光の翼を持ったMSにゼクノヴァと赤いガンダム2機の介入、蒼いMSというイレギュラーがあったとはいえ暗殺に失敗した彼女らに連絡要員達は
「失敗しやがって…」
と思うところがあっても口には出さなかった。
そもそも自分達だけで暗殺できるはずだったのに何故か返り討ちにされてしまったのだ。
暗殺部隊に装着させたウェアラブルカメラ越し、そこには2人の男女によって嬲り殺しにされる仲間達の光景と全員のバイタル信号が停止したという事実しか無かった。
(このコロニーは魔境か?)
暗殺計画に参加したエコーズの全員は地球連邦軍から存在すら消されてただのテロリストとして戦いに臨んだ。
ただのテロリストに成り下がっても任務にだけは誠実でいたかった。
一年戦争の前後の後ろめたい作戦に参加してきた彼らだったが、今回の件はあまりにも異常だ。
ナガラ衆という謎のテロリストについて今回の暗殺計画を進めてきた地球連邦軍の一派は彼らについて何も知らなかった。
光の翼を持ったMSと蒼いMS、その所属がナガラ衆にあるのだとしたら今回の失敗はその点にあるだろう。
暗殺計画が失敗したとしてもその情報を連絡要員の彼らは地球に持って帰らなければならない。それも任務だからだ。
それでも彼らは言いたかった。
彼らの中の一人が呟いた。
「ナガラ衆ってなんなんだよ…」
全員の心情の代弁でもあった。
『知りたいか?』
マンホールタイプの地下の整備用トンネルに入る出入り口の前に立った連絡要員達の後ろからスピーカー越しで声が響いた。
振り返るとそこには見たこともないMSが立っていた。
どことなくガンダムに似ている。
連絡要員達が行動を起こす前にガンダムに似たMSは頭部の横にあるバルカンポッドを彼等に向けて発砲した。
バルカンの轟音と共に放たれる弾丸が生き残った彼等を血飛沫に変えていく。
僅か数秒の掃射でそこに生きている者はいなくなってしまった。
『王子は目覚めた。後は棺の王子だ。どちらかが勝ち、イオグマヌッソを地球に放つ。そうすれば…』
イズマコロニー宙域で待機しているシャトルのクルーは予定時間ギリギリになっても来ない仲間達のことを気にかけ始めていた。
時間を破ってでも待つべきかとキャプテンが思った瞬間、シャトルが爆散した。
『自分達は死ぬ』
爆散する直前の僅かな時間の中、彼等がそう認識するのと同時の爆発だった。
何が起こったのかも分からずに彼等は死んでいった。
シャトルに引導を渡したメモリースティック女はシャトルに向けていたビームライフルを降ろした。
『ごめんなさいね、あなた達が生きていると王子達の周囲が脅かされる。あなた達はイズマで全員死んでもらうわ』
キシリアのホテルに突入した暗殺部隊、連絡要員達、シャトルクルーはナガラ衆によって全滅した。
その死にナガラ衆が関わっているとはキシリア暗殺計画を企てた者達は誰も知らない。
ボロボロになったハンブラビは地下隔壁通路を走り続ける。
シャトルとの合流時間はとっくに過ぎた。
それでもゲーツはハンブラビを走らせ続ける。
コックピットブロックの中にいるドゥーに問いかけてもずっと生返事だ。
『悔しいなぁキラキラ、一緒に見たかったなぁ、何で赤いのと組むのさ、キラキラの時みたいに羽を生やしてよストライク』
さっきからずっとこんな感じだ。
軍人としてのドゥーは自爆できずにあそこで思考が止まったのだろう。
私人としてのドゥーはストライクを求めている。軍人としてもストライクを求めていたので大して変わらないかも知らない。
ハンブラビは通路の先にあるエアロックの前に辿り着いた。
予定通りの脱出ルートのエアロックだ。
ここまで来れば何とかなる。
ゲーツはハンブラビの両腕に外付けしていたエアロックの電磁キー、その片方をエアロックのリーダーにかざした。
エアロックが解放されていく。
「ドゥー、さぁ行くぞ」
『うん』
ドゥーの返事に安心しながらもゲーツは自分が発した言葉に対してどこに行くんだと思った。
暗殺は失敗、あらゆる罵詈雑言を受けるのは当然としても地球に帰ったら消されるのは違いない。
それでも簡単に死ぬのはゲーツは嫌だった。
開かれていく円状のエアロックが宇宙の光景をゲーツに見せる。
早く出なければイズマ支部にエアロックの開閉が感知される。
そうすれば追手は自分達の逃走ルートを割り出してくるはずだ。
ハンブラビが宇宙に向かって歩き出す。
宇宙空間に放たれたハンブラビを見送るようにエアロックが閉鎖される。
予備カメラで閉鎖を確認するとゲーツはハンブラビをシャトルと合流する宙域に向けて移動させようとした。
『久しぶりやな、ゲーツ君』
背筋が凍るような衝撃がゲーツに走った。
聞こえるはずの声がコックピットに響き渡る。
ストライクとの戦闘でセンサーが殆ど死んでいるのでこれまでゲーツは気付かなかった。
ハンブラビの真後ろに1機のMSが陣取っていた。
そのMSはビームサーベルを抜いており柄部をハンブラビのコックピットに突き付けている。
いつでもお前を焼けるぞ、という脅しを暗にゲーツは突きつけられていた。
カメラに映し出されたMSはV字アンテナの下にあるバイザーから4つの目を覗かせている。
このMSとその声にゲーツは覚えがあった。
「軍を辞められたのではないんですか?」
『どうやろな、ゲーツ君は出世したんかい?』
「…中尉です」
『おぉ、将校になったんやな。えらい出世したもんや』
声の主ははぐらかす。
『ずいぶんド派手なことをしてくれたなぁ、一体何人死んだことやら』
値踏みするような声だ。
『こんな計画を立てたのはどうせバス君やろ』
「…バスク少佐をご存知なんですか?」
『当たり前や。ハンブラビはオーガスタ研、サイコガンダムはムラサメ研、使える戦力は出したってとこやな、バス君』
ゲーツは背後のMSとそのパイロットに完全に手玉に取られている。
その様子を聞いていたドゥーは少し興味を持った。
『誰?』
『サイコガンダムのパイロットやな。ゲーツ君の同僚かいな』
『誰?』
『ゲーツ君の同僚、君は生きたいか?』
ハンブラビの背後から少し顔を出したMSは頭部バルカンのロックオンをドゥーのコックピットに当てた。
『生きたい…生きてストライクにリベンジするんだ』
『そうかい』
少しの沈黙が続く。
『君達には来てもらうで』
そういうとコックピットに当てていた柄部が離れる。
ビームの刀身を展開するとそのままハンブラビの残ったビームライフルを切り裂いた。
『話はケルゲレンでたっぷり聞かせてもらうで』
ゲーツとドゥーはその声に従うしか道が無かった。
掘り下げが足りないと感じる主要人物
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ジョン・マフティー・マティックス
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アマテ・ユズリハ(マチュ)
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ニャアン
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シュウジ・イトウ
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シャリア・ブル
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シロウズ
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サンライズカネバン社長
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シイコ・スガイ