天才冒険者リオの英雄譚 童貞・処女しか入れないダンジョンを攻略せよ! 作:ナオ3
仲間としての時間を少しずつ積み重ね、〈暁の剣〉はパーティーとしての形を整えつつあった。
依頼の数も増え、名も少しずつ知られ始めた。
一見、順風満帆に見える日々――だが、それでもゼイン・クロウは、どこかに影を抱えていた。
その夜、彼は宿の一室で静かに座り、窓の外を見つめていた。
街灯の明かりと月の光が、かすかに床を照らしている。
その中で、ゼインの指先が、無意識に剣の柄をなぞっていた。
(……俺は、何のためにここにいるんだ)
思えば、ここまで来られたのは、リオの存在が大きい。
パーティーの創設者であり、スカウト役であり、リーダーでもあり、そして――剣の腕前も、自分より上。
リオは強い。何もかもをそつなくこなす天才だ。
それに比べて自分は――剣しかない。
ガルドのように肉体で壁になれるわけでもなく、
レイナのように戦況を変える魔法が使えるわけでもない。
ミリアのように回復術で皆を支える力もない。
(……剣技なら、自信はある。リオを除けば、パーティー内で俺が一番だ。だけど……それだけで、足りるのか?)
答えの出ない問いが、胸の内で渦を巻く。
その時だった。ノックの音が、静寂を破った。
「ゼイン、いる?」
扉の向こうから聞こえた声に、ゼインは驚きつつも、返事をした。
「……ああ。入っていいぞ」
そっと扉が開き、ミリアが顔をのぞかせる。
手には小さなカップ。ハーブティーの香りが、ふわりと漂った。
「……なんだ?」
「……ちょっとだけ、顔を見に来ただけ。最近、ちょっと辛そうだったから」
ミリアはためらいがちに言い、空いた椅子に腰を下ろした。
湯気を立てるカップをゼインに手渡すと、自分もひと口すすいだ。
「悩み……あるなら、話して欲しい。無理にとは言わないけど」
ゼインは、カップを見つめたまま、しばらく黙っていた。
だが、ミリアの視線に押されるように、ぽつりと口を開く。
「……お前は、俺の役割って、何だと思う?」
「え?」
「ガルドは壁だ。レイナは火力。お前は唯一の回復役。そしてリオは……全部。リーダー、スカウト、そして……俺よりも強い」
「……俺は、剣しかない。ただ、それだけ」
「もし剣を振れなくなったら、俺は何も残らない。代わりの効かない“役割”が、俺にはないんだ」
ミリアは、目を丸くしてゼインを見た。
「……ゼイン」
「お前は、“治癒術”ができる。それだけでもう、必要とされてる」
「私は……それだけ、だよ?」
ミリアは微笑んだ。けれど、それは少し寂しげな笑みだった。
「私は、ゼインみたいに動けない。戦闘中は、守ってもらってばかり。……ほんとは、すごく悔しいんだよ?」
「だからね。羨ましい。ゼインのこと。前に出て、誰かを守れる人って、本当にすごいと思う」
ゼインは、驚いたようにミリアを見る。
「……俺も、同じことを思ってた。唯一の治癒師って、すごいって」
「でも……ミリアも、自分に不安を感じてるんだな」
ミリアは頷いた。
「うん。支えたいって思うのに、自分が支えられてばっかりだと、時々、自分の存在って何なんだろうって、考えちゃう」
沈黙が流れる。
だが、それはもう、居心地の悪い沈黙ではなかった。
どちらからともなく、ふっと笑いが漏れる。
「変だね、私たち」
「……ああ、まったくだ」
「お互い、ないものばっかり、羨ましがってさ」
「でも、なんか……ちょっと、気が楽になったよ」
ゼインは、肩の力を抜いて、空のカップをテーブルに置いた。
「俺もだ」
ふたりは、しばらく笑っていた。
言葉にしなくても、どこか通じ合った感覚があった。
「……ありがとう、ミリア」
「こちらこそ」
夜風が窓をかすかに揺らした。
その音すらも心地よく、ふたりの胸を静かに撫でていく。
ゼインとミリアの笑いが落ち着いた頃、ふとミリアがぽつりと呟いた。
「……ねえ、ゼイン。リオって、本当にすごいよね」
「……ああ」
即答だった。異論の余地もなかった。
「小さいときからそうだった。本当に、出来ないことを探す方が難しいくらいでさ。頭もいいし、剣も強いし、人付き合いもうまいし……」
ミリアは、少しだけ寂しそうに笑った。
「いつも私たちのために頑張ってくれてる。……だから、リオのために何かしたいなって、思うんだけど」
「……出来ることが、ないの」
ゼインは口を開きかけて、言葉に詰まった。
(そんなことはない)――そう言いたい。
だけど、それを言い切れる言葉が見つからない。
“ない”と本人が言い切ってしまった気持ちを、どう慰めたらいいか分からなかった。
そんなゼインの様子を見て、ミリアがふっと微笑んだ。
「……ふふ。ゼインの悩みを聞くつもりだったのに、愚痴みたいになっちゃったね」
ゼインは静かに首を横に振る。
「……いいんだ。俺と似た悩みを持つ者がいる。……それだけで、救われてる」
「……私も!」
ミリアが勢いよく答える。
そこにあったのは、悲しみでも卑屈でもなかった。
ただ、同じ“もどかしさ”を持つ者同士の、温かな共感だった。
その後、ふたりはしばらくリオの話で盛り上がった。
「あのときもリオが――」
「でしょ!? あれ、ほんと意味わかんなかったよね」
「あいつ、さらっとやるから余計にタチ悪いよな……」
「なのに全然偉そうじゃないの、もうズルいよね」
語れば語るほど、リオという存在が自分たちにとってどれだけ特別だったかを思い知る。
それは悔しさでもあったけれど、同時に誇りでもあった。
気づけば、肩にのしかかっていた何かが、少しだけ軽くなっていた。
部屋の空気も、やわらかくなっていた。
夜はまだ深く、街は静かだったけれど――
ふたりの胸の中には、ちいさな灯がともっていた。
ミリアがゼインの部屋を後にして、静かに歩を進める。
廊下の先、もうひとつの部屋――その扉の向こうに、彼がいた。
ミリアはそっと扉を開けた。
その先にいたのは、やはりリオだった。
ランプの灯りに照らされながら、ベッドの端に腰かけている。
彼はミリアの姿を見て、ふっと目を細めた。
「どうだった?」
その一言に、彼の心がどれだけ張りつめていたかが伝わる。
ミリアは微笑んで、うなずいた。
「ちゃんと、話してくれたよ。ゼイン、打ち明けてくれた」
その瞬間、リオの口から長い息が漏れた。
まるで張っていた糸がようやくほどけたように。
「……そっか」
そして二人、同時に――小さく、ため息をついた。
笑ってしまうほど息が合っていて、ミリアがくすりと笑う。
「ありがとう、ミリア」
リオの声には、素直な感謝が込められていた。
ミリアは、どこか照れくさそうに肩をすくめる。
「ううん。私も、言いたいこと言えたから……なんだか、スッキリした」
「突然、こんなことを頼んで……すまなかったな」
リオが、どこか申し訳なさそうに視線を落とす。
ミリアはすぐに首を横に振った。
「いいよ。ゼインは仲間だよ。助けになりたいって、思うもん」
その言葉に、リオは柔らかく微笑んだ。
「助かる」
けれど、その言葉のあと、ミリアの表情がふと陰った。
「……でも、ゼインの悩みに気づいたのは、リオでしょ?」
「私は……気づけなかった」
自分でも気づかぬうちに落ちていった声に、悔しさがにじんでいた。
そんなミリアに、リオはいつもの軽い調子で肩をすくめて見せる。
「俺はリーダーだからな。そりゃあ、みんなのことはよく見てるさ」
ほんの少しだけ、おどけたように。
けれど、その直後――リオの表情が引き締まる。
「ゼインは、まだ“進むべき道”が見えていないだけなんだ」
ミリアは目を見開く。
リオはまっすぐ彼女を見つめながら、言葉を続けた。
「だから、俺はそれを……探してみる」
「ゼインのこと、頼む。ミリア――これは、お前にしか頼めないんだ」
「……私にしか?」
リオは、ゆっくりとうなずく。
「迷いながらも、懸命に前に進もうとしてるミリアの言葉なら、ゼインに届くと思うんだ」
「“弱さ”を知ってるお前なら――体だけじゃなくて、心も支えられる。絶対に」
それは、飾らない本音だった。
自分では届かない場所に、ミリアの言葉なら届くと、そう信じている表情だった。
けれどその直後、リオの目元にかすかな悔しさがにじむ
「……俺には、ゼインの苦しみを取り除くことができない」
ぽつりと、漏れるように。
「……皮肉なもんだよな。あいつの“悩みの原因”で、“理解できない”のが俺だってんだからさ」
そう言って、リオはわずかに皮肉げに笑った。
それは、万能であるがゆえに“弱さ”を理解できないリーダーの孤独の笑みだった。
その顔を見た瞬間、ミリアの中にじわりと熱いものが広がった。
リーダーで、万能で、誰よりも強い“英雄”のような人。
自分には手の届かない存在だと思っていたその人が――今、こうして自分に助けを求めている。
頼られている。
その事実が、ミリアの心に灯をともした。
「……任せて、リオ」
声が少しだけ震えていた。
けれど、迷いはなかった。
自分が“役に立てる”と思える瞬間が、こんなにも温かいなんて。
リオは微笑んで、静かに告げる。
「……頼む、ミリア」
その一言は、たった一人の仲間に向けた――深い信頼の証だった。
ミリアは、英雄に“信じてもらえた”ことを誇りに思いながら、心の奥で静かに決意を固めていた。
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ミリアが部屋を出て、廊下の足音が遠ざかった直後。
ベッドに腰かけたリオが、ひとつ息を吐いたそのときだった。
――カチャ。扉の影が揺れる。
「……大丈夫そうか?」
こそこそと入ってきたのは、ガルドだった。
その後ろからレイナも、いつもより控えめな足取りで続く。
「……隠れてたのか、お前ら」
「ま、気になってな」
「タイミング、計ってたわけじゃないのよ? たまたま、ドアの向こうで壁と一体化してただけで」
「それは隠れてたって言うんじゃ……」
リオはあきれたように笑いながら、頭を軽く振る。
「……ああ、ミリアがやってくれたよ」
リオが答えると、ガルドは「そっか」と安堵し、レイナは自信満々に言い放った。
「当然でしょ。ミリアなら絶対やれると思ってた」
自然と三人に笑みが広がる。緊張が抜けた分、空気もやわらかくなっていた。
「ゼインのことは……ミリアに任せてほしい」
リオが言葉を選びながら続けた。
「ガルドとレイナは、今まで通りでいい。変に気を遣うより、それが一番だ」
「俺は……ゼインにしかできないことを考えてみる。幸い、心当たりもあるしな」
ガルドは豪快に頷いた。
「おう、さり気なく、カッコよく支えてやるぜ!」
「……調子にのんな」
レイナのツッコミが入るのは、いつものことだ。
だが、次の瞬間。レイナの表情がふと曇った。
「それで……リオ」
「ん?」
「……いいの? 本当に」
「いいの、とは?」
リオが首をかしげる。
レイナは言いよどみながらも、つい口にした。
「いや、だから……ミリアのこと。ゼインと……その……」
一瞬、部屋の空気が静まった。
レイナは言葉を選びながらも、どこか不安げな表情を見せた。
リオは少し考えてから、落ち着いた声で答える。
「この件は、ミリアが最適だと思ったんだ」
その声には、どこか悲しみがにじんでいた。
「ミリアだって、俺に対してはきっと……複雑な思いがあるだろ?」
「だから、同じように“悩みを抱える者”同士なら、心の奥まで打ち明け合えると、そう踏んだ」
レイナは口を結んだまま、目を逸らした。
だが、リオは言葉を続けた。
「それに……ゼインもだが、それ以上に、ミリアが危うい」
「……危うい?」
「ゼイン以上に“役割”を意識してる。何かできないかって、焦ってる。自分に価値を見出せなくて、必死に立場を作ろうとしてる」
そこで、リオは少しだけ誇らしげに笑った。
「だから、ゼインの悩みを聞いてもらうようにしたんだ。助けるべき相手がいるなら、強くなれる。――そういう娘だよ、ミリアは」
その言葉は、確信に満ちていた。
仲間として、リーダーとして、そして――誰よりも彼女を見てきた者としての言葉だった。
レイナの目が揺れる。
「ええ……ええ、間違ってないわよ。何一つ、ね」
だがその口調は、いつもの軽快なものとは違っていた。どこか引っかかる、重さを帯びていた。
それに気づいたのか、リオが不思議そうにレイナを見た。
「レイナ? なんか変だぞ」
「べっ、別にっ」
レイナは少し慌ててそっぽを向いた。
すると、ガルドがすかさず口を挟んで場を流す。
「おいおい、レイナ、何悩んでんだ。ミリアなら大丈夫だって!」
それは、まるで強引なまでの明るさ。
だがその裏では、リオの視線をかわすように、ガルドはそっとレイナに目配せしていた。
(※やめとけ)
リオだけが「?」マークを浮かべたまま見守る中、ガルドが立ち上がった。
レイナは、呆れたようにガルドを睨んだあと、小さく頷いた。
「……ふう。もう、何もかも面倒くさいわ」
「……さーて、話も済んだし、腹が減ってきたなぁ!」
と、唐突に話題転換。
「リオ、飯持ってきてやるから待ってろ!」
「あ、ありがとう?」
「レイナ、手伝え!」
「ええ……もう……」
重いため息と共に立ち上がるレイナ。
部屋を出る直前、レイナはふとリオに振り返った。
「……あんた、ほんと、罪な男よ」
「え?」
「なんでもない!」
バタン、と扉が閉じられる。
ふたりは揃って部屋を出ていった。
――残されたリオだけが、最後まで何が起きていたのか分からないまま、首をかしげていた。
その扉の向こうで、何か言い争うような、同時に溜息まじりの声が小さく響いた。
リオは一人、残された部屋で、首をかしげたまま呟いた。
「……なんか、俺、変なこと言ったか?」
完全に“自分のこと”を抜かして、誰かのことばかりを想って動くリーダー。
それが、リオ・ハートフィールドという男だった。
台所の扉が閉まった瞬間だった。
「「……どうしよう……」」
レイナとガルド、見事なまでのシンクロで頭を抱える。
ぐつぐつと煮える鍋の音だけが、無情にも部屋に響く。
ガルドが背中を丸めてボソリと呟く。
「……リオがミリア好きなの、俺たち知ってるよな」
言葉は控えめだが、その実、深刻な問いかけだった。
レイナは包丁をタマネギに当てたまま、軽く鼻で笑う。
「ええ、知ってる。リオがミリア一筋なの、あれはもう様式美よ」
目を細めて、思い出すのはついさっきのリオの顔。
「で、そのリオが、“ゼインのこと頼む”って、ミリアに……」
「真顔でね?」
「“これはお前にしか頼めない”って、言ってたよな」
「言ってたわよ!! ド正面から“お願い”してたわよ!!」
レイナの声に合わせて、包丁の動きが荒ぶる。
刻まれるタマネギが犠牲者みたいだ。
沈黙――鍋の泡がはじける音だけ。
数十秒、時間が流れる。
レイナが再び口を開く。
「ねぇガルド、私さ……あの時のリオの顔、忘れられないのよ」
レイナはふと手を止めて遠くを見た。
ガルドは鍋をかき混ぜながら同意する。
あの時、リオの瞳はまるで湖面のように濁りがなく、むしろ怖さすら感じた。
「おう……すげぇ、澄んでたよな」
「透き通りすぎてて怖かったわよ!? “恋”の濁りゼロだったのよ!? どうなってんのよあの子の恋愛回路!!」
「ミリアのこと大好きなのに……」
「なのに“ミリアはゼインを支えられる”って確信持ってて、自分の気持ちは完全に“置いてけぼり”!!」
包丁の動きが止まり、レイナは鍋の蒸気にぼんやり顔を向ける。
「何あの献身バカ……自爆スイッチ連打してるの自分だって気づいてないじゃん」
レイナの声がわずかに上ずる。
「しかもさ、“ミリアにしかできない”って、わざわざ役割設計までしてるのよ? 自爆すら構造的。もう才能でしょこれ」
「うん、恋愛的には逆方面の天才だ……」
ガルドが遠い目で言う。
「関心通り越して尊敬するレベルだな……」
レイナはタマネギを刻む手を止めて、深く溜息をついた。
「でも、ゼインの悩みにミリアが合うってのは、確かに正しいんだよな」
「あのふたり、根が似てるからね」
レイナは包丁をトントン、と音を立てながら言う。
「ゼインは“自分は代わりが効く存在”って思ってて」
「ミリアは“治癒しかできない”って、自分をずっと責めてる」
「正反対に見えて、自己評価は同じくらい低いのよ。黙って自分を削ってくタイプ」
ガルドが鍋をかき混ぜながら、しみじみ頷いた。
「俺たち、わりと図太くてマイペースだもんな……」
その分析に、しばし二人とも黙り込む。
鍋のぐつぐつ音が、静寂を埋めていた。
「で、リオは――それにちゃんと気づいてる」
「観察眼も分析力も完璧よ。……なのに、恋愛だけ、なぜああもポンコツなのか」
「“君にしか頼めない”って、いやそれもう告白でしょ。違うベクトルでの」
「もはや“他の男に恋人紹介してる”ようなもんよ!? ゼインにミリア届けちゃってるじゃないの!!」
レイナは、ざくっ!とキャベツを力任せに切り裂く。
ガルドは思わず身を引いた。
「何が“ミリア、君にしか頼めない”よ!! バカ! アホ! 超!鈍感!!」
レイナが、更にキャベツを切り裂く。
「ほんと、誰が得するのあれ……。見てるこっちはもう胃が痛いわよ……」
「ゼインとミリアがくっつく未来、もう見えてんだよな……」
「見えるどころか、もはや“ルート分岐済み”よ」
レイナは包丁を置いて、ぽつりと呟いた。
「ゼインとミリアがくっつく未来、もう見えちゃってるじゃない」
「ミリアのあの表情見たろ? 完全にスイッチ入ってたぞ。“私がゼインを支えるんだ”って顔してたろ」
「しかもゼインはゼインで、“唯一ミリアだけが俺の弱さを知ってる”って思い始めたら、そりゃ――」
「惚れるしかねぇ……」
「終わったわ……うちのリーダー、完全に恋が始まる前に終わったわ……」
ふたりは鍋の前で、しばし無言で遠くを見つめた。
レイナは包丁を置き、静かに手を合わせた。
「リオ。あなたの恋は……自らの手で、葬られようとしているわ……」
ガルドが鍋の蓋を閉じ、しみじみと言った。
「……せめて、メシだけはうまく作ってやろうぜ」
「……うん。それくらいしか、今の私たちにできることはないね……」
ふたりは、哀しき恋の観察者として、沈黙の中で味見を始めた。
リオ君渾身のオウンゴール・ハットトリックが決まったあああああ!!!!!
もちろん、これが失恋の原因だと全く気付いていない!
これほど恋愛IQが低い主人公は他に居るのだろうか?
補足
これでゼインとミリアの闇落ちフラグカット、恋愛フラグピコーン!