天才冒険者リオの英雄譚 童貞・処女しか入れないダンジョンを攻略せよ!   作:ナオ3

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人妻、出陣します


アンナ 復活の母ちゃん

夜の静寂の中、私は目を覚ました。

身体を起こして、ゆっくりと深呼吸する。

本当に、自分が蘇ったのだという実感が胸にこみ上げてくる。

もう寝台にしがみついて過ごす毎日ではない。

私は、生き返った――もう一度、“アンナ”として歩き出せる。

 

静かに身支度を始める。

着るのは地味なズボンとシャツ。派手さもなければ、女らしい装飾もない。

革製の軽鎧を纏い、手袋もブーツも頑丈で無骨。

腰には愛用の細剣を差す。

この格好こそ、かつてレオネルと並んで稽古した時と同じだった。

 

鏡に映る自分は、世間の“淑女”のイメージからは程遠い。

でも、不思議と心が高鳴る。

これが私らしい姿――ずっと憧れて、寝込んでいる間も未練から手放せなかった装備だ。

 

寝込んでから手入れなどできなかったはずなのに、鎧も剣も手袋も――どれも綺麗だ。

 

 

(ありがとう、お父さん、お母さん)

 

 

私は両親が優しく微笑みながら装備を手渡してくれた日のことを思い出す。

たとえどれほど長く寝込んでいても、私の“再起”のために、両親はずっと手を掛けてくれていたのだ。

その温かさが、今も装備に宿っている気がする。

騎士として与えられた豪華な甲冑や高品質な剣より、

この装備のほうがずっと、私の「力」になった。

 

姿見に全身を映してみる。

 

 

(ああ、これが私だ。私らしさだ!)

 

 

そう心の中で叫んだ瞬間、久々に本当の自分を取り戻した気がした。

伸びていた髪も、ナイフでばっさり肩にかかる程度まで切った。

鏡の中の自分は――昔と変わらない、“戦う女”アンナだった。

 

 

「さあ、行くわよ、レオネル」

 

 

部屋の隅でずっと身支度を見守っていたレオネルが、言葉を失ったように私を見つめていた。

その瞳に涙が浮かんでいるのを見て、私も胸がいっぱいになる。

 

 

「……その姿をまた見ることが出来るなんて……」

 

 

言葉を絞り出すレオネルの顔は、あの優しさと強さがそのまま滲み出ている。

 

 

「アンナ、もう少し休んでから……」

 

 

私はすぐに首を横に振った。

 

 

「事情は全然知らないけど、一大事なのは間違いないわ。王国は絶対に守らないといけない。王国以外に私たちの安住の地は無い、そうでしょ、レオネル?」

 

 

その瞬間、レオネルの表情が強い嫌悪で歪む。

普段は優しくて温和な彼が、こんな顔をするのは、

王国以外の汚物としか言いようがない国々―

 

 

(王国以外の国――あんなもの、どこも“安住の地”になんてなり得ない)

 

 

セラフィア聖国の偽善。

べルドリア共和国の悪意。

ガルザーク連邦の暴力。

アーカディア学術都市の外道。

 

レオネルと私は、身をもって知っている。

私は微笑みながら、レオネルに優しく言う。

 

 

「無茶はしないわ。もう倒れるのは御免よ」

 

 

レオネルは困ったような、けれどどこか諦めたような表情で言った。

 

 

「わかったよ。君を言い負かせたこと、僕には一度も無いし……」

 

 

私は悪戯っぽい顔で指を立てる。

 

 

「惚れた弱みってやつね!」

 

 

レオネルはため息をつきながら、でも本当に幸せそうな顔で答える。

 

 

「そうだよ」

 

ふと視線を感じて振り返ると、廊下の端に両親が立っていた。

ずっと私たちのことを見守ってくれている。

 

私は背筋を伸ばして、元気よく声を掛ける。

 

 

「行ってきます!」

 

 

両親は涙を滲ませながら、でも晴れやかに笑って答えてくれた。

 

 

「行ってらっしゃい」

 

 

その言葉が、心の奥底にまで染み込む。

 

レオネルはそんなやり取りを見つめながら、まるで尊いものを前にしたようなまなざしを私に向けていた。

 

外に出ると、木々の匂いがしてくる。

大きく息を吸うと全身に力が満ちる。

 

呼吸が、辛くない。

空気が、美味しい。

 

私はレオネルの方に振り向く。

 

 

「案内して」

 

 

レオネルは「ついてきてくれ」と言って走り出す。

私はその背中を追いかけて、走る。

久しぶりに、全身を使って、思い切り駆ける。

足も、心臓も、嬉しくて仕方がない。

ああ、この感じ――

私は、またレオネルと“走る”ことができる。

 

 

(レオネル、あなたも同じ気持ち?)

 

 

レオネルの背中は、私にとっては“未来”そのものだった。

ふいに、頬にひやりと冷たいものが落ちてくる。

 

 

(……あれ?)

 

 

指ですくって、そっと舐めてみる。

 

 

(しょっぱい)

 

 

その味に、私は思わず笑ってしまう。

 

嬉し涙――

たぶん、私だけじゃない。

レオネルの肩も、きっと同じように濡れている気がする。

 

同じ場所にいて、同じ想いを抱いて、

同じようにこれからも走っていける。

これ以上の幸せは、たぶん他には無い。

 

私はもう一度、自分に微笑みかける。

動きやすい服、短く切った髪、満ち足りた笑顔。

 

 

「……私は、また“私”に戻れた」

 

 

夢中でレオネルの背を追いかける。

残念な事に、永遠に続いて欲しい時間は直ぐに終わった。

 

目の前に壁がある。

あらゆる外敵を拒む城壁は見た目よりも高く感じるがレオネルは跳躍し、私も続く。

 

月が高く、夜風が心地よい。

王城の城壁は昔の記憶よりも高く見えたが、私の身体はまるで獣のように軽やかに動いた。

無駄のない跳躍、滑らかな着地。

 

 

(完全に、全盛期に戻ってる……)

 

 

寝たきりで過ごした長い時間がまるで嘘のようだ。

 

隣でレオネルも同じく音もなく駆けている。

 

 

(レオネルも完全に……いや、全盛期以上ね)

 

 

若い肉体に長年の戦闘経験が積み重なったせいか、その動きには迷いがない。

 

 

(私も鍛えなおさないとね……)

 

 

私は心の中で苦笑した。

筋肉は戻ったけれど、剣を振るう感覚はすっかり鈍ってしまっている。

 

王城の裏門を抜け、人気のない廊下をすり抜ける。

レオネルが気遣うように問いかけてきた。

 

 

「体の調子はどうだい?」

 

 

その声音には、どうしようもなく優しさと心配がにじんでいる。

長い間、寝たきりだった私を思えば無理もない。

 

 

「大丈夫よ、強がりじゃなくって本当に体がよく動くの。剣はすっかり鈍ってるけど、動くだけなら全然問題は無いわ」

 

 

レオネルはじっと私の目を見て、安心したように小さく息を吐いた。

 

 

「あなたが心配するのは無理もないわ、レオネル。……でも、私はあなたから離れたりしないから」

 

「……ああ……」

 

 

声が詰まったように、レオネルはただ短く返す。

 

私たちは息を合わせ、王城の奥――秘密の部屋へと忍び込んだ。

ルートは特定の者しか知らない、古い秘密の通路。

レオネルの慎重な足取りの後を追いながら、私は胸の高鳴りを抑えきれなかった。

 

やがて重厚な扉を静かに開けると、そこにはエドワールとヴァリウスが待っていた。

 

エドワールは私の姿を見るなり、涙を隠しもせず駆け寄ってくる。

 

 

「おお、アンナ……」

 

 

ヴァリウスも、普段の皮肉っぽさを抑え、微かに微笑む。

 

 

「レオネル、上手くいったか」

 

 

二人とも、私の顔をじっと見て驚きの表情を浮かべる。

私は、胸の奥から何かがこみ上げてくるのを感じながら、不敵な笑みを浮かべてみせた。

 

 

「久しぶりね、二人とも」

 

 

涙腺が緩みそうになったのを、わざと軽口でごまかす。

 

 

「それにしても、老けたわね」

 

 

エドワールはハンカチで涙を拭いながら、冗談めかして言う。

 

 

「最後に会ってからどれだけ時間が経っていると思ってるんだ……」

 

 

ヴァリウスも肩をすくめる。

 

 

「お前だって歳を取ってただろうが、本来なら」

 

 

私は大きく胸を張り、レオネルの腕をしっかりと抱き寄せる。

 

 

「いい女は若かろうと老けようと、いい女よ。こいつが証拠」

 

 

レオネルは少し照れたように私を見て、優しく呟く。

 

 

「アンナ……」

 

 

私は再び小さく溜息を吐いた。

 

 

「まあ、こうして若返っちゃってる私が言っても説得力皆無だけどね」

 

 

軽く自嘲しつつも、私は部屋の隅々に目を走らせる。

油断はできない。今の私は、守るべきもののためにもう一度戦うと決めたのだ。

 

 

「エドワール、ヴァリウス、防諜は?」

 

 

エドワールはすぐに答える。

 

 

「問題ない。ここは俺たち以外入れない」

 

 

ヴァリウスも即座に補足する。

 

 

「物理的、魔術的に対処してある。何重にもな」

 

 

私は静かに目を閉じ、深呼吸する。

 

 

「……そう」

 

 

ゆっくりと目を開き、真剣な眼差しで三人を見つめる。

 

 

「何があったのか、聞かせて」

 

 

私とレオネルが若返り、肉体が健常になった謎――

その真相を知る覚悟はできていた。

 

不安と期待が入り混じる。

私は無意識にレオネルの手を握る。

レオネルも静かに握り返してくれる。その温もりだけで、不安が溶けていく気がした。

 

 

(さて、何が出てくることやら……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……」

 

 

全ての話を聞き終えて、私は深々と溜息を吐いた。

自分の予想通りに想像の遥か上をいく事態ばかり。

腕を組んで天井を仰ぐ。頭の中に渦巻く単語は、どれもこれも途方もないものばかりだ。

 

 

「ダンジョン、管理者、加護……」

 

 

私はしばらく無言で考え、エドワールとヴァリウスに視線を向けて呟いた。

 

 

「業魔……」

 

 

私を健康体に戻し、さらには若返らせてしまった“業魔の肉”。

けれどそれも、正確には“オリジン”という名で呼ぶべきなのだと、ヴァリウスの説明で理解した。

 

 

「いえ、オリジン……」

 

 

私はヴァリウスに顔を向けて問いかける。

 

 

「ねえ、ヴァリウス」

 

「なんだ?」

 

「もしも、あなた以外の魔法使いがオリジンのことを知ったら、どうなると思う?」

 

 

一瞬、部屋が静まり返る。

ヴァリウスは低い声で答えた。

 

 

「……王国を滅ぼしてでも、ダンジョンの確保に走るな。アーカディア学術都市だけじゃない。フリーの魔法使いも一致団結して王国を滅ぼすだろうさ」

 

 

私はその物騒さに、逆に感心してしまう。

 

 

「わーお。あの超個人主義で自分のことしか考えていない奴らが一致団結できるなんて、凄いわね!」

 

 

レオネルとエドワールが、ものすごく苦々しい表情になる。

王国以外の魔法使いたちに、これまで散々迷惑をかけられてきたからだ。

 

ヴァリウスは肩をすくめて皮肉げに笑う。

 

 

「確保した後は魔法使い同士の殺し合いになるだろうがな」

 

 

私は深い息を吐いた。

 

 

「そう、それだけの価値があるのね、オリジンは……。まあ、若返らせたり、ほとんど死体だった人間を蘇らせたりできるんだから当然よね」

 

「それだけではない」

 

 

ヴァリウスの声が重なる。

 

 

「家の研究が正しければオリジンは文字通り、なんにでもなれる魔力の根源だ。あらゆる魔法が使えるだけじゃない。あらゆる物質を作ることができる」

 

 

私は額に手を当てた。

 

 

「……王国はとんでもないものを抱えてしまったわね」

 

 

もしこれが、他の国や魔法使いの手に落ちていたらと思うと、背筋がぞっとする。

 

 

「まあ、あの腐れ国家どもの手に落ちたら、それどころじゃなかったでしょうけど……」

 

「管理者っていうのも、それを見越して王国にダンジョンを立てたのかしら?」

 

 

(ん?)

 

 

何かが引っかかる感覚がある、けど正体がわからない。

 

 

(なんなの、これ?)

 

 

管理者で何かが気になってしょうがない。

 

 

(管理者と唯一、対話したのは)

 

 

エドワールに向き直る。

 

 

「エドワール、リオってどんな子なの?」

 

 

エドワールはちょっと表情を和らげて答える。

 

 

「心優しくて、責任感の強い男だ。お前にわかりやすく言えば――レオネルにとてもよく似ている」

 

 

私は思わず不安げに眉をひそめた。

 

 

「レオネルに……?」

 

 

レオネルが不思議そうに私を見る。

 

 

「アンナ?」

 

 

私は思わず、本音が口から滑り出る。

 

 

「それは……心配ね。レオネルに似てるって、英雄にしかなれない様な奴ってことでしょ?」

 

「ア、アンナ!?」

 

 

レオネルが情けない声で叫ぶ。

あなた、何かあると突っ走るでしょ?

私は少しだけ微笑み、エドワールを見る。

 

 

「うむ、まさに」

 

 

真顔で頷いた。

 

 

「エドワール!?」

 

 

レオネルのツッコミも無視して、私は続ける。

 

リオの人柄はなんとなく知れたから次は周囲についても。

 

 

「うーん...エドワール、暁の剣ってどんなパーティーかしら?」

 

 

エドワールは顔を曇らせて口を濁した。

 

 

「うむ、その、暁の剣は……」

 

 

ヴァリウスもどこか目を逸らして無言。

 

 

「............」

 

 

レオネルは胸を押さえて、苦しげにうめく。

 

 

「ぐ、ううううう」

 

 

涙まで浮かべている。

 

 

(え、何? 何なのよ!?)

 

 

三人の男が一斉に目を逸らす様子に、私は尋常じゃないものを感じた。

私はにっこりと、満面の笑顔を浮かべて言う。

 

 

「話しなさい」

 

 

 

 

 

 

私は全てを聞き出した、若者たちの青春が砕け散る悲劇を。

 

 

 

 

 

「むごい……」

 

 

私は言葉にならない衝撃と呆れが胸に詰まって、それだけを呟いた。

青春殺人事件――王城の謁見の間で、リオたちが多くの人たちの前で“童貞・処女しか入れない”ダンジョンの資格を問われて全てが明るみに出てしまった事件。

好きな娘が他の男と結ばれていた事を知った後、謁見の間で童貞をカミングアウトって...公開処刑かしら?

そしてトドメのごめんなさい、無意識にやった事だろうけどエグいわよ、ミリアちゃん...

その一部始終を聞かされた私は、怒りと呆れと、何より「人としてどうなのそれ!」という思いでいっぱいだった。

そして、この悲劇を作り出したのは...!

 

 

「エドワール、あんた……」

 

 

自然と、ゴミでも見るような目でエドワールを睨んでしまう。

本人はそれに気づいて、みるみる青ざめ、慌てて手を振りながら叫ぶ。

 

 

「わ、わざとではないんだ、事故なんだアンナ!!! 本当に!!」

 

 

私はため息をついて拳を握った。

手の甲には血管が浮き上がる。

 

 

「わざとなら殴り殺していたわ……」

 

 

エドワールは怯え切った顔で椅子の上に縮こまる。

 

私はしばらく静かに、そして長い溜息を吐いた。

 

 

「エドワール」

 

「は、はい!」

 

 

私はニッコリ笑いながら聞いてやる。

 

 

「謁見の間で聞くこと?」

 

「いや、その、だな、外部から招く際は必ず謁見の間で聞くという、長い歴史のある伝統があってだな……」

 

「ええ、王と謁見し会話する名誉を与えるってやつ」

 

「そう、そうなんだ、俺は彼らの名誉のために――」

 

 

ここで私は顔を近づけて目を細める。

 

 

「公衆の面前で性経験を尋ねられる。……そんな辱めを上回る名誉なの?」

 

 

エドワールは崩れ落ちた。

バタッと音を立てて机に突っ伏す。

 

私はすぐさまヴァリウスに向き直った。

 

 

「ヴァリウス」

 

「……なんだ?」

 

「なんで止めなかったの?」

 

「それは……」

 

 

私はジッと彼の目を見つめる。

 

 

「好奇心」

 

「……っ」

 

「童貞とダンジョンの因果関係を知ることを優先した、そういうこと?」

 

 

彼は観念したように目を伏せる。

 

 

「ほんの僅かな配慮でも全然違うわよ、氷の叡智」

 

「ああ」

 

 

ヴァリウスが俯いた。

言葉は短いけど、長い付き合いから堪えてるのがわかる。

 

私は最後にレオネルに向き直る。

 

 

「レオネルは分かってるよね?」

 

 

レオネルは心底悔いてる表情で。

 

 

「僕はエドワールを止めなかったんだ……王国の危機と伝統に囚われて止めようとしなかったんだ……恥ずかしい」

 

「そうね、あなたは止めるべきだった。反省しなさい」

 

「うん、リオ殿に申し訳ないことを……」

 

 

私達の恩人だからか後悔が深くなってるようね、レオネル。

 

 

私は大きくため息をついて、もう一度エドワールに向き直る。

 

 

「エドワール、いつまで死体になってるのよ起きなさい!!!」

 

「産まれてきてごめんなさい……」

 

「――ああもう、シャキッとしろバカ!」

 

 

私は思いっきりエドワールの背中を叩いた。

バシーン、という痛快な音が部屋に響き、エドワールは跳ねるように立ち上がる。

レオネルとヴァリウスはビクッとして竦む。

 

 

「あんたが王国を愛していて、その伝統を破る決意が出来なかったことはわかってるわ。……でも、過ちを犯したらどうするの?」

 

 

まるで子供を叱るように問い詰める。

 

 

「償う……」

 

 

エドワールがしゅんとして答える。

 

 

「そう、暁の剣のフォローをする。いいわね?」

 

「うん、わかったよ母ちゃん……」

 

 

思わず叫んでしまった。

 

 

「母ちゃん言うなぁ!!!」

 

 

私は自分の異名を思い出してしまう。

 

 

 

 

 

パルシリアの母ちゃん――

 

 

 

 

 

あの忌まわしき異名。

なぜこうなったのか。

 

私は頭を抱えて叫んだ。

 

 

「ああもう、忘れたい過去を思い出しちゃったじゃない!!!」

 

 

レオネルは困ったような顔で、でもどこか嬉しそうに苦笑する。

 

 

「この感覚、懐かしい……」

 

 

ヴァリウスは目を細めて、深くうなずく。

 

 

「そうだな、アンナは幼い時からこうだった」

 

 

エドワールまでが涙ぐみながら言う。

 

 

「ああ、俺たちの母ちゃんが帰ってきた……」

 

 

私は魂の叫びを放つ。

 

 

「誰のせいで母ちゃんって異名が付いたと思ってるのよおおおおお!!!!!」

 

 

そう――

この三人が、私にどれだけ“世話”を焼かせてきたことか。

私が母ちゃん扱いされたのは、全部全部、あんたたちのせいでしょうが!

 

 

「でも、母ちゃんが居ないと俺たちダメだったな」

 

「それは間違いない」

 

「これだ、これこそがアンナだ」

 

 

 

 

 

「しみじみに言うなぁ!」

 

 

 

 

ああもう、子供みたいに!

私が戻って来たことを喜んでくれるのは嬉しいけど、はしゃぎ過ぎ!

まったく、私が死んでたらどうなってた..........あ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、ああああああああああ!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、引っかかっていたモノの正体がわかって...しまった。

もしも、もしも、コレが正しかったら

 

 

(酷い、酷すぎる、なんて事なの...)

 

 

一人の少年の、過酷な未来が約束されてしまう。

 

 

 

 

 

(リオ)

 

 

 

 

私は、英雄になるしか無い子供の運命を呪わずにはいられなかった。

 

 

 




乙女ゲーム主人公みたいなアンナさんですがレオネル一筋であり、他の2人も恋愛感情なんて一切ありません。

エドワール「母ちゃんに惚れるなんて出来るわけないだろ!?」
ヴァリウス「しかり、しかり」
レオネル「アンナ・・・元気になって本当に良かった」


異名は完全に廃れていました、子供産めなくなってた女性に母ちゃんは...



















アンナさんが何に気づいたか、物語をシビアに見てたらわかるかと。
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