天才冒険者リオの英雄譚 童貞・処女しか入れないダンジョンを攻略せよ!   作:ナオ3

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2番目のヒロインが遂に登場!
1番目は性別不詳で青白く光る変な奴です。


ななしのおんなのこ 足の裏の奇跡

……あったかい。

 

ずっと、おかあさんのなかにいたときとおんなじ。

 

でも、もうまっくらじゃない。ちゃんと、ひかりがある。

 

わたしには、なまえがない。

 

だって、うまれたことがないから。

 

ずっと、おかあさんのそばにいる。

 

でも、だれもわたしをみない。

 

おかあさんも、おとうさんも、こわいかおのひとも、おおきなこえのひとも。

 

わたし、ここにいるのに。

 

……なんで?

 

おかあさんは、ときどきむねのなかでないてる。

 

こえはでしてないけど、わたしにはわかる。

 

だから、ぎゅってしてあげたいけど……てがすりぬけちゃう。

 

わたしのこえも、とどかない。

 

みんながあつまって、はなしをしてる。

 

「りお」ってなまえが、なんかいもでてくる。

 

りおって、だれ?

 

すごくたいせつなひとみたい。

 

おとうさんも、おかあさんも、そのなまえをいうとき、かおがかわる。

 

あったかくて……でも、ちょっとくるしそう。

 

わたし、わからないけど……あってみたくなった。

 

そんなにたいせつなら、みてみたい。

 

だから、おかあさんから、ふわってはなれた。

 

おかあさんはちょっとさむそうにしたけど、おとうさんのてをにぎってわらった。

 

……すこし、さびしい。

 

ふわふわあるく。

 

あるくっていっても、あしおとはしない。

 

だって、わたしは、ひとじゃないから。

 

ながいろうか。

 

たかい、てんじょう。

 

しらないひとが、わたしのよこをとおりすぎる。

 

だれもきづかない。

 

てをのばしても、すりぬける。

 

……なんで?

 

まがりかどのむこうに、てつのにおい。

 

まえをみると、おおきなひとがふたり。

 

よろいをきて、けんをもってる。

 

こわいかおだけど、めはまじめ。

 

……おとうさんのおともだちかな?

 

ふたりのうしろに、きのとびら。

 

そのまえでとまってたら、よろいのひとが「だれもとおすな」っていった。

 

もうひとりも、うんってうなずいた。

 

……だれも、ってことは、わたしも?

 

でも、みえてないし……いいよね。

 

するっと、とびらをぬけた。

 

なかはしんとして、すこしくらくて、すこしあったかい。

 

まんなかに、べっど。

 

そのうえに――

 

おとこのこがいた。

 

くろいかみで、すこしこいはだ。

 

ねてるのかな、っておもったら、ゆっくりおきあがって……わたしのほうをみた。

 

――あれ?

 

なんで、みえるの?

 

なんで、そのめが、わたしをみてるの?

 

びくってして、あとずさる。

 

でも、あしおとはしない。

 

それでも、おとこのこのめは、わたしからはなれない。

 

うれしかった。

 

やっと、みつけてもらえたから。

 

けど。

 

 

 

 

 

「ははは、童貞拗らせて幻覚まで見ちまった」

 

 

 

 

 

……。

 

 

(……どうてい? げんかく?)

 

 

ことばはわからないけど、なんだかばかにされてるきがする。

 

 

 

 

 

「なんで出てくるのが幼女なんだよ!」

 

 

 

 

 

……ようじょ。

それ、きっとわたしのことだ。

 

 

(……むう)

 

 

くちがむにっとふくれた。

 

へんなきもち。

 

あったかくもない、たのしくもない。

 

なんだか、むねのなかがもやもやして、ちくちくする。

 

これは……なに?

 

でも、おとこのこはそんなわたしの「むう」なんてきにもしないで、またしゃべる。

 

 

 

 

 

「駄目、チェンジ、巨乳美人の姉ちゃんを連れてこい、俺の脳」

 

 

 

 

 

……。

 

 

(……ああ、そういうこと)

 

 

わたしじゃ、いやなんだ。

 

ちいさいから。

 

おっぱいがないから。

 

おとこのこは、もっとおおきな、きれいなおねえさんがいいんだ。

 

そのとき、むねのなかがぐわっとあつくなった。

 

さびしいのとはちがう。

 

ふわふわしたくるしさじゃない。

 

もっとするどくて、ちくっとして、とげとげしい。

 

 

(これ……なに?)

 

 

しらない。

 

でも、わかった。

 

このきもち……ぶつけたい。

 

どうやって?

 

かんがえるまえに、からだがうごいた。

 

ちいさなあしに、ぎゅっとちからをこめる。

 

ちいさくても、ぜんぶのちからをあつめて――

 

 

「おらあ!」

 

 

――はじめて、おおきなこえをだした。

 

じぶんでもびっくりするくらい、つよくて、するどいこえ。

 

ぴょんっとはねて、おとこのこのかおめがけてあしをつきだす。

 

どんっ。

 

あしのうらに、やわらかくてかたいものがいっしょにあたった。

 

はなと、ほっぺと、くち。

 

ぜんぶまとめて、どんっとけった。

 

 

「へぶぅ!?」

 

 

へんなこえをだして、おとこのこがベッドからふきとんだ。

 

ごろごろごろっところがって、ゆかにぼすっとおちる。

 

わたしはどしんっとちゃくちした。

 

 

(……あつい)

 

 

あしのうらが、じんじんする。

 

でも、それより――

 

 

(……これが、ひとに、ふれたかんかく……?)

 

 

はじめてだ。

 

うまれてから、ずっと、だれにもふれられなかった。

 

ふれたいっておもっても、できなかった。

 

でも、いま――できた。

 

あしのうらだけど。

 

けっとばすかたちだったけど。

 

おとこのこは、ゆかにぺたんとすわって、こっちをみあげてる。

 

めがまるくひらいて、くちがぽかんとあいてる。

 

びっくりしてるかお。

 

なんだか、ちょっとだけすっきりした。

 

さっきのむねのあつさが、すこしだけきえた。

 

でも、まだどきどきしてる。

 

 

(このひと……ふしぎ)

 

 

わたしをみた。

 

わたしにふれた。

 

それだけで――せかいがぜんぶ、ちがってみえる。

 




関係ない話ですが、お腹の子が亡くなるって悲劇を助長するのによく使われますよね?



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