天才冒険者リオの英雄譚 童貞・処女しか入れないダンジョンを攻略せよ!   作:ナオ3

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リオ君のダンジョン攻略(意味浅)がついに


4話 童貞のテクで私を攻略できると思うなよ! byダンジョン

 

 

 

オレ、リオ・ハートフィールド! 現在、王城にて絶賛居候中!

部屋は広いし、飯もうまいし、まさに貴族気分! ……なんて、言ってみたかったぜ。実態は「謁見の間の悲劇」以降、王国の雰囲気はどんより曇天。だがな! 俺だけは違うぜ! 今日も元気いっぱい、テンションMAXリオちゃんモード、絶賛発動中だ!

 

 

「おっはよーーーうッ!! 今日もいい天気だな!! ハッハァァーーー!!!」

 

 

回廊に響き渡る、全身全霊ハイテンションシャウト! 兵士たちがピシッと直立してる。だが、目だけは完全に「大丈夫か……?」って訴えてきてやがる。おいおい、心配無用! これぞ元気の塊、勇者リオ・ハートフィールド!

 

……いや、まあ、俺も分かってる。やりすぎてる。空元気なんて自分が一番気付いてる。でもな、止まらねぇんだよ。走り出したテンションは誰にも止められねぇ。

何故なら俺は――青春を完全に終えた男、今こそ燃やすべきはこの残り火だ!

 

 

「はい注目ー! リオ様、通りますー!! 下がって下さーい!」

 

 

王城の廊下をスキップで駆け抜けるオレ! たまたま通りかかったメイドさんに「おはよう!」とウィンクを飛ばし、通路警備の騎士団長に指ハートを送る! 全員固まった! よし、今日も平和だ!

 

そんな中、誰もがざわついている。

 

 

「いやいやいや……あいつ、絶対ヤバいって」

 

「無理してるのバレバレだろ……」

 

「逆に……怖いです。内臓に響く感じの明るさ」

 

全部聞こえてんぞ! だが、気にしねぇ! 今の俺にはこれしか出来ねぇんだ!

 

さて、本日のメインイベント! 王様にご挨拶&ダンジョン調査のお許し取り付けタイム!

全力で執務室の扉をノック!

 

 

「失礼しまーーーーっす!! リオ・ハートフィールド、推参!!!」

 

 

ガチャリ、と同時に勢い余って半回転! あぶねっ、椅子蹴飛ばすとこだった!

 

王は机の上で筆を止めて、眉をひそめている。だが気にしない。なぜなら今日もハイテンション全開!

 

 

「陛下ー! お忙しいところすみません! ちょいと行ってきまーす!」

 

「……どこへ行くつもりだ、リオ・ハートフィールド」

 

「決まってるじゃないですか。〈ヴァージニア〉、あの子のとこですよ! 調査、調査っと!」

 

 

勝手に室内をウロウロ、ソファにダイブ! 脚を組み、ついでに王の机に肘をつく。どうだ、貴族の貫禄! たぶん即刻斬首モノだ!

 

だが誰も何も言わない。空気が張り詰めている。みんな目線だけで「やめてくれ」と訴えてくる。でもやめねぇ!

 

王は重々しい声で言う。「……無理をするな。時間を置いてからでも、調査は――」

 

 

「いーえっ!」

 

 

ピシッと指を立てて、王の言葉を遮断! 目も輝き全開だ!

 

 

「今こそ行くタイミングなんです! 心が一番燃えてるうちに、あの神域に挑むんです! そう、青春を燃やす最後の炎で!!!」

 

 

誰かが「リオ殿……」と呟いてる。たぶん王の側近。言葉が見つからないのは知ってる。でも俺は止まらねぇ! 止まったら、マジで崩れ落ちる気がするからな。

 

王は、俺のテンションの高さに何も言えず、筆を机に置いたまま固まっている。側近たちも、一歩も動かない。ただただ、俺の暴走を見守ってる。

……この雰囲気、俺が今すごく無理してるの、全員バレバレなのに誰も止められない。逆に怖ぇ!

 

でもな――止まったら、本当に泣いてしまいそうだった。

 

 

「よーし、行ってきますよ! 今日こそ、やったりますわ! ねえ陛下、応援よろしく!!」

 

 

王は、何かを言いかけて――でも、口をつぐむ。

周囲の側近たちは目を伏せ、兵士たちは直立不動。誰もがこの状況にどう反応すればいいのか分かっていない。

だが、俺はそんな視線に負けねぇ!

 

 

「おおっと、忘れるところだった!」

 

 

俺は立ち上がり、窓の外に向かって右手をピシッと突き上げる。左手は腰に。ド派手にウインク!

 

 

「――待ってろよ、ヴァージニア!! お前の処女、俺が攻略しちゃうぜ☆」

 

 

ビシィィィイッ!! ピースサインを作りながらウィンク、脚を前に突き出してキメポーズ!

 

この瞬間――室内の空気が一変した。

 

王は、しばらく俺を見つめていた。そのまま、目に涙を浮かべて――

 

 

「……リオ……おぬし……」

 

 

声にならない声を漏らしている。

 

側近たちも、静かに目元をぬぐいはじめた。

誰もが思っている。

――こんなに明るく振る舞って、無理してるリオの姿が、痛々しくて、どうしようもなくて。

なのに、誰も「やめていい」とは言えない。

 

王の目から、ついに大粒の涙がこぼれる。

 

 

「……どうか……ご武運を……」

 

 

たった一言、それだけを、精一杯の声で送り出してくれた。

 

俺は思いっきりサムズアップ! 最高の笑顔で敬礼する!

 

 

「任せてください! 青春はまだ終わってないっすよ!」

 

 

俺はそのまま、執務室を飛び出した。

 

 ――背中で泣いてくれている王様や、黙って見送る側近たち。その全てが、俺の勇気の後押しになっていた。

 

今日も元気だ! 無理してるけど、笑ってやる!

行くぜ、神域ダンジョン〈ヴァージニア〉! 攻略、スタートだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白き宮殿〈ヴァージニア〉――その前に、俺は立っていた。

 

今日も最高のハイテンション……を装ってはいるが、正直、内心はジェットコースター。体中がざわざわする。

だが、今は立ち止まっていられない。背後を振り返れば、兵士たち、騎士たち。みんな心配そうに、あるいは何かを託すような目で俺を見つめている。

 

ごめん、みんな。本当はこんなに心配させたくなかった。俺が空元気で突っ走るせいで、余計に気を揉ませているのは分かってる。

 

だから、今は――自分に素直に、みんなに向き合わなきゃダメだと思った。

 

深呼吸ひとつ。

空気がひやりと冷たい。昼間なのに、まるで早朝の空気みたいだ。

俺は静かにみんなの方へ向き直る。

 

 

「みんな――ちょっといいか」

 

 

俺の声に、兵士も騎士たちも一斉に顔を上げる。驚いたような顔、緊張した顔、どこか安心した顔。いろんな表情が混じっている。

 

 

「……さっきまで、テンション上げすぎて本当にゴメン。みんなに不快な思いさせてたら、本当に申し訳ない」

 

 

俺が頭を下げると、空気が一気にざわついた。

 

 

「そ、そんなことありません!」

 

「いえ、むしろ、リオ殿が……」

 

「私たちの方こそ……何もできずに……」

 

 

慌てて手を振る兵士、言葉を詰まらせる騎士。みんな、俺を本気で心配してくれていた。

 

 

「違うんだ。俺が……自分に喝を入れないと、本当にここまで来られなかった。無理矢理テンション上げないと、たぶん膝が笑って動けなくなってた。みんなに、余計な気を使わせて……本当にゴメン」

 

 

そう言いながら、俺は改めて全員の顔を見渡す。皆の目は優しい。温かい。

どんなに無茶しても、見捨てたり、笑ったりする奴は誰もいない。

 

 

「リオ殿、そんなこと――」

 

「むしろ、私たちの方こそ……」

 

「リオ殿の必死さ、わかってました」

 

 

次々と出る声。みんなが、全力で俺を支えてくれていたことを、改めて実感する。

 

それが嬉しくて、でも、どこか胸が痛くなる。

 

 

「ありがとう。……それでも、みんなに不安な思いさせたのは事実だから。これからは、無理せず、ちゃんと話し合って進めたい」

 

 

俺は今まで、ずっと独りよがりだったかもしれない。

リーダーだからって、全部自分で背負おうとして――逆に、周りの不安を煽ってたんだなって思う。

 

 

「今日は、その“すり合わせ”をしたくて声かけたんだ」

 

 

兵士や騎士たちは静かに頷く。その目に浮かぶ信頼と、ほんの少しの不安。

 

 

「まず、確認したい。未知のダンジョンを、一人で探索するのは――はっきり言って、無謀だ。みんなも分かってると思うけど、本来なら絶対にやるべきじゃない行為だ」

 

 

みんながコクリと頷く。冒険者でなくても、それがどれだけ危険かは分かるだろう。

 

 

「だから、今日は絶対に深入りはしない。……入り口付近の調査だけに留める。万が一、何かあってもすぐに戻れるように、最初から予定しておく」

 

 

俺の声に、兵士たちは小さく安堵したような表情を見せる。

でも、油断はしない。誰一人、緊張を解いてはいない。

 

 

「それと……時間も、早めに切り上げるつもりだ。もし何も得られなければ、それも貴重な情報になる。情報がまったくないのと、ひとつでも何かが分かるのとでは、天と地ほどの差があるからな」

 

 

みんなが頷く。

 

 

「うん、そうだ」「それが一番です」「本当に、何も分からないのが一番怖い……」

 

 

そう。

本当に怖いのは、何も知らないまま突っ込むことだ。

無謀な勇気じゃなくて、一歩一歩確実に歩むこと――それが本当に大事なんだ。

 

 

「まずは、一つを確実に得よう。それを持ち帰って、後日どうするか――みんなと一緒に、ちゃんと考えたい」

 

 

俺は、みんなを正面から見て、問いかける。

 

 

「……それでいいか?」

 

 

少しの沈黙のあと、兵士たちも、騎士たちも、全員が力強く頷いた。

 

 

「はい!」「異論ありません!」「ご武運を!」

 

 

その声に、俺の心も少しだけ軽くなった。

 

 ――でも、その一方で、みんながふと不安そうな表情を見せるのを俺は見逃さなかった。

 

たぶん、俺がいつもの“無茶”をしないか、誰よりも生真面目に危険を見極めようとしているか、それを感じ取ってるんだろう。

 

俺は、生真面目なのかもしれない。いや、たぶん、臆病なだけだ。

 

それでも――俺は、今度こそ仲間も、みんなも、ちゃんと守りたい。誰も傷つけたくない。自分自身のことも、もう少し大事にしたいと思う。

 

 

「ありがとう、みんな。本当に……ありがとう」

 

 

そう言って、俺は扉の前へと歩み出る。

 

――静かな白い扉。すうっと伸びる自分の影。

 

俺の背中を押してくれている皆の想いを感じながら、そっと右手を伸ばす。

 

カチリ、と扉が開く。

 

 

「よし……行ってきます」

 

 

俺は振り返り、みんなに笑顔を見せる。

 

 

「必ず、何かを掴んで戻ってくるから!」

 

 

兵士たち、騎士たちが深く頭を下げる。

 

 

 

――俺は、再び未知なるダンジョンへと、一歩を踏み出した。

 

 

 




パーティー離脱から新たな仲間との絆、良きテンプレ。





死ぬほどクソ真面目なリオ君、だから君は童貞なんだよ。
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