天才冒険者リオの英雄譚 童貞・処女しか入れないダンジョンを攻略せよ!   作:ナオ3

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しばらく説明回になります。


6話 ミリアは「〇〇〇〇〇〇」を唱えた、童貞に99999のダメージ!

 

 

眠い。いや、本気で眠い。俺の意志が地面にめり込んでいく感じだ。これ、夢か現実かも分からん。もはや睡魔と意識のデスマッチ。脳内の俺は白旗を振っている。

 

なのに――

 

 

「おーい、聞こえるかい?」

 

 

謎の声だ。何だこれ。幻聴?寝てるから当たり前だろ。返事なんてしない。

 

 

脳内の俺は断固たる姿勢で無視を決め込む。睡眠最優先、全方位スルーだ。

 

 

「いや、聞こえてるよね?」

 

 

しつこいな!?どこの誰だお前!っていうか何で俺の脳内スペースでパーティー始めてんの?入場許可出してねーぞ!

 

 

「聞こえてる、絶対に聞こえてるよ!?」

 

 

聞こなーい。俺の防御力はカンストしてる。今なら王城の騎士団でも止められない。何も聞こえない、絶対聞こえない、寝てる。寝てるからね俺!

 

 

「起きて、大事な話があるの!!」

 

 

うるせぇ!大事な話なんてこの世に存在しない!俺は今日だけは――

 

 

(……あれ、男なのか女なのか、年齢も分からん。声質が変だ。若い気もするし、ババアっぽい気もするし、男かもしれんし、実は人外の可能性も……)

 

 

考えるだけ無駄だ。とにかく今の俺は寝る。それだけが全宇宙の最優先事項。

 

 

「まいったな、どうしよう」

 

 

明らかに困ってる様子が伝わってくる。ああ、困れ困れ。むしろ、ここであきらめてくれ。俺の眠りを守るために、君には即時撤退していただきたい。

 

だが、声は退かない。

 

 

「……最後の、手段だ」

 

 

え、ちょ、なんか嫌な予感!?今の重い口調、100%ろくでもないフラグ立ったじゃん。お願い、やめて、こっち来ないで、ていうかもう寝かせて!

 

だが、沈黙の後、世界が静かになった。

 

……ん?この空気、どこかで……

 

その瞬間、魂の奥深くに、女性の声が直接響いた。

 

 

「……ごめんなさい」

 

 

――あああああああああああああああああああああああああああああ!!

 

!?!?!?何だ!?な、何が起きた!?突然、心の防御壁が粉砕された!

 

まさにあの時と同じ感覚――そう、青春殺人事件。仲間たちの顔、ミリアの泣きそうな顔が頭に浮かぶ。何でこんな時にフラッシュバックが!?やめろ、俺の黒歴史!蘇るな、青春の墓標!!

 

 

「ミリアああああああああああ!!!!!!」

 

 

全力で叫ぶ俺。

 

……そして世界は再び、闇へと沈んだ。

 

 

 

「ほんとうにごめんなさい・・・リオ君」

 

 

 

________________________________________

 

 

 

 

 

「ミリアああああああああああ!!!!!!」

 

 

全力絶叫、その瞬間、俺の意識が一気に浮上した。

 

 

――はぁ、はぁ、はぁ……。

 

 

喉が焼ける。呼吸が追いつかない。汗で全身がベタついて、心臓が心拍数MAXでドラムを叩いてる。気づけば、俺は完全に目を覚ましていた。

 

いや、起きている。……はずだ。

 

だが、そこは見知らぬ場所だった。

 

目の前に広がるのは、現実離れした光景。

 

どこまでも続く湖面。足元が水面なのに、沈む気配が全くない。いや、立ってるのか、浮かんでるのか、それすら分からん。周囲には風も波もない。やけに静かだ。夜空には数えきれない星がちりばめられ、まるで宝石箱をひっくり返したみたいにキラキラと輝いている。そして、真上には見たこともないくらい巨大な満月。なんだこれ、夢か?

でも、どれだけ幻想的でも、俺の心には何の感動もない。悪夢の残り香みたいな不快感だけが、胸に渦巻いていた。

 

 

――悪夢。

 

 

何か、とんでもなく嫌な夢を見ていた気がする。胸の奥がズキズキ痛む。だが、詳細は思い出せない。なんか大切なものが壊れたような、もやもやだけが残っている。

 

 

(……クソ、スッキリしねぇ……)

 

 

頭を振ってみても、記憶の切れ端すら引っかからない。思い出そうとするほど、むしろイライラしてくる。今ここで全力で走り回りたい気分だが、湖の上でそれやったら間違いなく落ちる。冷静になれ俺。

 

その時だった。

 

背後から、誰かの声がした。

 

 

「やあ」

 

 

――えっ。

 

 

(……まさか、今度は湖からバケモノでも出てくるのか?)

 

 

身構えつつ、恐る恐る振り向く。

 

そこには――人だった。

 

いや、正確には「人型の何か」だ。身体全体が青白い光でできている。輪郭は確かに人間なんだけど、細部がぼやけてて、性別も年齢もわからない。顔のパーツもよく見えない。でも、不思議と不気味さはない。ただ、どこか懐かしいような、やたら落ち着くような、そんな感覚だけがある。

 

――こいつ、誰だ?

 

 

「あなたは……いや……その声は……」

 

 

言いかけた瞬間、頭に強烈な痛みが走った。

 

 

「ぐおおおおおおおおおお!?」

 

 

思わず頭を抱えて悶絶する。何だこれ!?ガンガン響く。こめかみをハンマーで殴られてるみたいだ。俺、どこか悪い病気か!?この際、脳みそごと交換してくれ!

 

 

「うん、君は魔物との死闘で疲れているんだ」

 

 

いやいや、そういう次元じゃねぇぞ!?たぶんこれ、魂のダメージってやつだろ!?

 

 

「深呼吸、はい」

 

 

いや無理だって!と思いつつ、何故か逆らえず素直に従う俺。

 

 

「はい、吸ってー、吐いて―、吸ってー、吐いて―」

 

 

言われるがまま、必死に呼吸を整える。

 

 

(吸ってー……吐いて―……あれ、なんか落ち着いてきた……?)

 

 

確かに、頭の痛みが少しずつ引いていく。マジでこの方法、効果あるのか?ていうか、なんで俺こんなに素直なんだ。青春のダメージで弱ってるのがバレバレじゃねぇか。

 

 

「大丈夫かい?」

 

 

気遣いの声が聞こえる。妙に優しい響きだ。

 

 

「あっ、ああ」

 

 

まともな返事すらできない。頭の中で、青春の黒歴史がチクチクと疼く。あの悪夢、絶対ミリア絡みだよな……思い出せないけど、心の傷だけはしっかり残ってる気がする。今思い出したら、もう一回ぶっ倒れそうだ。

 

しばらく、二人(?)の間に沈黙が流れる。

 

満月が大きくて、星がキラキラしてて、湖の上で青白い光と立ち尽くす。言葉にできない違和感が、空気を覆う。

 

俺は何をすればいいんだ……?この場の正解が分からん。

 

その時、不意に目の前の青白い存在が、両手を大きく広げて言った。

 

 

「初めまして、リオ・ハートフィールド君」

 

 

その動作だけやたら威厳たっぷりで、どこか間抜けな雰囲気も漂う。月明かりの下で、その姿はやけに浮いて見える。

 

場の空気が緩んだ。なんだこれ、深刻なようで全然深刻じゃない気もしてきた。なんで俺、湖の上で光と対面してんだ。思わず、力が抜ける。

 

 

「あ、はい、はじめまして」

 

 

気の抜けた声でそう返事した。

 

沈黙。

 

星と月と湖面。青白い光の存在と、俺。言葉が落ちたまま、世界が静止したように思えた。

 

 

(いや、何これ。さっきから空気が重すぎるだろ……)

 

 

月の光が湖に映って、波紋ひとつないのに、俺の内心は嵐。こっちは訳も分からず突然呼び出されて、訳も分からず「はじめまして」だ。さすがに限界だろ、これ。

 

……だが、青白い存在は何も言わない。無言の圧、なぜかやたら居心地が悪い。

 

 

(この沈黙、もしかして俺が何か言うべきなのか?え、もしかして俺、社交性の高さを問われてる?今ここで人間力が試されてる?いやだ、せめて王城でやらせてくれ……)

 

 

頭の奥がジリジリする。だが、この沈黙を破る者は他にいない。

 

――よし、俺がやるしかない。

 

意を決して、喉を鳴らし、一歩前に出た。

 

 

「……あなたは、誰だ?」

 

湖面に小さく自分の声が反射して帰ってくる。ちょっと間抜けな感じ。でも、こういう時は仕方ない。自分から話題を振らないと、場が凍結する。

 

すると、青白い存在がほっとしたように肩――いや、肩があるのか知らないが、輪郭をふわっと緩めて、少し笑ったような空気になった。

 

 

「僕は、先ほど君がいたダンジョンの管理者さ」

 

 

さらりと出てきた単語に、俺の脳みそはフリーズしかけた。

 

 

「管理者って……ダンジョンの!?」

 

 

まさかの展開。ダンジョンって、普通は魔物の巣窟で、奥深くには“ボス”がいる。それを倒すとダンジョンは崩壊し、莫大な財宝や名声が手に入る。それが冒険者界隈の常識。つまり、今ここにいる“青白い奴”は――

 

 

「そう、数多くあるダンジョンのボスみたいなものだけど、管理者と呼んでほしいな」

 

 

ボス……じゃなくて、管理者……?妙に軽い物言いだが、あのダンジョンのラスボスみたいなものだってことか。

 

 

「そうか。じゃあ、管理者と呼ばせてもらうよ」

 

 

俺の返事に、青白い存在――管理者は嬉しそうに光を揺らめかせた。どことなく満足げな雰囲気が漂う。

 

 

「ありがとう」

 

 

また沈黙。湖面にぽつんと立つ俺と、ふわふわ浮かぶ管理者。幻想的な光景なのに、会話の温度差がすごい。

 

その時、管理者がすっと片手――いや、手らしきもの――を前に差し出し、少しだけ前のめりになる。

 

 

「ここに君を呼んだのは、君に伝えたいことがあったからだよ」

 

 

伝えたいこと? 俺のこと?ダンジョンのこと?まさか、いきなり“ここでお前は死ぬ”とか言い出す系?いや、せめてそれは最初に言ってくれ。メンタルの準備がいるんだ!

 

だが管理者は、俺の疑念をスルーして、静かに続けた。

 

 

「伝えたいこと?」

「そう。僕にとって――そして君にとっても重要な話さ」

 

 

月の光が湖面に反射して、管理者のシルエットをより青白く浮かび上がらせる。

 

この瞬間、俺の中に奇妙な緊張感が走る。何が始まるのか、俺には分からない。でも、きっと人生の中で大事な分岐点になる――そんな予感だけが、なぜか強烈にあった。

 

 

(伝えたいこと……俺にとっても大事な話……?)

 

 

沈黙。

 

……そう、ダンジョンには“ボス”がいて、それを討伐すればダンジョンは消える。俺も冒険者として、何度もそんな“崩壊の瞬間”を見てきた。

 

でも、“管理者”がこうして俺の前に現れて何かを語ろうとしている。その意味が、今はまだ分からない。

 

だが、どこかで「これだけは聞き逃しちゃいけない」と本能が警告を鳴らしていた。

 

 

(何を聞かされるんだ……?)

 

 

湖の上で、俺と管理者の間に、またしても静かな夜風が流れる。

 

……以上、現場からは以上だ。

 

 

 

 




謎の存在との邂逅、テンプレ!
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