ドラゴンボール Cove R Comics 10   作:やま おさ

1 / 6
Comics 10 1

 広い荒野の中にドーム状の家が一軒。

 その脇で焚き火に乗ったポットが湯気を立て、トーストの香ばしく薫りが漂う。

 家の形がドームといった変わった様子形を除けば、キャンプか野宿に思える状況であるが、そこに居るのは1人の少女と少年が1人。

 共に野宿するには若すぎる二人。

 十代を思わせる少女に比べて、もう1人の少年は背が低く、同じ十代でも少女は十七・八才、少年の方は十代前半の不自然を想わせる二人だが、それに反する自然の中での食事は気持ちの良いもので、そのような朝には程よく焼けるトーストが、さぞかし美味しいのだろう。

 その言葉を表すように、少年はトーストを頬張る。

「このパンてヤツは旨めぇけど、スカスカして腹一杯にならねぇな」

 味には満足していると言いながらも、不満を口にする様子にもう一人の少女は口を開く。、

「文句言わない!」

 と、共に朝食を取りながら言う。

「孫くんが食べ過ぎるから、もう御飯無いわよ」

 その孫という名で呼ばれるのは少年、孫は名字で名前は悟空(少年)。

「飯が無ぇって、じゃあ、昼飯はどうすんだよ・・・」

「どうするって、買いに行くわよ。勿論」

 と、言いながら、少女は周囲に人がいないことから、寝間着代わりのシャツとパンツ1枚だけを身に付けた状態で、着替えのズボンを片手で引き上げながら、トーストを口にする。

「ブルマ、おめえのズボン破れてるぞ」

 少女の名はブルマ。

 悟空が指摘するズボンは、いわゆるダメージジーンズという物で、しかし破れているというよりは、太ももから足首までの生地が丸々千切れている。

 しかも、左足の方は裾まで生地があり、右足の方だけが脚の付け根までが見える片方だけがホットパンツ状態。

 少女という年齢らしく、実に若々しいファッションだ。

「これは、そうゆうデザインなの!」

「デザイン?。なんだ、それ?。喰えんのか?」

「食べれるわけないじゃない」

 声を荒げる程ではないが、静かな口論が続くような二人。

「そんな事より、もう出かけるわよ」

 と、言って、ブルマは手の平にあるカプセル状の何かを地面に置き、

「さっき言ったように、買い出しもしなきゃあ、いけないんだから」

 そして、ドーム状の家に付いているボタンを押すと、一瞬にして家が消える。

 正確に言うと、消えるというより家が粒子状に分解されて、地面に置いたカプセルに封入される。  

 色々な物が簡単に持ち運べる便利な道具。

 そのカプセルの名前はホイポイカプセル。

 そんな不思議な現象が起きても、平然とする2人を見れば、特別に珍しい物でもないと分かる。

「ちょっとパンツが見えてんぞ」

 と、カプセルを気にする事もなく会話は続く。

 ただ、悟空の物言いは素直に過ぎる気がする。

 年頃の少女に対して、下着の話題を連発するのは正しい事かと思わざるを得ない。

「パンツ?」

 と、言いつつ、身体をひねって自分の腰回り確かめるブルマ。

 すると、悟空が言うように下着の端が、僅かに顔を出している。

「もう、うるさいわね!」

 などと、文句を言いながらも急いでホットパンツ状態の裾に指を入れて、はみ出しパンツを隠す。

「ファッションよ、ファッション!。ちょっと位見えるくらいがおしゃれなの」

 少女の方も、思春期からくる物言いなのだろうか、口調はキツイ。

「パンツがか?」

「うるさいわね!。ほら、私のパンもあげるから、早く食べちゃって!」

 パンを眺める悟空。

「2枚でも足んねぇな・・・」

 などと、パンが2枚でパンツという駄洒落が完成したが、相も変わらず食事の量に不満を言う悟空。

 それに対して、腰に手を当てながら、ブルマの口が開く。

「昨日、話した事を納得してくれるならパンぐらい幾らでも買ってあげるわよ」

「あぁ、駄目だ、駄目だ。あれはじっちゃんの形見だって言っただろ。またどっかに行っちまったら、探すのが面倒くせえし」

 何かしらの交渉だろうか、パンの枚数程度で祖父の形見となる物は貸して貰える訳もなく、ブルマの頬が膨らむ。

「何よ!、もう一回くらい貸してくれても良いじゃない!」

 と、言うが、悟空は黙って首を振る。

「じゃあ、明日も御飯は少しだけかもね」

 今日の朝食に加えて、明日の食事も交渉材料にするブルマ。

「そんなの狡いだろ・・・・、」

 何を貸りるのかは知らないが、御飯程度が交渉材料となるならば、大した事もない物と思える。

 もっとも、悟空が食事に対して、大きなこだわりを持っていれば話は別になる。

 

 そして、二人は買い出しの為に、荒野をバイクで疾走する。

「私が勝ったら、ドラゴンボールよ!」

 と、ブルマが言う。

「狡りぃな、飯を引き合いにすんだからかな」

 どうやら、悟空は食事に対して強いこだわりがあったらしい。

 そして悟空が探すドラゴンボールという球と、ブルマが持つ食事代を賭けて何かの勝負が始まるのだろうか?。

 その対価として、ブルマが求めるドラゴンボールとは何か?。

 それは7つ揃うと願い事が叶う球。

 そして、それは願いを叶えてしまうと、世界各地に散らばってしまう。

 悟空とブルマは、一度ドラゴンボールを7つ揃えていて、願い事を叶える寸前までになったのだが、ひょんな事で思いと違う願いを叶えてしまう。

 その結果、散らばった悟空のドラゴンボールを探す旅に出ている二人。

 元々、7つ揃うと願い事が叶う球を求めて、旅をしていたのがブルマ。

 そして、旅の途中で知り合ったのが悟空。

 それが悟空とブルマが共にいる理由である。

「約束だぞ!。オラが勝ったら、飯を腹いっぱいだ!」

「もちろんいいわよ。でも、私が勝ったらドラゴンボールを貸して貰うからね」

 と、言う二人。

 その賭けに勝算があるのだろうか、ブルマが後部座席に座る悟空に振り返り、

(うぷぷっ、あんな薄汚れた服で私に勝とうなんて、笑ったちゃうわ)

 などと、心の中で思う。

 そんなブルマの顔は実に楽しげだ。

 勝負は朝食時にちょっとした口論になった服装に関するものらしく、その勝負の前に食料品が揃う都会へと向かうバイクは砂煙を揚げて、広い荒野を進む。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。