ドラゴンボール Cove R Comics 10   作:やま おさ

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完結です。


Comics 10 6

 買い物が済んだ悟空とブルマ。

 この後に行われるファッション勝負の為に、

二人はデパートを後にした。

 とはいえ、勝負の場所はデパートの真横を通る歩道の上。

 日本橋デパートは都会の中にあるので、道路も広く、歩道も幅があるので問題は無い。

 その分、通行人も多いので、勝負の決め手となる人だかりを集めるのも十分だ。

 その歩道を歩く人々達は、ブルマ達と同様に海外からの旅行者と近隣に住む富裕層らしき人々。

 ファッションにも拘りを見せるであろう人達なので、尚更の好都合と思える。

「何だか、買い物で気が抜けちゃったわね」

 と、言いながら、ブルマは乗ってきたバイクを歩道に寄せて、それを背にしながら腰に手を当てた後に、笑みを見せる。

 勝負の決め手となる通行人を引き寄せる為の予行練習なのだろう。

 バイクの種類はオフローダー、片足だけ太ももを露にしたパンツルックが良く似合う。

「只でさえ魅力的な私が、ワイルド感を取り入れたら勝ったも同然じゃない?」

 少々、自信過剰感も取り入れがちなブルマではあるが、悪くはないセンスと思える。

 と、言う訳で、再びバイクを背にして、通行人に対して笑顔を向けるが、通り過ぎる人々は何事かと言う程度に視線は向けるが、立ち止まる事はない。

「・・・・」

 予想とは違う展開に、少しの間だけ思考が停止する。

 そして、勝負の相手である悟空のいる辺りに視線を向けると、

「何よ、あれ・・・」

 予想に反して、悟空の周りには人だかりが・・・。

「ほっ!、やぁ!」

 ブルマから少し離れた所で、背中へ背負っていた如意棒を振り回しながらの通行人へのアピール。

 その廻りには、確りとアイロンの効いたスラックス姿の年配者と、連れ合いであろう女性が輪を作って悟空の様子を眺めている。

 その観客の趣に似合わぬパフォーマンスは、予想に反して好評だ。

「まあ!、可愛いわね。僕」

 フリル付きの日傘に大きめなサングラスを掛けた夫人が悟空を誉める。

 子供のような身長で武術を披露する姿が気に入ったらしい。

 その1人が誉めると同時に拍手が起こり、チップ代わりと言うように小銭が飛び、ある者は畳んだ紙幣を悟空の足元に置いてゆく。

「・・?」

 足元に溜まってゆく、チップの意味は分からない悟空。

 しかし、

「おしゃれか?」

 と、自らの姿が好評なのかと確かめる。

 あくまでも服装での勝負だと言う事の認識はしているらしいが、悟空の服は埃と涎で汚れているのだから、評価を気にするの無理がある。

「う~ん。ちょっと汚れてるわね」

 可愛いと評した夫人も、服装がどうかと聞かれると、正しく低い評価を与えてくれる。

「駄目か?」

 と、分かってはいるが、染み汚れた上着を広げながら聞くと、

「えぇ、おしゃれかと聞かれれば、おしゃれでは無いわ」

 と、再びの駄目出し。

 すると、悟空はズボンの紐を解き始めて、パンツ丸出しになる。

「あらま、どうしたの?」

「あっちのブルマって奴は、パンツが見えるほうがおしゃれって言ってんだ」

 と、こちらの様子を伺っているブルマへと指差しをする。

 すると、

「ほう・・、パンツ・・」

 男の視線だけがブルマに向く。

 そんな様子にブルマは気付き、目を見開いきながら呟く。

(な、何、言ってんの!)

 そのような合間にも、悟空の余計な一言は止まらない。

「あそこに居んのが、ブルマって奴だ。パンツがファッションだって、言ってんだ」

 と、言う話の合間にも、男の観客が引き寄せられる様にブルマの廻りに集まってくる。

「な・・・、何よ」

 次第に、取り囲まれて行くブルマ。

「ムチムチなのかね?」

 と、観客の1人がブルマに詰め寄る。

「な・、何が・・?」

 何がムチムチなのかは、敢えて書かない。

 しかし、群衆の目線はホットパンツから伸びる脚に向く。

「ムチムチなんじゃな・・」

「ちょ、ちょっと!。見ないでよっ」

 流石に、露骨な目線に腰が引ける。

 しかし、路上の観客は増えた。

(待って、これって私が勝つチャンス何じゃない?)

 そう、パンツという言葉で詰め寄る男には腰が引けるが、勝負に勝てばドラゴンボールが自分の手元に来るのだ。

 そう思うと、ズボンの下に隠されるパンツの存在に気付く。

(でも、これって違うんじゃない?・・)

 そう、パンツを見せる事がファッションでは無い。

 それ以前に女性としては、どうなのかとも思う。

(でも、ここは勝たなくちぁ、いけない所なのよね・・・)

 そう思えば、ホットパンツの裾に指が掛かる。

 しかしながら、

「あなた、はしたなくてよ。」

 と、後から追って来た夫人が声を掛ける。

(びっ、びっくりしたぁ!・・)

 ブルマは心臓が飛び出るくらいに驚く。

 しかしながら、夫人からの言葉は自分の連れ合いである男に対しての言葉らしく、

「い、いや、そうは言っても、先程の子供のように、な、何か芸を見せるつもりなのだろう・・」

 注意をされた男からは、多少の無理がある言い訳が出てきて、

(芸じゃないわよ!・・)

 そう、パンツを見せる行為が、芸であると認識する者は余りいないはず。

 と、思いつつも、再びホットパンツに掛かる指が動く。

(ドラゴンボール!、ドラゴンボールの為なのよ・・)

 と、心の中で決意したブルマが指を動かす瞬間。

「うん?。君はカプセルコーポレーションの娘さんでは無いのか?」

「っ!!」

 再び、心臓が飛び出るくらいの驚きを見せるが、今度の言葉は無視をするには都合が悪すぎる。

 ブルマの実家は、カプセルコーポレーションという大会社。

 故に、デパートの店員も顔を覚えていたのだか、今この時は裏目に出る。

 富裕層と呼ばれる客の中にも、顔見知りがいてもおかしくはなく、パンツに伸びた指先は止まらざるを得ない。

(あぁ~・・・)

 と、諦めの言葉が浮かんだ末に出るのは敗北の言葉。

「あ~!。もう、孫くんの勝ちで良いわよ!」

 と、自らの敗けを認める。

 そして、もう無用となった観客は要らない。

「ほらっ!。もう、あっち行って!!。シッシッ!」

 まるで、犬を追いやるように、取り巻きを追い散らすブルマ。

 そして、勝者となった悟空が言うのは、

「はははっ!。オラの勝ちだな」

 にやけた顔での勝利宣言。

 当たり前のように、ブルマは面白く思う訳もない。

「何よ!!!。何だっていうの!」

「別に何でも無ぇけど。おめえのファッションは駄目だな。パンツの見せた方が足りねぇんじゃねえか?」

 別に、悟空のパンツ姿で勝利を収めた訳でもない。

 それでも、勝負に敗けた鬱憤もあり、何か自分のファッションセンスが劣っているかのような感覚、そして女性ならではの拘りである下着への勝利宣言をされたような気分により、ブルマの不快感はMAXに至る。

「うるさい!!!」

 と、歯を剥き出しにして、喉が渇れるほどの声で文句を言う。

「へへへ、これでデパートで買った食い物はオラの物だな!」

 そう、悟空の勝利により、ドラゴンボールを賭けた勝負は終わる。

「でも、この金は、どうすりゃあ良いんだ?」

 悟空が言う金とは、先程のチップの事。

「知らないわよ!。孫くんが、稼いだお金何だから、好きにすれば!?」

 まだ、ブルマの機嫌は治らず、悟空の問いかけを突っぱねる。

 そんな様子であるが、未だ金の使い方に戸惑う悟空を見れば言葉は出る。

「・・・・、服をクリーニングにでも出せば?。さっき、おばさんも汚れてるって、言ってたでしょ」

 と、ブルマと悟空自身も気にしていた服の汚れの事を言う。

「洗って乾かすだけなら、すぐに出来ると思うし」

 その言葉の通り、服はクリーニングに出す事になった。

「凄え!ピカピカになったぞ!」

 綺麗に汚れが落ちた胴着に驚く悟空。

「じゃあ、行くわよ。早く、ドラゴンボールを探さなくちゃあいけないんだから」

 と、言って、ブルマはデパートから離れて行く。

「金、まだ余ってんだけど、どうすりゃあ良いんだ?」

 クリーニングに出してもチップは余っている。

 それは胴着のポケットにでも、入れておけば対価に合うだけの食べ物に代わるのだから取って置けば良いとも思う。

「まあ・・、いいか」

 と、納得をして金を締まった後に、ブルマを追ってデパートを離れようとするが、少し離れたところに、路上に座る年嵩の者が眼に入る。

 悟空にしてみれば、地べたに敷いた敷物に座り、布織りなどをするジプシーなどは見てきた。

 しかし、今、目の前に居るのは初めて見る者で、目の前に置いてあるのは空き缶。

 それは、分かりやすく言えば生活の糧を得る方法が無く、道行く人々の優しさに縋る者達である。

 それを知らない悟空は、空き缶の中を覗き込むと、

「?」

 空き缶の中には、コインが数枚。

 何故、コインが入っている空き缶が放置されているのかも分からない。

 しかし、悟空自身も先程のパフォーマンスでチップを手に入れている。

 それを思えば、

「良く分かんねぇけど、オラの服は綺麗になったから、これはやる」

 紙幣数枚と小銭を幾ばくかが、音を立てて空き缶の中に入り、物請いは声を立てずに頭を下げる。

 その様子に訳が分からない悟空。

「?・・」

「オラたちも、野っぱらで寝たりすんけど大丈夫だ」

 必要としている者に何かを分け与える事は間違ってはいないと思う。

 様々な迷いを伴いつつも、デパートを堪能した悟空。

 ブルマという連れ合いがいたとは言え、その事を知る知らないにしろ、デパートで働く人々からの気遣いは確かあった。

 そんな小さな気遣いと心が、デパートの外にあっても良い訳であり、そんな気分で空き缶に金を入れたのだろう。

「次いでに、これもやる」

 と、買い物袋に入ったパンも渡す。

 そして、全ての用事が済んだ悟空は脚を進め、

「ちょっと!、孫くん、早く行くわよ!」

 と、少し離れた所からブルマが声を掛け、

「おう!、今行く」

 と、その場を離れて行く。

 こうして、再び二人は願いを叶えるという、ドラゴンボール探しに旅立つ。

「だけど、楽しかったな。デパートってのは!」

 と、悟空は思う。

 そして、路上でのファッション勝負に気付く事がなかった亀仙人も、下着売り場にてデパートを閉店まで楽しむのだろう。

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