皇国の黎明 大日本連邦皇国召喚   作:星ノ河

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第二章 ロデニウス動乱編
第6話 迫り来るロウリア


中央暦1639年

 

クワ・トイネ公国が大日本皇国と国交を結んで半年がたった。

クワ・トイネ公国、クイラ王国にとって最も大きく変化した半年だった。

 

都市には石畳が進化したような繋ぎ目のない道路が敷かれ、マイハークには鉄道が敷かれた。日本から輸出されたDE10型ディーゼル機関車が走り、穀倉地帯から港までの運搬の時間が大幅に削減された。更に現在はマイハークから公都までを繋ぐ電化路線の建設が進行中だ。

都市インフラも、日本によって電気で明るく光る街灯、上下水道やガス管が整備され、クワ・トイネの人々はとても快適な生活を満喫していた。

 

マイハークの市街地もすごい発展を遂げている。

街の一部には、コンクリートでできた建物が建ち、立派な近代都市の形相を表し始めている。

 

「すごいものだな。大日本皇国という国は....」

 

大発展を遂げ、車が行き交う近代的な都市となった公都クワ・トイネ。その様子を官邸の上階から眺める首相カナタは秘書に話しかけた。

 

「ええ、本当にその通りです。1年前の自分では考えられなかった光景ですよ。大日本皇国は明らかに第三文明圏の技術力を超えています。この技術を学ぶことができれば、我が国も列強国並みの国力を手に入れることができますよ」

 

「蛮地と蔑まれる辺境国が列強国すら凌駕する強国に生まれ変わる......面白いじゃないか。私は年甲斐もなくワクワクしてしまったよ」

 

「ええ、しかし、彼らが平和的な民族で助かりました。彼らの技術で覇を唱えられたらと思うと、背筋が寒くなります」

 

「同感だよ。それに、彼らは武器も輸出してくれている。旧式装備として退役したものらしいが、我が国からすれば何世紀も後の未来の兵器だ」

 

使節団からの報告により、大日本皇国は考えられないほどの強大な軍事力を保持していることを認識したクワ・トイネ公国政府は、その軍事力の一部だけでも手に入らないかと求めてみたところ、なんと旧式ではあるものの武器の輸出を認めてくれたのだ。

さらにはクワ・トイネ公国内に兵器や弾薬等を製造するための工場や造船所までも建設を行ってくれている。

 

陸軍では、保管庫で眠っていた89式小銃やL16迫撃砲などの列強でも配備されていないであろう銃火器や、対ワイバーン用の60式携帯式対竜誘導弾、87式自走高射機関砲、15.5cm榴弾砲などを輸出した。

まだ数は少ないが、着々と軍事力の強化が行われている。

訓練が進み次第戦車や装甲車の輸出も検討されている。

 

海に関しては、大陸周辺を海上保安庁の船が巡回するようになった。だが、将来的には自国での沿岸警備を行ってもらうために、旧式となって退役した1500トン級巡視船を三隻供与し、派遣された顧問の指導のもと運用が開始されている。

 

空では、2027年に採用されたT-8初等練習機が輸出され、ワイバーンに変わる航空戦力として飛竜騎士を中心に訓練が行われている。ワイバーン隊は順序対地攻撃用兵器として配備されるだろう。

 

「それに、これを見てほしい」

 

「こ、これは!」

 

カナタが机の引き出しを開け、中からあるものを取り出し秘書に見せると、秘書は驚きの声を上げた。

手に握られていたのは、黒い細長い固まり、先日輸入された銃を縮めたかのような物体。

そう、35式9mm拳銃、通称八坂銃だった。

 

「安保条約締結を記念して大日本皇国の最高司令官からプレゼントしてもらったんだ。

片手で持てるほどに軽く、なのに矢より遥かに勝る射程と威力を持つ。あの銃をここまで小型化することができるなんて、全く驚かせてくれるよ、彼の国には」

 

「大日本皇国....途方もないですね...」

 

「ああ、あれほどの力を持ちながら、その力を誇示せずに平和的に物事を解決することを望む....

今後とも、平和的な関係を続けていきたいものだな...」

 

カナタは、沈みゆく夕陽を眺めながら、机の上のカップを取り、中に入っている赤茶色の液体....日本から輸入した紅茶という飲み物を飲んだ。

 

・・・・・・・・+・・・・・・・・

 

 

ロウリア王国 王都ジン・ハーク

 

満点の星が輝き、少し涼しい夜風が吹くこの日、三重の城壁に囲まれた王都ジン・ハークの丁度中央に位置するハーク城。そこの一室において、この国の行く末を決める重要な会議が行われていた。

 

「陛下よ。準備は全て整いました」

 

その部屋の中、バスローブに身を包む玉座に座る壮年の男に、それよりも若い白銀の鎧に身を包み、跪いて話す男がいた。彼の名は将軍パタジン。ロウリア軍の総司令官である。

 

「ふむ、クワ・トイネとクイラの二国を同時に戦って、勝てるのか?」

 

現ロウリア王国国王、ハーク・ロウリア34世がパタジンに質問する。

 

「はっ、一国は農民の集まりであり、もう一国は不毛の地に住まう者。どちらも亜人比率の高い国などに、負けることは万が一にもございませぬ」

「うむ、そうか。して宰相マオスよ、2ヶ月ほど前に接触してきた大日本皇国という国の情報はあるか」

 

日本はロウリア王国にも接触していたが、事前にクワ・トイネ公国とクイラ王国と国交を結んでいたため敵性勢力と判断されて門前払いを受けていた。

最も日本側としてもその頃既にロウリア王国による亜人の迫害を知っていたので、取り敢えずと言う面が大きかったので素直に帰っている。

 

「ロデニウス大陸から北東に1300km程行った所にある新興国でございます。それだけの距離が離れているので、到着する頃には全ての作戦が完了していると思われます。また、奴らは我が国のワイバーンを見て久しぶりに見たと言っていました。きっとワイバーンの数が少なく希少なのでしょう。我々より遅れた蛮族の国かと思われます」

 

ワイバーンの無い軍隊は、ワイバーンの火力支援が受けられない分、弱い。

空爆だけで騎士団は壊滅しないが、常に火炎弾の驚異にさらされ続けるため、精神力が持たない。

 

「なるほど。ではクワ・トイネが日本に助けを求めたとしても、大したことはないでしょうな」

 

そう、パタジンはにやりと笑った。

 

「そうか、フハハハ!余は嬉しいぞ。ついに我が国がロデニウス大陸を統一し、忌々しい亜人どもを根絶やしにできる日が来るとは。これで父上の悲願も成されるというものよ」

 

「大王様。統一の暁にはあの約束もお忘れなく。クックック」

 

真っ暗のローブを被った男が、気持ち悪い声で王に囁く。

 

「わかっておるわ!」

 

 ハーク・ロウリア34世は、怒気をはらんだ声で言い返す。

 

(ちっ、文明圏外の国だからと思ってバカにしおって。ロデニウスを統一したら、お前たちの国があるフィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)

 

心の中で毒づいた後で、パタジンに向き直す。

 

「パタジン、今回の作戦の概要を説明せよ」

「はっ! ご説明いたします。まず、今回の作戦で動員する戦力についてですが、全戦力を合わせ50万人、侵攻部隊に40万、国土防衛に10万人を当たらせます。

まず、クワ・トイネの国境に近い都市『ギム』を強襲し、ここを制圧し前線基地とします。なお、兵站についてですが、彼の国は食糧が豊富に取れるため、現地調達(略奪)します。ギムと並行して、経済都市マイハークに向けて4400隻の大艦隊を差し向け、都市北方より上陸しマイハークを占領します。

そして、二方向から公都クワ・トイネに向けて進軍を開始し、物量を持って一気に制圧します。

なお、クイラ王国ですが、かの国は食糧を完全にクワ・トイネ公国からの輸入に頼っておりますので、公国を占領するだけで勝手に干上がります」

 

「クワ・トイネの戦力は、多くても5万人程度。即応戦力は一万にも満たないでしょう。我が大軍勢をぶつければ、いかなる小賢しい作戦も正面から叩き潰せるでしょう。

現場にあっては、陸軍の総指揮はパンドール将軍が、海軍の総指揮はシャークン提督が取ります。説明は以上です」

 

パタジンの説明が終え、ハーク王は高らかに笑い始める。

 

「ふっふっふっ....ハーッハッハッハッ!!そうか!今日は余の人生で最高の日だ!!余はクワ・トイネ公国とクイラ王国両国に対する侵攻を許可する!』

 

「「「「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

 

ハーク城は喧騒に包まれた。

その翌日、侵攻部隊はジン・ハークより出撃した。

 

・・・・・・・・・・+・・・・・・・・・・

 

クワ・トイネ公国 大日本皇国大使館

 

「それは間違いない情報なんですね」

 

「はい。情報部や王国内に放った密偵からの確かな情報です。ロウリア王国軍は、すでに我が国への侵攻を開始しています」

 

ロウリア王国との国境付近で、王国軍が集結を初めたことを認知したクワ・トイネ政府は、日本への説明及び救援要請を行うために、大日本皇国担当となった外務局局員のヤゴウが慌てた様子で大使館に訪れていた。

 

(宣戦布告なしとは、なんと野蛮な....)

 

「現在、ロウリア軍は国境都市ギム付近の森に集結しています。我軍は貴国から様々な武器を輸出してもらいましたが、ロウリアの軍勢はそれを圧倒する大軍勢です。戦争となれば我が国は幾つもの都市を放棄しなければならず、穀倉地帯を抑えられれば貴国への食物の輸出も困難になるでしょう」

 

「なっ!それは困ります!貴国からの輸入が途絶えれば、我が国は何万人ものが死者が出てしまいます」

 

「ですので、貴国から我が国への援軍をお願いしたいのです!このままでは我が国は攻め滅ぼされ、亜人は奴隷となり、貴国への輸出もままならなくなります!どうか!」

 

ヤゴウは必死に頭を下げる。

 

「ヤゴウさん、流石にこの規模の動員となると私の一存で決める事は不可能です。一度国会に持ち帰り、承認を得なければなりません。ですが、国会で可決され次第、速やかに援軍を送ることを約束します」

 

「どうか....どうかお願いします」

 

この救援要請は速やかに本国に届けられ、その日には派兵についての会議が行われた。だがやはり一部の野党陣営が騒ぎ出したことで、この会議は一時持ち越しとなってしまった。官僚や閣僚への根回しを行い、自民党や公明党、維新などの引き込みに成功し正式に国会に持ち込むことになった。が、前世界で息を吹き返してしまった左翼連中が、「異世界国家への侵略だ」だとか「戦争は不当な虐殺行為」だとかのたまい国会前で騒ぎ出したため、これを鎮圧するために予定より3時間遅れて国会が開始された。援軍派遣については賛成多数で可決された。

 

だが、一足遅かったのである。

 

 

「先程、クワ・トイネ公国の大使館より、今から2時間ほど前にロウリア王国軍は国境を超え、国境都市ギムを占領したと報告がありました。守備隊はモイジ団長以下全員が玉砕、また、逃げ遅れた民間人は四肢をもぐなどの拷問、虐殺、強姦がされていると」

 

統合参謀本部第一会議室において、派遣任務軍についての会議が行われていた。その最中に長江がこの報告を持ってきたのだ。

そして、偵察のために潜伏していた諜報員が撮影した、ロウリア軍が侵攻した村の住民の末路を記した映像を流した。

それは、虐殺と強姦の映像。無理やり犯され泣き叫ぶ女、殺された母親の亡骸にすがる少年、股間から串刺しにされ掲げられる少女、魔獣と思わしき獣に生きたまま食べられる騎士。

他の映像も、形容しがたい悲惨なものだった。

 

「なんてことだ....」

 

「我々の援軍が間に合わなかったのか...っ!」

 

「こんな所業....本当に人間のすることなのか!」

 

会議室には軍の幹部陣が集まっていたが、このおぞましい光景に絶句し、怒りをつのらせた。

様々な言葉が会議室に飛び交い一通り静になると、突如沖田が立ち上がりこう叫んだ。

 

「俺の言いたいことはわかるはずだ.....この野蛮な奴らは、今このときも我が友好国の地を踏み荒らし罪なき人々をおぞましいやり方で虐殺している。

この映像に映って顔が特定できたものは、優先的に排除しろ!ギムの地で散った英霊たちの為にも、必ず地獄に叩き落としてやれ!」

 

その言葉に、部屋の誰もが返事をし頷いた。

そして、クワ・トイネ救援任務部隊の派遣が決定し、更に数時間後には安保条約に基づき正式にロウリア王国に対し宣戦布告が行われた。

 

 

 

 

 




さて、待ちに待ったドンパチが始まりますね。
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